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富士屋ホテルの営繕さん-建築の守り人- 【LIXILギャラリー】

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、すぐ近くのLIXILギャラリーに移動して「富士屋ホテルの営繕さん-建築の守り人-」という展示を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

DSC09129.jpg

【展覧名】
 富士屋ホテルの営繕さん-建築の守り人-

【公式サイト】
 http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g-1809/

【会場】LIXILギャラリー
【最寄】京橋駅(東京)

【会期】2018年12月06日(木)~2019年02月23日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は箱根にある老舗の「富士屋ホテル」のメンテナンスに焦点を当てたマニアックな内容で、主に写真パネルと備品などが並んでいました。富士屋ホテルは1878年(明治11年)に創業したのですが、創始者の山口仙之助は渡米で得た資金を元手に500年の歴史を持つ「藤屋」を買収し、洋風の改装して「富士屋ホテル」としたそうです。それだけ歴史があるだけに現在では有形文化財となっている建物もあるようで、メンテナンスも苦労が多いようです。詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

会場入ってすぐの所に階段が作られていました。
DSC09253_20181221000250dcc.jpg
こちらは本館の階段をイメージしているようです。歴史ある建物が好きな私としては是非一度は訪れてみたいものです。

こちらは1891年の本館竣工直後の写真。
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1883年に焼失したこともあったのだとか。ちょっと誰が設計したのか分かりませんでした。

こちらは「花御殿」という建物の部屋のルームキー
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かなり豪華な部屋らしく、鍵も豪華! 2013年まで使われていたものの複製のようです。

まずは本館のコーナーとなっていました。

こちらはロビーに隣接するティーラウンジ「オーキッド」
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ここの椅子は使用頻度が高いので修繕の頻度も高くなるそうです。中々ムードあるティーラウンジですね。

こちらは本館のジュニアスイート
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和洋折衷で、ラジエーターが時代を感じさせます。釣り鐘みたいな形でお寺みたいw

こちらはどの館のか忘れましたが、テーブルセット。
DSC09168_20181221000253243.jpg
落ち着いて気品のある椅子が好み。曲線美が特に目を引きました。

続いてこちらは食堂棟の男子トイレの写真。
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モザイク模様となっていて驚きw 何となく箱根名物の寄せ木を思い起こすような模様に思えました。

続いてこちらは西洋館。1906年に建てられたそうです。
DSC09179.jpg
破風だけ和風w この建物が建てられた頃は富士屋ホテルは外国人専用のホテルだったらしいので、日本風の部分が喜ばれたのかもしれないですね。

こちらは西洋館の客室
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こちらもシンプルながらも格調高い雰囲気となっています。結構広そうです。

続いては花御殿という建物。
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こちらは1919年に建てられたらしく、3代目がアメリカ旅行の成果を取り入れて建てたそうです。こちらは和風が強めで寺社っぽい破風になってるように思います。

こちらが花御殿のスイートルームの「菊」 この部屋の内装は宮大工も関わっているそうです。
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格天井になってる辺りに寺社っぽさがあるかな。

こちらは先程も出てきた花御殿のルームキーの写真。
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日本画家の三井萬里が描いたそうで、同じ絵を用いながら何度か作り変えられているそうです。

ここまでは富士屋ホテルの紹介でしたが、ここからは本題の修繕の様子を紹介していました。

こちらは映像で椅子を修繕している様子。
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結構地道に手作業で直しているようです。買えば良いというわけではないので、ある意味キュレーターみたいな。

こいらは作業場の写真。
DSC09197.jpg
美しい建物を支える舞台裏と言った感じでしょうか。様々な器具が置かれているのが伺えます。

こちらは食堂棟のダイニングルームにある柱に施された飾りつきカウンター。
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この顔は3代目の経営者を模したとされるそうで、一体どんな鬼経営者だったんでしょうかw カイジの会長みたい…。

こちらは先程の本館 ティーラウンジ「オーキッド」の椅子の実物。映像で直していた椅子です。
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後ろの左足の先が欠けていたそうで、修理したのだとか。直す技術も凄いですが、そんな細かいところに気配りできることに驚きです。

こちらはダイニングルームの換気口カバー。
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いくつかの長方形を組み合わせて幾何学模様にしているのは寄木張りの床に合わせている為のようです。部屋全体の調和を考えたデザインになっているんですね。

こちらは活字の組版。これを使ってレストランのメニューを書いていたようです。
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カタカナっぽいのはあるけど、漢字はどうしてたんだろうか…w 地味だけど欠かせない仕事です。

こちらは修繕につかう道具類。
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大工道具そのものといった感じです。ノミが沢山あるのは用途の違いでしょうか。

こちらはバックヤードの通路。
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増改築を繰り返して配管が複雑になったそうですが、図面がなく口伝でノウハウを受け継いでいるのだとか。それは企業として かなりマズイ… というか安全面で大丈夫か?という疑問がw

最後に菊華荘という旧御用邸(1895年竣工)の純和風建築が紹介されていました。
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設計は宮内省内匠寮だそうで、1946年に払い下げられて今は別館として運営されているようです。旧御用邸まであるとは恐るべきホテルですw

こちらも菊華荘
DSC09226.jpg
水平垂直のリズム感があって美しい建物です。古い木造だけに、このメンテンンスは相当大変でしょうね。


ということで、富士屋ホテルの美しい建物と共に、その舞台裏の苦労などが見て取れる内容となっていました。一度は泊まってみたいですが、2018年4月から耐震改修工事のため休館中で、2020年夏にオープンの予定だそうです。(レストラン別館・菊華荘、などは営業中らしいので詳しく知りたい方は下記公式をチェックしてください。) それでもいつかは泊まってみたいと思わせる展示でした。
 参考リンク:
  富士屋ホテル お知らせ
  じゃらん 富士屋ホテル

おまけ:
隣の部屋では、クリエイションの未来展 第17回 清水敏男監修 第二期: 枯山水サラウンディング 「I'mpermanent」という展示もやっていました。
【公式サイト】http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g2-1809/
【会期】2018年11月01日(木)~12月25日(火)

会場はこんな感じ。
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枯れ草・枯れ木で出来た和風な空間となっていました。

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