関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

うるわしき美人画の世界 ―木原文庫より― 【岩手県立美術館】(岩手編)

先日、お盆休みを利用して岩手旅行をした際、盛岡の岩手県立美術館で「うるわしき美人画の世界 ―木原文庫より―」を観てきました。今日から少し番外編として岩手の展覧会などをご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 うるわしき美人画の世界 ―木原文庫より―

【公式サイト】
 http://www.ima.or.jp/exhibition/temporary/20180630.html

【会場】岩手県立美術館
【最寄】盛岡駅

【会期】2018年6月30日(土)~8月19日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この岩手県立美術館は盛岡駅からバスで20~30分くらいの所にあります。奥さんの実家が岩手なので毎年のようにお盆にこの美術館にも行ってる気がしますが、今年の夏は埼玉県在住のコレクターである木原眞人 氏が所蔵するコレクションを紹介する展示となっていました。個人のコレクションとは思えないくらい豪華な品ばかりで、3つの章に渡って紹介されていましたので、各章ごとに気に入った作品について書いていこうと思います。


<第I部 うるわしき美人画の世界>
まずは今回の展覧会名にもなっている美人画のコーナーです。特に鏑木清方と島成園が多めで、他にも上村松園や北野恒富といった有名画家の作品なども並んでいる豪華な内容となっています。

11 鏑木清方 「合歓の花」
こちらは紫色の着物の女性が傘をたたみながら歩く様子を描いた作品で、頭上には ねむの木、下の方には紫陽花が咲いています。すらっとした立ち姿が優美で、清方らしい清廉な雰囲気が漂っていました。

この辺は清方のコーナーで、特に夏~秋ころの主題の作品が目につきました

特別5 鏑木清方 「色の港」
こちらは着物の女性が港を背景に団扇を扇いでいる様子が描かれた作品です。胸元がかなり はだけていて、暑くてダルそうな顔をしているのですが、ここまで来ると色気と言うよりは、苦しそうにすら見えるかなw やや平面的な表現で 背景や題材も珍しいので、清方とは気づけませんでしたが、夏に観るに相応しい作品でした。

40 島成園 「雨あがり」
こちらは裾をつまんで船着き場で片足をあげている着物の女性を描いた作品です。華やかな装いをしているので芸姑さんかな? その上には柳が枝垂れていて、船には桜らしき花も乗せてあります。色気と共に気品を感じさせる仕草が目を引きました。背景も爽やかです。

36 島成園 「娘之図」
こちらは台のような物に肘をついて、うっとりとした表情を浮かべる着物の女性を描いた作品です。その手前には手箱に入った小物類が転がっていて、色鮮やかな印象を受けます。夢想する様子が何とも愛らしい雰囲気の娘でした。

30 北野恒富 「阿波踊之図」
こちらは記念撮影できるパネルがあったので、それを使ってご紹介。
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三味線の先に赤い提灯をぶら下げて、立って弾いている着物の女性を描いた作品です。踏み込んで やや仰け反るような姿勢がギタリストみたいでカッコいいw 北野恒富は妖艶でちょっと悪魔的ですらある作風のように思っていますが、こちらの作品ではそういう雰囲気は無く、モデルのポーズが面白い作品となっていました。

この他にも北野恒富の作品や、菊池契月、上村松園、伊藤小坡、伊東深水などの作品も少数ずつありました。

50 谷角日沙春 「柳桜」
こちらは菊池契月の弟子の作品で、桜?の枝を肩の上に持ち振り返るような姿勢の白い着物の女性が描かれています。輪郭線を流麗かつ簡潔に描いているので、全体的に軽やかな雰囲気となっています。また、微笑むような端正な顔立ちも愛らしく爽やかな美人像でした。


<第II部 近代日本画の名手>
続いての2章は横山大観・竹内栖鳳・橋本雅邦・菱田春草といった巨匠たちの作品が並ぶコーナーです。ここは美人画ではなく花鳥や四季などをテーマにした作品が並んでいました。

69 冨田溪仙 「花の寺」
こちらは京都の勝持寺の様子を描いた掛け軸で、手前に阿吽の仁王が立つ山門があり、その奥に鐘つき堂が描かれています。周りは木々で鬱蒼としていていて、更に奥には大きな桜、背景には山と半月が描かれています。桜は上から白を薄っすら塗ったような表現となっていて、淡くおぼろげな雰囲気が漂っていました。春の夜の幻想的な風景といった感じの作品です。

この近くにあった橋本雅邦の作品も見応えがありました。

60 竹内栖鳳 「柳下稚雀」
こちらは木の幹にとまっている2羽の雀を描いた作品で、1羽は上の方を向いていて その目の先には柳が風に舞うように連なっています。雀の羽は丹念に描かれていて、写実性を感じると共にフワッとした情感が漂っています。構図も面白くて、画面中央に枝の曲線が描かれているのが大胆かつ優美な雰囲気を出していました。

65 菱田春草 「柿に鳥」
再び記念撮影用の写真を使ってご紹介。
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こちらは柿の木の枝にとまるカラスを描いた作品で、カラスは下を見つめていて 視線の先には丸々とした柿の実があります。木や柿はやや薄めの色合いとなっているのですが、カラスは真っ黒なので一際目を引くかな。目がまんまるで憎めない顔してますw 周りの葉っぱや木は にじみを活かした表現を使うなど、秋の風情が感じられました。

75 前田青邨 「驟雨」
こちらは掛け軸の左下の隅っこに 大きな太鼓橋を走って渡る2人の刀を差した人物が描かれた掛け軸です。それ以外の画面はかなりの部分を黒い雲が覆っていて、右上から左下にかけて俄雨(驟雨)が降っている感じが出ています。2人も着物で防ぎながらダッシュしてるし、夕立時に慌てて急ぐのは昔も今も変わらないのかも。それにしても人物よりも雲を中心に据える構図が大胆で面白い作品でした。

特別1 円山応挙 「藤花狗子図」
再び記念撮影用の写真を使ってご紹介。
DSC01805.jpg
こちらは藤の木の下で2匹の子犬が寄り添う様子が描かれた掛け軸です。藤は満開なので5月くらいの様子かな。犬は後ろ向きの白い犬と 藤の枝を口にくわえている茶色い犬で、応挙らしいコロコロした姿をしています。ちょっとやんちゃそうで、非常に可愛らしい犬たちでした。

この隣には酒井抱一の草花図なんかもありました。こちらも抱一らしい画題と作風です。


<第III部 特別出品:木原文庫のさらなる魅力>
最後は木原コレクションが文庫と呼ばれる所以を感じさせるコーナーです。ここには蔵書や関連資料、刀剣などが並んでいました。

特別11 本阿弥光悦 「書 しら露も」
本阿弥光悦は寛永の三筆の1人で俵屋宗達とよくコラボしていた人物です。こちらは小さめの書で、「しら露も 時雨もいたく もる山は した葉のこらず いろづきにけり」という古今和歌集の紀貫之の歌が書かれています。薄っすらと背景に葉っぱのようなものが描かれているようにも見えるかな。軽やかな文字で、正に流れるような美しさでした。

特別12 松尾芭蕉 「月図 自画賛 明けゆくや」
こちらは三日月の浮かぶ様子を描いた絵と、そこに自分で賛を書いた作品です。「明け行くや 二十七夜も 三日の月」という俳句が書いてあり、その隣にも何か書いてあります(ここは読めず…) 絵は普通ですが、月夜の情感がよく出ているように思えました。こんな作品まで所蔵しているとは驚きです。

この隣には達筆で有名な良寛の作品もありました。

特別18 芥川龍之介 「河童図」
こちらは芥川龍之介が描いた河童の絵です。「蒲の穂は~」という賛とともに「水木君へ」と書いてあるらしく劇作家の水木京太に贈ったもののようです。著書の『河童』は晩年の作で、この河童の絵は有名な挿絵そっくりに見えました。正に文庫と呼べる貴重な品かもしれませんね。

この近くには太宰治の書「万葉歌より」や、三島由紀夫の書「敷島の大和心」、樋口一葉の書「夏といふ」、高村光太郎の書「海に出て」などもありました。私でも知ってる文豪の作品がこれだけあるのも木原コレクションの特徴と言えそうです。

最後は刀剣のコーナーで8振り程度展示されていました。


ということで、展覧会のタイトル以上に様々な作品が並んでいました。幅広くて驚きが多いコレクションに満足です。もう会期が残り僅かですが、夏休みで岩手を訪れている美術好きの方がいらっしゃいましたらチェックしてみてください。

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