巨匠たちのクレパス画展 【東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館】
10日ほど前の日曜日に新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で「巨匠たちのクレパス画展 日本近代から現代まで 岡本太郎、梅原龍三郎、小磯良平、熊谷守一、猪熊弦一郎・・」を観てきました。

【展覧名】
巨匠たちのクレパス画展 日本近代から現代まで 岡本太郎、梅原龍三郎、小磯良平、熊谷守一、猪熊弦一郎・・
【公式サイト】
http://www.sjnk-museum.org/program/current/5380.html
【会場】東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月9日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、混雑というわけでもなく概ね自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は「クレパス」で描かれた絵画を集めた展覧会で、主に日本の画家たち(ほぼ日本の画家)の作品が並んでいます。クレパスはクレヨンとパステルに特性を兼ね揃えた画材として1925年(大正15年)に日本で開発されて誕生しました。クレパスは着色性が良く伸展性に優れているので、油絵具と同じように描くことができるのが特徴で、その為 油絵具が入手困難になった第2次世界大戦の直後には多くの画家に注目されたようです。クレパスが出てきた当初は暑いとベタつき、寒いと硬くなるなどの欠点もあったようですが、1928年には年間通じて使えるクレパス「ほんとのクレパス」が現れました。「ほんとの」とわざわざ名前に入れているのは紛い物と間違えないようにした為のようですw ほんとのクレパスは2011年に復刻版も出たのだとか。
今回はそんなクレパスの絵画を集めたサクラアートミュージアムの絵画コレクションを紹介するもので、構成としては特に章立ては無かったので、観た順に気に入った作品と共に振り返ってみようと思います。
1 熊谷守一 「裸婦」 ★こちらで観られます
こちらは黄色い体をピンクの輪郭で描いた裸婦像で、ソファに座っている様子となっています。簡潔で、顔は描いていないですが軽く振り返っているようなポーズかな。体の線が柔らかく、さらにクレヨンのような独特の塗り跡が素朴な雰囲気を出していました。画風自体は熊谷守一らしさを感じる1枚です。
参考記事:没後40年 熊谷守一 生きるよろこび (東京国立近代美術館)
10 梅原龍三郎 「浅間山日没」
こちらは青みがかった山と緑の山、手前には木々が並んでいて、空にはオレンジの太陽が浮かんでいます。色彩が強く感じられる即興的な感じで、ジグザグに塗っている筆跡も残っていました。ちょっと子供の絵のようにも見えますが、巨匠らしい大胆な表現となっていました。
15 寺内萬治郎 「緑衣の婦人像」 ★こちらで観られます
こちらは赤を背景に緑の半袖の洋服を着た女性がテーブルに肘をついて座っている様子が描かれた作品です。物憂げに何か考え込んでいるように見えるかな。褐色の肌で陰影もしっかりしているので色彩を強く感じ、油彩のような重厚感もあります。デッサンがしっかりしていることもあって、完成度の高い作品となっていました。
この隣には寺内萬治郎が得意とした裸婦像もありました。
23 鈴木千久馬 「裸婦」
こちらはソファで横たわり頭の上で腕を組んでいる裸婦を描いた作品です。右半分はクリーム色が地で赤の輪郭線、左半分は黒が地で白い輪郭線で表現されているのが面白い構成です。キュビスム的なデフォルメとなっていて、絵として素晴らしい作品でした。
この辺で気づいたのですが、輪郭線をしっかり描いている作品が多いように思いました。クレパスの特性と関係あるのかな?
38 加山四郎 「静物」
こちらは赤・青・白・緑のストライプのテーブルクロスの上にガラス器に入ったオレンジ(ミカン?や瓶、ガラスのコップなどが描かれた静物画です。背景は濃い目の水色となっていて全体的に爽やかな印象を受け、クレパス独特の塗りムラがいい味を出しています。キュビスム的な簡潔さがある一方で、それぞれの質感もあって好みの作品でした。
43 朝井閑右衛門 「静物」
こちらはグラス、果実、馬の置物などが画面一杯に描かれている静物画です。太めの黒い輪郭線が使われ、デフォルメされた形や強いめの色彩が強い印象となっています。これも油彩で描いていると言われたら信じそうなくらい色彩が鮮やかな作品でした。
51 倉田三郎 「ナポリ風景」
こちらはテラスから観るイタリアの町並みと山を描いた作品です。2本の植木がその風景を塞ぐように手前に置かれているのが目を引くかな。全体的に沈んだ落ち着きのある色彩とシャープな輪郭が使われていて、むしろ水彩のような淡い色彩となっています。静けさが漂い、クレパスには繊細な表現もできることが伺えました。
53 猪熊弦一郎 「顔」 ★こちらで観られます
こちらは皿に入った緑のバナナ?と、その後ろで正面を向いている女性の胸像です。デフォルメされていますが、目の大きな個性的な女性で、肌は黄色く唇の赤が目を引きます。こちらもクレパス独特の質感がありましたが、いのくまさんらしい画風のように思えました。
60 大河内信敬 「静物」
こちらは黒いテーブルに乗った洋梨、オレンジ、ぶどう、桃?などを描いた静物です。キュビスム的な作風で丸っこい形をしているのも面白いですが、青地の背景にそれぞれが引き立つような色彩となっていて、色が強く感じられるのが特徴的です。クレパスとは思えないほどに濃厚な作品でした。
この近くには小磯良平の作品なんかもありました。たまに油彩とは全く異なる画風に思える人もいるのも面白いです。少し先には700色のクレパスなんてのも展示されていました。
76 佐藤敬 「金魚」
こちらは金魚鉢に入った金魚を描いたもので、かなり簡略化されていて、金魚ですら何となく魚っぽい程度の形ですw 水槽の水に鉛筆で境界線を引いていて、ブロックごとに色が違うような表現となっていました。水彩のような透明感があって、クレパスの表現力の幅を見せてくれます。
88 菅野圭哉 「静物」
こちらは白地に青いポット、緑や黄色の円形の果実?を描いた静物です。形は単純化されて色面のように描いていますが、よく観ると微妙に色調を変えていたりして単純なようで奥深い表現です。クレパスでこれだけ微妙に表現するのは結構難しいのでは?? ちょっとどうやって描いたか気になる作品でした。
93 岡本太郎 「虫」
こちらは今回のポスターの1つにもなってる作品で、虫なのかさえも分からない謎の生物が描かれていますw 目がギョロッとしていて周りにはトゲのようなものがほとばしっています。クレパスでも色彩の強烈さは健在で、ひと目で岡本太郎の作品とわかると思いますw クレパスでもしっかりと不協和音が出ていました。
99 杉全直 「作品」
こちらは赤く細い線を無数に重ねた抽象画で、オレンジや黄色、水色なんかも混ざっているかな。線の重なりが多い所は色が濃く見えて、ムラのある花束のように見える気もします。軽やか かつ 華やかな色彩で、温かみも感じさせました。かなり好みの作品です。
113 加山又造 「薫風」 ★こちらで観られます
こちらは風に流されている2匹の鯉のぼりが描かれています。背景が灰色がかっていて、鯉のぼりは若干カクカクした感じとなっているので、タイトルのような爽やかな感じはしませんw 雨でも来そうな空と痩せ細った鯉と言うか…w 加山又造の様々な作風の中にこうした作風もあるので、それを思い起こしました。クレパスでも個性がよく出ています。
118 久野和洋 「林檎と南天」
テーブルの上に置かれた緑がかった3つのリンゴと白い花瓶に入った南天を描いた作品です。暗い色調で落ち着いた重厚感が漂っていて、クレパスとは思えないくらいです。リンゴも丹念に色を塗り重ねていて、質感豊かに表現されていました。
S 田伏勉 「川辺」
こちらは川辺に建つレンガ造りの家を描いた作品で、恐らくヨーロッパの町並みじゃないかな。明るい画面で軽やかな風景です。川は繊細な色合いで透明感を出していて、こちらも水彩のような趣の作品となっていました。
132 瀧本周造 「緑の扉」
こちらは通りに面した緑のドアを描いた作品です。くすんだ壁の色や 道のタイルなどかなり繊細かつ写実的に描かれています。これだけ質感豊かな表現がクレパスでも可能であるというのが驚きで、主題も変わっていて面白かったです。
この近くには舟越桂の作品もありました(★こちらで観られます)。これも一目で舟越桂と分かる個性が出ています。
146 入江明日香 「Premices Printaniers 春の兆し」
こちらは水面のような所に立つ鶏のようなものを描いた半具象の作品です。鶏らしきものは花や枝が一体化するような表現で描かれていて、非常に幻想的な雰囲気です。こちらは恐らくこの展覧会で最も緻密に描かれていて、鶏の顔辺りは特に丹念に描かれていました。クレパスでこんなにも細かくてシャープな表現が出来ることにも驚きです。
この近くにあった野崎慎「柔らかな残像」も好みでした。こちらは抽象画で光が揺らめくような感じです。
ということで、昭和以降の日本人画家たちのクレパス画を楽しんできました。油彩のように濃厚だったり水彩のように軽やかだったり、クレパスの可能性を感じさせました。画家によっては油彩・日本画と同じ画風の人もいればクレパス独特の人もいたりしたのも面白かったです。
おまけ:
1階で、クレパスの体験コーナーがあったので、せっかくなので体験してきました。
これがクレパス。16色使えました

見た目はクレヨンみたいな感じ。
体験コーナーには普通の画用紙と、ゴッホの「ひまわり」の塗り絵と団扇がありました。

私は普通の画用紙にしました。
実際に描いたのがこちら。この前日に行った横須賀の海の写真に、Wikipediaで見つけたヨットを浮かべてみました。

描いてみて分かったのですが、色を混ぜることが出来るには出来るけど、伸ばしたりするのは中々の力技でした。あんまり力を入れると折れるので慣れが必要かも。角が取れるので細い線は描きづらいけど、輪郭線を使ったほうが確かに締まって見えるかも。
こちらは奥さんが団扇に描いたもの。

防弾少年団(BTS)のキャラクターらしいです。


【展覧名】
巨匠たちのクレパス画展 日本近代から現代まで 岡本太郎、梅原龍三郎、小磯良平、熊谷守一、猪熊弦一郎・・
【公式サイト】
http://www.sjnk-museum.org/program/current/5380.html
【会場】東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2018年7月14日(土)~9月9日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間40分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていましたが、混雑というわけでもなく概ね自分のペースで鑑賞することができました。
さて、今回の展示は「クレパス」で描かれた絵画を集めた展覧会で、主に日本の画家たち(ほぼ日本の画家)の作品が並んでいます。クレパスはクレヨンとパステルに特性を兼ね揃えた画材として1925年(大正15年)に日本で開発されて誕生しました。クレパスは着色性が良く伸展性に優れているので、油絵具と同じように描くことができるのが特徴で、その為 油絵具が入手困難になった第2次世界大戦の直後には多くの画家に注目されたようです。クレパスが出てきた当初は暑いとベタつき、寒いと硬くなるなどの欠点もあったようですが、1928年には年間通じて使えるクレパス「ほんとのクレパス」が現れました。「ほんとの」とわざわざ名前に入れているのは紛い物と間違えないようにした為のようですw ほんとのクレパスは2011年に復刻版も出たのだとか。
今回はそんなクレパスの絵画を集めたサクラアートミュージアムの絵画コレクションを紹介するもので、構成としては特に章立ては無かったので、観た順に気に入った作品と共に振り返ってみようと思います。
1 熊谷守一 「裸婦」 ★こちらで観られます
こちらは黄色い体をピンクの輪郭で描いた裸婦像で、ソファに座っている様子となっています。簡潔で、顔は描いていないですが軽く振り返っているようなポーズかな。体の線が柔らかく、さらにクレヨンのような独特の塗り跡が素朴な雰囲気を出していました。画風自体は熊谷守一らしさを感じる1枚です。
参考記事:没後40年 熊谷守一 生きるよろこび (東京国立近代美術館)
10 梅原龍三郎 「浅間山日没」
こちらは青みがかった山と緑の山、手前には木々が並んでいて、空にはオレンジの太陽が浮かんでいます。色彩が強く感じられる即興的な感じで、ジグザグに塗っている筆跡も残っていました。ちょっと子供の絵のようにも見えますが、巨匠らしい大胆な表現となっていました。
15 寺内萬治郎 「緑衣の婦人像」 ★こちらで観られます
こちらは赤を背景に緑の半袖の洋服を着た女性がテーブルに肘をついて座っている様子が描かれた作品です。物憂げに何か考え込んでいるように見えるかな。褐色の肌で陰影もしっかりしているので色彩を強く感じ、油彩のような重厚感もあります。デッサンがしっかりしていることもあって、完成度の高い作品となっていました。
この隣には寺内萬治郎が得意とした裸婦像もありました。
23 鈴木千久馬 「裸婦」
こちらはソファで横たわり頭の上で腕を組んでいる裸婦を描いた作品です。右半分はクリーム色が地で赤の輪郭線、左半分は黒が地で白い輪郭線で表現されているのが面白い構成です。キュビスム的なデフォルメとなっていて、絵として素晴らしい作品でした。
この辺で気づいたのですが、輪郭線をしっかり描いている作品が多いように思いました。クレパスの特性と関係あるのかな?
38 加山四郎 「静物」
こちらは赤・青・白・緑のストライプのテーブルクロスの上にガラス器に入ったオレンジ(ミカン?や瓶、ガラスのコップなどが描かれた静物画です。背景は濃い目の水色となっていて全体的に爽やかな印象を受け、クレパス独特の塗りムラがいい味を出しています。キュビスム的な簡潔さがある一方で、それぞれの質感もあって好みの作品でした。
43 朝井閑右衛門 「静物」
こちらはグラス、果実、馬の置物などが画面一杯に描かれている静物画です。太めの黒い輪郭線が使われ、デフォルメされた形や強いめの色彩が強い印象となっています。これも油彩で描いていると言われたら信じそうなくらい色彩が鮮やかな作品でした。
51 倉田三郎 「ナポリ風景」
こちらはテラスから観るイタリアの町並みと山を描いた作品です。2本の植木がその風景を塞ぐように手前に置かれているのが目を引くかな。全体的に沈んだ落ち着きのある色彩とシャープな輪郭が使われていて、むしろ水彩のような淡い色彩となっています。静けさが漂い、クレパスには繊細な表現もできることが伺えました。
53 猪熊弦一郎 「顔」 ★こちらで観られます
こちらは皿に入った緑のバナナ?と、その後ろで正面を向いている女性の胸像です。デフォルメされていますが、目の大きな個性的な女性で、肌は黄色く唇の赤が目を引きます。こちらもクレパス独特の質感がありましたが、いのくまさんらしい画風のように思えました。
60 大河内信敬 「静物」
こちらは黒いテーブルに乗った洋梨、オレンジ、ぶどう、桃?などを描いた静物です。キュビスム的な作風で丸っこい形をしているのも面白いですが、青地の背景にそれぞれが引き立つような色彩となっていて、色が強く感じられるのが特徴的です。クレパスとは思えないほどに濃厚な作品でした。
この近くには小磯良平の作品なんかもありました。たまに油彩とは全く異なる画風に思える人もいるのも面白いです。少し先には700色のクレパスなんてのも展示されていました。
76 佐藤敬 「金魚」
こちらは金魚鉢に入った金魚を描いたもので、かなり簡略化されていて、金魚ですら何となく魚っぽい程度の形ですw 水槽の水に鉛筆で境界線を引いていて、ブロックごとに色が違うような表現となっていました。水彩のような透明感があって、クレパスの表現力の幅を見せてくれます。
88 菅野圭哉 「静物」
こちらは白地に青いポット、緑や黄色の円形の果実?を描いた静物です。形は単純化されて色面のように描いていますが、よく観ると微妙に色調を変えていたりして単純なようで奥深い表現です。クレパスでこれだけ微妙に表現するのは結構難しいのでは?? ちょっとどうやって描いたか気になる作品でした。
93 岡本太郎 「虫」
こちらは今回のポスターの1つにもなってる作品で、虫なのかさえも分からない謎の生物が描かれていますw 目がギョロッとしていて周りにはトゲのようなものがほとばしっています。クレパスでも色彩の強烈さは健在で、ひと目で岡本太郎の作品とわかると思いますw クレパスでもしっかりと不協和音が出ていました。
99 杉全直 「作品」
こちらは赤く細い線を無数に重ねた抽象画で、オレンジや黄色、水色なんかも混ざっているかな。線の重なりが多い所は色が濃く見えて、ムラのある花束のように見える気もします。軽やか かつ 華やかな色彩で、温かみも感じさせました。かなり好みの作品です。
113 加山又造 「薫風」 ★こちらで観られます
こちらは風に流されている2匹の鯉のぼりが描かれています。背景が灰色がかっていて、鯉のぼりは若干カクカクした感じとなっているので、タイトルのような爽やかな感じはしませんw 雨でも来そうな空と痩せ細った鯉と言うか…w 加山又造の様々な作風の中にこうした作風もあるので、それを思い起こしました。クレパスでも個性がよく出ています。
118 久野和洋 「林檎と南天」
テーブルの上に置かれた緑がかった3つのリンゴと白い花瓶に入った南天を描いた作品です。暗い色調で落ち着いた重厚感が漂っていて、クレパスとは思えないくらいです。リンゴも丹念に色を塗り重ねていて、質感豊かに表現されていました。
S 田伏勉 「川辺」
こちらは川辺に建つレンガ造りの家を描いた作品で、恐らくヨーロッパの町並みじゃないかな。明るい画面で軽やかな風景です。川は繊細な色合いで透明感を出していて、こちらも水彩のような趣の作品となっていました。
132 瀧本周造 「緑の扉」
こちらは通りに面した緑のドアを描いた作品です。くすんだ壁の色や 道のタイルなどかなり繊細かつ写実的に描かれています。これだけ質感豊かな表現がクレパスでも可能であるというのが驚きで、主題も変わっていて面白かったです。
この近くには舟越桂の作品もありました(★こちらで観られます)。これも一目で舟越桂と分かる個性が出ています。
146 入江明日香 「Premices Printaniers 春の兆し」
こちらは水面のような所に立つ鶏のようなものを描いた半具象の作品です。鶏らしきものは花や枝が一体化するような表現で描かれていて、非常に幻想的な雰囲気です。こちらは恐らくこの展覧会で最も緻密に描かれていて、鶏の顔辺りは特に丹念に描かれていました。クレパスでこんなにも細かくてシャープな表現が出来ることにも驚きです。
この近くにあった野崎慎「柔らかな残像」も好みでした。こちらは抽象画で光が揺らめくような感じです。
ということで、昭和以降の日本人画家たちのクレパス画を楽しんできました。油彩のように濃厚だったり水彩のように軽やかだったり、クレパスの可能性を感じさせました。画家によっては油彩・日本画と同じ画風の人もいればクレパス独特の人もいたりしたのも面白かったです。
おまけ:
1階で、クレパスの体験コーナーがあったので、せっかくなので体験してきました。
これがクレパス。16色使えました

見た目はクレヨンみたいな感じ。
体験コーナーには普通の画用紙と、ゴッホの「ひまわり」の塗り絵と団扇がありました。

私は普通の画用紙にしました。
実際に描いたのがこちら。この前日に行った横須賀の海の写真に、Wikipediaで見つけたヨットを浮かべてみました。

描いてみて分かったのですが、色を混ぜることが出来るには出来るけど、伸ばしたりするのは中々の力技でした。あんまり力を入れると折れるので慣れが必要かも。角が取れるので細い線は描きづらいけど、輪郭線を使ったほうが確かに締まって見えるかも。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。
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