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京都・醍醐寺-真言密教の宇宙- (感想後編)【サントリー美術館】

前回に引き続きサントリー美術館の「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」についてです。前編は上階の1~2章についてでしたが、今日は下階の3~4章の展示についてです。まずは概要のおさらいです。

 前編はこちら

DSC04646.jpg

【展覧名】
 京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-

【公式サイト】
 http://daigoji.exhn.jp/
 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_4/

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2018年9月19日(水)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
後半も前半同様に混んでいる所がありました。前半で書き忘れましたが、この展示は細かく会期が分かれていて、私が観たのは2018/9/29時点の内容です。お目当ての品がある方は事前に出品リストで会期を確認しておくことをおすすめします。
 参考リンク:醍醐寺展出品リスト

前編では醍醐寺の成り立ちや仏画・仏像が多かったですが、後半はその後の権力との繋がりを示す品や、秀吉の時代の復興に関する絢爛豪華な品などが並んでいました。


<階段下(1章に相当)>
下階の階段下は1章に属する平安時代に作られた「薬師如来および両脇侍像」が展示されていました。かなりの大型作品です。

14 「薬師如来および両脇侍像」 ★こちらで観られます
こちらは上醍醐薬師堂の本尊で、907年に醍醐天皇の御願として聖宝により作られ始め、弟子の観賢によって完成されたそうです。中央に薬師如来像が座って中指を折る印を組み、左手の掌には薬壷という壺を乗せています。奈良時代の仏像を意識した作りらしく、座っていても2mくらいあって見上げるような大きさでどっしりとした質感となっています。薄っすらと目を開き光背には6体の化仏の姿もあるなど、細部まで見応えがあります。また、両脇には日光菩薩・月光菩薩がが対となるようなポーズで立ち 蓮の花を持っていて、優美な姿となっていました。
音声解説のみうらじゅん氏によると、薬師如来像の足が相対的に小さいとのことで、確かに上半身の厚みに目が行くような作りとなっていました。


<第3章 法脈を伝える―権力との結びつき―>
3章は醍醐寺と権力との結びつきについてのコーナーです。修法が多く行われるようになると、異なる修法次第が生まれ、醍醐寺内でもいくつかの流派が生まれたようです。その中心となったのは第14代座主 勝覚の立てた醍醐寺三宝院を拠点とする三宝院流で、この院の院主は醍醐寺の座主を兼ねることも多かったようです。足利尊氏の政権での賢俊や足利義満から三代の将軍に仕えた満済など権力者の帰依によって寺は繁栄していきますが、どうやら権力争いが醍醐寺にも影響を与えることもあったようです。ここにはそうした権力との繋がりを示す書状などが多めとなっていました。

75 「三国祖師影」 ★こちらで観られます
こちらはインド・中国・日本の合計46名の高僧の肖像が描かれた巻物です。その半分以上が真言宗に関連する僧侶で、特に醍醐寺と同じ小野流が多いようです。中には聖宝の姿もあって、血脈や法流を重視し正当性を可視化しているとのことですが、正直みんな同じ顔に見えるw 唇だけ赤く塗られているのが不思議ですが、ちょっとギョロッとした表情をした僧たちがちょっとゆるくて面白かったです。

この近くには醍醐寺の歴代の僧たちの肖像もありました。かなり傷んでいるので図様が分かりにくいのがやや難点。その先には秘鈔という修法をまとめた巻物などもありました。

93 「賢俊書状」
こちらは観応の擾乱(足利尊氏と弟の足利直義の内紛で南北朝の争いが激化した)で京都から逃れる足利尊氏に同行した賢俊が弟子に宛てた手紙です。後のことを託す旨と 僧の身でありながら従軍することを嘆き苦しんでいる様子が書かれているようですが、一方で足利尊氏に運命を委ねる胸の内も書かれているようです。あまり上手い字には思えませんが、手紙の最後の方になるに連れて行間が詰まって文字が小さくなっているので、書きたいことが沢山あって伝えきれないくらいだったのではないかと思いながら観ていました。手紙って後から後から書くことを思いつくとこうなりがちですよねw

この隣には賢俊の日記もありました。こうした資料によって日本史の細部まで分かるんですね。ちなみに足利尊氏は北朝を擁立した側で、後醍醐天皇は南朝の初代天皇です。

91 後醍醐天皇 「天長印信」 ★こちらで観られます
こちらは後醍醐天皇自身が写した書で、醍醐寺の座主に与えたものです。元になったのは826年に空海が弟子に密教の秘法を授けた際の証明として書いたもので、密教の免許皆伝の証明書みたいなものかな。後醍醐天皇はこれを写して2ヶ月後に崩御したそうですが、そうは見えないくらい力強い筆使いで、太めの文字が堂々たる雰囲気を讃えています。以来、この書は醍醐寺の正当な後継者の証となったそうです。ちなみにこれを貰った弘真は後醍醐天皇についたようなので、醍醐寺の中でも北朝派と南朝派がいたようです。権力に近いだけに政争の負の影響も受けた時代があったんですね。


<第4章 義演、醍醐寺を再びおこす>
最後の4章は一気に時代が進んで桃山時代のコーナーです。16世紀末に第80代座主となった義演は豊臣秀吉などの保護を受けて戦乱で荒廃した伽藍の復興を進めたそうです。そして秀吉 最晩年(1598年)に開いた「醍醐の花見」は桃山時代の文化の象徴として現在でも広く知られています。この章では復興や醍醐の花見に関する品などが並んでいました。

117 「三宝院障壁画 竹林花鳥図(勅使之間)」
こちらは長谷川等伯の長谷川派が描いたと考えられる襖絵です。竹林と池が描かれ、池には2羽の鳥(鴛鴦?)の姿もあります。解説によると狩野派の花鳥画の影響も受けているとのことですが、割と柔らかい雰囲気であまりそうは思えなかったかな。現在は結構傷んでいますが、金砂子が使われているなど当時は華麗な襖絵だったのだろうと想像しながら観ていました。

116 「三宝院障壁画 柳草花図(表書院上段之間)」 ★こちらで観られます
こちらは柳が風に舞っている様子を描いた4面の襖絵です。こちらも現在はボロボロに傷んでいますが、切箔、砂子、野毛(細い切箔)を散らしていて風が吹き渡っている雰囲気が伝わってきます。金雲で奥行きも感じられるかな。軽やかで風情が感じられる名品です。

119 俵屋宗達筆 「扇面散図屏風」 ★こちらで観られます
こちらは二曲一双の金地の屏風で、11枚の扇が散らされています。扇の中には保元物語・伊勢物語・執金剛神縁起・九相図絵などに取材した画中画が描かれ、非常に雅な雰囲気となっています。よく観ると滲みを活かした「たらし込み」など後の琳派の伝統技法となる表現なども観られ、デフォルメ具合も面白い作品でした。俵屋宗達の作品も観られるとは思いがけず、得した気分ですw

この隣にも俵屋宗達による「芦鴨図衝立」がありました。

107 「醍醐花見短冊」 ★こちらで観られます
こちらは醍醐寺の花見で詠まれた歌を短冊にした作品です。金地に醍醐の桜を表した豪華な短冊で、そこに流麗な文字が舞うように書かれています。非常に雅で、夢のような花見を凝縮したような仕上がりとなっていました。

ちなみに、醍醐の花見は結構な下準備をして木を植えたりもしていたようです。日取りも花の咲き具合を観ながらスケジューリングしたようで、まさに一大プロジェクトです。これで雨とか降ってたらどうなってたんだろ…とプロジェクトマネージメントの方が気になるのはサラリーマンの悲しい性でしょうかw

最後の辺りには豊臣秀吉のイメージ通りの「豊臣秀吉像」などもありました。


ということで、後半も予想以上に見どころが多い展示となっていました。これだけ貴重な品が醍醐寺以外で観られるのは貴重な機会だと思いますので、気になる方は是非どうぞ。特に仏像好きの方にオススメの展示です。
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