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木島櫻谷 PartⅡ 木島櫻谷の「四季連作屏風」+近代花鳥図屏風尽し【泉屋博古館分館】

日付が変わって昨日となりましたが、日曜日に六本木一丁目の泉屋博古館分館で 生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅡ 木島櫻谷の「四季連作屏風」+近代花鳥図屏風尽し を観てきました。

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【展覧名】
 生誕140年記念特別展 木島櫻谷
 PartⅡ 木島櫻谷の「四季連作屏風」+近代花鳥図屏風尽し 

【公式サイト】
 https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html

【会場】泉屋博古館分館
【最寄】六本木一丁目駅/神谷町駅

【会期】2018年4月14日(土)~5月6日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
Part1の時は激混みでしたが、Part2の今回はどういう訳か空いていて快適に鑑賞することができました。
 参考記事:木島櫻谷 PartⅠ 近代動物画の冒険 (泉屋博古館分館)

さて、この展示はその名の通り木島櫻谷(このしまおうこく)の展示の第2弾となっています。今回はPart1のように木島櫻谷についての説明はあまり無く、木島櫻谷の作品自体も展示スペースの半分で6点(全て屏風)のみとなります。残り半分は住友に関係が深い画家の花鳥図が並ぶ内容となっているので、個展という程でも無いかもしれません。木島櫻谷の作品については、大正半ばに大阪茶臼山に竣工した住友本邸を飾るために制作した四季連作屏風が並び、当時流行にもなった琳派風の作風となっていました。 簡単にメモしてきましたので、それぞれの作品についてご紹介していこうと思います。なお、公式サイトでそれぞれの作品の画像も観ることができます。

木島櫻谷 「竹林白鶴」
こちらは六曲一双の屏風で、竹林の中に3羽の鶴がくつろぐ様子が書かれています。金地で確かに琳派のような平面的かつ装飾的な雰囲気となっています。特に川の流れを群青に金の輪郭で描くあたりは琳派そのものといった感じでした。(特に酒井抱一の江戸琳派みたいな感じ)

木島櫻谷 「柳桜図」 ★公式サイトで観られます
こちらも六曲一双で、満開の桜と緑の柳の木が描かれています。桜は近くで観ると結構厚みがあって、間に赤い葉っぱも混じって1つ1つ丁寧に描き込まれています。一方の柳もしなる曲線がリズミカルで優美な印象です。こちらも琳派の影響を感じさせますが、たらし込みのような技法はなく明るくスッキリした雰囲気が独特でした。

木島櫻谷 「燕子花図」 ★公式サイトで観られます
こちらも六曲一双で、金地を背景に無数のカキツバタが描かれています。画題もぱっと観た感じも琳派そのものといった感じで、尾形光琳の燕子花図屏風を真っ先に思い浮かべる作品です。色合いや平面的なところはそっくりですが、たまに蕾があったり近くで観ると若干厚塗りされていたりする特徴があります。葉っぱの密集度も高く、あまり上下に配置されていないのも光琳とは違うかな。いずれにせよ色の響き合いが美しく、この時期にぴったりな作品です。

木島櫻谷 「菊花図」 ★公式サイトで観られます
こちらも六曲一双で、満開の白い菊と小さめの赤い菊が咲いている様子が描かれています。左右の隻で花が対角線上に密集する構図となっていて、左隻は上から葉っぱが垂れ下がってきているようにも見えるかな。この葉っぱの葉脈の部分は金で描かれていて、華やかな印象を受けました。また、花は筆跡を活かした感じで、細い輪郭のようになっていました。これは遠くでは金地に映える白を楽しめ、近くで観ると1枚1枚の花の描写が楽しめる作品でした。

他にも雪中梅花という冬の光景を描いた作品や、参考展示として江戸時代の田能村直入の花卉図なんかもありました。

木島櫻谷 「秋草図」 ★公式サイトで観られます
こちらは四季連作の6年後の作品で、やはり金地の六曲一双となっています。ススキ、芙蓉、藤袴、小菊など秋の草花が描かれていて、描写や題材なんかは酒井抱一みたいな感じに思いますが、色合い(特に葉っぱ)が薄めで、軽やかで明るい印象を受けます。じっと観ていると秋というよりは春のような爽やかさもあるかもw 

木島櫻谷の作品は以上で、残り(第二室)は他の画家による花鳥図となっていました。

富田范渓 「鰻籠」
二曲一双の屏風で、銀地を水面として手前には緑の芦が生い茂る様子が描かれています。そして所々に籠が沈められていて、これが鰻籠のようです。銀の水面には木の葉も浮かび、その色合いのせいか静けさが漂っているように思えました。情緒溢れる雰囲気で、中々の名品だと思います。こちらも江戸琳派の装飾空間を思わせる作風でした。

高島北海 「草花図屏風」
こちらは六曲一双の屏風で、左右に1本ずつ木があり、その周りに紫陽花、立葵、夾竹桃、ヒマワリなどが描かれています。木は墨の濃淡のような表現で描かれていますが花は色鮮やかで、全体的に南画風のように思いました。しかし意外にもフランスのナンシー派(アール・ヌーヴォーのガレとかの一派)から影響を受けているとのことでした。 そう言えば高島北海はガレと交流があるんでしたね。忘れていました。

他にも望月玉泉の子供の望月玉渓や山口玲熙の作品などもありました。


ということで、思った以上に琳派風の作品が並んでいてPart1とはかなり趣の異なる画風だったように思います。私は琳派が好きなのでこれはこれで満足できましたが、part1の画風が好きな方は驚くかもしれません。まだまだ木島櫻谷については未知の部分が多いので、いつかまたまとめて作品を観る機会があったら観に行きたいと思います。

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