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ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展 【うらわ美術館】

先週の金曜日に夏休みを取って うらわ美術館の「ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展」を観てきました。

DSC02023.jpg

【展覧名】
 ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展

【公式サイト】
 http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p059247.html

【会場】うらわ美術館
【最寄】浦和駅

【会期】2018年7月7日(土)~ 8月31日(金)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
多くの家族連れがいましたが、快適に鑑賞することができました。

さて、この展覧会は2002年から活動している亀山達矢 氏と中川敦子 氏からなる男女2人組のユニットTupera Turera(ツペラツペラ)の個展となります。Tupera Tureraは2004年に『木がずらり』を皮切りに絵本作成を始め、2013年の『しろくまのパンツ』で第2回街の本屋が選んだ絵本大賞でグランプリを受賞し、さらに翌年にも『パンダ銭湯』で第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリを受賞した今注目の絵本作家です。一躍注目を集めて今や国内だけではなくアメリカやフランス、台湾など10の国と地域で出版し人気を博しているようで、この展示では初期から現在に至るまで多くの作品が並んでいました。簡単に各作品のメモを取ってきましたので、展示順に沿ってご紹介していこうと思います。

<入口・冒頭>
入口にはこんな感じで絵本のキャラクターが並んでいます。

多分これは『かおノート』のキャラじゃないかな。後で出てきます。
DSC02027.jpg

こちらの熊は『しろくまのパンツ』のキャラかな。これも後ほどご紹介。
DSC02025.jpg

そして展覧会場に入ると制作の様子が紹介されていました。ハサミ、ピンセット、色紙、模様のついた紙などがあり、切り絵のように貼り合わせて作っているようです。Tupera Tureraの2人の写真と共に、自画像的な作品もありました。2人とも有名な芸術系の大学卒で絵本作家だけあって親しみやすい作風です。


<初期の絵本>
こちらは初期のコーナーです。早速、アイディア抜群の絵本が並んでいます。

Tupera Turera 「木がずらり」
こちらは色々な形の木を絵本で表現している作品です。この作品は家の周りの木を観ていて思いついたそうで、カラフルで形も面白い木が並んでいて観ていて楽しげでした。Tupera Tureraはこの後も1つのテーマに特化する物づくし的な作品が多くあるのですが、既にこの頃からその傾向があったのかもしれません。

Tupera Turera 「魚がすいすい」
こちらはオノマトペ(擬態語・擬声語。特に同じ音を繰り返すものワンワンとかスイスイとか)をタイトルにしていて、中身でも多用されています。魚のキャラクターたちが様々な模様を貼り合わせて表れていて、冒険のような話が展開されていきます。海の中の話なので爽やかな色彩が多く、明るめの印象を受けました。

Tupera Turera 「しましまじま」
こちらは縞々だらけの島の話で、海、島、太陽、野山、町中、人物など何でも縞々模様となっています。躍動感のある表現と共に目に鮮やかな色彩の作品となっていました。

Tupera Turera 「12の星の物語」
こちらは12星座の話かな。これまでと違い抑えた色調で影絵のように人物を表しています。ギリシャ神話の場面などもあって、一段と芸術的な雰囲気がありました。

Tupera Turera 「ワニー二の冒険」
こちらはワニのキャラクターの話です。近くには大ダコと船の模型も展示されていて、これは葉山のギャラリーで展覧会をした時に作ったもののようです。絵本のほうは切り絵的な作風に戻っていて、シンプルでキャラクターの多彩な表現が面白い作品となってました。

Tupera Turera 「かおノート」
こちらは先程の太陽のキャラクターの作品で、48ページに渡って顔の輪郭が描かれています。そこに目鼻のシールを貼っていくようで、福笑い的な感じの楽しみ方かな? これは子供に人気のありそうな作品でした。

Tupera Turera 「どんなおと?」
こちらは太鼓や目覚まし時計などが表されていて、音を想像させる作品です。表紙では象がオナラしているのですが、どんな音なんでしょうね…w 子供の想像力を掻き立てるような作品でした。

Tupera Turera 「MUSHI HOTEL」
こちらは500部限定の私家版の絵本です。2人が考えた変な虫が標本のように展示されていて、歯車の形の虫や 迷路のような模様の虫など奇想天外です。この発想の自由さがTupera Tureraの魅力なのかも


<Tupera Tureraのものづくり>
Tupera Tureraは結成当初から雑誌や展覧会の企画で雑貨を作っていたそうで、絵本づくりの原点といえるようです。ここには布雑貨が並び、油彩科出身の亀山氏と染織デザイン学科の中川氏の初の共同制作も布雑貨だったようです。2002年の展覧会で中川氏が自身の布雑貨に亀山氏の絵をアップリケで縫いつけることを思いついたのがきっかけで、作った12本のマフラーは完売し評判となって布小物や展示販売のオファーが続くようになったようです。最初の出世作と言えるかもしれません。

ここには海の生き物がアップリケになったアロハシャツや、蜘蛛のTシャツ、人の顔のスリッパなどがありました。他にも赤べこに小さな人形を乗せた作品や けん玉に顔をつけた作品、キャラクターの形のクッションなど可愛らしく遊び心に溢れた作品ばかりでした。


<工作・ワークショップ>
続いては工作・ワークショップのコーナーで、Tupera Tureraにとっては今やライフワークとも言える活動だそうです。Tupera Tureraのワークショップは子供だけでなく大人も参加を歓迎しているのが特徴のようで、ここには「作ってみよう!へんてこピープル」というワークショップの作品が並びます。しゃもじやヘラを使った人物像や、石に絵付けした人の顔、箱を重ねたトーテムポール、瓶を使った人の像など発想の柔軟さが面白かったです。


<様々なモチーフの絵本>
ここからは乗り物や生き物、食べ物など多彩なモチーフを用いた絵本が並んでいました。

Tupera Turera 「やさいさん」
こちら畑の形の箱から野菜カードを引き抜く仕掛けの絵本です。野菜のキャラクターやモグラなどもいて、これも子供が楽しめそうな作品でした。本といっても体験的な要素があるのもTupera Tureraの特徴じゃないかな。

Tupera Turera 「くだものさん」
こちらはリンゴや桃、葡萄、さくらんぼなどのキャラクターが出てくる作品です。1つ1つに顔がついていて、葡萄の粒にも全部顔がありましたw ちょっとキモカワキャラみたいな感じかなw

Tupera Turera 「いろいろバス」
これも物づくしみたいな作品で、赤いバスからトマト、黄色いバスからオムレツ と言った感じで色に関するものが出てくる絵本です。絵面は中々シュールですが、色を覚えるのに良い絵本かもしれません。

Tupera Turera 「タコさんトコトコどこいくの?」
こちらはタコのキャラクターの作品で、自転車→車→電車→飛行機→ロケットを乗り継いで火星らしき星まで行く話です。タコは火星人ってことなのかな?w やけに疾走感のある表現でどんどん進んでいく感じがありました。

Tupera Turera 「ぼうしとったら」
こちらは仕掛け絵本で、帽子を被った人物のページの帽子部分が上に開けるようになっています。開くと髪が逆立っていたり、ちょんまげだったり、禿げていたりしますw 元の顔とだいぶ印象が変わるものもあって、これは大人でも楽しめる仕掛けでした。

Tupera Turera 「うんこしりとり」
こちらはウンコする動物や人でしりとりをするという子供が喜びそうな絵本です。 (うんこドリルとか、子供はうんこ好き過ぎでしょ…w) こいぬのうんこ→こうしのうんこ→こどものうんこ→こうちょうのうんこ と言った感じで、こ で始まって こ で終わるのですが、中にはコーヒーのうんこ とか こんがらがったうんこ 等シュールなものもあります。近くにはクレオパトラのうんこ という巻糞状のオブジェまでありました。観客の子供がハイテンションで喜んでいたのが印象的でした(大声で読み上げてましたw)

Tupera Turera 「おならしりとり」
今度はオナラですw こちらも しりとりで、 ら で始まって ら で終わる感じです。ラグビーでおなら とかは理解可能ですが、ラーメンのおなら とか、ラブレターのおなら 等またもやシュールなものも含まれますw 雷神のおなら は完全に雷に見えました。雷は おならと思い込む子供が発生しそうな絵本ですw

この近くには「うんこしりとり」と「おならしりとり」がアニメになった作品の映像が流れていました。勿論、子供たちが何人も集まって狂喜してましたw
その先には「おやおや おやつなにしてる?」「これはまる」「これはすいへいせん」といった2~3枚程度の原画などもありました。

Tupera Turera 「おばけだじょ」
こちらは影絵を使ったオタマジャクシみたいな色形のおばけの絵本です。部屋の一角にこのキャラクターたちが吊るされていて、絵本の中に入ったような感じに展示されています。蛙になって蛇に追いかけられているので、やっぱりオタマジャクシだと思いますが、怖いよりも可愛い雰囲気がありました。

Tupera Turera 「へびのみこんだ なにのみこんだ?」
こちらは影絵と蛇のお腹の中身の図解図がセットになった絵本で、ウワバミが食べた中身を当てるような感じの趣向です。中身は子どもたち・ライオン・車・山などで大人の発想では思いつかないようなものばかりですw シルエットから中身を想像する遊びが出来そうですが、かなり難問だと思いますw


<イラストレーション&アートディレクション>
Tupera Tureraは活動の幅を広げ、劇作家で演出家の佐藤信 氏に声をかけられて舞台「ピン・ポン」の美術と演出を担当したそうです。また、2010年には おかあさんといっしょ で「ひみつのパレード」のアートワークを手がけ、2013年には工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当しているようです。ここにはそうしたディレクション関連の品が他にも色々あって、CDジャケットなんかも何点かありました。切り絵やコラージュっぽい作風で、様々なモチーフがたくさん並び、楽しげな雰囲気がある点などは共通しているんじゃないかな。カラフルでユーモアに富んだ作品ばかりでした。


<絵本のつくりかた>
最後は再び絵本のコーナーです。Tupera Tureraは1つのアイディアにじっくりと向き合い、その作品がどうあるべきかを考えて本を丸ごとプロデュースする独自の物づくりをする姿勢を見せているようで、本そのものの形にも面白さがあるのが特徴です。ここには今まで以上に発想力を感じる作品が並んでいました。

Tupera Turera 「しろくまのパンツ」
こちらは表紙にしろくまが描かれ、カバーの下の方に赤いパンツを履かせる感じになった絵本です。このパンツを脱がせないと中が読めませんw 絵本の中でも様々なパンツを履いた豚・猫・イカなどの生き物が描かれていて、パンツ尽くしとなっていました。

この先には海外で出版された作品が並んでいました。「しろくまのパンツ」と「かおノート」の各国版があり、ヨーロッパや台湾、韓国などで出版されているようでした。

Tupera Turera 「あかちゃん」
こちらは円形の本で、開くと円が2つ並ぶような感じになります。そこに赤ちゃんの表情やタンバリンなど丸いモチーフが描かれています。特に感心したのが、お母さんのオッパイを飲んでいるページで、円形2つのページが丁度 オッパイの形となっていました。本当に本そのものの形や仕掛けのアイディアが光る作品です。

この近くにはアイディア帳なんかもありました。また、「さんかくサンタ」「どこどこハート」「アニマルアルファベットサーカス」など特定の形やモチーフをテーマにした作品が並びます。

Tupera Turera 「わくせいキャベジ動物図鑑」
こちらはバナナのキリンや トマトの豚、きゅうりのワニ など野菜を動物に見立てた絵本です。キウイの目をしたフクロウとか、ナスの鯨なんかも秀逸なデザインで面白いです。この作品は全国からの応募で1000通を超える新種発見の報告があったようで、子供の考えた野菜動物も中々凄い発想でした。これも頭の柔らかさに驚きっぱなしです。

Tupera Turera 「パンダ銭湯」
こちらは撮影可能でした。
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銭湯に入るような外観になっています。

パンダ=可愛いというイメージを壊したかったということでこの作品を作ったようです。
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パンダ以外の入店を断るとか、中々秘密めいています。

こちらは衝撃のシーン。
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中身はシロクマみたいな…w 目の周りはサングラスのようですw


ということで、全く知らなかった絵本作家でしたが、その魅力がよく分かる内容となっていました。これらの絵本を読まれているお子さん達がいるようなら子供も喜ぶんじゃないかな。本という概念をも超えるような作品ばかりで幅広い層が楽しめる展示だと思います。

おまけ:
美術館近くの須原屋さん(本屋)でもこの展示に合わせてイベントをしているようでした。
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