関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

インゲヤード・ローマン展 【東京国立近代美術館 工芸館】

2週間ほど前の土曜日に竹橋の東京国立近代美術館 工芸館で「日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 インゲヤード・ローマン展」を観てきました。この展示は一部だけ撮影可能となっていましたので、写真を交えながらご紹介していこうと思います。

DSC06932.jpg

【展覧名】
 日本・スウェーデン外交関係樹立150周年
 インゲヤード・ローマン展

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/ingegerd_2018/

【会場】東京国立近代美術館 工芸館
【最寄】竹橋駅

【会期】2018年9月14日(金)~12月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 時間分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くのお客さんで賑わっていて、場所によっては人だかりが出来るくらいでしたが概ね自分のペースで見ることができました。

さて、この展示はインゲヤード・ローマンという現役のスウェーデンを代表するデザイナーの作品を紹介するもので、ガラス器と陶芸作品が主な展示物となっています。デザインに詳しい方はその名を聞いたことがあるかも知れませんが 簡単に経歴をご紹介すると、インゲヤード・ローマンは1943年のストックホルム生まれで、ストックホルムのコンストファク(スウェーデン国立美術工芸デザイン大学)や、英国のルートン・カレッジ・オブ・テクノロジー、イタリアの国立ファエンツァ陶芸美術学校などでデザインや陶芸などを学びました。そして、1968年の卒業と同時にガラス王国と呼ばれるスモーランドにあるガラスメーカーのヨハンスフォース社に入社しました。当時の世相としては高度な職人技術は不要な贅沢とされ、鮮やかなガラス製品だけがもてはやされていたようですが、インゲヤード・ローマンはその時代に逆らい、透明なガラスで水差しをデザインしました。それは堂々とした彫刻のようでありながらシンプルなデザインで、今では伝説的な作品となっているようです。 そして1972年に自身の陶芸工房を構え、ティーカップとしても器しても使うことができる「te-mat(テマ)ボウル」を作り始めました。 それ以降もずっとこのボウルを作り続けているようで、評価も高まり1995年にはスウェーデン政府からプロフェッサーの称号も得ています。
インゲヤード・ローマンの作風としては素材本来の美しさを活かすこと、普段の生活で使用可能であること、長きに渡って生産され続けること、多目的に使えるもの といったことにこだわっているようです。この展示でもそのこだわりを感じられる作品が並んでいました。 部屋ごとの様子をメモしてきましたので簡単に振り返っていこうと思います。

まず最初の部屋には真っ黒なボウルとガラスのコップが並んでいました。この陶器のボウルは漆のように艷やかな黒をしていて、かなりシンプルな形ですが使いやすそうなデザインとなっています。また、少し先には「クリスタルアイ」という円筒形の切子のような花瓶?があり、幾何学的でリズミカルな美しさを持っていました。他にはお椀みたいな形のティーカップもありました。やはり黒が独特で、シンプルかつ優美な雰囲気です。

次の和室にはダンボールで作った円筒形のボウルがあり、確かに彫刻のような花瓶となっていてダンボールとは思えないほどの気品が漂っています。しかし素材は一目でダンボールと分かる面もあって、これには驚かされました。和室の雰囲気にもあっているし、和との相性も良さそうなデザインです。他にも編みカゴのような蓋の作品もありました。

その先には「カラカラ」という灰色・白・黒の縞模様の作品があり、マーブル紋を彷彿とさせました。これもシンプルなようで洗練されたデザインです。また、金彩した作品などは日本の器のような雰囲気を感じました。結構、漆器に通じるものがあるので、日本の伝統工芸からの影響もあるのではないかと思います。
同じ部屋には薄い青のガラス瓶もあり、薄手で曲線が美しいデザインとなっていました。雫のような形の小さなガラス器などを観ていると、最小限の形で美しさを感じるのは自然の中にもある形だからなのかもしれないと思えました。

その先は1部屋だけ撮影可能となっていましたので、写真を使っていこうと思います。

こんな感じでずらっと並んでいます。
20181110 162332
ここ以外もこんな感じの展示方法です。

ここまで文章だったので中々伝わりづらかったと思いますが、ガラス器はこんな感じの作風です。
DSC06938.jpg
割と素朴さもありつつ、普遍的な美しさがあります。必要以上に華美ではなく、用の美も兼ね備えた感じです。

この佇まいが凛とした雰囲気でした。
DSC06942.jpg
使い勝手も良さそうです。

こちらは重ね置きしたもの。重ね置きできるって便利ですよねw
DSC06946.jpg
江戸時代の三つ重ねの杯を彷彿としました。

こちらは陶器のカップ
DSC06948.jpg
白も美しいですが、この艷やかな黒が好みです。

こちらもカップやボウル。
DSC06955.jpg
いずれも円や直線で構成されていて、リズムさえ感じられます(配置も中々良い感じw)

ボウルのアップ。
DSC06956.jpg
同心円状に並べると芸術品そのものといったオーラがありますね。

こちらも水差しなどを並べたもの。
DSC06961.jpg 20181110 162346
このシンプルさ故に観ていて飽きないデザインです。

再びガラス器
DSC06964.jpg
どの角度から観ても美しく見えるのが凄いw


と、こんな感じです。
休憩室では作業の様子を映像で流していました。日本語訳が無いのが残念w

その次の部屋では小さなガラス瓶やグラスを展示していました。ここまで観た作風と似ていて、可憐な印象を受けます。また、スウェーデン議会の為の椅子用紋章をデザインしたものもあり、左右のライオンのような生物が王冠の載った紋章を支えるデザインとなっています。周りには王冠を彫刻したスウェーデン議会のガラス器も展示されていました。

この辺りで気になったのは、「りんご」という冷たいシードルのためのグラスで、丸みを帯びて流れるようなフォルムが美しく感じられました。一方、コニャックの為のグラスは底に金色の三角錐が立っている変わったデザインで、飲む時に見た目も楽しめそうでした。この辺は飲み物に応じてデザインも変えているのかな? 他には幾重にも重なる楕円形の平皿があり、同心円状で植物を思わせる優美さを持ち、影も縞模様になっていて非常に美しい作品でした。

最後の部屋はかなり驚きで、滝が流れ落ちる映像が壁一面に投影されていました。ここまで陶器とガラスが中心だったので面くらいましたが、これもインゲヤード・ローマンの作品で、カロリンスカ研究所で実際に使われているもののようです。涼しげで雄大さを感じる作品です。 この部屋には他にもそら豆のような形の池をデザインした「ビーン」といった作品や、ワシントンのハウス・オブ・スウェーデン(大使館)の水の流れを使ったようなデザインの写真などもあり、器だけでなく建築デザインにも参加している様子が伺えました。


ということで、インゲヤード・ローマンの魅力がよく分かる展示となっていました。日本でも実際に販売もされていてファンも多いようです。シンプルさが日本の感性にも通じる所があるので、その人気も納得かな。ガラスや器が好きな方にオススメの展示です。
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