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ヒロシマ・アピールズ展 【21_21 DESIGN SIGHT】

今日は写真多めです。前回ご紹介したフジフイルムスクエアの展示を観た後、六本木ミッドタウンのすぐ裏手にある21_21 DESIGN SIGHTで「ヒロシマ・アピールズ展」を観てきました。この展示は撮影可能でしたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

DSC03283.jpg

【展覧名】
 ヒロシマ・アピールズ展

【公式サイト】
 http://www.2121designsight.jp/gallery3/hiroshima_appeals/

【会場】21_21 DESIGN SIGHT GALLERY3
【最寄】六本木駅・乃木坂駅

【会期】2018年8月4日(土)~ 9月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
無料ということもあって結構お客さんはいましたが、概ね快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は 広島の記憶を絶やすこと無く平和を希求する想いを広く伝えようと日本グラフィックデザイナー教会とヒロシマ平和創造基金、広島国際文化財団が行っている「ヒロシマ・アピールズ(広島は訴える)」のポスターを集めたもので、1983年から毎年1人ずつ選ばれたグラフィックデザイナーが制作した作品が21点ほど並びます。この展示は撮影可能となっていましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

林重男 「広島県商工経済会望楼から」
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1945年8月6日に原爆が落とされた後の光景。一面焼け野原となっていますが、この写真でも表せないような地獄だったと思われます。核の脅威を今後も忘れないようにするのは重要な取り組みですね…。

こちらは展覧会の会場の様子
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部屋に宙吊りのようになって展示されていました。

亀倉雄策 「燃え落ちる蝶」 1983年
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こちらが第一回のポスター。美しい蝶たちが焼け落ちていく様子が象徴的に思えます。実際には人間が焼け落ちたことを考えるとこれでもマイルドな表現なのかも。

福田繁雄 「地球」 1985年
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大砲の玉が戻ってくる反戦ポスターで名高い福田繁雄ですが、このポスターでは地球の一部が力で捻じ曲げられているような表現となっています。シンプルながらも考えさせられるデザインです。

早川良雄 「子供と鳩」 1986年
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子供と鳩という平和を感じさせるモチーフで、惨劇とは真逆のイメージとなっています。しかし後ろ姿なのがどこか寂しげにも見えるかな。平和を希求する想いが込められているように思いました。

田中一光 「一羽の白い鳩」 1988年
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白い鳩という平和の象徴をストレートに使った作品。背景に薄っすらときのこ雲が浮かぶ光景と対照的です。意匠化されたような鳩が非常に目を引きました。

片岡脩「特別展示 平和ポスター」 1990年
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こちらはPEACEの1文字1文字に意味があるようで、例えばPは「"PIKA the sight,the sound of the flash of August,45 years ago."(広島・8月、45年前、一瞬の閃光、あの日から始まった人生がある)」という意味があり、全部合わせて読むと、地球上の人間に平和で包みたいので生きて子どもたちへ、さらに世代へと伝えたい と考えているようです。

長友啓典 「MAD DOG」 2010年
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こちらは人間ではなく犬や猫、鳥など原爆で死んだ様々な動物たちが怒りの形相となっている作品。何もかもが死んだ恐ろしさと理不尽さが異なる視点で訴えているように思えました。

奥村靫正 「HEIWA OHASHI」 2012年
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こちらはイサム・ノグチの平和大橋の欄干をテーマにしたものだそうです。蓮の花みたいに見えるかな。しかしよく観ると断面の部分に何やら違和感が。右の写真はその断面部分で、人が折り重なっているようにも見えて怖い…。無数の人が死んで集まった光景のようにも思えました。

井上嗣也 「記憶」 2014年
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こちらは原爆被害者の子どもたちを撮った写真に添えられた「これからは小鳥のように楽しく生きたいと、原爆の子どもたちはいっている。しかしその小鳥はとても自分のピカドン傷を気にしている」という言葉を意識して作られた作品。鳥が2羽いるのは長崎の分でしょうか…。目に涙のようなものがあるのが哀しみを感じさせました。

佐藤卓 「ヒロシマという重石」 2015年
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原爆投下から70年だった2015年の作品。書類は理屈を象徴しているそうで、広島という分銅がどんなことがあってもやってはいけないことがあると抑えているようです。分銅が人のようにも見えました。蝶は「燃え落ちる蝶」へのオマージュかな?

上條喬久 「祈りの風景」 2016年
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オバマ大統領が現職の大統領として初めて広島を訪問した年の作品。その為、対立姿勢ではなく、赦し和解し共に祈るという意味が込められているようです。静かに瞑想するような印象を受けました。

服部一成 「疑問符、2018」 2018年
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こちらは雲がクエスチョンマークになった不思議な作品。何も解決せず多くの問いかけが宙に浮かんだままという意味も込められているようですが、確かに今年は北朝鮮のミサイルが飛んでくるんじゃないか?って話もあったくらいなので本当に平和に向かっているのか疑問符もつきますね…。


ということで、平和への思いは同じでも原爆と平和に関する表現の仕方も人それぞれで、時勢と共に改めて考えさせられるような内容となっていました。非常に意義のある活動だけに今後のヒロシマ・アピールズにも期待したい所です。残りの会期がわずかですが、無料ですので六本木に行く機会がある方は是非チェックしてみてください。

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