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こどもとおとなのアツアツこうげいかん 【東京国立近代美術館 工芸館】

今日も写真多めです。前回ご紹介した東近美の常設を観た後、工芸品に移動して「所蔵作品展 こどもとおとなのアツアツこうげいかん」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
 所蔵作品展 こどもとおとなのアツアツこうげいかん 

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/kids_adults2018/

【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】竹橋駅

【会期】2018.6.19 - 8.26
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示は工芸館の所蔵品を紹介する内容で、タイトルの通り子供から大人まで楽しめる熱い工芸魂を感じる作品が並んでいました。解説などはあまりありませんので作者の意図などの詳細は分かりませんでしたが、見た目だけでも面白い品々となっていましたので、さっそく写真を使ってご紹介していこうと思います。

吉田良 「すぐり」
DSC09510_2018072323361177d.jpg
妖艶なオーラが漂う美女の人形。肌の白さと黒髪がちょっと幽霊っぽくも見えます。切れ長の目が色気と妖しさを強めているように思いました。これが観られただけでも今回の展示は満足ですw
 参考記事:現代の人形 - 珠玉の人形コレクション (東京国立近代美術館 工芸館)

山田貢 「麻地友禅着物 朝凪」(左)
森口華弘 「訪問着 薫秋」(中) 「古代縮緬地友禅訪問着 四季の香」(右)

DSC09505.jpg
この季節に相応しい涼しげな着物も並んでいました。特に朝凪のデザインが簡潔ながらも風情があって好み。

結城美栄子 「猫に小判」
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これが猫なの?と思いましたが、極彩色で目を引きました。台座にしている本も陶器じゃないかな?

重松あゆみ 「Parasite(やどりぎ)」
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木のような生物のような丸みのある曲線が美しい作品。何処となく女性的な曲線に思えます。

田嶋悦子 「Cornucopia 02-XI」
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ちょっとカブみたいな爽やかな色合いの作品。陶器とガラスで出来ているようですが、流麗なフォルムも素晴らしい。

久保田厚子 「青白磁芥子文大皿」
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淡い青白が透き通るような大皿。よく観ると白い芥子が表されています。この時期にぴったりな涼感ある作品でした。

三輪壽雪(十一代休雪) 「鬼萩窯変割高台茶碗 龍神」
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厚手で重厚感ある茶碗。所々のヒビのような模様が力強さも感じさせました。

松井康成 「練上嘯裂文大壺」
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モコモコした質感と渦巻く様子が面白い壺。縞模様となっていてリズムさえ感じられます。

二十代堆朱楊成 「彫漆硯箱 玄鶴」
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3羽の鶴が並ぶ硯箱。構図と鶴の形が軽やかに感じる一方で、色彩の強さが目を引きました。

田口善国 「ほおずき朱金蒔絵飾箱」
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こちらも色彩の強い作品。とは言え、朱と黒と金の取り合わせは日本的に感じられます。ほおずきを大胆にデフォルメした模様が優美でした。

赤地友哉 「曲輪造彩漆盛器」
DSC09626.jpg
同心円状に縞々模様になっている器。シンプルな美しさがありますが、これだけ綺麗に円を重ねるのは高い技術が必要なのでは…。色の取り合わせも落ち着きと気品を感じさせます。

この近くにはガレの作品が何点かありました。

エミール・ガレ 「イチジク文聖杯」(左) 「イヌサフラン文鶴頸花瓶」(右)
DSC09630.jpg DSC09634.jpg
いずれも色・形ともに優美で流石と思わせる作品。特に右の作品は色だけでなく立体的に植物を表しているようでした。

エミール・ガレ 「トネリコバノカエデ文鉢」
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こちらもガレの植物を表した鉢。こちらは透明感があって可憐な印象を受けました。フチがちょっと茶色がかっているのが引き締まって見える要因かも。

エミール・ガレ 「獅子頭 日本の怪獣の頭」
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こちらは狛犬みたいな顔の器。日本の怪獣って何を参考にしたんだろうか?w ユニークな造形が面白い。

チェスワフ・ズベル 「野獣」
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こちらも怪獣みたいな作品。色彩も鮮やかで楽しげな印象を受けます。生命力が感じられるのは野獣っぽいかも。

藤田喬平 「飾筥 竹取物語」
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藤田喬平の飾筥シリーズの1つ。こう見えてガラス工芸です。緑鮮やかななのでタイトルもピッタリに思えました。

ヤン・ゾルチャック 「宇宙の信号 VII」
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タイトルも未来的ですが、造形も未来感溢れています。信号の波形なんかを彷彿とさせました。

鈴木雅也 「連鎖するかたち」
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流れるような色つけが面白い作品。風に舞うような動きを感じました。

増田三男 「鍍金箱 残月狐影」
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狐と月齢が表された箱。表面には大きな銀の月も表されていて、ススキと共に秋の情緒が漂っていました。デフォルメされた狐も可愛いw

留守玲 「森ー下向きに生える100の麟角」
DSC09736.jpg
特別陳列室は留守玲 氏の作品が並んでいました。一見すると大きな木の根っこのように見えますが、これは熔接、熔断、鍛金 といった技法で作られているようです。老木か溶岩のような自然の造形を思わせる作品でした。

堀友三郎 「寂」
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こちらは綿に糊染でフクロウを描いた作品。デフォルメの仕方が面白くて、木は躍動感あるように見える一方で、フクロウは静かにちょこんとしているのが何とも可愛い。よく観るとぼんやりと三日月も浮かんでいますね。

生野祥雲斎 「竹華器 怒濤」
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まさに怒涛を感じさせる竹籠。竹のしなやかさをこれ以上美しく表現できないのではという位の曲線美です。

前田金彌 「桐塑木目込 [夢]」
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こちらもデフォルメが面白い桐木目込の像。釣りをしながら居眠りしてしまったのでしょうか。気持ちよさそうに夢見ている表情と丸っこい体の表現が好みでした。

マルセル・ブロイヤー 「サイド・チェア」
DSC09788.jpg
マルセル・ブロイヤーの卓越したデザインのサイドチェア! 合板の曲がる特質を上手くデザインに取り入れていて、流れるようなフォルムになっています。


ということで、デザインセンス溢れる作品・超絶技巧を感じさせる作品などが盛りだくさんとなっていました。この展示も特別展の半券で観ることができるので、特別展に行く機会があったら工芸館にも足を伸ばされてみてはと思います。

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