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ガレも愛した-清朝皇帝のガラス (感想後編)【サントリー美術館】

前回に引き続きサントリー美術館の「ガレも愛した-清朝皇帝のガラス」 についてです。前半は清王朝のガラスの歴史ついてご紹介しましたが、今日は下階のエミール・ガレへの影響などについてです。下階は2箇所で撮影可能となっていましたので、写真も使ってご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。

 前編はこちら

【展覧名】
 ガレも愛した-清朝皇帝のガラス

【公式サイト】
 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_2/

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2018年4月25日(水)~7月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
下階は最初の部屋と最後のコーナーが撮影可能となっていました。早速その写真を使っていこうと思います。

<Ⅱ.清王朝の栄華―乾隆帝の偉業(1736~95>
こちらは内容的には2章の品が並んでいました。

「紅色宝相華唐草文鉢」
DSC06893.jpg
紅色が見事な厚手の器。清朝のガラスはこういう力強い雰囲気があります。側面に宝相華唐草文鉢が浮き彫りになっていて、装飾と高台と共に削り出して作られたのだとか。かなり手間を掛けて浮き彫りにしてるんですね。

「黄色鳳凰文瓶 1対」
DSC06898.jpg
ちょっと分かりづらいですが尾の長い鳳凰が枝に止まっている様子が表された作品。こちらもモチーフの輪郭に沿って点を打ってからそれを削っていく玉に使わえる技法を応用しているそうです。かなり厚手なのでこちらも気が遠くなるほどの作業だったのでは…? この明るい黄色の色彩感覚が中国らしいかな。

「雪片地紅被騎馬人物文瓶」
DSC06913.jpg
こちらはスノーフレークグラスの素地に赤い被せガラスをのせて更に彫刻した作品。2人の武人が下の方に表されていて、雪の中で戦っているように見えました。口の辺りを見ると結構な厚みがあるのがわかります。

この他にも2点ほど撮影可能でしたが全部載せるのは自重しておきますw


<Ⅲ.エミール・ガレと清朝のガラス>
3章はフランスのアール・ヌーヴォー期を代表する工芸家エミール・ガレの作品と、清朝ガラスを並べて展示していました。エミール・ガレは北斎漫画など日本美術(ジャポニスム)からの影響が強いことがよく取り上げられていますが、それだけではなく中国からの影響もあるようです。(他にエジプト、イスラムなども) 1871年にサウス・ケンジントン博物館(ヴィクトリアアンドアルバート博物館)で詳しく研究もしていたそうで、その後もベルリンの工芸美術館を調査したり、個人的に鼻煙壺と呼ばれる嗅ぎタバコの容器の収集も行っていました。そうした中国ガラスの研究は1889年のパリ万博以降の作品に如実に表れているようで、このコーナーでは中国ガラスと比較しながら鑑賞する形式となっていました。ここは撮影禁止ですので文章で。
 参考記事:エミール・ガレの生きた時代 (目黒区美術館)

102 エミール・ガレ「花器 蜻蛉」
こちらは哀しみの花瓶シリーズの1つで、口の長い花瓶に黒っぽいトンボが下向きに表された作品です。トンボはまるで死んでいるような雰囲気が漂っていて、シリーズ名の意味も分かるかな。この近くにはガレの旧蔵品の「蝶吉祥文鼻煙壺」があり、こちらと構図はちょっと似ていて、それを参考にしたのではないかと考えられるそうです。見比べて観ると確かに似ているようにも思えましたが、独自デザインの部分が大きいので、丸パクリという訳ではないようでした。

この辺にはガレの旧蔵品の鼻煙壺がいくつかありました。「苔瑪瑙製鼻煙壺」という作品のほうが前述の花器に雰囲気が似ている気がしました。

110 エミール・ガレ「赤色窯変瓶」
こちらは赤い徳利みたいな瓶で、側面に黒い斑点がついています。力強い印象を受けるこの作品は中国の模玉ガラスに影響を受けているそうで、ここまで観てきた清朝ガラスの雰囲気に通じるものがありました。確かに中国的な要素を感じます。

この先には様々な色の中国の鼻煙壺がありました。ガレは中国のこうした品々を驚きの目を持って観ていたようです。

120 エミール・ガレ「瓶 草花」
こちらは小さな赤っぽい瓶で、赤い被せガラスで草花を表しています。これもここまで観てきた中国の被せガラスをよく研究している感じが出ていて、その影響ぶりは深いように思いました。ガレは結構多くの作品を観てきましたが、こういう観点で見比べられる機会は無かったので一層面白く感じます。

この近くにはこの美術館のコレクションであるガレの花器「カトレア」なんかもありました。これは名品なので久々に観られて嬉しいですが、こうして改めて観るとでっかい鼻煙壺みたいに見えるかなw

136 エミール・ガレ「花器 茄子」
こちらも久々に観た大好きな作品。白い胴に緑の首が付いた花器で、本当に茄子の実のような形が優美です。側面に浮き彫りされた花も表されていて可憐な印象を受けます。これはかなり日本的な感じに思いますが、こうした自然を取り入れるのは東洋からの影響(中国からも)のようです。

この辺には他に「おだまき」「アイリス」 「昼顔形花器 蛾」などサントリー美術館所蔵の名品が並んでいるので、数は少ないものの充実した内容と言えそうです。


<エピローグ―清朝のガラスの小宇宙>
最後は清朝ガラスの「鼻煙壺」が並んでいました。鼻煙壺は嗅ぎタバコを入れる容器で、鼻孔にすりつけて嗅いだりして楽しんだようです。実用品でありながらステータス・シンボルともなって、ガラス以外にも様々な素材で作られたのだとか。(日本で言うと根付みたいなポジションかな) ここには小さいながらも清朝ガラスの技術を駆使した作品が並んでいました。
 参考記事:たばこと塩の博物館の案内 (2018年1月 たばこの歴史と文化)

こんな感じでずらりと並んでいます。
DSC06921.jpg
ちょっと暗いので、スマフォのカメラだと厳しいかも。

こちらは陶器のように見えますがガラスです。
DSC06925.jpg
様々な色のガラスが使われ、優美な雰囲気です。犬か猫と思われる生き物もいますね。

こちらは琥珀色内画唐子文鼻煙壺
DSC06937.jpg
本当に琥珀のような色をしていて見事です。しかもその内側に絵が描かれているという手の込みように驚き。

こちらは黒地赤被花鳥文鼻煙壺
DSC06944.jpg
黒地に赤という、ガラスと聞いて思い浮かべる華麗なイメージとはだいぶ違う重厚な作品。割と彫りが深く、色と相まって力強い雰囲気がありました。

こちらは雪片地青被人物文鼻煙壺
DSC06947.jpg
再び登場のスノーフレークグラス。雪を背景に3人の人物がお茶をしている感じに見えます。被せガラスが前景になっている発想も凄い。

こちらは琥珀色内画唐子文鼻煙壺
DSC06950.jpg
2重構造になって内側に唐子が描かれています。形もちょっと変わっていて面白い。

最後にこちらは白地桃色マーブル文鼻煙壺
DSC06958.jpg
桃色が可愛らしくマーブル状になっています。本当に様々な技術が鼻煙壺に詰められていました。


ということで、清朝ガラスの名品と共にガレの作品を見比べて その影響をつぶさに鑑賞することができました。思ったよりガレの作品が少なめでしたが、ジャポニスムだけでなく中国からもインスピレーションを受けているのがよく分かると思います。ご覧の通り見た目が分かりやすい美しさなので、美術初心者も楽しめる内容じゃないかな。ガラス工芸が好きな方には特に面白い展示だと思います。

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