関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

縄文―1万年の美の鼓動 (感想前編)【東京国立博物館 平成館】

20日ほど前の土曜日に上野の東京国立博物館 平成館で特別展「縄文―1万年の美の鼓動」を観てきました。点数も多く見どころも盛りだくさんとなっていましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 特別展「縄文―1万年の美の鼓動」 

【公式サイト】
 http://jomon-kodo.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1906 

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2018年7月3日(火) ~9月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんがいましたが、作品が大きかったりするので概ね自分のペースで観ることができました。(小さめの作品の周りはちょっと混んでるくらいでした)

さて、今回の展示は縄文時代の美ということで、1万年にも及ぶ縄文時代の出土品の中から特に重要な作品や美しい作品が並ぶ内容となっています。紀元前13000年頃に氷河期が終わり、前11000年頃から土器が作られたようで、長い時代の間には造形の流行り廃りもあったようです。土器や土偶が多めですが、それだけでなく当時の文化が伝わってくる品々も展示されています。 私はてっきり以前行われた土偶展をまたやるのか?と思ったら全然規模が違っていましたw 構成はテーマによって6つに分かれていましたので、今日は第一会場の1~3章について気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:国宝 土偶展 (東京国立博物館 本館特別5室)


<第1章 暮らしの美>
まずは日々の営みで使われた品々に関するコーナーです。縄文時代は狩猟、漁撈、植物採集などをして竪穴式住居に住んでいました。弓や釣り針、磨石、石皿なども生まれたようで、ここにはそうした生活で使われたものが並んでいました。

30 「深鉢形土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山梨県甲州市 殿林遺跡
こちらは2章の内容ですが、冒頭にハイライト的に展示されていました。渦を巻くような紋様の縦長の土器で、力強い一方で滑らかな印象を受けます。大きくて見栄えのする土器でした。

6 「漆塗注口土器」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 北海道八雲町 野田生1遺跡
こちらは赤い漆が塗られている土器で、急須が大きくなったような注ぎ口のある形をしています。4000年近く前の品であるのに まだ赤漆も残っていて驚いたのですが、何と漆の技術は7000年前くらいから使われているとのことでした。漆器の歴史は土器なみに古いんですね。

1 「微隆起線文土器」 縄文時代(草創期)・前11000~前7000年 青森県六ヶ所村 表館(1)遺跡
こちらは縄文土器の中でも草創期の頃のやや縦長の土器で、そこに線のような紋様がついています。割と薄手で端正な形かな。底が尖っているのが特徴のように思えます。割と初期からしっかりした作りとなっていたのが伺えました。
この近くには彩色で模様のついた土器などもありました。漆塗りの土器がちょくちょくあって、しかも出土した場所が様々なので日本のあちこちで漆が使われていたのかも。

8 「木製編籠 縄文ポシェット」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年  青森県青森市 三内丸山遺跡 ★こちらで観られます
こちらは樹皮や植物を編んで作った小型のポシェットです。中にはクルミの殻が入っていたようなので、植物採集の入れ物だったのかもしれません。驚くほど隙間なく きめ細かく編み込まれていて、丈夫で軽そうに見えました。見た目も洒落ているし、機能美を感じます。

この近くには釣り針や石斧などもありました。いずれも丁寧に削られていて、釣り針の形なんかは現在と大差ないようです。少なくとも私には1つも作れないので縄文時代の人の知恵の凄さに感心させられました。
 参考記事:【番外編】三内丸山遺跡の写真

16 「土製耳飾」 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 東京都調布市 下布田遺跡 ★こちらで観られます
こちらは腕輪くらいの大きさの大きな円形の耳飾りで、中が透かし彫りになっていて、軽量かつ装飾的になっています。とは言え、それでも耳に付けたら重いんじゃないかなw こちらも緻密な彫りが卓越したデザインセンスで、むしろ現代アートみたいな趣すらありました。高い技術も感じられます。

この辺にはこうした耳飾りがいくつか並んでいました。土製なので結構重そうなのもあります。また、貝やサメの歯、鹿の角などで装身具を作っていたようです。蓋付きの容器に入った「貝輪」などもあり、こうした品々は強い獣の力にあやかる意味があったようです。海の無い地方では貝が入手できずに土で模した「貝輪形土製品」なんてのも作っていたのが面白かったです。

18 「硬玉製大珠」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年  栃木県大田原市湯津上 ★こちらで観られます
こちらは翡翠製の胸飾りで、孔を開けて紐を通しています。透明感があり神秘性を感じるのは人類共通の価値観なのかもしれません。こうした翡翠は限られた産地でしか出ないので、当時の交易の様子も分かるそうで 広い交易網があったことが伺えるようです。


<第2章 美のうねり>
続いては縄文の造形美のコーナーです。縄文土器には大きく分けて草創期・早期・前期・中期・後期・晩期の6つの時代があり、後になれば発達していくという訳でもないようです。縄文土器は粘土を紐状にして形を作って焼くのですが、縄目を観るとそこから時期や地方が特定できるようです。ここではその変遷なども見比べながら観ることができました。

31 「深鉢形土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 群馬県渋川市 道訓前遺跡 ★こちらで観られます
こちらは4つの環状突起のある大型の土器で、側面を渦巻きの紋様が埋め尽くしています。非常に力強くて、ゴッホの絵や渦潮を思い起こします。立体的で、粘土を貼り付けて表現しているようでした。(裏を観たら紋様の無い所もありました) 見栄えのする迫力ある土器です

28 「火焔型土器・王冠型土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年  新潟県十日町市 野首遺跡 
この部屋の中央には火焔式土器が12個も並んでいました。これも4つの突起がついていて、いずれも粘土の貼付けや隆線・沈線の組み合わせで立体的に表現されています。まさに火が燃えるような躍動感があり、圧巻の光景となっていました。

縄文後期の北・東日本では磨消縄文という技法が盛行したそうで、これは枠外の縄文を擦り消て内側だけ縄文を残したり、沈線で区画文を描いて縄文を充填する方法のようです。私は中期の大仰な装飾の方が好きですけどねw

36 「注口土器」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 茨城県稲敷市 椎塚貝塚
こちらは取っ手付きの土瓶のように見える作品で、縄文土器で初の重要文化財指定を受けた品です。形はしっかりした丸みがあって、側面に細かい線刻?で流水のような模様があります。これが3000年以上前のものとは思えないほど端正な造形となっていて、驚かされました。
この隣には同様に注口のついた土器(青森県十和田市米田字獺ノ沢から出土)があり、こちらは磨消縄文の手法が使われているようでした。


<第3章 美の競演>
続いてはアジアからヨーロッパにかけての新石器時代の土器と、日本の縄文土器を比較しながら観るというちょっと変わったコーナーです。縄文中期(前3000年~2000年)は自然環境が安定し、造形物にエネルギーが注がれたそうで個性豊かな優れた品が作られたそうです。ここでは日本と世界を比べながらその違いや共通点などが楽しめました。

40 「焼町土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年  群馬県渋川市 道訓前遺跡
こちらも4つの環状突起のついた大型土器です。立体的で測鉛に流れるような紋様で、手を広げる人体文と手を挙げる人体文が施されています。…と、解説にその旨が書いてあっても「どこ?」と連呼する鑑賞者が後を絶えなかったので、結構分かりづらいかもw あまり具象的でなく抽象的な感じで観ると確かに人の形をしているかも?という程度ですw ある意味、これは現代アートなのでは?と思わせるデフォルメぶりでした。

この近くには中国、インダス川周辺の土器などもありました。小型で形も模様も整っていて、縄文土器のような凹凸があるのは珍しいのだろうと思います。中国などではこの頃には金属器もあったので、土器は生活用品が主な用途だったようです。それでも小綺麗な土器よりは べらぼうな造形の縄文土器の方が心揺さぶるのは確かだと思いますw
その先には南レヴァント、エジプト、キプロス、アナトリア、ヨーロッパなどの品もありました。弥生時代の作品も4点あったのですが、一気にシンプルな形になります。全部合わせてもやっぱり縄文がナンバーワンの造形ですw


ということで、前半から縄文の魅力溢れる内容となっていました。特に中期の起伏に富んだ造形がイメージ通りで力強い印象を受けます。また、縄文時代の予想以上の技術力や交易の様子なども垣間見えて面白かったと思います。後半はさらに今回の目玉とも言える国宝土偶が揃い踏みとなっていましたので、次回はそれについてご紹介していこうと思います。

  → 後編はこちら

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