関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

マイケル・ケンナ写真展 【東京都写真美術館】

今日は写真多めです。前回ご紹介した東京都写真美術館の3階の展示を観た後、地下の「マイケル・ケンナ写真展 MICHAEL KENNA A 45 Year Odyssey 1973-2018」も合わせて観てきました。こちらは一部を除き撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 マイケル・ケンナ写真展
 MICHAEL KENNA A 45 Year Odyssey 1973-2018 

【公式サイト】
 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3104.html

【会場】東京都写真美術館 地下1階
【最寄】恵比寿駅

【会期】2018年12月1日(土)~2019年1月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
結構お客さんがいましたが会場が広めなこともあって快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は現代の風景写真家マイケル・ケンナの日本初の回顧展で、その人気は世界屈指で今まで450回も個展を開いたことがあるカリスマ的存在のようです。この展示ではそのマイケル・ケンナの代表作を一挙に45年分も展示している上、日本で撮った写真などもあって非常に楽しめる内容となっていました。その面白さは観ればすぐに分かると思いますので、早速 写真を使ってご紹介していこうと思います。
なお、当サイトの写真は一切の転用を認めておりませんのでご了承ください。


<A 45 Year Odyssey 1973-2018>
まずは早速、代表作が100点ほど並ぶコーナーで、今回の展示のタイトルもついていました。撮影可能なのはこの章です。簡単にマイケル・ケンナについての説明があり、それによると1953年にイギリスの西北部ランカシャーに生まれ、ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティングで写真を学んだ後、サンフランシスコに拠点を移して活動しているようです。ここでは初期作から2018年までの作品が並んでいました。今回の展示は細かいキャプションは無いので、私の感想のみ添えておきます。

マイケル・ケンナ 「Sunset,Middleton Cheney,Northhamptonshire , England. 1974」
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こちらはかなり初期の作品。霧に霞むような光景が静かで神秘的な雰囲気です。まるで異世界に迷い込んだような感じすらしました。

マイケル・ケンナ 「Broughton Castle, Oxfordshire,England. 1977」
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こちらも霞む背景となっていますが、手前の黒々とした水草が一層に詩情溢れる感じを出しています。日本で言えば侘び寂びに通じるような感じですね。

マイケル・ケンナ 「Deckchairs, Bournemouth, Dorset, England. 1983」
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こちらはガランとしてちょっとシュールさを感じる光景。タイトルから察するにデッキチェアが置かれているようですが、何も無いより却ってうら寂しさが強調されているように思えます。

マイケル・ケンナ 「Chariot of Apollo,study 1, Versailles,France.1988」
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こちらはヴェルサイユにある泉のアポロンの戦車を撮ったもの。これは完全にファンタジーの世界だわw 光の輝きや反射が何とも耽美な雰囲気を出していました。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 ヴェルサイユ宮殿

マイケル・ケンナ 「Pont des Arts,study 1 , Paris, France 1987」
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こちらもパリのセーヌ川を撮ったもの。霞む街を背景に橋のシルエットが美しく、優美な印象を受けます。多くの人が訪れるパリでこんな光景を見つけることができるセンスが凄い…。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 オルセー美術館とセーヌ川

マイケル・ケンナ 「Swings, Catskill Mountains, New York, USA. 1977」
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こちらも普通の公園が神秘的に見える不思議w やはり輝きやぼやけた表現を使っていて、ちょっと怪異めいた不穏さもあって妙に心惹かれます。

マイケル・ケンナ 「Bill's Brandt's Chimney, Halifax, Yorkshire, England. 1983」
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こちらも何と言うことも無い場所がアートそのものとなっている作品。石畳の硬さや寒々しさが伝わってくるような光景です。

マイケル・ケンナ 「Chapel Cross Power Station, Study 1, Dumfries, Scotland. 1985」
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今回特に気に入ったのがこちらの作品。見るからに原発ですが、4つ並ぶ様子が規則的かつ人工的な一方で、山が連なっているような力強さもあります。そこから出る白い蒸気なども美しいような不安を覚えるような、様々な思いが湧いてくる作品でした。

マイケル・ケンナ 「Poles, Salt Pond, Moss Landing,California, USA. 1989」
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こちらはかなりシンプルですが、音1つ聞こえないような静止したような世界が好みでした。観様によっては死の世界のようにも思える…。

マイケル・ケンナ 「Plank Walk, Morecambe, Lancashire, England. 1992」
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こちらもシンプルで面白い作品。水面と空が一体化するような所に桟橋が伸びていて、空にかかる梯子の話を想起しました。幾何学性の美しさと、静けさを感じます。

マイケル・ケンナ 「The Rouge, Study 87, Dearborn, Michigan, USA. 1996」
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こちらは複雑な幾何学性と いかにも工場という建物のシルエットが面白い作品。工場の超然とした佇まいがちょっとシュールに見えるほどでした。

マイケル・ケンナ 「Didcot Power Station, Study 1, Oxfordshire, England. 1989」
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こちらも発電所から立ち上る水蒸気。手前の街灯もリズムを作っていて、人工物によって抽象絵画のような世界が広がっています。この構図も凄いですね…

展覧会の部屋の真ん中あたりには写真集が並んでいました。
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何と今までで70冊ほど出版されているそうです。これだけ素晴らしい写真を撮っていれば その人気も頷けます。

マイケル・ケンナ 「Manhattan Skyline, Study 1, New York, USA. 2006」
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こちらはマンハッタンを撮った写真。言わずとしれた大都会なのに、まるでゴーストタウンw ジグザグのシルエットが大都会の威容を感じさせる一方で、モノクロの静けさが廃墟感を出していました。

マイケル・ケンナ 「Morning Traffic, Midtown, New York, USA. 2000」
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こちらは朝の道路。通勤で賑わっているはずですが、マイケル・ケンナはこんなにも叙情的な光景にしてくれますw これがCDジャケットだったら確実に哀愁漂うバラードでしょうねw

マイケル・ケンナ 「White Bird Flying, Paris, France. 2007」
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こちらは今回のポスターにもなっている作品。白鳩の一瞬の羽ばたきを捉えていて、象徴的な印象を受けました。羽根がボケてるのも動きの速さを感じさせます。

マイケル・ケンナ 「Four Birds, St.Nazaire, France. 2000」
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こちらもシルエットが面白い作品。4羽の鳥が写っていて、何かの棒の先で休んでいます。この構図もシンプルだけど、不思議な光景に思えました。

マイケル・ケンナ 「Stone Pine Tunnel, Pineto, Abruzzo, Italy. 2016」
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ファンタジー世界の作品再び。このトンネルの先は異世界だろ…w 1本1本の木の幹の模様まで分かるのに暗さを感じる不思議な光景です。これが写真とは思えないほど幻想的でした。

マイケル・ケンナ 「Ten Balloons, Albuquerque, New Mexico, USA. 1993」
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こちらは気球を撮った作品。気球はルドンやルソーの絵にもよく出てきますが、何故か不安を覚えるんですよね…。 シュールさもあって好みでした。

マイケル・ケンナ 「Yuanyang, Study 3, Yunnan, China. 2013」
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こちらは中国の棚田。明暗をくっきり出していてマーブル模様の抽象絵画のようにも見えます。うねるような地形が力強さも感じさせました。

マイケル・ケンナ 「Torii, Study 2, Takaishima Biwa Lake, Honshu, Japan. 2007」
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こちらは琵琶湖の湖中大鳥居。モチーフ自体が美しいこともありますが、千切れ飛ぶような雲が神秘性を強めていました。こんな光景を目の当たりにしたら神が降臨しそうな予感しかないw

マイケル・ケンナ 「Five Poles, Tomamae, Hokkaido, Japan. 2004」
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こちrは北海道の苫前町の海岸風景。何のための杭か分かりませんが、寂れた感じを強調していて物哀しい雰囲気です。ここまで観てくるとマイケル・ケンナの好きそうな光景に思えてきましたw

マイケル・ケンナ 「Forest Edge, Hokkaido. Japan. 2004」
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こちらも北海道の雪山の光景。こんな森の切れ目みたいな所があるのかと驚き。スキー場か何か? 誰もいないし、とても不思議な光景です。日本人でもこんな場所があるなんて知らないのによく見つけてきますね。

他にも日本を撮った写真はいくつかありました。会場の外では北海道での撮影の様子を映像で流していましたが、結構過酷なものがありそうでした。

マイケル・ケンナ 「Plane and Sugar Loaf Mountain, Rio de Janeiro, Brazil. 2006」
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左下あたりにいるのは飛行機で、妙な形の岩はポン・ヂ・アスーカルというリオの巨大な奇岩です。これはどういう視点で撮ったのかさっぱり分からず首を傾げながら観ていました。

マイケル・ケンナ 「Daybreak Reflection, Angkor Wat, Cambodia. 2018」
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こちらはアンコールワット。一層にロマン溢れる風景となっていて、異郷への憧れを感じさせました。

<IMPOSSIBLE TO FORGET 1989-2000> ★こちらで観られます
こちらは12年の歳月をかけてナチスドイツの強制収容所28箇所を撮影したシリーズ作品のコーナー。ここはそれほど点数は無いのですが、物悲しい惨劇の痕跡が並んでいます。ポーランドのデスゲートと呼ばれる建物などは 見るからに死を感じさせる陰鬱さと重苦しさが感じられて不気味な静寂となっています。また、亡くなった方たちの遺品などもあり、沢山の靴や人毛が絡み合う様子、空き缶など 当時の状況を間接的に伝えてきました。鉄条網や見張り小屋は今でも残っているようで、人がいないのが却って恐ろしく思えました。

<RAFU Japanese NUDE STUDIES 2008-2018>
こちらは日本人女性のヌードのコーナーです。風景ばかりかと思ったら人物も撮っているようで、これもまた風景とは違った面白さがありました。障子越しや掛け軸を背景にしている裸婦などは日本的なモチーフとのコラボとなっていて 割と思いつきそうな気はするのですが、モデルによってポーズや体つきが違って個性を感じます。また、人体の一部分をトリミングしたような作品が特に面白く、抽象化されつつ柔らかさを感じられるのが好みでした。


ということで、予想以上の内容にかなり満足できました。視点・表現ともに静かで詩的な作風となっているので、日本人にも響く感性だと思います。この記事でご紹介していない素晴らしい写真も多々あり、写真に詳しくない人でも楽しめる内容じゃないかな。もう会期が残り少ないですが、おすすめの写真展です。

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