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民藝 MINGEI -Another Kind of Art展 【21_21 DESIGN SIGHT】

前回ご紹介した展示を観た後、すぐ近くの21_21 DESIGN SIGHTに移動して「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」を観てきました。

DSC07764.jpg

【展覧名】
 民藝 MINGEI -Another Kind of Art展

【公式サイト】
 http://www.2121designsight.jp/program/mingei/

【会場】21_21 DESIGN SIGHT
【最寄】六本木駅・乃木坂駅

【会期】2018年11月2日 (金)~2019年2月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

この展示は民間の無名の職人が作った生活の美である「民芸」をテーマにした内容で、駒場にある日本民藝館のコレクションの中から同館の館長である深澤直人 氏が100点あまりをチョイスした品が並んでいました。民芸は柳宗悦や河井寬次郎、濱田庄司らによって興された民藝運動から始まったもので、日本民藝館は1936年にその運動の拠点として建てられました。元々は白樺派として西洋美術に傾倒していた柳宗悦ですが、貰った朝鮮磁器の土産を気に入ったのをきっかけに東洋や工芸への興味を持ったと言われています。その後、磁器のみならず数多くの生活用品に美を見出して蒐集・紹介されていきました。(さらに詳細は下記の記事などをご参照ください)
 参考記事:
  柳宗悦展-暮らしへの眼差し (そごう美術館)
  没後50年 河井寬次郎展 ― 過去が咲いてゐる今、未来の蕾で一杯な今 ― (パナソニック 汐留ミュージアム)
  ウィンザーチェア -日本人が愛した英国の椅子 (日本民藝館)
  つきしま かるかや 素朴表現の絵巻と説話画 (日本民藝館)

今回の展示はあまりメモを取らなかったので、ごく簡単に展示の様子を振り返ると、まず最初に柳宗悦による「打テヤモロ手ヲ」という書があり、これは美しい品を見た際に両手を打って称賛・驚嘆する姿勢を表しているようです。美しいものを称えることで人生を豊かにすると解釈することも出来るんじゃないかな。生活に美を見出した柳宗悦だけに説得力があります。

会場の入口付近のみ撮影可能となっていました。
DSC07768_201812050127157c8.jpg
雑誌『民藝』の表紙がずらっと並んでいます。

表紙のアップ。
DSC07771_201812050127166b3.jpg
これだけ観ると現代アートみたいな表紙もあります。それでも人間味があってちょっと緩いんですよね。

現代の作家による作品もいくつか並んでいました。作者名を撮り忘れたので、無記名ですみません。

派手な取り合わせなのに落ち着いて見える不思議。
DSC07789.jpg
現代的なセンスと昔からの技術を感じます

模様が流れるようで美しい器
DSC07796.jpg
これも素朴さと革新の両面があるように思えました。

こちらは後で出てくる映像で作ってたやつかな
DSC07801.jpg
シンプル故に幾何学的な美しさもあるように思います。

このコーナーで特に面白い形だったのがこちら
DSC07814_201812050127246fe.jpg
力強さと流麗な雰囲気があって、民藝の魅力が詰まっています。

その先は映像で、現代の職人たちの手仕事の様子が流れていました。網カゴを作ったり陶芸だったり人が変わっていくのですが、みんな惚れ惚れするような手さばきで延々と観らていられますw 映像自体も面白い視線で撮られていてセンスを感じました。

大部屋には沢山の民芸品が並んでいます。いくつかの島ごとに並んでいてそれぞれテーマがあるのかな。器、置物、皿、箕など素朴で力強く「用の美」を感じさせるものや、大黒像や仏像など土着的な祈りを感じさせる品もあります。(ちなみに木喰仏の価値を再発見したのも柳宗悦の功績の1つだったりするので、この辺の美意識は流石です。) また、中にはユーモアがあったり、高い技巧を感じさせるものもあるなど一口に民藝と言っても個性はそれぞれです。しかし、いずれも奇をてらう訳ではなく、生活で使われてきた温かみを感じさせてくれます。一流の美術品の緊張感ある切れ味とはまた違った 純粋性があるので そう思えるのかもしれません。その純粋な素朴さの中で稀に現代アート顔負けの驚くようなデフォルメやフォルムの妙を見せるものもあります。不揃いで人間味がある一方で、純粋が故に洗練の局地をも凌駕してしまう。これが民藝の魅力なのではないかと思いました。

最後に日本民藝館の紹介と柳宗悦による「今見ヨ イツ見ルモ」という書で締められていました。いつも観る物でも今(改めて)観よという意味だったと思います。今回の展示は日本民藝館によく並んでいる品が中心だなーなんて思いながら観ていた私を戒める為に展示しているかのようでしたw


ということで、もっとちゃんと観ろよと柳宗悦に怒られそうな感想のみですが、それぞれの作品の解説などはあまり無いので、感性でじっくり向き合って観てみるのもよろしいかと思います。 民藝は日本人の感性がナチュラルに表されているので、心に響くものがあると思います。さらに日本民藝館は建物自体が魅力的なので、この展示が気に入ったら駒場にも足を運んでみるとよろしいかと。

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