関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

原勝郎と板倉鼎-それぞれの巴里- 【千葉県立美術館】

前回までご紹介した千葉市美術館の展示を観る前に千葉県立美術館でも展示を観てきました。3つの小展示がセットになっていて、まずはお目当ての「原勝郎と板倉鼎-それぞれの巴里-」から観てきました。

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【展覧名】
 原勝郎と板倉鼎-それぞれの巴里-

【公式サイト】
 http://www2.chiba-muse.or.jp/www/ART/contents/1523866842940/index.html

【会場】千葉県立美術館 第1・2展示室
【最寄】千葉みなと駅

【会期】2018年4月21日(土)~7月8日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は千葉にゆかりのある原勝郎と板倉鼎という2人の画家を中心に、関連画家の作品も数人紹介するという内容となっています。30点程度と作品数は少ないので充実度はそれほど高くしませんでしたが、作品自体は好みのものが多かったように思います。簡単にメモしてきたので、気に入った作品と共に振り返ってみようと思います。

まずは原勝郎のコーナーです。原勝郎は早くから画家を志し、黒田清輝らの白馬会系の葵橋洋画研究所で学んだそうです。その後1918年にホノルルに渡り雑誌の挿絵画家として働き個展も開いています。1920年にロサンゼルスの葡萄園で働いて費用を稼ぎ、1922年にフランスへと渡りました。パリではモンパルナスにアトリエを構え、サロン・ドートンヌなどにも出品をしていたようです。1939年に戦争の勃発で帰国すると描くべき対象を見失った時期もあったようですが、目黒の自然園の木々を描くようになりました。ここにはそうした各時代の作品が並んでいました。

1 原勝郎 「街灯のある風景」 ★こちらで観られます
こちらは今回もポスターの作品で、外国の茶色い屋根の家が建ち並ぶ様子が描かれ、手前に街灯と門のようなものがあります。単純化されて何処と無くセザンヌ風にも観えますが、くすんだ質感が落ち着きがあって哀愁漂う風景となっています。画面に人っ子1人いないのも静かで寂しげに思う原因かも。中々好みの作品でした。

2 原勝郎 「モンマルトル」
こちらはモンマルトルの坂道の街角を描いた作品です。右に坂、左に家々、奥に真っ白なサクレ・クール寺院の先端のあたりが観えています。先程の絵よりも筆致が大胆になっていて、筆跡が残っているのが面白いかな。この絵も1人もいなくて静かな雰囲気がありました。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 パリ モンマルトル界隈

この隣には夫人の肖像もありました。

4 原勝郎 「コーヒーひき」
こちらは机の上に乗ったコーヒーミルやポット、カップ、マッチ箱などを描いた作品です。ややざらついたマチエールで、背景も含めて全体的に暗めの画面となっていて重厚感があるかな。ややキュビスム風のようにも思えますが、写実性もありました。

8 原勝郎 「森(A)」 ★こちらで観られます
こちらは帰国後の作品です。パリでは石造りの建物を好んで描いていましたが、帰国後は描くべき対象を見失った後にこうした目黒の木々を描くようになったようです。この絵では木が無数に描かれていて、素早く重厚でややざらついたマチエールとなっています。木の枝が太めに画面中に横方向に伸びていて、こんなに枝って伸びるか?ってくらい目立ちますw 勢いが感じられ、やや抽象画みたいな雰囲気もありました。

10 原勝郎 「樹」
こちらも大きな木を描いた作品で、3~4本の太い幹に分かれてうねっています。全体的に黄緑や茶色が多くて明るめの色使いで、上の方には青空も見えて爽やかな雰囲気です。キャンバスの下地みたいな所も覗いているかと思えば厚塗りだったりと大胆な筆致で、素早く描かれた感じがありました。

この先は鉛筆のデッサンや水彩などがありました。パリの橋や木々、裸婦などを描いた作品となっています。

20 木内克 「石版画三葉集 3.手をくむ女」
こちらは朝倉文夫の弟子でパリで原勝郎と親交を結んだ彫刻家 木内克の版画作品です。頭の上で手を組み、右足を曲げて座る裸婦像で、胸とお腹と太ももが太めに描かれています。頭は小さめで表情は観えないかな。アンバランスな感じの体つきですが、豊満な雰囲気がよく出ています。この隣には裸婦の立ち姿の作品もありましたが、そちらは割とバランスが良い姿となっていました。
 参考記事:猫百態―朝倉彫塑館の猫たち― (朝倉彫塑館)

続いては板倉鼎のコーナーです。板倉鼎については去年に個展を観たばかりだったので結構覚えていました。来歴などは以前に描いたので下記を参照して頂ければと思いますが、今回も代表的な作風の金魚を描いた作品などもありました。
 参考記事:よみがえる画家-板倉鼎・須美子展 (目黒区美術館)

21 板倉鼎 「静物」
こちらは白い鍵付きテーブルの上の静物で、布の上にマスカットや瓶、花瓶、パイのようなものなどが載っている様子が描かれています。割と平面的で強い色彩が特徴的かな。特に中央の緑の瓶と花瓶が鮮やかな色合となっていました。ちょっと素朴でアンリ・ルソーなんかを思い起こします。

22 板倉鼎 「金魚と雲」 ★こちらで観られます
こちらは窓辺の赤いクロスの上に置かれた水槽で金魚が泳ぐ様子が描かれた作品です。クロスの赤、水草の緑、空の青が引き立て合うような色彩で、鮮やかで明るく感じられます。何故か金魚は水槽からはみ出た水草よりも手前に描かれているので、浮かんで見えるのがちょっと奇妙で面白いです。水槽の形もいびつだったり、不思議な光景となっていました。

この隣も金魚の水槽を描いた作品でした。近くにはこの作品の下絵のよな水彩もありました。何回も同じような構図で描いていたのかもしれません。

24 板倉鼎 「裸婦」 ★こちらで観られます
こちらは窓辺で頭の上で腕を組んで寝ている裸婦を描いた作品です。窓の外には空と一体化した海があり、ヨットが浮かんでいます。室内にはちょこんと金魚鉢も置かれているのが流石ですw 無数の点描のような表現の部分もあって、ちょっと岡鹿之助の作品にも似た印象を受けるかな(ルソーやボーシャンにも似た感じ) 女性の肌は明るく、傍らの花と共に明るく可憐な雰囲気の作品となっていました。

こちらも下絵らしき作品も展示されていました。近くにはパリを描いた作品なんかもありました。

26 中西利雄 「南仏風景」
こちらは原勝郎や板倉鼎と同じ時期にパリでサロン・ドートンヌに入選した中西利雄の作品です。この絵では街路樹の立つY字路がある街角が描かれ、左の道は坂になっています。赤、クリーム色、白など壁の色が南仏独特で、強い日差しも感じさせます。簡潔な表現で色は明るく、かなり好みの画風でした。カーニュ辺りの風景を思い出させてくれました。

28 堀江正章 「耕地整理図」
こちらは板倉鼎の先生の1人だった堀江正章の作品です。この絵では高い所から田んぼを見渡すような風景が描かれ、沢山の人が働く長閑な光景となっています。遠くには丘の麓の家々が建ち並ぶ様子も描かれていて、日本の原風景といった感じです。田んぼは直線が多用されたすっきりとした構図となっていて、遠近法も正確な感じでした。空も明るく清々しい風景がです。

31 黒田重太郎 「浴後」
こちらは二紀会の立ち上げに関わった黒田重太郎の作品で、板倉鼎は黒田重太郎も参考にしていたようです。この絵では手紙を持っている裸婦と周りで座ったり横たわる裸婦たちが描かれていて、合わせて5人の裸婦がいます。室内とバルコニーの間のような所にいて、タイトルから察するに水浴した後なのかな? ちょっとカクカクした感じですが、重厚な色彩で描かれていました。顔などはハッキリしませんが力強い印象の作品です。


ということで、小展示でしたが個性的な作品が多く楽しむことができました。特に原勝郎の作品は面白かったです。この記事を書いている時点で残り1日となってしまいましたが、気になる方は是非どうぞ。この後、セットの展示も観てきましたので次回はそれをご紹介しようと思います。

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