関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

特集:金沢重治 【横須賀美術館 常設展示室5】

前回ご紹介した横須賀美術館の特別展を観た後、常設展示も観てきました。今回は展示室5で「特集:金沢重治」というミニ個展を開催していて、中々見応えがあったのでご紹介しておこうと思います。

DSC04753.jpg

【展覧名】
 平成30年度 第1期所蔵品展
 特集:金沢重治

【公式サイト】
 http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/josetu/sho1801.html

【会場】横須賀美術館 常設展示室5
【最寄】馬堀海岸駅/浦賀駅

【会期】2018年4月7日(土)~7月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
常設も空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この特集は常設の1部屋を使ったもので、金沢重治という洋画家を紹介する内容となっています。昨年の横須賀美術館の人気投票でこの金沢重治の「夏の山門」が1位になったことで特集を組むようになったそうで、初期から晩年まで18点の作品が並んでいました。金沢重治は東京美術学校で黒田清輝に師事し1914年には文展に初入選していて以降、文展・帝展・日展で活躍した画家で、1925年には槐樹社、1941年には創元会の創立に関わるなど美術団体の運営にも尽力しました。
金沢重治は1919年に妻の療養で鎌倉に移住したようで、それ以降は身近な庭や自宅周辺の自然を主に主題としていたようです。「庭」という作品で帝展の特選となり画家の地位を確立すると、アトリエを設け近隣の若い画家に洋画を教えるなど後進の育成にも励みました。(その中には横須賀美術館の初代館長もいたそうです)
そんな経歴だけあって今回の展示でも自然や地元の風景を描いた作品が多かったかな。いくつか気に入った作品のメモを取ってきたので、それを通じて展覧会の様子を振り返ってみようと思います。(概ね描いた時期の順番になっています)


41 金沢重治 「自画像」
こちらは丸メガネをかけた25歳頃の金沢重治の自画像です。25歳の割にはオッサンっぽい気がしますが、濃いめの色使いで幾重にも色を重ねていて重厚な印象すらありました。結構写実的な画風です。

この辺には少女や裸婦を描いた作品もありました。

44 金沢重治 「赤松」
こちらはやや斜めに立つ松の幹を描いたもので、松の葉っぱが画面を埋め尽くすように描かれています。明るめの色合いとなっていますが、オレンジの幹と緑の葉っぱが対比的で、非常に幹が明るく見えて目を引きました。

この隣には同様に木を描いた作品がありましたが、こちらは黒っぽい幹で雰囲気がだいぶ違いました。

46 金沢重治 「鎌倉風景(浜)」
見下ろす感じで海岸近くの街の様子を描いた作品で、印象派のような簡略化された描写でザラついたマチエールになっています。色はそれほど濃くなくて青空が爽やかに感じるかな。もうちょっと色彩が強い方が好みではありますが、軽やかな画風です。

47 金沢重治 「庭」
こちらが特選を貰った作品で、家を背景に赤や黄色の花が咲く緑豊かな庭が描かれています。細かい点描のようなマチエールを使い陰影を濃いめに表現していて、光の強さを感じる一方で温かみを感じさせました。構図は普通な気がしますが、色彩に関してはこの作品が最も好みだったかな。離れて観るとちょっとピサロの点描時代みたいな感じです。

48 金沢重治 「夏の山門」
こちらが昨年の人気投票1位になった作品で、中央に立派な寺の門があり、階段が上に続いている光景となっています。周りは緑に囲まれていて、強く日が当たる様子が厚塗りで描かれています。葉っぱも細かいタッチで描かれていて、夏の生命力が感じられるかな。それにしても1位に選ばれるということは万人に受け入れられる画風なのかも知れません。

49 金沢重治 「夏」
こちらはテーブルに向かって座る人物が外の庭を眺めている様子を描いたもので、庭には噴水や白い人物像なんかもあります。また、テーブル上には果物、テーブルの下には犬の姿もあって自宅の様子かな? かなり裕福そうな家ですが、どこか懐かしいような雰囲気です。重厚な色彩でこちらも厚塗りとなっていて、陰影も濃くなっています。緑に赤いテーブルが映えて、日差しの強さも感じられました。今回の展示はたまたまなのかも知れませんが、夏の光景が印象的な画家なのかも。

53 金沢重治 「妙本寺」
こちらは寺の賽銭箱とお堂の入口を描いた作品で、障子は破れまくっていてまるで廃寺のように見えます。こちらは厚塗りではなく平坦な画面となっていて、色も落ち着いていて静けさが漂っていました。解説などが無いので詳しいことは分かりませんが、描く対象によって表現方法を変えていたのかも知れません。ここまで観たのとはまた違った雰囲気の作品でした。

この辺はお寺を描いた作品などが並んでいました。

54 金沢重治 「鎌倉風景(円覚寺境内)」
こちらは沢山の石仏が並ぶ境内の様子を描いた作品で、石仏や石の階段には苔が生えています。また、石仏の顔はハッキリと描かれておらず、独特の神秘性や悠久の時の流れを感じさせます。こちらも先程のお寺の作品と同様に静かで厳かな雰囲気を湛える画風となっていました。


ということで、小さな展示でしたが1人の画家の変遷を楽しめる内容となっていました。郊外の美術館はこうした地元密着の画家を紹介してくれるのが魅力じゃないかな。もし横須賀美術館に行かれる際には特別展を観た後はこちらの特集も観ることをお勧めします。

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