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美術を変えた9人の画家 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

早めに紹介しておかないと会期が終わってしまうので、差込でポーラミュージアムアネックスの「美術を変えた9人の画家」をご紹介します。
2年に及ぶ改装に入っていた銀座のポーラミュージアムアネックスが帰ってきたというので、早速観にいってきました。 ってか、改装ってビル丸ごと建て直したんですね。どおりで2年もかかるわけだ…。ここは無料で20時までやっている素晴らしい美術スペースですので、今後も大いに期待したい所です。

↓こんな感じに生まれ変わりました。
P1080490.jpg P1080515.jpg

今回の展示は復活記念ということで、箱根のポーラ美術館の常設作品の中から選りすぐりの11枚が展示されていました。
P1080504.jpg P1080507.jpg

【展覧名】
 ポーラ銀座ビル オープニング特別企画 美術を変えた9人の画家

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/detail.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX
 新しくなって帰ってきました!


【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅
【会期】2009年10月3日(土) ~10月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
以前のアネックスは普通のビルの中の部屋という感じで若干狭かったですが、そこそこ広い美術館らしいスペースとなって帰ってきました。絵画11点で丁度ぐらいのスペースです。無料でこれだけ素晴らしい内容というのもあってか、中々の盛況ぶりでした。
内容も「美術を変えた9人の画家」という展覧会名に相応しい面子で、まさにポーラ美術館の顔とも言える作品が揃い踏みだったのは驚きでした。(参考記事として、箱根のポーラ美術館で観た時の感想へのリンクも張っておきました。)
折角なので、11点全てをご紹介しようかと思います。美術ファンの方には今更ですが、各画家がどう美術を変えたのか軽く説明も入れようかと。 

クロード・モネ 「サン=ラザール駅の線路」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
あちこちの展覧会で「印象派」の作品を観ますが、モネはその印象派の語源となった「印象 日の出」を描いた画家として、「美術を変えた画家」と呼ぶに相応しいと思います。この絵は、駅近くの線路で機関車が蒸気をあげている様子が描かれていて、その蒸気の微妙な濃淡や動きを見事に表現しています。今まで色々な場所で何度も観ていますが、観るたびに感動できる作品です。

クロード・モネ 「セーヌ河の日没、冬」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
川に沈み行く夕陽を描いた作品です。川には氷が浮かび、夕陽のグラデーションを水面に映しています。郷愁を誘われる一方で、明るい色彩から穏やかさを感じました。

ピエール・オーギュスト・ルノワール 「レースの帽子の少女」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
ポーラ美術館の看板娘まで着ているとは驚きです。このオープニングにかける意気込みを感じます。 この絵は可憐さ溢れる女性の横顔です。真珠のような肌が若々しく生命感に溢れていて、うっとりするような表情も魅力的です。 (と、メモに書いた感想が以前に書いた感想とほとんど同じだったw)

ポール・セザンヌ 「砂糖壷、梨とテーブルクロス」 ★こちらで観られます
セザンヌもまた近代絵画の父として、相当多くの芸術家に影響を与えているので、この展覧にぴったりの画家でしょう。この絵はタイトル通りのものがテーブルに置かれた静物画です。たくさんの洋ナシは皿の上から転がって皿からはみ出たような動きを想像させます。キュビスムに影響を与えたのが分かるような、三角や球のような形状が多いのも見所でした。

ポール・シニャック 「オーセールの橋」 ★こちらで観られます
点描の技法で新印象主義を開いたシニャックも時代を築いた一人でしょう。川に架かる橋とその向こうに見える教会らしき建物を描いています。離れてみると、点描による補色効果で点と点がくっつき、混ざった色に見えるのが面白いです。光の表現が広がって革新的だったようです。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「アザミの花」 ★こちらで観られます (以前の感想はこちら
フォーヴィスム等に影響を与えたゴッホも、美術のあり方を変えた画家として相応しいと思います。この絵は薄い緑を背景にアザミの青い花と緑の葉が描かれていて、全体的に爽やかな雰囲気です。その一方で、筆遣いの力強さからどっしりとした生命感も感じます。ゴッホの作品は間近で観ると絵の具の塗り方に驚きますので、是非近くで観ていただきたい1品です。

マルク・シャガール 「私と村」 ★こちらで観られます
今回のポスターの作品。個人的にはシャガールはあまり好みではなかったりしますがエコール・ド・パリを語る上では欠かせません。 青・赤・緑といった鮮やかな色彩は彼の典型的な画風だと思います。愛や故郷を題材にし続けた彼らしいモチーフも夢の中のような不思議な感覚を覚えさせます。

レオナール・フジタ 「誕生日」
エコール・ド・パリといったらフジタも重要人物です。日本的な乳白色と細い線が有名な作風ですが、これは多彩な色彩になった老年期の作品だと思います。テーブルを囲っている子供や窓の外から部屋の様子を伺う子供などを描いていて、絵本のような可愛さがあります。フジタらしい茶目っ気ある絵でした。

ジョルジュ・ブラック 「ギターのある静物(バラ色の背景)」
ピカソと共にキュビスムを作り上げたブラック。キュビスムは事物を分解し曲線や直線を多用して再構成するという手法ですが、この作品でもその独特の技法がわかります。バラ色のテーブルに乗った花瓶やギターの2次元を超越した立体的な表現を試みた手法が面白いです。

パブロ・ピカソ 「母子像」 (以前の感想はこちら
美術好きでなくても誰でも知っているピカソ。この展覧の最後を飾るのに相応しいでしょう。 ピカソの作風は何度も変わりますが、この作品は新古典主義時代のものでしょう。子供を抱く母の大きな腕や体の肉が大きな塊のようになっている赤ん坊からは原始美術のような力強さがあります。母子のふれあいの中に生命力が溢れているようでした。

パブロ・ピカソ 「帽子の女」
一般に、ピカソはわけのわからないお化けみたいな絵を描く!というイメージがあるようですが、これはまさにその典型ではw 黄色い帽子と赤いドレスを着た最後の妻ジャクリーヌを描いたものですが、顔はお化けそのものw 大きな片目や横向きの唇など実際の様子とかけ離れていますが、これは横向きや正面からの様子をダブルイメージにして表現しているように見えます。ピカソを完全に理解するのは難しいですが、彼の作風の変遷を知ると面白い作品です。


ということで、無料とは思えないほどの充実振りです。銀座の真ん中で無料、20時まで営業という多くの人が楽しめる素晴らしいサービスぶりとなっていますので、頻繁にチェックしてみると面白いかと思います。もうすぐ終わってしまうので興味を持っている方はお早めに…。
追記;他のブログを観てると狭くなったと書かれてたw んー、最後に見たアールヌーボー展とか人がぶつかるくらい狭かった記憶があるんだけど、2年も前だと私の記憶もあてになりませんw
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Comment
No title
こちらにも失礼します。
以前のポーラビルを知らないのですが、手頃な広さで内容も良かったです。
セザンヌ・モネの駅・ピカソの母子がお気に入り。
2階の和菓子茶処と11階のレストランがとても気になり、
次回はぜひ入ってみようと思いました。
Re: No title
そうですね。ちょうど絵画11枚程度のスペースかなと。オープニングだけに看板作品がきたなあて感じです。私もモネの駅やルノワールあたりが好みで、何度でも観たい作品です。

あ、お食事処もあったのですね、気づきませんでした! あの辺はよく行くのでギャラリーと一緒にまたチェックしてみます!
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