関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

アルフォンス・ミュシャ展 (感想前編)【小田急新宿店】

今日は写真多めです。日付が変わって昨日となりましたが、新宿の小田急新宿店11階の催事場で「アルフォンス・ミュシャ展」を観てきました。この展示は撮影可能で写真を沢山撮ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

DSC09694.jpg

【展覧名】
 アルフォンス・ミュシャ展

【公式サイト】
 http://www.odakyu-dept.co.jp/shinjuku/special/mucha/index.html

【会場】小田急新宿店
【最寄】新宿駅

【会期】2018年12月26日(水)~2019年1月7日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多くて、たまに写真を撮っている人を待って鑑賞するような感じでした。この会場にはロッカーやクロークが無くみんな荷物を持っているのも一層に混雑を感じさせました

さて、この展示はアール・ヌーヴォーのポスターで名高いアルフォンス・ミュシャの作品を400点も並べるという 狭い会場とは思えないほどの圧倒的な量となっています。ミュシャ展は毎年のようにやっているけど、今までに観たことがない作品や資料などもあって、とにかくその量と種類に驚かされました。展示されているのはリトグラフが中心で結構ヨレヨレになったり色が抜けているものもあるので、一級品とは言えないものもありますが、絵柄が好きな方には特に問題なく楽しめると思います。撮影可能というのも太っ腹で、普通の美術館では中々無い企画じゃないかな。展覧会は7章構成となっていましたので、今日は前半の3章までを早速写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:
  アルフォンス・ミュシャ展 (三鷹市美術ギャラリー)
  ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り 感想前編(森アーツセンターギャラリー)
  ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展 パリの夢 モラヴィアの祈り 感想後編(森アーツセンターギャラリー)

<第1章 パリ時代の魅力的なポスター>
アルフォンス・ミュシャ(ムハ)は1860年にオーストリア=ハンガリー帝国領だったモラヴィア(現在のチェコ)に生まれ、ミュンヘンの美術学校を経て27歳でパリに渡って絵画を学びました。しかし2年で留学の援助を打ち切られ、雑誌や本の挿絵を描いて生計を立てていたようです。そして1894年のクリスマス休暇の時にたまたま印刷所で仕事をしていたミュシャに大女優のサラ・ベルナールから舞台のポスターの依頼が舞い込み、これがパリに張り出されると一躍大人気のデザイナーになって行きました。ここにはそうしたパリ時代の作品が並んでいました。

まず冒頭にミュシャの写真がありました。
DSC09711.jpg
流麗で乙女チックな雰囲気の画風ですが、見た目は厳格そうな感じの人です。強い愛国心を持っていて、晩年はナチスからの迫害も受けています。

アルフォンス・ミュシャ 「ジスモンダ」「ル・ゴロワ ジスモンダ」
DSC09725_20190104013826ff4.jpg DSC09736_201901040138301f7.jpg
左が出世作のジスモンダ。ミュシャ展では必ず出てくるミュシャを語る上でマストな作品です。右は雑誌『ル・ゴロワ』のサラ・ベルナール特集号で、ここにはクリスマス以前にジスモンダのデザインの構想を持っていたことが伺われるようです。どうもクリスマスの伝説は事実を盛ったか劇的なブランディングなのかも。いずれにせよ、無二のデザインなので事実でなくてもその価値が失われることは無かったと思いますが。

アルフォンス・ミュシャ 「サラ・ベルナール」
DSC09730.jpg DSC09728.jpg
こちらは「遠国の姫君」という演目のポスター。冠はルネ・ラリックによるものなのだとか。右の写真と比べると特徴をよく捉えています。…絵の方が可憐ですねw
 参考記事:箱根ラリック美術館の常設 2018年1月(箱根編)

アルフォンス・ミュシャ 「ルフェーヴル・ユティル」
DSC09743.jpg
こちらはビスケット会社の宣伝ポスター。流れるような髪や優美な花飾りなどミュシャっぽい作風全開と言った感じです。

アルフォンス・ミュシャ 「黄道十二宮 ラ・プリュム誌のカレンダー」
DSC09749.jpg
ビザンティン風の女性と黄道十二宮の星座が描かれた背景が印象的な作品。我が家にはこれのポスターがありますw

アルフォンス・ミュシャ 「JOB」
DSC09753_20190104013835e95.jpg
こちらも傑作としてよくミュシャ展に出てくる巻煙草のポスター。恍惚の表情をしていて色気を感じます。

アルフォンス・ミュシャ 「モナコ・モンテ・カルロ」
DSC09761.jpg
こちらは元々は鉄道会社の宣伝用ポスターだったのが、コレクターズ・アイテム化して多く売られた作品だそうです。これもミュシャのお得意のモティーフが並び優美な印象を受けます。

アルフォンス・ミュシャ 「ポスターの巨匠たち 『サロン・デ・サン』」
DSC09788_201901040141145c1.jpg
これはポスターを画集仕立てにしたもの。元はラ・プリュム誌が主催した展覧会の第20回展覧会のポスターなので絵筆を持っています。

他にも紹介しきれないくらい多くの傑作ポスターが並んでいました。


<第2章 くらしを彩る装飾パネル>
続いては装飾パネルなど室内装飾に関するコーナーです。ミュシャは「私は芸術のための芸術を創るよりも、大衆のための絵の製作者でありたい」と言っていたそうで、リトグラフによる作品を多く制作したようです。そうして作られた装飾パネルは1点物の絵画を買うことができない一般市民の間で大人気となったそうで、ここにも華やかな作品が並んでいました。

アルフォンス・ミュシャ 「ビザンチン」
DSC09814_20190104014116e8a.jpg
こちらは『Album de la Decoration』の中に出てくるミュシャの作品。花が円形に渦巻くような配置で、日本のデザインを想起しました。非常に華やかな雰囲気です。

アルフォンス・ミュシャ 「4連作『四季』より夏」 「4連作『四季』より秋」
DSC09831.jpg DSC09834.jpg
こちらは4枚セットの装飾パネル。どこか物憂げだったり楽しげだったり、表情豊かで女神のような気品がありますね。

アルフォンス・ミュシャ 「4連作『四季』(第3シリーズ)より春」
DSC09840_20190104014106fb8.jpg
こちらも四季の連作。第4シーズンまであるそうで、先程の作品ともちょっと違った雰囲気。キリッとした表情も美しい。

アルフォンス・ミュシャ 「桜草」
DSC09865.jpg
この辺には花の連作なんかもあって、こちらは桜草。何でも女性に擬人化するのは現代日本のサブカルにも通じるかもw 桜草のイメージ通りちょっと儚げな表情が非常に気に入りました。

アルフォンス・ミュシャ 「通り過ぎる風が若さを奪い去る」
DSC09873_20190104014109c44.jpg
こちらは1900年のパリ万国博覧会の人間館のために作ったデザインですが実現しなかったそうで、後に装飾パネルとして利用したようです。団扇の形を利用した渦巻く模様が面白い。

アルフォンス・ミュシャ 「昼の輝き」
DSC09880.jpg
こちらは「朝」「昼」「夕」「夜」の4連作のうちの1つ。昼は明るく元気いっぱいって感じの瑞々しさを感じます。

アルフォンス・ミュシャ 「ビザンティン風の頭部 ブロンド」
DSC09891.jpg
こちらは「ブルネット」と対になっている作品。ビザンティン風はミュシャが得意とした装飾です。ブロンドの巻髪と共に気品溢れる作品となっています。


<第3章 装飾資料集 装飾人物集>
続いてはミュシャが1902年に出版した図案集『装飾資料集』に関するコーナーです。全72枚の図像で、植物・人物・動物・活字・家具・装飾品など様々な図柄が描かれています。これが好評だったようで、3年語には『装飾人物集』も出版したそうで、こちらは人物像の図像が集められた本のようです。ここにはその2冊からの作品がずらりと並んでいました。

展示風景はこんな感じ。
DSC09901.jpg
かなりの点数がズラッと並んでいます。ここは作品名とか細かい解説はあまりありませんでした。

こちらは女性のスケッチ。
DSC09903.jpg
様々な角度・表情で描かれていて結構写実的な素描となっています。こうした中から図像を選んでいたのかな。

こちらは背景だけを描いた作品。
DSC09910.jpg
ミュシャの魅力の1つに明るく可憐な背景描写があると思いますが、背景だけ観られる機会は中々無いので面白かったです。こうした背景がいくつも並んでいました。

通路を曲がってもさらに続きます。
DSC09915_20190104014352e83.jpg
ここまではよく観る代表作が多かったですが、こうした資料的な作品がこれだけ多いのは珍しいかも。

食器なども描いています。人物像は『装飾人物集』からの出典かな。
DSC09921_20190104014354d8c.jpg DSC09925.jpg
これらを組み合わせるとミュシャのポスターになるのだろうと想像できます。これはファンには嬉しいコーナーじゃないかな

アルフォンス・ミュシャ 「装飾の組み合わせ」
DSC09935_2019010401435716b.jpg
こちらは60枚の図版から構成された3人のデザイナーによる合成デザイン集。ミュシャは10枚担当していて、自身も後年多く利用したそうです。


ということで、前半には出世作・代表作だけでなく資料的な作品まで展示されていました。代表作は何度も観ていますが、やはりミュシャのデザインは普遍的な可憐さがあると思います。資料のコーナーはその魅力の構成の舞台裏を観ることができたような気がして非常に興味深かったです。後半ではミュシャの更なる魅力を紹介していましたので、次回は残りの章についてご紹介の予定です。

 → 後編はこちら


関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト

全記事の一覧リンク

カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する

日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。

<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~ 
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション

<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス

<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
16位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
2位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。