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桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!― 【山種美術館】

前回ご紹介した根津美術館に行く前に山種美術館で「〔企画展〕桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―」を観てきました。この展示では1点だけ撮影可能となっていましたので、その写真も含めてご紹介していこうと思います。

DSC02965.jpg

【展覧名】
 〔企画展〕桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2018/sakura2018.html

【会場】山種美術館
【最寄】恵比寿駅

【会期】2018年3月10日(土)~5月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多くて賑わっていました。とは言え、混んでいるというほどでもなく自分のペースで鑑賞することができました。

さて、この展示は山種美術館が誇る日本画のコレクションの中から桜をテーマにした作品を集めたものとなっています。(一部に山種美術館以外のコレクションも含まれています) 以前にも同様の展示があって、毎年恒例のように思っていたら今回は6年振りということで、そんなに経ってたのかと逆に驚きです。3つの章に分けて展示していましたので、各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:桜・さくら・SAKURA 2012 -美術館でお花見!- (山種美術館)


<第1章 名所の桜>
まずは桜の名所を描いた作品が並ぶコーナーです。

12 東山魁夷 「春静」
山の緑の森を背景に桜が咲く様子が描かれた作品です。斜めに山の斜面が描かれ、空の黄色、山の緑、桜の淡いピンクといった感じで画面が斜めに3色に分割されているような構成が面白いです。静かな気配が漂い、タイトル通りの雰囲気の作品でした。

13 石田武 「月宵」
やや暗い夜の空を背景に、どっしりとした見事な枝垂れ桜が描かれた作品です。空には丸い月があり神秘的な雰囲気もありますが、花が多い所は霞むような表現となっていたり花弁が1枚1枚描かれているところがあったりと、静けさと華やかさが同居するような作品でした。

この辺には速水御舟による色紙よりもちょっと大きめの画帖が並んでいました。写実的でシャープな線で描かれた写生となっています。

6 奥村土牛 「醍醐」
こちらはこの美術館でも特に人気の高い作品で、画面の中央に1本の木の幹が描かれています。幹は「たらし込み」のような滲みを使った表現で年季を感じさせる一方、霞むようなピンクの花が周りにあり、軽やかな色合いが可憐です。まさに春の温もりが伝わってくるような傑作です。

27 奥田元宋 「奥入瀬(春)」
こちらは奥入瀬の渓流が右から左へと流れる様子が描かれた作品で、白い水しぶきが流れの速さを感じさせます。周りは緑が生い茂り、中央あたりに薄っすらと桜が観られます。絵自体が大きくて、その場にいるような臨場感が味わえる大パノラマとなっているもの見どころでした。

25 橋本明治 「朝陽桜」
金地を背景にデフォルメされた花弁が画面中に描かれた作品です。ところどころに金箔を散らしていて花の香る雰囲気が出ている一方、デフォルメぶりがデザイン的で軽やかな連続性を感じさせました。近くで観るとと凹凸が結構深いのも分かると思います。

4 土田麦僊 「大原女」
DSC02959.jpg
この作品だけ撮影可能となっていました。京都の大原の女性たちが薪を頭に載せて都に売りに行く様子が描かれたもので、ここでは手前中央に桜が置かれる大胆な構図となっています。片足を上げているのが足取りを感じさせて、3人並ぶことでリズミカルな雰囲気を生み出しているように思いました。


<第2章 花を愛でる>
続いては文学や歴史において桜と関わりのある人物などを描いた章となっていました。

31 伊東深水 「吉野太夫」
間道縞と呼ばれる複雑な幾何学文様に扇面散らしのような柄の着物を着た遊女と、お盆に小さな壺を載せて向き合っている禿(かむろ)らしき小さい女の子を描いた作品です。背景には桜も少しだけ描かれているかな。この女性は吉野太夫という遊女で、茶人の家に落籍され 後に茶室の創案などもした風流人だそうです。そんな才女だけあってキリッとした表情をしていて、凛々しい雰囲気がありました。

37 上村松園 「桜可里」
白い布を被った着物の女性と、手折った桜の枝を持つ侍女らしき女性が歩いている様子を描いた作品です。非常に可憐な女性たちですが、菱川師宣の「上野花見の躰」に同様の図があり、ポーズも似ているのでそれを参考にしたと考えられているそうです。髪型などもその当時のものらしく、上村松園が古画を学んだ様子も伺えます。絵には作者の人格が出ると考えていた上村松園らしい気品ある作品でした。

40 松岡映丘 「春光春衣」
十二単の女性が縁側で桜を観ている様子を描いた作品で、画面には松などもあって桜吹雪も吹いている感じです。題材自体は古くからあるようにも思えますが、色面を使って表現した松や、色彩が軽やかつ鮮やかに表現されている所に現代的なセンスも感じられます。私としてはこの作品がこの展示でもベストじゃないかというくらい好みの作品でした。(もともと松岡映丘の作品は全部好きな勢いだったりしますがw)


<第3章 桜を描く>
最後は桜の咲く風景や、花や幹にクローズアップした作品、夜桜を描いた作品などが並ぶコーナーです。

47 渡辺省亭 「桜に雀」
こちらは桜の枝に留まる3羽の雀を描いた作品で、写実的で抑えた色調で描かれています。身をかがめて様子を伺う姿などはよく観察して描いているのが伝わってきます。桜も静かな雰囲気で、単に華やかに表現するだけではない面白さを感じました。

51 川端龍子 「さくら」
画面中央にドカッと大きな幹が描かれた作品で、桜の花は脇役になっていて幹が主役というちょっと変わった構図ですw たらし込みのように滲みを幾重にも重ねて風格を出していて、ちょっとあざといくらいに立派な幹となっていました。中々インパクトのある絵でした。

52 上村松篁 「日本の花・日本の鳥 のうち[日本の花]」
2曲1隻の屏風で、6つの扇形の中に桜や燕子花など四季の花々が描かれています。デフォルメされて柔らかい雰囲気の花が、可憐でちょっと素朴な感じも受けました。なお、この作品は元々は一双の屏風で、もう片方には鳥たちが描かれているのだとか。

56 速水御舟 「あけぼの・春の宵 のうち[春の宵]」
細い月の浮かぶ暗闇の中に立つ1本の桜を描いた作品で、花弁が舞い散り儚げな印象を受けます。暗い中でも満開の桜が神秘的で、どこか心象風景のようにすら見える光景となっていました。

この近くにあった加山又造の「夜桜」も見事でした。


ということで、大半は観たことがありましたが桜尽くしの華やかな展示となっていました。日本人は昔から桜を愛してきたのもよく分かる内容だったと思います。既に関東では桜は散って緑となっていますが、まだここで桜の絵の数々を観ることができるので、その余韻を味わってみてはと思います。

なお、次回の展示は琳派の展示のようです。根津美術館でも琳派の展示が始まるので、ハシゴすると楽しいかも(この2館は一本道でタクシーで5分くらいしか離れていませんのでハシゴしやすいです)

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