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一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子 【サントリー美術館】

新国立→フジフイルムのあと、さらにハシゴして、サントリー美術館で「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」を観てきた。
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 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。

【展覧名】
一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子

【公式サイト】
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol02/index.html

【会場】サントリー美術館(ミッドタウン3F)
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】3月28日~5月17日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間30分程度

【混み具合(土曜日18時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解     

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
今回は期間中の入れ替えはほとんど無いようです。
アートナイトの一環で、この日だけ23時までやっていました。そのせいか、そんなに混んでいないので結構ゆっくりと観ることができた。
(作品を鑑賞中に、大きなTVカメラで撮影しているクルーと遭遇したので、近々TVでやると思われます。そうなったら混むのかも。)

なぜ薩摩切子が一瞬のきらめきで幻なのか? それは誕生から終焉までたった20年しかなく、現在分かっている作品が150点程度しかないかららしい。で、この展示には約120点集まってます! まさに奇跡的な展覧と言えるかもしれないです。
・・・なのに作品充実度を5にしないのかって話ですが、歴史の変遷を語るために、あえてちょっと微妙なものも展示されていたので、作品レベルでいうと最上からそうでないものまであるということで4にしました。
しかし、歴史や衰退の経緯・薩摩切子の特徴などを一気に知ることができる素晴らしい展示でした。

軽く歴史に触れながら気に入った作品を紹介。

第1章:憧れのカットガラス
ここは薩摩切子が手本にしたイギリスやボヘミアのカットグラス、江戸切子などが展示されていました。薩摩切子が誕生する前から、薩摩藩主(27代)島津斉興が気に入ってた作品なんかがあった。「江戸切子 三ツ組盃・盃台」やボヘミアのガラスの華麗さに惹かれます。
ここで知っておきたいカットが「ストロベリー・ダイアモンドカット」日本語でいうと「斜め格子に魚子紋(ななこもん)」 この展覧で頻出のカット方法です。解説でよくわかりますので、解説機を使うことをお勧めします。

第2章:薩摩切子の誕生、そして興隆
財政難だった薩摩藩は、薬で財政を立て直そうとして、強い酸に対抗できるガラス瓶が必要になった。そこで藩主島津斉興が命じて作らせたのが薩摩切子の誕生だとか。風が吹けば桶屋が儲かる的なw 元々、島津斉興がカットグラスが好きだったのも影響してるらしい。
ここは素晴らしい作品が多く、特に「藍色被船形鉢」が良かった。その名の通り船の形をしているんだけど色と造詣から力強い印象を感じました。薩摩切子は主に無色・藍色・赤・茶などで、藍色は特に鮮烈な感じがします。赤色の切子も力強くて、薩摩のイメージにぴったりでした。
他にも切子の文鎮とかもあって、スタイリッシュな感じ。

ぼかしと言われる技法を使ってグラデーションを出したり、グラスの厚さを生かした高度な技術も観る事ができます。ちなみにカットは手作業だとか。驚嘆です。

第3章:名士たちの薩摩切子
階段を降りて3F。作品的にはここが最高峰かな。去年の大河ドラマの篤姫ゆかりの品もあった。
「藍色被三段重盃・盃台」は1章の「江戸切子 三ツ組盃・盃台」に似ているけど、こっちの方が好み。藍色の上品さが何とも良いです。脚のぼかしとかが良かったです。
「藍色被栓付瓶」 2つで対になってた瓶ですが側面のカットの細かさが素晴らしかった。
ここにある篤姫の嫁入り道具のちびっこい切子や、緑色の切子も良かった。

第4章:進化する薩摩切子
ここには一番好きになった「紫色被ちろり」と「黄色小鉢」があり、それだけでも楽しい。段々と応用の幅が広がって新しい境地を開いていくのがわかる。
「紫色被ちろり」の細部まで凝った造詣と涼しげな紫色は至高の一品と言っていいと思います。
このまま薩摩切子が続いていれば。。。

第5章:薩摩切子の行方
微妙な作品があったりするのはここのコーナーです。
薩英戦争に突入して、工場が砲撃でぶっ壊されてしまい、急速に薩摩切子は終焉に向かっていく。終焉の頃には何をもって薩摩切子とするのか?が曖昧で、これぞ薩摩切子!ってものからこれって薩摩切子?ってものまであるらしいです。素人の私には区別は付きません(><)
しかし、薩摩切子が脈々と繋がっていることがわかる内容でした。


ということで、薩摩切子を一気に知ることが出来て満足でした。多分また来ると思う。



おまけ ミッドタウンの写真
ビルの方にはヤフーとかホテルリッツカールトンなんかが入ってます。
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ガーデンテラス内部。サントリー美術館のあたりです。和風を取り入れた建築が美しく上品です。
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  後日、またこの展覧会に行きました。その時の感想はこちらです。引き続きお願いします。


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