関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

異国で描く 【東京オペラシティアートギャラリー】

日付が変わって昨日となりましたが、土曜日に初台の東京オペラシティアートギャラリーで展示を観てきました。類似の展示を連続して記事にしたいので、企画展より先に常設展示の「収蔵品展064 異国で描く」を先にご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 収蔵品展064 異国で描く

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh215.php

【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2018年10月19日(金)~12月24日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、今回の収蔵品展は「異国で描く」ということで、異国をモチーフにした現代の作品が並んでいました。展示の後半のproject N73では中村太一 氏という現在活躍されている三十代のアーティストのコーナーもありましたので、合わせてご紹介していこうと思います。


<異国で描く>
まずは今回の収蔵品展です。特に解説などは無かったのですが、気に入った作品をいくつか挙げて参ります。

34 西野陽一 「竜宮1」
こちらは恐らく屏風で、4曲の画面に海の中の珊瑚礁を描いています。無数の魚や亀などもいて、沖縄の海などを思い起こすのですが全体的に色は抑えめで灰色がかっている部分もあったりします。その為、珊瑚が赤々として見えて、他の部分は一種の山水のような趣があるように思えました。

隣には「竜宮2」という作品もありました。

36 西野陽一 「茜」 ★こちらで観られます
こちらは今回の展示のパンフレットの挿絵などになっている作品で、大きな朧月を背景に手前にぼんやりとした木々の影が立ち並び、その左上辺りを2羽の虹色の鳥が飛んでいる様子が描かれています。淡く幻想的な背景と対照的にカラフルで動きのある鳥が目を引きます。熱帯の異国を思わせる風景なのに、どこか郷愁を感じるのが不思議な魅力となっていました。

38 西野陽一 「飛行家族」 ★こちらで観られます
こちらも4曲の屏風らしき作品で、4匹の手足の長い南方の猿が木から木へと飛び移っている様子が描かれています。皆、一様に右から左へと並んで飛んでいて、軌道も似ているので連続した流れのように見えるのが面白い構成です。さらに背景には薄い墨で一気呵成に描いた木らしきものがあり、墨が飛び散りこちらも動的な印象を受けました。今回の展示でも特に気に入った作品です。

19 廣瀬慶子 「朝もやのベルン」
こちらはトンネル状のアーチになった場所から朝もやに包まれたスイスのベルンの町を描いた作品です。遠くには高い教会が見えていて、手前の広場にはポツンと1人の女性らしき人影が立っています。それが何とも寂しげに見える一方で、朝早い時間の独特の雰囲気が漂っているように思えます。画面下の線路が緩やかにカーブする様子なんかも面白い構図です。また、全体的に繊細に描かれていて緻密な画風なのですが、特に面白いのは画面の枠状になっているアーチの石壁の部分で、ここは厚塗りされてゴツゴツしたマチエールが石の質感をよく表していました。

27 岩永てるみ 「帰郷-リヨン駅-」
こちらはかなり縦長の絵で、フランスのリヨン駅のホームを描いています。画面の大半は半透明となっている天井で、梁は鉄骨が幾何学模様となっていてリズミカルな美しさを感じます。一方、下の方はホームで、列車と沢山の人影が並んでいる様子が描かれています。抑えた色調で人を影で表しているのが旅情溢れる雰囲気で、ノスタルジックな気分になりました。特に目を引く時計もレトロだし、フランスの駅は美しいですね。

この隣にはエッフェル塔の下から眺めた光景を描いた作品もありました。

17 八田哲 「天空」 ★こちらで観られます
こちらもパンフレットの挿絵になっている作品で、全体的にやや青白く見える大聖堂を描いています。歪んで見えるのは恐らくフリーハンドで描いたと思われるやや曲がった直線が多い為かも? 輪郭と濃淡で表現していて細部は割と省略されていますが、離れてみると緻密で大聖堂の迫力が感じられる作品でした。静かで荘厳な雰囲気です。

15 畠中光享 「インドの少女」 ★こちらで観られます
こちらもパンフレットの挿絵になっている作品で、髪を梳かすサリーを着た横向きの少女が描かれています。目が大きく髪の長い女性で、額の真ん中には赤い丸のビンディもあります。サリーの下には真っ赤な服を着ているのが目を引くかな。一方、腕などを観ると非常に痩せていてガリガリな上に 肌に斑点状に黒い色が混じっているので少女というよりは老女のように見えました。理想化せずに現地の人をありのままに描いているように思えました。
この少女はポーズの異なる同様の作品が他に3点ありました。恐らく同じモデルを描いていると思います。

44 内間安瑆 「Space Poem B」
こちらは深い青を背景にした抽象画で、そこにギザギザの線や楕円形の無数の色面が漂っているような感じで描かれています。上の方には白い斑点があったりするので、それが泡でここは海の底の様子なのかな?と思ったり。爽やかな色彩感覚とリズム感の楽しい抽象でした。

48 内間安瑆 「Forest Byobu(Fall)」
こちらは水色・黄色・赤・緑・オレンジ等々の様々な色面が地層のように不定形で積み重なっている様子が描かれた抽象画です。それがパウル・クレーやオットー・ネーベルを彷彿とさせるかな。いずれも淡い色彩で柔らかく温かみを感じさせました。
この作品の近くには同様の作品が他に3点程度並んでいました。

6 相笠昌義 「門番のおばさん」
こちらはコンテによる素描で、椅子に座ってこちらを観るおばさんを正面から描いています。口を結んで無表情で、ちょっと怖そうなおばさんかなw 斜め上から観て描いているのか、座っているのか屈んでいるのか判別しづらいポーズのように思えますが、静かで内省的な雰囲気がコンテ作品でも出ているのが流石でした。

この辺は相笠昌義の素描や版画が多く並んでいました。

2 相笠昌義 「緑衣のマルタ」
こちらは椅子に座る緑の服を着た少女像で、傍らには花瓶の置かれた台も描かれています。具象的で写実的に描かれていて、落ち着いた色調もあって静かな感じですが、背景は曖昧でちょっと超現実的な雰囲気もあるかな。時間が止まった世界のような独特の人物像となっていました。

この隣にあった相笠昌義「バロセロナの小学校」は、人が沢山いるのに物悲しい雰囲気で、この画家の魅力が詰まった作品となっていました。


<project N 73 中村太一 NAKAMURA Taichi>
続いては中村太一のコーナーです。

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh216.php

この方はコラージュを得意としているようで、写真に絵の具を塗ったり、物を貼り付けたりしている作品がいくつかありました。油彩作品は大型で色面を使った抽象画となっていました。いずれもちょっと観ただけでは意図が分からなかったので、やや難しく感じましたがメッセージ性のある作風のようでした。


ということで、今回も面白い収蔵品が並んでいました。ここはぐるっとパスなら提示するだけで企画展と常設を観ることが出来るので、合わせて観ると非常にお得だと思います。勿論、この日は企画展も観てきましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。

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