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荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋 (ジョジョ展 感想前編)【国立新美術館】

2日前の土曜日に国立新美術館で「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」を観てきました。充実の内容で今季注目の展示でもあるので前編・後編に分けてじっくりご紹介していこうと思います。なお、今回の記事は『ジョジョの奇妙な冒険』そのものを知っている前提で書いておりますので、完全にジョジョファン向けの内容となります。

DSC03636.jpg

【展覧名】
 荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋

【公式サイト】
 http://jojoex-2018.com/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/jojoex-2018/
 Twitter:https://twitter.com/JOJOex_2018

【会場】国立新美術館
【最寄】乃木坂駅・六本木駅

【会期】2018年8月24日(金)~10月1日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
この展示は事前に予約する必要があり日付と時間帯まで指定されているのですが、会場に入るのに20分程度の行列となっていました。
DSC03638.jpg
こんな感じでぎっしりです。

中に入ってからも全く進まなかったりして、激しい混雑となっています。特に最初の章の辺りは身動き取れない程なので、先に2~3章辺りから観たほうが良いかもしれません。なお、会場の係の人に聞いた所、14時指定のチケットの場合は次の16時の回の15分前(15:45)までは入れるそうです。指定の開始時間ちょうどに行くとめちゃくちゃ混んでいるので、少しズラしたほうが空いているそうです(遅刻しないように気をつける必要はありますが)

さて、そんな大盛況となっているこの展示は、週刊少年ジャンプで始まり現在も続いている『ジョジョの奇妙な冒険』の30周年を記念するもので、新しく描き下ろした新作原画や壁画のような作品も含めて過去最大級のジョジョ展となっています。5年前にも大きな展示がありましたが、今回は国立の美術館という舞台で行われるという所に意義があるように思えます。ジョジョもアートとして認知されるようになったのは長年のファンとしても感慨深いものがありますね。展覧会は7章構成となっていましたので、今日は前半についてご紹介していこうと思います。撮影可能なスポットもありますので、そこは写真も使って参ります。
 参考記事:
  ジョジョの奇妙な冒険25周年記念「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」 (森アーツセンターギャラリー)
  【番外編】荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町 (せんだいメディアテーク) ※2012年版
  岸辺露伴 新宿へ行く 展 (グッチ新宿)
  Japan Original Beauty 『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボレーション (資生堂銀座ビル 花椿ホール)
  映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」(ネタバレあり)


<ジョジョクロニクル>
まず最初に1~8部のストーリーの概要と登場人物について紹介されていました。ここは引き伸ばしコピーで読者なら知っている話だと思うのですが、何故か大混雑していますw まあここは飛ばしても良かったような気はします。ちなみに私は1~5部はかなり読み込んでいて、6~7部はまあまあの読み込み、8部はまだ最初の3巻くらいまで止まってます(完結してから読もうと思ってるので…) なので8部はあまり詳しくないのでご容赦ください。

冒頭には音声ガイドの貸出(550円)があるのですが、こちらは荒木飛呂彦 先生自身による解説がたくさん聞けるので、オススメです。ジョジョのテーマは「人間讃歌」であると改めて紹介していました。


<1 宿命の星・因縁の血>
まず最初は1~8部の主人公たちと、各部のボスキャラに関する原画が並ぶコーナーです。部屋の両脇に対峙するように展示されていて、部屋の中央あたりには主人公とボスキャラたちのセリフが垂れ幕となって展示されていました。原画はカラー原画(ジャンプ掲載時の表紙、単行本表紙など)とセリフ付きの白黒原画があり、概ねカラー1枚、白黒2枚の組み合わせとなっています。各部の白黒原画の展示は以下のようになります。
 1部:ふるえるぞハート のセリフ辺り。
 2部:刻むぜ波紋のビート のセリフ辺り、ワムウ戦の前にジョセフがバンダナを装着する辺り
 3部:ミドラー(ハイプリエステス)に「じきじきにブチのめす」と言っている辺り、スティーリー・ダンにオラオラしている辺り
 4部:承太郎に対して俺の髪がどうしたと仗助がキレる辺り、バイクで「しかしクレイジーD」 と言ってる辺り
 5部:ギャングスターに憧れるようになったの辺り、グリーン・デイに無駄無駄してる辺り
 6部:グー・グー・ドールズ戦、金網越しのオラオラ
 7部:鉄球の回転シーン、爪弾撃つ辺り
 8部:空条仗世文を名乗るシーン、岩にオラオラしてるシーン

やはり原画だけあってジャンプなどよりも大型で余白を指示する書き込みなども観られるのが面白いです。また、修正の跡とかも生原稿ならではの魅力で、意外にも枠外の所を修正していたりします。もしかしたら最初ははみ出して描いているのかもw 荒木先生の解説によると、ジョジョのストーリーは一番怖いものは何か?を考えた時に先祖の因縁が思いついたそうです。また、承太郎はクリント・イーストウッドの「ダーティハリー」をイメージしているとか、興味深い話も聞けました。改めて一気に比べて観ると、やはり5部辺りが最も好みの画風かな。それ以前は結構マッチョで、それ以降は段々と細くなっているように思います。

この部屋の奥のほうには「JOJOVELLER」という2013年のときの画集の描き下ろしイラストもありました。1~8部の主人公達が集まった群像で、うずくまったスタンド達に座っている絵です。だいぶ最近の画風に思えます。また、ボスキャラが勢揃いした作品(ジョジョ名言集Part4~8)なんかもあります。この辺は観たことがないのもあるので嬉しい。

続いてボスキャラのコーナーは以下の通り
 8部:田最環が名乗るシーン
 7部:大統領戦の辺り、ザ・ワールドが出たDIO
 6部:プッチ神父の重力のパワーが完成したシーン
 5部:キング・クリムゾンがリゾット相手にエアロスミスの時間を飛ばした辺り、ポルナレフの前でシャツを脱いでディアボロが出てくる辺り
 4部:吉良が初登場の頃にパン屋で女性の指を舐めてる辺り。靴のむかで屋の影に隠れている辺り
 3部:ポルナレフを前にザ・ワールドを出した辺り
 2部:輝彩滑刀を初めて出した辺り、頂点に立つ者は1人の辺り
 1部:俺は人間を超越するの辺り、逆さになってぶら下がってる辺り


<フォトスポット>
1章から4章にかけての部屋の入口あたりにずら~~っと大型パネルが展示されていました。こちらは撮影可能となっています。今日は1~3章あたりの写真をご紹介。

こちらはこけしとジョセフ・ジョースター。ジョジョ日本八景の1枚だったかな。
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よく観ると各部のスタンドの顔をしたこけしがいますw この隣には日枝神社に奉納された酒樽を前にしたツェペリさんとジョナサンのパネルもあります

こちらは以前ご紹介した仙台でのジョジョ展のポスターになってた七夕と仗助のパネル
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帯がクレイジー・ダイヤモンドの形になっているダブルイメージも面白い。

これもジョジョ日本八景の1枚だったかな。5部のメンバーと東北新幹線
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このメンバーと高速列車に乗ったら嫌な予感しかしませんw 

2~3章辺りのパネルはこんな感じです。
DSC03658.jpg
大体、各部に1枚ずつといった感じですね。

こちらも日本八景の東京タワーとジャイロ&ジョニィ
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色の取り合わせが特に面白い作品です。

こちらも以前の展覧会で観た覚えのある承太郎とイギー
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どういうわけか、最近 承太郎は富士山と一緒に描かれることが多いように思います。

こちらはブチャラティと徐倫が部を超えた共演となっています。
DSC03673.jpg
これも以前の展覧会の時の描き下ろしかな。胸をもんでるように見えると話題になったのを覚えていますw

この後も4章辺りにも続いていますが、それは次回ご紹介の予定です。


<2 スタンド使いはひかれ合う>
続いての2章は主人公の仲間たちのコーナーです。ジョジョの魅力は何と言ってもキャラクターで、荒木先生は事前に60くらいは項目がある細かい設定を行っているというのが秘訣なのかもしれません。ここはタイトル通りスタンド使いのコーナーなので3部以降の仲間しかいないのですが、スタンドは如何に生まれたかについても解説機で紹介されていました。3部を始める前に荒木先生が編集と話した際、波紋のままでは3部には行けないとプレッシャーを掛けられたらしく、それで超能力を可視化するというアイディアになったようです。そのおかげでグッと能力の幅も増えて作品も一層面白くなったので大発明ですね。当時、もう波紋じゃないの?って子供心に混乱したのを覚えていますw

そんなスタンド使い達の原画が並んでいるわけですが、展示されているのは概ね以下のような感じです。
 花京院:タワー・オブ・グレー戦
 ポルナレフ:火時計作る辺り
 アブドゥル:カメオ戦
 イギー:ザ・フールを初めて出す辺り
 億泰:仗助戦
 康一:アクト1が生まれた辺り
 露伴:康一の顔のページを引きちぎる辺り
 重ちー:ハーヴェストをキャタピラーのようにして逃げる辺り
 ブチャラティ:ジョルノ戦でケーブルカーから逃げる辺り
 アバッキオ:ソフト・マシーンの追跡で5分前からで良いか聞いてる辺り
 ミスタ(ピストルズ):クラフトワーク戦
 ナランチャ:スクアーロにエアロスミスで撃ってる辺り
 フーゴ:イルーゾォに玉を打つ辺り
 トリッシュ:コクピットを切り離す辺り

この辺りで、単行本やジャンプ表紙などのカラー原画もありました。「岸辺露伴は動かない」のカバーなんかも含まれています。その後は再び仲間が並びます。
 エルメェス:グロリアの分を叩き込む辺り
 F・F:弾丸を連打する辺り
 ウェザー:初登場の辺り
 エンポリオ:初めて部屋に引き込むあたり
 アナスイ:初登場の辺り(だと思う…)
 ホットパンツ:ジャイロにスプレーしてる辺り 
 マウンテン・ティム:ブラックモア戦
 ルーシー:切れ切るんだと言われる辺り
 広瀬康穂:たくさんのドアのあるシーン
 東方常秀:登場シーン?
 東方大弥:定助戦
 東方つるぎ:目を潰されるとこ
 東方憲助:岩の追跡シーン
 東方常敏:テーブルを囲むシーン
 東方鳩:蹴りを入れまくるシーン

ここは8部が多めだったかも。こうして観るとSBRは仲間少ないなw


<3 JOJO's Design>
こちらはカラーの表紙などがずらっと並んでいました。誇張されたようなポーズはジョジョ立ちなんて呼ばれるようになりましたが、これらは映画やファッション誌、国内外のアートなどから影響を受けています。独特の色彩感覚も見事で、後の章でも出てきますがナビ派的な感じも出ていると思います。最近は唇を緑に描くことが特に多くなった気がするかな。ここにもそうした作品が並びます。
また、ここには女性雑誌『SPUR』でグッチとのコラボを行った時の表紙も展示されています。荒木先生もこの話が来た時は驚いたそうですw  SPURは他にも徐倫の絵のもあって、これは初めてみました。
 参考記事:岸辺露伴 新宿へ行く 展 (グッチ新宿)
他にも面白いポーズの作品が多めで、特に8部からの出展が多かったように思います。

この部屋の奥にはファッションデザイナーの森永邦彦 氏によるジョジョのポーズを3次元にしたマネキンのような作品がありました。そこに光が当たると模様が浮かぶような仕掛けになっています。徐倫、DIO、承太郎、露伴、仗助などのポーズをしているので、真似しながら観ている鑑賞者なんかもいましたw ポーズはジョジョの魅力の1つと言って間違いないと思います。


ということで、長くなってきたので今日はここまでにしておこうと思います。30周年に相応しいボリュームで、観ているとまた読み返したりアニメを観たくなってきます。唯一のネックは混雑なので、これから行く方は十分に鑑賞時間を確保してスケジュールすることをお勧めします。 後半もジョジョ好きには嬉しい内容となっていましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら


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