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縄文―1万年の美の鼓動 (感想後編)【東京国立博物館 平成館】

前回に引き続き東京国立博物館 平成館の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」についてです。前編は第一会場の1~3章についてでしたが、今日は第二会場の4~6章についてです。まずは概要のおさらいです。

 前編はこちら

DSC00108.jpg

【展覧名】
 特別展「縄文―1万年の美の鼓動」 

【公式サイト】
 http://jomon-kodo.jp/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1906 

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2018年7月3日(火) ~9月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も前半と概ね同様の混み具合でしたが、4章の縄文時代の国宝のコーナーは一際混んでいたように思います。ここは人気なのも頷けるかな。後編も各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<第4章 縄文美の最たるもの>
4章は縄文時代の国宝6点が揃うという豪華な章となっています。とは言え、「土偶 縄文のビーナス」と「土偶 仮面の女神」は7月31日以降の展示ということで、私が観た時点では4体でした。まあ、2つとも去年の京都でも観たから良いかなw 
ちなみに縄文の品が初めて国宝指定されたのは1995年の事だそうで、まだ20年程度しか経っていないようです。近年になって縄文への感心や評価が高まったようで、ここにはそんな状況で国宝指定された選りすぐりの品が並んでいました。
 参考記事:
  国宝 土偶展 (東京国立博物館 本館特別5室)
  国宝 (京都国立博物館)京都編

79 「火焔型土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年  新潟県十日町市 笹山遺跡 ★こちらで観られます
こちらは数ある火焔型土器の中でも特に出来の良い作品で、教科書なんかで見覚えのある方も多いと思います。その為、縄文土器と聞くとこれを真っ先に思い浮かべるくらいアイコン的な存在と言えるかもしれません。縄状に作られ彫りの深い側面と、4つの突起が特徴で呪術的な雰囲気すら感じさせます。造形のバランスも絶妙で、岡本太郎を始め多くの芸術家たちが感銘を受けたのも納得の出来栄えです。これは日本人なら1度は観ておきたい作品ではないかと思います。

81 「土偶 縄文の女神」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山形県舟形町 西ノ前遺跡 ★こちらで観られます
こちらは仰け反るような姿勢の土偶で、頭や手は流線型のようにデフォルメされ、足は太めになっています。非常に洗練されたフォルムで力強さもあるので、これを外国人に現代アートだと言って見せたら多分信じるんじゃないかなw よく観ると焼き焦げた部分もあったり、お腹が妊娠して膨らんでいる様子なども分かります。解説によると、これは捨て場という所で見つかったそうで、捨て場は再生や復活を祈る場だったようです。こんな凄いデザインの作品が4000年以上前にあったとは本当に驚きです。

83 「土偶 合掌土偶」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 青森県八戸市 風張1遺跡 ★こちらで観られます
こちらは体育座りで合掌するような姿勢の土偶です。以前もご紹介した通り、このポーズは神に祈っているとかお産をしているとか様々な説があるようで、元々は体は赤く塗られていたようです。また、一部にアスファルトで修理した箇所もあるみたいなので、大事にしていたんじゃないかな。土偶はこのように完全な姿で残っていることは珍しく、儀式でわざと壊されていたのではないかという考えもあるくらいなので、こちらの作品は色々な意味で貴重と言えそうでした。

84 「土偶 中空土偶」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 北海道函館市 著保内野遺跡 ★こちらで観られます
こちらは名前の通り中身が空洞となっている土偶です。薄手で側面には細かい紋様が施されているなど、中々繊細な技術を持っていたことが伺えます。形も整っていて、シンメトリーに近い造形となっています。足の間に孔があるのが気になりますが、これは空気を通して焼き上げるためのものではないかと考えられているようです(以前の展示でそういう解説を読みました) いずれにせよ完成度の高い土偶と言えそうです。


<第5章 祈りの美、祈りの形>
続いては信仰に関する品が並ぶコーナーで、こちらも土偶が盛り沢山です。土偶は女性像として作られ、安産や豊穣を祈るためのものだったようです。一方、男性器を写実的に表現することもあり、石棒と呼ばれるモニュメントは子孫繁栄や豊穣を願って作られたようです。ここにはそういった品と共に、人や動物、手型・足型など様々なものを表した品が並んでいました。

85 「土偶」 縄文時代(草創期)・前11000~前7000年 滋賀県東近江市 相谷熊原遺跡
恐らく11000年ほど前に作られた3.1cmくらいの小さな土偶で、首は無いですが胸とくびれが表現されているので女性像だと思われます。流石にこれだけ古いと表現もまだまだと言ったところですが、そんな昔から土偶を作って祈っていたというのが興味深かかったです。祈りって本能的なものなんでしょうかね?

この近くには更に小さい土偶もありました。結構、色んな地域で作られていたようです。

90 「板状土偶」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 青森県青森市 三内丸山遺跡
こちらは十字架の形の板状になった土偶です。縄の跡があり、ちょっと苦悶の表情のように見えるかな。まるでキリストの磔刑の様子ではないかと思ってしまいますw まあ そんな事はありえないと思いつつ、何に使ったんだろう?という疑問も湧いてくる土偶でした。

この近くにあった98「河童形土偶(新潟県糸魚川市一の宮)」や99「土偶(青森県野辺地町 有戸鳥井平4遺跡)」 等は、これ宇宙人だろ?と思うような造形となっていますw さらに古代宇宙飛行士説を信じてしまいそうな土偶が続き、猫顔の「ポーズ土偶(山梨県笛吹市上黒駒)」は東京国立博物館の常設でよく観る作品ですが、これ以外にも猫顔の土偶が結構あります。 また、有名な「遮光器土偶(青森県つがる市木造亀ヶ岡 ★こちらで観られます)」や「ハート形土偶(群馬県東吾妻町郷原) ★こちらで観られます」もありました。特に遮光器土偶は土偶の代名詞的存在かも。

146 「石棒」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 長野県佐久市 月夜平遺跡
こちらは1.5mくらいある柱のような石の棒で、突起があり男性器を模しているようです。生殖器を崇拝するのは古代文明では ありがちだと思いますが、この石棒はしっかりと研磨されていて滑らかで均整の取れた形となっていました。土偶の他にもこうした祈りの品があるんですね。

108 「山形土偶」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 千葉県佐倉市 江原台遺跡
こちらは手のひらを反らしたキューピーちゃんみたいなポーズの土偶です。胸が突き出してお腹が膨らんでいる姿で、これは山形土偶の通例のようです。頭もオカッパみたいで、観ていて微笑ましい土偶となっていました。

この近くには東京国立博物館の常設でよく観る112「みみずく土偶(埼玉県さいたま市 真福寺貝塚)」もありました。また、少し先には遮光器土偶がいくつか展示されていました。遮光器土偶ってこんなに沢山出土しているのか…と呟いていたお兄さんがいましたが同感ですw どうしても宇宙服に見えますが、実際は目を大きくデフォルメしているようです。

139 「土面」 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 岩手県一戸町 蒔前遺跡
こちらは土で出来た仮面で、遮光器土偶のような顔をしています。土面はまだ150点くらいしか見つかっていない為 用途も分からないそうで、目をくり抜いていないので顔につけたかも定かではないようです。顔につけるにしてもちょっと小さめに見えるし、ミステリアスな仮面でした。

この辺には「耳・鼻・口形土製品」という各パーツだけの作品や、土偶の容器のようなものもありました。その後は土器に人や動物を貼り付けた作品が並びます。

154 「人形装飾付有孔鍔付土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山梨県南アルプス市 鋳物師屋遺跡
こちらは土器の側面に、右手を挙げ 口を開けて歌うような人物が表されています。指は3本で猫のような顔をしているので人物なのかちょっと疑問です。 しかし表情が豊かで楽しげに見える作品でした。

この辺にはランプとして使われた土器なんかもありました。

179 「動物装飾付釣手土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 東京都府中市 武蔵台東遺跡
こちらは豚の顔のようなものが付いた釣手が独特の土器です。これはムササビの顔と考えられているそうですが、何故このような顔を付けたんだ??と驚きました。ちょっとゆるキャラみたいで面白い造形でした。

この辺には動物型の品が並び、猿、蜘蛛、鳥、巻き貝など様々な形がありました。

198 「動物形土製品」 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 栃木県栃木市 藤岡神社遺跡
こちらは犬の形をした土器で、周りに表されたイノシシに比べてかなり大きめとなっています。犬は縄文時代から猟犬として活躍していたそうで、狩られるイノシシとの力関係を意図的に大きさで表現しているようです。表現を通じて当時の人々の動物への認識が伺えるようでした。

この先は親子の愛情に関する品が並んでいました。

172 「顔面把手付深鉢形土器」 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山梨県北杜市 津金御所前遺跡
こちらは上部に母親の顔、側面に赤ちゃんの顔が表された大きな土器です。今まさに赤ちゃんが生まれる様子を表現しているようで、赤ちゃんはウサギみたいな顔に見えるかなw 土偶もそうですが、出産は当時から人々の強い関心があったことが伺えました。

近くには子供の手型や足型を型どった品もありました。幼くして亡くなった子供の形見としてこうしたものが作られたようで、子を思う気持ちは現代と何ら変わりないですね…。


<第6章 新たにつむがれる美>
最後は縄文の品が近現代の芸術家に如何に影響を与えたかを辿るコーナーです。岡本太郎や柳宗悦などが取り上げられていました。

203 「岩偶」 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 岩手県岩泉町袰綿 ★こちらで観られます
こちらは石で作った上半身だけ(壊れてる)の女性像で、白っぽくて乳房がついているのが分かります。大きな目をしているので表情は遮光器土偶に近いものを感じるかな。腕の部分には渦巻くような紋様があり腕自体が太めに表現されています。こちらも中々インパクトある作品なのですが、これは元々は染色家の芹沢銈介が所持していたものを柳宗悦が手に入れたようです。よほど気に入ったのか、隣には専用の収納箱も展示されていました。

このさきには芹沢銈介や濱田庄司など民藝運動関連の人の旧蔵品なんかもありました。濱田庄司は縄文土器を模造して中高生の為の教材としていたそうです。

最後に1952年に岡本太郎が雑誌『みずゑ』に掲載した東京国立博物館の所蔵品が並んでいました。ここだけ撮影可能です。
DSC09861.jpg

一口に縄文土器と言っても個性豊かな品ばかりで、確かに岡本太郎はこうした品から影響を受けているのを感じました。
DSC09867_201807260033354ab.jpg DSC09873.jpg
 参考記事:生誕100年 岡本太郎展 (東京国立近代美術館)


ということで、今回は縄文時代1万年分の美を楽しむことができました。大陸の文化や仏教が伝来して以降の時代とは一線を画するセンスが感じられて、素朴さと斬新さが同居するような品ばかりでロマンがあります。有名な品が大集結しているのも良かったので、この展示をきっかけに更に縄文時代の人気が高まりそうな予感がしました。

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