関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

没後100年 渡辺省亭特別展 【迎賓館赤坂離宮 花鳥の間】

前回に引き続き、迎賓館赤坂離宮についてです。前回は外観についてご紹介しましたが、今日は内観についてとなります。花鳥の間では特別展として「没後100年 渡辺省亭特別展」が行われていましたので、展覧会の様子と共にご紹介していこうと思います。

DSC04633.jpg

【展覧名】
 没後100年 渡辺省亭特別展

【公式サイト】
 https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/akasaka_news/seitei2018/

【会場】迎賓館赤坂離宮 花鳥の間
【最寄】四ツ谷駅

【会期】2018年8月31日(金)~10月6日(土)(開催期間が短縮される場合あり)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度(+館内見学に1時間程度)

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むこともなく、自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は迎賓館赤坂離宮の花鳥の間で行われている特別展ですが、会場と一体化するように30点の七宝焼きによる絵画作品が並んでいます。この展示を観に行くためには迎賓館の館内を進んで行く必要があるので、せっかくなので迎賓館の見学ルートも合わせてご紹介していこうと思います。なお、迎賓館赤坂離宮の建物自体については前回の外観の記事に記載しておきましたので、そちらをご参照頂ければと思います。
 参考記事:片山東熊 【迎賓館赤坂離宮】(外観の写真 2018年9月)


<正面玄関・中央階段> ★こちらで観られます
前回の記事でご紹介した建物の右側辺りから見学ルートはスタートするのですが、まずは玄関と中央階段から観ていくルートでした。実際には玄関も中央階段も入ることができないのですが、玄関は大理石による市松模様が美しく、ドアの装飾なども見事です。そして赤みがかった大理石の壁に囲まれた階段を登った所には8本の大理石の柱と、小磯良平の大型作品が2枚あります。(実際には中央階段の上の辺りは花鳥の間の後にルートに組み込まれているのですが、ここだけ先にご紹介しておきます)
小磯良平の作品は「絵画」と「音楽」というタイトルの2枚で、いずれも室内の群像となっています。特に右側の「音楽」は室内で演奏する様子が描かれ優美で気品があります。かなり大きな絵なので、描くのにも時間がかかったという話を館内の解説で流していました。
また、階段上で特に目を引くのが8本の柱で、いずれもイタリア産のビアンコ・カララという大理石でできています。その模様がダイナミックかつ重厚感に溢れていて、天然の芸術ぶりに驚かされました。


<花鳥の間> ★こちらで観られます
玄関の後は中央階段ではない別の階段を登って2階へ向かいます。この迎賓館では絨毯の上以外は歩けない&壁などにも手を触れることができないのですが、階段の手すりだけは触ってOKですw 
そして、花鳥の間に入ると、すぐにその豪華さに圧倒されます。重厚なアンリ2世様式の部屋で、かつては「饗宴の間」と呼ばれ、現在では公式晩餐会や記者会見に使われています。館内にはパネルでトランプ大統領が訪れた時の写真なんかも展示されているので、ニュースなどで見覚えがある部屋かもしれません。
この部屋の見所は巨大な食器棚とシャンデリア、天井画、部屋の名前の由来となった花鳥画の七宝焼です。まず、食器棚は大きな鏡があり、部屋が倍の広さに思えるくらいでした。そしてシャンデリアはこの1t以上ある迎賓館の中で最も重いもので、燭台が無数に立っているような趣があります。天井画については完全にフランスの王宮を思わせる画風で、実際にフランス人が描いているようです。天井を覆い尽くすように鳥たちなどが描かれていました。そして今回の特別展示となっている30点の渡辺省亭の花鳥画が壁面に並んでいました。


<没後100年 渡辺省亭特別展> ★こちらで観られます
今回の展示の期間中は全30点観られるのですが、30点一気に観られるのは中々無い機会のようです。実物だけでなくデジタルサイネージでも解説しているので心ゆくまで鑑賞することができます。また、全作品が載っているリーフレットも貰えてお得でした。

花鳥画の下絵は渡辺省亭(わたなべせいてい)、七宝にしたのは濤川惣助(なみかわそうすけ)という豪華なタッグで作られたもので、渡辺省亭は渡仏してマネやドガと交流し欧米にも多くの作品が残る日本画家で、ブラックモンなどにも影響を受けた写実と叙情性を兼ね備えた画風となっています。
 参考記事:日本画と洋画のはざまで (山種美術館)
モチーフは様々で、「燕に夾竹桃」「巴鴨に葦・寒菊」といった感じで季節感を感じる鳥と花がセットになって楕円形の画面に情緒豊かに表現されています。細部まで繊細に描かれているのですが、動きを感じさせたり 逆に静けさを感じさせたりと、絵の巧さよりも日本の自然の美しさを感じさせてくれます。ぼかしや線描をあまり使わない描法は伝統的な日本画とは違った艶めかしさがあり、七宝とは思えないくらい微妙な色彩となっているのは流石は濤川惣助と言ったところでしょうか。
この部屋だけで20分くらい観ていましたが、非常に見応えがあるのでここだけでも十分に満足できました。

この後、先程の中央階段を登った辺りを通って、次の大部屋へと向かいます。


<彩鸞の間> ★こちらで観られます
こちらは打って変わって白地に金彩の華麗な雰囲気の部屋で、ナポレオン1世の頃のアンピール様式となっています。本来は来客の控えの間だったようですが、「朝日の間」が改修工事中ということもあって天皇陛下や首相が国家元首との懇談やや首脳会談などにも使われているようです。この部屋は金のレリーフを観るのが面白くて、洋風の部屋なのに日本の鎧兜や刀を象ったものなどもあります。また、この部屋の名前の由来となった「鸞(らん)」という霊鳥が暖炉の上で羽を広げていて、その下の両脇にも鸞の姿があります。鸞は前回の外観の記事でもご紹介した通り、建物の屋根の上にもいるので、この建物にゆかりの深い霊鳥と言えそうです。鸞は中国の霊鳥だし、フランス・日本・中国のモチーフが破綻することなく調和しているのは日本っぽいと言えそうでしたw


<朝日の間> ★こちらで観られます
こちらは残念ながら改修中で見学できませんでした。「謁見の間」に相当する最も格式ある部屋らしいので、いずれリベンジしたいです。2019年4月に公開再開する予定なのだとか。


<羽衣の間> ★こちらで観られます
最後はかつて舞踏室で現在も演奏会などが行われる羽衣の間です。名前の由来は天井画に謡曲「羽衣」をモチーフにした絵が描かれているためで、花が舞っているような可憐な雰囲気となっています。また、この部屋の大きな特徴として2階部分にオーケストラボックスがあります。ちょっと狭そうにも思いますが、ここで生演奏しながら舞踏会をするのを想定していたんでしょうね。この部屋のシャンデリアは館内で最も大きなものらしく、小さなガラス玉がキラキラと輝く様子はまさに王宮そのものと言った感じでした。


ということで、迎賓館の内観と共に渡辺省亭と濤川惣助の合作を楽しむことができました。朝日の間が改修中だったのがちょっと悔やまれますが、快適に見て回れて良かったです。現役で使われている建物だけに警備も厳しいですが、その分 ニュースなどで観る度に思い出せるかも知れませんw 日本人なら一度は観ておきたい建物の1つではないかと思います。

関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト

全記事の一覧リンク

カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する

日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。

<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~ 
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション

<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス

<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
22位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
3位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。