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陶と模様のものがたり  菊池コレクション展 【智美術館】

前回ご紹介した展示を観た後、すぐ近くの菊池寛実記念 智美術館に移動して「陶と模様のものがたり  菊池コレクション展」を観てきました。

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【展覧名】
 陶と模様のものがたり  菊池コレクション展 

【公式サイト】
 http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html

【会場】菊池寛実記念 智美術館
【最寄】六本木一丁目駅/神谷町駅

【会期】2018年7月28日(土)~ 11月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は菊池寛実記念 智美術館のコレクションの中から、模様に特徴のある品が並ぶ内容で、特にお互いの繋がりは無く幅広い時代や作者の品々となっていました。約60点ほどでしたが特に章分けなどもありませんでしたので、気に入った作品をいくつかご紹介していこうと思います(解説も特に無いので私の簡単な感想のみです。)

2 加山又造 「鉄絵金彩波涛三日月文大鉢」
こちらは円形の大皿で、大きな三日月が描かれています。その周りは流水の模様が力強く表されていて、デフォルメぶりが琳派などを感じさせます。月の部分は鈍い光を反射していて、幻想的な雰囲気がありました。

3 宮川香山(二代あるいは三代) 「青華彩色椿二文鳥之画花瓶」 ★こちらで観られます
こちらは丸みのある壺の側面に青い葉っぱに赤い花の椿が描かれ、そこにとまる文鳥の姿も表されています。花の筋まで丹念に描きこんでいるほど細密で、白地に青と赤の対比が目に鮮やかです。絵自体も風情があって可憐な雰囲気がありました。

5 河井寛次郎 「灰釉筒描魚文喰籠」
こちらはふっくらとした四角い蓋付きの陶器で、蓋に魚が表されています。ざらざらした地になめらかな釉で魚を表していて、軽やかなデフォルメぶりでした。素朴さとモダンの両面が感じられる作品でした。

15 16 酒井田柿右衛門(十三代) 「濁手花文花瓶」「濁手昆虫文花瓶」
こちらはやや瓢箪のような形の2つの白い花瓶で、それぞれ側面には花/昆虫が表しています。花の方は2段になって周縁に連なっていて、色鮮やかながら小さく描かれているのが可愛らしい印象です。昆虫のほうが波打つように周縁に配置されていて、実際に虫が張り付いているような趣がありました。こちらも小さく描かれているのが面白い作風でした。

14 前田正博 「色絵金銀彩鉢」
こちらは黒地の大きな鉢に内側に金で鳥を無数に描き、側面には赤と黒?で鳥のような四角っぽい文様を描いた作品です。鳥の簡略化ぶりが大胆で、お菓子の「ひよこ」みたいな形というか…w 愛らしくて手の込んだ表現方法とのギャップが面白く思えました。

20 松井康成 「練上玻璃光壺 銘 [幽花]」
こちらは淡いピンクの壺で、側面に花のような文様が細かく描かれています。背景に溶け込むような独特の文様で、色合いの軽やかさによって陶器とは思えないくらいの透明感がありました。爽やかな雰囲気の作品です。

28 29 森野泰明 「JOKERの椅子」「QUEENの椅子」
こちらは四角い箱状の陶器に4つの足が付いた椅子が2脚ありました。片方は渦巻きのような文様が格子状に並んでいて、素朴さと幾何学的な面白さがあります(こっちがジョーカー?) もう一方はトランプのの4つの模様と円を規則的に並べた模様で、赤・青・オレンジ・緑を組み合われていて、こちらは整然とした印象を受けました。いずれも装飾性が楽しく、どんな部屋でも合いそうな感じでした。

この先の部屋は抽象や自然をモチーフにした作品が中心となっていました。

39 北大路魯山人 「花もみじ平向」
こちらは3つの丸皿に紅葉を茶色く絵付けした作品です。大きな横縞模様もあって、風に舞っているような風情が感じられます。濃淡が良い味を出していて、素朴なような洗練のような相反する要素が同居しているような面白さがありました。これは今回の展示でも特に気に入りました。

30 河本五郎 「色絵渦紋飾壺」
こちらは形も変わった白い壺に、緑や赤で渦巻く文様が描かれた作品です。抽象的な模様ですが、花のように見えるかな。壺も持ち手のあたりが渦巻くような形になっていて、絵と陶器が一体化するような流れとなっているのが目を引きました。この作品もかなり気に入った作品でした。

43 藤本能道 「雪白釉釉描色絵金銀彩花鳥図八角大筥」
こちらは8角形の大きな蓋付きの箱で、蓋に花鳥が描かれています。2羽の鳥が描かれ、金・銀・赤などの花の流れに佇む鳥と、羽を広げる鳥となっていて 幻想的な雰囲気となっています。一方、内側は茶・緑・青で斜め格子の模様となっていてモダンな印象を受けました。

この近くには同じく藤本能道のカワセミを描いた絵皿などもありました。

56 宮本憲吉 「色絵金銀彩飾箱」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品で、長方形の箱の側面にそれぞれ異なる3つの文様が施されています(それぞれの裏側にあたる面は表側と同じ模様) 花を表した2つの面は金で縁取りしていて、装飾的な印象を受けます。一方でひし形を重ねた文様は幾何学的なリズムがあって、1つの作品の中に曲線美と直線的な幾何学模様の美しさがあるように思えました。

この作品は小部屋に展示されていて、この小部屋は宮本憲吉の作品だけ数点展示されていました。
最後に展示室を出る辺りに展示されていた楠部彌弌の「彩埏薫風香爐」も小さいながらも赤の色彩が目を引きました。


ということで、詳しいことまでは分かりませんがパッと観て模様が面白い作品が多々並んでいました。古い品から現代的な作品まで幅が広いのも良かったです。会期も長めですので、近くに行く機会があったらこの美術館の粋を味わってみるのもよろしいかと思います。

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