古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ- 【国立西洋美術館】
今年は遺跡ものの美術展が盛んで、この古代ローマ展も予告の頃から気になっていた展覧です。夏のエジプト関連の展覧はことごとくスルーしてしまった(っていうか行く暇が無かった)ので、今度の展示も同じように見逃したらヤバイと思って、優先度高めで行ってきました。

【展覧名】
国立西洋美術館開館50周年記念事業
「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」
【公式サイト】
http://roma2009.jp/index.html
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年9月19日(土)~12月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
よくぞこんな貴重なものを持ってきたなーと感心する内容で、まさに西洋美術の根本のような内容で面白い内容でした。早速、いつもどおり章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、何故か実際に置かれていた場所と、リストの章が違っているようです。 なので、メモを元に実際に置かれていた場所で紹介しようかと思います。章が間違ってたらすみませんw
<第1章 帝国の誕生>
世界史を履修していなかった私にとって、ローマ帝国って一体どんなものだったのか?というのは、もやーっと知っているものの詳しくは知らなかったのですが、この章ではしっかりとその辺を知ることができました。
「アウグストゥスの胸像 (オクタウィアヌス・タイプ)」
初代皇帝の胸像です。リアルな人間味があって、流石に立派で意思が強そうです。知ってる方も多いかと思いますが、この皇帝は暗殺された独裁官カエサルの姪の子です。「ブルータスお前もか?」のセリフで有名な暗殺劇ですが、これはオクタウィアヌスにとってかなりの教訓になったようで、初代皇帝アウグストゥス(=尊厳者?)となっても、自分は「市民の第一人者(プリンケプス)」であるとして、権力を市民から委託されているという形を取りました。そういう背景が理由で、この胸像もギリシアの様式を取り入れています。というのも、ローマの伝統的な様式は名家の主が死ぬと蝋で作られ権力を誇示するような表現らしく、「第一人者」を喧伝したいアウグストゥスにとってはギリシアの様式の方が妥当だったようです。そう聞くとそこまで考えて作られてるのかと重みを感じますね。
「皇帝座像(アウグストゥス)」 ★こちらで観られます
こちらはアウグストゥスをユピテル神(=ゼウス)として神格化した座像。左腕を上げて丸めた紙を持っています。大きくて迫力があり、眉間に皺を寄せたり腕の血管が浮き上がるなど細かい表現も見事です。皺の表現まで細かいのはヘレニズム時代の文化に通じるというような解説があったように記憶しています。なお、これが発見されたエルコラーノの街はポンペイと同様に火山の噴火で埋もれた都市なのだとか。悠久の歴史を感じます。
「カリアティド」
カリアティドというのは柱の代わりに用いられた女性像のことです。手にたいまつのようなものを持って重そうな衣装を着てどっしりした女性像ですが、スタイルが良くて端整で上品な顔をしていました。柱を女性像にしようと考える当時の人たちの美意識は素晴らしいですね。
「エウマキアの像」
羊毛の商人の娘の像で、古代ギリシアの巫女の格好をしています。うっすらと乳首が浮くぐらい薄い布をまとっていて、ヒダも見事に表現されていました。彫刻なのに薄布の感じが出るのは本当に驚きます。
<第2章 アウグストゥスの帝国とその機構>
この章は内乱で荒れた国内を建て直し、平和のをもたらした仕組みなどが紹介されていました。フレスコ画が多かったかな。
「イシスの儀式」 ★こちらで観られます
これはフレスコ画です。陰謀で棺に入れられ殺されたオシリスを、儀式で復活させた妻のイシスが描かれています。イシスは献身的な妻としてローマでも信仰されたようです。(余談ですが、他の展覧でイシスとホルスの親子は聖母子のモデルになったって話も聞いたかな) このフレスコ画の中央上部には踊る黒人(エチオピア人)、右には椰子の木、階段下の前にひざまづいているなど、場所や場面を劇のように描いていました。ローマはイシスのように他国の宗教も取り入れていた証拠のようでした。
「アポロ像」
頭に月桂樹を乗せた裸の青年。顔はアルカイック様式だそうで、左右対称で動きがありません。それに対して首より下はクラシック様式で左右非対称となっていました。作品が見事なだけでなく1つに2つの様式があるという解説も面白いです。謎の動物も一緒にいましたw
「ユピテル・アモンの竿秤」
バールのようなもの?w 「の字になった秤です。秤の腕にユピテルのおもりがあり、1~10の目盛のつりあう所で重さが分かるようでした。こういう尺度の統一は統治に重要な項目ですが、単なる道具でなく芸術的なところがあるのが流石ローマです。
「ディオニュソスとアリアドネ」
フレスコです。背を向けて練る裸婦(アリアドネ)と、その寝ている布団のようなマント?と持つ牧神パンと、ディオニソスが描かれています。ディオニソスはパンに持たれかかっているようです。これはミノタウロスを退治したテセウスに置き去りにされたアリアドネを助けにきたシーンなのだとか。古くてボロボロでしたがドラマ性のある作品でした。それにしても脱出用の糸まであげたのに、置き去りにされるとは酷いですねw
「骨壷」
薄く緑がかったガラスの壷です。洒落てて綺麗な壷だなーと思ったら骨壷でしたw 中には火葬された骨が入っていました。ヨーロッパは土葬かと思っていましたがローマ時代は火葬だったんですね。
「アウグストゥスのアウレウス金貨」などの金貨と銀貨
1円玉くらいの小さい金貨と銀貨。アウレウスというのは通貨単位のようです。表面にはアウグストゥスの横顔が細かく描かれていて、裏面にはそれを称える内容の文字が彫られているということでした。今も昔も経済は治世の要ですが、こんな精巧な金貨を日本の弥生時代くらいに作ってたとは…。恐るべき文化レベルです。
「金のランプ」 ★こちらで観られます
この辺には指輪などの見事な金細工の作品が多かったのですが、特に見事だったのがこのランプで、蓮の葉っぱのような蓋の付いた豪華なつくりです。謂れはわかりませんが、↑のリンクでちょこっと観られるので見事さがわかるかと思います。
「双頭の蛇の指輪」 ★こちらで観られます
小さな金の指輪ですが、蛇と蛇が向き合ったデザインが秀逸な指輪でした。ヴェスヴィオ火山の大噴火で沈んだポンペイで出土されたものとのことでした。
<第3章 帝国の富>
ローマ文化はギリシア文化を模範にしながら、ローマ伝統の様式を融合させていったようです。ニュアンスとしては中国を模範にした日本文化みたいな感じかな? このコーナーは滅多に観られなそうな作品もあり、一番充実したコーナーでした。
「バルテウス(馬の胸懸)」
多くの馬やローマ兵が戦っている像がついた馬の胸懸で、立体で躍動感と臨場感が素晴らしいです。やめてー!って感じで手で静止する姿などドラマチックでした。偉い人の馬につけてたのかな?
「豹を抱くディオニュソス」 ★こちらで観られます
ちょっと猫みたいな豹を抱いた裸のディオニュソス像。これはポンペイ同様にヴェスヴィオ火山の噴火で沈んだソンマ・ヴェスヴィアーナの街で出土したそうで、左手や指が欠けていますがほぼ完全な形で残っています。ディオニュソスに顔を向ける豹を、愛情深い表情で見つめる顔が印象的です。均整が取れて理想的な身体表現も美しかったです。
「アレッツォのミネルウァ」 ★こちらで観られます
これはこの展覧でも目玉といえる青銅のミネルヴァ像で、イタリア以外では初の展示となる貴重なものです。全身緑色になっている兜をかぶった面長の女神で、腰に帯のようなものをまとい、ヒダにボリューム感があります。動きは少ないですがすらっとした雰囲気で好みでした。
「エロスの噴水彫刻」
イルカを肩に乗せたキューピッド(エロス)の像です。可愛かったw
「砦形のサモワール」
これは砦の形をした置物のように見えましたが火鉢のようです。(中で水を温めるらしいです。) 取っ手も付いていて実用性と装飾性を兼ね備えているようでした。火鉢一つをとってもこういう美術性があるのは文化が豊かだった証拠なんでしょうね。
「水道の弁」
ローマといえば水道事業も有名ですが、これはその弁です。水量を調整する高度な技術が伺えます。結構な大きさですが、この大きさは統一された規格らしいです。本当に2000年近く前とは思えないレベルの高さに驚きっぱなしです。
ここから下の階になるのですが、点数は少ないものの素晴らしい部屋が待っていました。
「庭園の風景」 ★こちらで観られます
会場の壁に実際に取り付けられた壁画で、南壁と東壁があります。南壁は緑の生い茂る庭に少女の肖像と柱があり、その隣に貝の形をした噴水のようなものが描かれています。そして気になるのが上に描かれた首のようなものw これは生首ではなく演劇用の仮面らしいです。 そして東壁の上部中央には翼を広げた鳩がいて、さらに上には黒っぽい半円状の部分があり、鳩や金の林檎などが描かれていました。ちなみに、東壁の真ん中の四角く開いた部分には神像を入れていたようです。かなり大きい壁画で、見るからに貴重なものであるのがわかりました。素晴らしいです。
「モザイクの噴水」
室内用の噴水です。上部がドーム状になった噴水で、実際に使われていたように設置されていました。噴水奥の真ん中の部分は階段があって、そこから水が流れてきたようです(この後にある映像でその再現が見られました) また、両脇には庭と噴水がかかれていました。よく再現展示したものだとこれまた驚きました。
<バーチャルリアリティ映像作品>
「古代ローマ帝国 ポンペイ『庭園の風景』」 ★こちらで観られます
↑のリンク先に2つの映像があって、「庭園の風景」の壁画の元の場所の再現の一部がちょっと観られます。 最後のコーナーにあった15分のVTRでは、先ほどの「庭園の風景」と「モザイクの噴水」の再現や現在の様子などが紹介されていて、かなり分かりやすく当時の様子を想像できる内容でした。映像が長い割りに収容できる人数が少なかったと思いますが、できれば全部観るとこれまで観てきた作品についての理解を一層深めることができるかと思います。
ということで、ローマ文化のことなんて全然知らなくても、美術品を通して一気に深く知ることができる内容だったかと思います。これだけの展示内容はそうそう観られないのでは?と思いますので、今期おさえておきたい展覧の1つだと思います。

【展覧名】
国立西洋美術館開館50周年記念事業
「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」
【公式サイト】
http://roma2009.jp/index.html
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm
【会場】国立西洋美術館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)
【会期】2009年9月19日(土)~12月13日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
よくぞこんな貴重なものを持ってきたなーと感心する内容で、まさに西洋美術の根本のような内容で面白い内容でした。早速、いつもどおり章ごとに気に入った作品をご紹介しようと思うのですが、何故か実際に置かれていた場所と、リストの章が違っているようです。 なので、メモを元に実際に置かれていた場所で紹介しようかと思います。章が間違ってたらすみませんw
<第1章 帝国の誕生>
世界史を履修していなかった私にとって、ローマ帝国って一体どんなものだったのか?というのは、もやーっと知っているものの詳しくは知らなかったのですが、この章ではしっかりとその辺を知ることができました。
「アウグストゥスの胸像 (オクタウィアヌス・タイプ)」
初代皇帝の胸像です。リアルな人間味があって、流石に立派で意思が強そうです。知ってる方も多いかと思いますが、この皇帝は暗殺された独裁官カエサルの姪の子です。「ブルータスお前もか?」のセリフで有名な暗殺劇ですが、これはオクタウィアヌスにとってかなりの教訓になったようで、初代皇帝アウグストゥス(=尊厳者?)となっても、自分は「市民の第一人者(プリンケプス)」であるとして、権力を市民から委託されているという形を取りました。そういう背景が理由で、この胸像もギリシアの様式を取り入れています。というのも、ローマの伝統的な様式は名家の主が死ぬと蝋で作られ権力を誇示するような表現らしく、「第一人者」を喧伝したいアウグストゥスにとってはギリシアの様式の方が妥当だったようです。そう聞くとそこまで考えて作られてるのかと重みを感じますね。
「皇帝座像(アウグストゥス)」 ★こちらで観られます
こちらはアウグストゥスをユピテル神(=ゼウス)として神格化した座像。左腕を上げて丸めた紙を持っています。大きくて迫力があり、眉間に皺を寄せたり腕の血管が浮き上がるなど細かい表現も見事です。皺の表現まで細かいのはヘレニズム時代の文化に通じるというような解説があったように記憶しています。なお、これが発見されたエルコラーノの街はポンペイと同様に火山の噴火で埋もれた都市なのだとか。悠久の歴史を感じます。
「カリアティド」
カリアティドというのは柱の代わりに用いられた女性像のことです。手にたいまつのようなものを持って重そうな衣装を着てどっしりした女性像ですが、スタイルが良くて端整で上品な顔をしていました。柱を女性像にしようと考える当時の人たちの美意識は素晴らしいですね。
「エウマキアの像」
羊毛の商人の娘の像で、古代ギリシアの巫女の格好をしています。うっすらと乳首が浮くぐらい薄い布をまとっていて、ヒダも見事に表現されていました。彫刻なのに薄布の感じが出るのは本当に驚きます。
<第2章 アウグストゥスの帝国とその機構>
この章は内乱で荒れた国内を建て直し、平和のをもたらした仕組みなどが紹介されていました。フレスコ画が多かったかな。
「イシスの儀式」 ★こちらで観られます
これはフレスコ画です。陰謀で棺に入れられ殺されたオシリスを、儀式で復活させた妻のイシスが描かれています。イシスは献身的な妻としてローマでも信仰されたようです。(余談ですが、他の展覧でイシスとホルスの親子は聖母子のモデルになったって話も聞いたかな) このフレスコ画の中央上部には踊る黒人(エチオピア人)、右には椰子の木、階段下の前にひざまづいているなど、場所や場面を劇のように描いていました。ローマはイシスのように他国の宗教も取り入れていた証拠のようでした。
「アポロ像」
頭に月桂樹を乗せた裸の青年。顔はアルカイック様式だそうで、左右対称で動きがありません。それに対して首より下はクラシック様式で左右非対称となっていました。作品が見事なだけでなく1つに2つの様式があるという解説も面白いです。謎の動物も一緒にいましたw
「ユピテル・アモンの竿秤」
バールのようなもの?w 「の字になった秤です。秤の腕にユピテルのおもりがあり、1~10の目盛のつりあう所で重さが分かるようでした。こういう尺度の統一は統治に重要な項目ですが、単なる道具でなく芸術的なところがあるのが流石ローマです。
「ディオニュソスとアリアドネ」
フレスコです。背を向けて練る裸婦(アリアドネ)と、その寝ている布団のようなマント?と持つ牧神パンと、ディオニソスが描かれています。ディオニソスはパンに持たれかかっているようです。これはミノタウロスを退治したテセウスに置き去りにされたアリアドネを助けにきたシーンなのだとか。古くてボロボロでしたがドラマ性のある作品でした。それにしても脱出用の糸まであげたのに、置き去りにされるとは酷いですねw
「骨壷」
薄く緑がかったガラスの壷です。洒落てて綺麗な壷だなーと思ったら骨壷でしたw 中には火葬された骨が入っていました。ヨーロッパは土葬かと思っていましたがローマ時代は火葬だったんですね。
「アウグストゥスのアウレウス金貨」などの金貨と銀貨
1円玉くらいの小さい金貨と銀貨。アウレウスというのは通貨単位のようです。表面にはアウグストゥスの横顔が細かく描かれていて、裏面にはそれを称える内容の文字が彫られているということでした。今も昔も経済は治世の要ですが、こんな精巧な金貨を日本の弥生時代くらいに作ってたとは…。恐るべき文化レベルです。
「金のランプ」 ★こちらで観られます
この辺には指輪などの見事な金細工の作品が多かったのですが、特に見事だったのがこのランプで、蓮の葉っぱのような蓋の付いた豪華なつくりです。謂れはわかりませんが、↑のリンクでちょこっと観られるので見事さがわかるかと思います。
「双頭の蛇の指輪」 ★こちらで観られます
小さな金の指輪ですが、蛇と蛇が向き合ったデザインが秀逸な指輪でした。ヴェスヴィオ火山の大噴火で沈んだポンペイで出土されたものとのことでした。
<第3章 帝国の富>
ローマ文化はギリシア文化を模範にしながら、ローマ伝統の様式を融合させていったようです。ニュアンスとしては中国を模範にした日本文化みたいな感じかな? このコーナーは滅多に観られなそうな作品もあり、一番充実したコーナーでした。
「バルテウス(馬の胸懸)」
多くの馬やローマ兵が戦っている像がついた馬の胸懸で、立体で躍動感と臨場感が素晴らしいです。やめてー!って感じで手で静止する姿などドラマチックでした。偉い人の馬につけてたのかな?
「豹を抱くディオニュソス」 ★こちらで観られます
ちょっと猫みたいな豹を抱いた裸のディオニュソス像。これはポンペイ同様にヴェスヴィオ火山の噴火で沈んだソンマ・ヴェスヴィアーナの街で出土したそうで、左手や指が欠けていますがほぼ完全な形で残っています。ディオニュソスに顔を向ける豹を、愛情深い表情で見つめる顔が印象的です。均整が取れて理想的な身体表現も美しかったです。
「アレッツォのミネルウァ」 ★こちらで観られます
これはこの展覧でも目玉といえる青銅のミネルヴァ像で、イタリア以外では初の展示となる貴重なものです。全身緑色になっている兜をかぶった面長の女神で、腰に帯のようなものをまとい、ヒダにボリューム感があります。動きは少ないですがすらっとした雰囲気で好みでした。
「エロスの噴水彫刻」
イルカを肩に乗せたキューピッド(エロス)の像です。可愛かったw
「砦形のサモワール」
これは砦の形をした置物のように見えましたが火鉢のようです。(中で水を温めるらしいです。) 取っ手も付いていて実用性と装飾性を兼ね備えているようでした。火鉢一つをとってもこういう美術性があるのは文化が豊かだった証拠なんでしょうね。
「水道の弁」
ローマといえば水道事業も有名ですが、これはその弁です。水量を調整する高度な技術が伺えます。結構な大きさですが、この大きさは統一された規格らしいです。本当に2000年近く前とは思えないレベルの高さに驚きっぱなしです。
ここから下の階になるのですが、点数は少ないものの素晴らしい部屋が待っていました。
「庭園の風景」 ★こちらで観られます
会場の壁に実際に取り付けられた壁画で、南壁と東壁があります。南壁は緑の生い茂る庭に少女の肖像と柱があり、その隣に貝の形をした噴水のようなものが描かれています。そして気になるのが上に描かれた首のようなものw これは生首ではなく演劇用の仮面らしいです。 そして東壁の上部中央には翼を広げた鳩がいて、さらに上には黒っぽい半円状の部分があり、鳩や金の林檎などが描かれていました。ちなみに、東壁の真ん中の四角く開いた部分には神像を入れていたようです。かなり大きい壁画で、見るからに貴重なものであるのがわかりました。素晴らしいです。
「モザイクの噴水」
室内用の噴水です。上部がドーム状になった噴水で、実際に使われていたように設置されていました。噴水奥の真ん中の部分は階段があって、そこから水が流れてきたようです(この後にある映像でその再現が見られました) また、両脇には庭と噴水がかかれていました。よく再現展示したものだとこれまた驚きました。
<バーチャルリアリティ映像作品>
「古代ローマ帝国 ポンペイ『庭園の風景』」 ★こちらで観られます
↑のリンク先に2つの映像があって、「庭園の風景」の壁画の元の場所の再現の一部がちょっと観られます。 最後のコーナーにあった15分のVTRでは、先ほどの「庭園の風景」と「モザイクの噴水」の再現や現在の様子などが紹介されていて、かなり分かりやすく当時の様子を想像できる内容でした。映像が長い割りに収容できる人数が少なかったと思いますが、できれば全部観るとこれまで観てきた作品についての理解を一層深めることができるかと思います。
ということで、ローマ文化のことなんて全然知らなくても、美術品を通して一気に深く知ることができる内容だったかと思います。これだけの展示内容はそうそう観られないのでは?と思いますので、今期おさえておきたい展覧の1つだと思います。
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