関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

うつろうかたち 寺田コレクションの抽象 【東京オペラシティアートギャラリー】

前回ご紹介した初台のオペラシティの展示を観た後、1つ上の階の常設も観てきました。今回は「うつろうかたち 寺田コレクションの抽象」というタイトルで、イサム・ノグチ展と同じ期間となっています。

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【展覧名】
収蔵品展063 うつろうかたち 寺田コレクションの抽象 

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh212.php

【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2018年7月14日(土)~ 9月24日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の展示は日本の抽象画を紹介するもので、比較的最近の1990年代の作品まで並んでいました。抽象画は1910年代から始まるとされ、抽象表現主義やアンフォルメルといった幾つかの流れがありますが、この展示でも日本でのアンフォルメルを始めとした抽象の多様性を感じることができました。展示の後半では現在活躍中の木村彩子 氏のコーナーとなっていましたので、そちらと合わせてご紹介していこうと思います。


<難波田龍起と日本の抽象 ─ 戦後から1990年代まで>
まずは抽象画が並ぶ今回の常設です。最初の部屋は難波田龍起の作品が大小30点ほど並び、ちょっとした個展のようになっていました。その後は抽象の有名作家の作品などが並んでいます。いくつか気に入った作品を挙げていこうと思います。

36 難波田龍起 「生命の河」
こちらは青っぽい画面に白、赤などを重ねている抽象画で、黒が飛び散るように塗られています。その為、何が描いてあるかは分かりませんが躍動感があってタイトル通り生命力を感じるような力強さもありました。アンフォルメル等の運動にも属さず独自の道を進んでいただけあって、非常に個性的な作品です。

この辺にはこれと似た作品が多数展示されていました。

26 難波田龍起 「5月の風景」
こちらはタイル画のように黒い輪郭で区切られた具象と抽象が半々のような作品です。右の方には家らしきものがあり、全体的に緑と赤で森の近くの家を描いているようにも見えます。キュビスムともまた違ったリズム感のある作品で、今回の展示の中では古い画風のようでした。これはこれでもっと観たい画風です。

31 難波田龍起 「アブストラクトA」
こちらは白、黄色、クリーム色などを背景に、黒や赤の四角が描かれた抽象画です。色の取り合わせが巧みで赤と黄色が目に鮮やかに感じられ、スッキリした印象を受けました。ちなみにタイトルのアブストラクトとは抽象を意味するものなので、タイトルからして具象性は全くありませんでしたw

43 難波田龍起 「古代の夢A」
こちらはオレンジの画面に丸や四角などが描かれた抽象画です。下の方には花のような形の模様もあって、具象的な感じも少しだけあります。この作品は比較的晩年に描かれているのですが、具象性が戻ってきているのかな? 温かみのある色合いとくすんだマチエールが幻想的で、ここまでの画風と大分違っていました。

難波田龍起のコーナーは他にも良い作品が結構ありました。もうちょっと時系列とかで画風の変遷の解説を付けてくれたらもっと楽しめそうなんですが…。
続いては他の抽象画家たちのコーナーです。

50 オノサト・トシノブ 「タペストリー」 ★こちらで観られます
こちらは今回のパンフレットの表紙にもなっている作品で、色面の円や四角を組み合わせたタペストリーのようになっています。赤、青、緑、黄色、水色といった強く平坦な色彩となっていて、入れ子のように模様がどこまでも広がっていくような拡張性を感じます。リズミカルでデザイン的な要素もあるように感じられました。

この近くにあったアンフォルメルの画家 堂本尚郎の「絵画」も日本的な色彩感覚が感じられて良かったです。(★こちらで観られます

56 吉原治良 「黒地に赤い円」
吉原治良は具体美術協会の中心画家で、日本でのアンフォルメルの受容を見せたグループです。この絵はタイトル通り黒地に赤い円があり、ドーナツ状で真ん中も黒く塗られています。しかし完全な円ではなくいびつで中央もひしゃげていて、ちょっと絵の具が垂れているような所もあるなど 人が描いた温もりも感じさせます。理論的な芸術なのにそこがギャップのように感じられて面白いかな。赤と黒の色も響き合っていました。
 参考記事:モダンアート再訪ーダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション展 (埼玉県立近代美術館)

51 白髪一雄 「長義」
濃い紅をキャンバスにぶちまけて、捏ねくり回したような作品です。恐らくロープに掴まって足で描く白髪一雄 独特のスタイルで描いているんじゃないかな。絵の具が物凄く盛り上がっていて流れやうねりが感じられます。それほど大きくない作品ですが、ダイナミックで非常に目を引きました。

47 額田伸彦 「Jungke-gym」
こちらは画面中に四角いマス目があり、普通の四角と斜線のある四角が交互に並んでいます。いずれも割と真っ直ぐですが、ちょっと歪みがあって手描きした感じが出ています。これも無限に続くようなパターンで幾何学的な面白さがありますが、同時にちょっと素朴な所もあるのが相反しているようで好みでした。


<project N 72 木村彩子 KIMURA Saiko>
部屋を抜けた通路は「project N 72 木村彩子 KIMURA Saiko」という展示となっていました。
 公式サイト:https://www.operacity.jp/ag/exh213.php

木村彩子 氏は1979年生まれの東京造形大学出身の画家で、現在も様々な展示で活躍されているようです。今回の展示ではクリーム色の地に葉っぱや花を描いた作品が並んでいて、まず色の軽やかさが目に止まりました。これらは自宅や公園で描いた植物のようで、「Yoyogi Koen」という作品ではかなり簡潔に緑の線などで葉っぱを表現していて、流れやリズムと同時に温かみを感じます。チューリップを描いた作品では色鮮やかで明るく華やかな印象を受けるなど、全体的に瑞々しい生命感のある作風に思えました。これからも非常に期待できそうな画家さんです。


ということで、一口に抽象と言っても理論的なものからダイナミックなものまで様々な作品が並んでいました。特に今回は難波田龍起の作品が多めで見応えがあります。この展示は特別展とセットで観られますので、イサム・ノグチ展に行かれる方は、是非こちらの展示も一緒にご覧になることをオススメします。

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