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渡邊 耕一展 Moving Plants 【資生堂ギャラリー】

前回ご紹介した展示を観た後、銀座の資生堂ギャラリーに移動して「渡邊 耕一展 Moving Plants」を観てきました。この展示は一部が撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介しようと思います。

DSC01317.jpg

【展覧名】
 渡邊 耕一展 Moving Plants

【公式サイト】
 http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など

【会期】2018年1月13日(土)~3月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はイタドリ(虎杖)に魅せられた渡邊耕一 氏の個展で主にイタドリの写真が並ぶ内容となっています。イタドリって何?って方も多いと思いますが、日本人なら大抵の人が観たことがあると思われる雑草です。イタドリは見た目はハート型の葉っぱを付けて日本では食用や薬草にもなるのですが、これが今ヨーロッパなどでは大問題となっているようです。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

こちらはイタドリの写真。こういう茂みを観たことがある方も多いと思います。
DSC01320_20180302000424b3a.jpg
渡邊耕一 氏は北海道でこうした茂みを観て、どこかで観たことがあると気になって調べたのがきっかけでイタドリに興味を持ったようです。

こちらは和漢三才図会という1700年頃にまとめられた百科事典のイタドリに関するページ。虎杖と書いてイタドリと読みます。
DSC01321.jpg
ここにはその生態や食べ方なども記されているようで、現代語訳もありました。遡るとなんと日本書紀や枕草子にも名前が出てくるくらい昔から認知されている雑草です。

そんなイタドリですが、かの有名なシーボルトによって1830年に様々な植物と共にオランダへと持ち帰られライデンの植物園で育てられることになりました。当時は珍しい植物として装飾用園芸植物として彼の地で金賞を受けたなんて話もあるようで、園芸植物として欧米各国へと広がっていきました。お金持ちの庭園なんかで育てられたようです。

こんな感じで押し花みたいなのもありました。
DSC01334.jpg
シーボルトも同様にこうした押し花を作っていたようです。この植物を知った頃のヨーロッパは無邪気なもんです。

…そして月日が流れ、大変なことになっているのが現在ですw イタドリは実はめちゃくちゃしぶとくて寒さにも強く、地下茎やイタドリの破片でも繁殖してしまうという恐るべき生命力を持っています。
一旦増えるとこんな感じになってしまいます。
DSC01333.jpg
ヨーロッパではペストのように「感染した」なんて言われるくらいの厄介者です。現在のイギリスではイタドリが見つかった不動産はイタドリを駆除しないと売れないらしく、イタドリを含む土壌の運搬は禁止されているそうです(どうやって処分しろというのだろうか?w)

こらアカン…(白目) まさにアウトブレイクしたかのような繁殖ぶりです。 
DSC01338.jpg
これはイギリスの写真だったと思いますが、ヨーロッパ各地やアメリカで同じことが起きています。去年あたりに日本でも外来種の火蟻の危機が叫ばれましたが、日本発の品種も最強のパワーで世界の生態系を破壊していたりします。(たしか葛とかワカメも海外でえらいことになってると聞いたことがあります)

そんなイタドリを駆逐する為の研究も行われています。
DSC01324.jpg
イタドリの天敵でイギリスの環境に影響を与えないとされた「イタドリマダラキジラミ」という虫を研究し、イギリスの8箇所で放ったようです。まさにイタドリキラーとして鳴り物入りだったわけですが、虫が冬を越せずに機能していないそうです。 今後は越冬させる研究もするようですが、沖縄のマングースみたいなことになりかねないかちょっと心配。イタドリを美味しく頂くレシピを作って食い尽くす方が早いのでは…w


ということで、イタドリの数奇な歴史と繁殖力のヤバさがよく分かる展示でした。生態系が一度崩れるとそれを治すのは途方もない労力がかかるのを目の当たりにした感じです。日本種は外来種に対して弱いイメージがありますが、決してそんなことはなく、外来種が入ることだけ心配するのではなく 出ることにも気をつける必要があるのかもしれません。中々為になる内容だったしこのギャラリーは無料で観られますので、銀座近くに行く機会があった軽く寄ってみるとよろしいかと思います。


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