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【ヤマザキマザック美術館】の案内 (名古屋編)

今日は写真多めです。前回ご紹介した名古屋のヤマザキマザック美術館の企画展を観た後、常設展も観てきました。ここの常設展は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

【公式サイト】
 http://www.mazak-art.com/cgi-bin/museum/search/search.cgi?action=collection_index

【会場】ヤマザキマザック美術館(名古屋)
【最寄】新栄町駅(名古屋市営地下鉄東山線)

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
鑑賞時間を1時間としましたが、実際には閉館が迫っていて30分くらいで観るという暴挙となってしまいました…w 常設は2フロアあって、下階はアール・ヌーヴォー等の調度品のコレクション、上階が絵画のコレクションとなっています。それぞれ気に入った作品をピックアップしてご紹介していこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。


まずは下階の展示です。今回はアール・ヌーヴォーの企画展だったので、常設も連続するような感じとなっていました。
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結構大型の家具類が並んでいます。これだけでも十分見ごたえのある内容です。

ルイ・マジョレル 「化粧台」
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こちらは1900年頃に作られた化粧台。特に足の辺りにアール・ヌーヴォーの優美さが感じられました。

ジャック・グルベール 「衝立」
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アール・ヌーヴォーのナンシー派でガラス工芸家のグリュベールですが、ここでもガラスを使って草花を表しています。結構大型で非常に見事な衝立でした。

この辺りにはグリュベールによる食器棚なんかもありました。

アンドレ・ドラン 「エーヴ・キュリーの肖像」
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有名なキュリー夫人の娘でフランスの芸術家であるエーヴ・キュリーを描いた作品。何となくお母さんの面影もあるような。優しそうで気品ある肖像です。

この美術館はドランの揃えが良いようで、上の階にも何点かドランの作品がありました。

こちらは1部屋まるごとアール・ヌーヴォーになっていました。
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植物を思わせる曲線が多く優雅な部屋となっています。この統一感がとても心地良い展示方法ですね。

ピエール・ボナール 「薔薇色のローブを着た女」
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ちょっと薄暗いですが、明暗がついて色調もボナールらしさを感じさせる作品。何か悩んでいるような表情が悲しげに見えました。

続いて上階の展示室へ。点数は70点くらいだったかな。ロココ様式がコレクションの根幹なのだとか。
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一周ぐるっと周るような感じで、概ね時代順に並んでいました。

ジャン=バティスト・グルーズ 「犬と遊ぶ子供」
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早速、ロココの作品がありました。犬も子供もこちらを観ていて、特に犬のつぶらな瞳が可愛いw 柔らかく優しい雰囲気の作品となっています。

ニコラ・ランクレ 「からかい」
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こちらもロココの優美な作品。くすぐって起こそうとしている様子が何とも楽しげ。ルイ15世の頃にヴェルサイユ宮殿を飾るために描かれたそうです。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 ヴェルサイユ宮殿

この近くにはアントワーヌ・ヴァトーなどもありました。確かにロココが多いです。

シオメン・シャルダン 「兎と獲物袋と火薬入れ」
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静物画の巨匠シャルダンによる静物。毛のモフモフ具合や火薬入れの質感などが見事で、暗い中で観たら実物と見間違いそう。真っ暗な背景で静寂が漂っているのも好みでした。
 参考記事:シャルダン展-静寂の巨匠 (三菱一号館美術館)

フランソワ・ブーシェ 「アウロラとケファロス」
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こちらもロココらしい作品。頭の上に星があるのが暁の女神アウロラで、その左にいるのが人間で恋人のケファロスのようです。女性的な優美さや軽やかさが画面全体にあふれていて、肉体の美しさが目を引きました。

ユベール・ロベール 「メレビル庭園の眺め」
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廃墟の絵を得意としたユベール・ロベールですが、庭園制作にも関わっていました。ここではメレヴィル庭園という庭園を描いているのですが、まるで神話の世界のようにも見えます。この庭はフランスで最初期の英国式庭園なのだとか。
 参考記事:ユベール・ロベール-時間の庭 感想後編(国立西洋美術館)

ヴィジェ=ルブラン 「エカチェリーナ・フェオドロヴナ・ドルゴロウキー皇女」
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マリー=アントワネットの画家であったルブランがフランス革命後にロシアに滞在していた時に描いた作品。やや微笑んだような可愛らしい顔で描かれていますが、こう見えて後に暗殺劇に加担した女性だそうです。知的な印象ですけどねえ。
 参考記事:マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン -華麗なる宮廷を描いた女性画家たち- 感想前編(三菱一号館美術館)

ウジェーヌ・ドラクロワ 「シビュラと黄金の小枝」
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これは叙事詩『アエネイス』に基づいた話で、アポロの巫女の女預言者シビュラが冥界に向かうアエネイスに、冥界の女王プロセルピナへの供物として黄金の小枝を探すように言い、指さしてその場所を教えているシーンです。鑑賞している人がアエネイスになったような視線になっているのが面白い構図でした。

ドミニク アングル 「ルイ14世の食卓のモリエール」
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新古典主義のアングルまでありました。写実的でありながら大胆な明暗で劇的な雰囲気となっています。アングル好きとしては国内で観られるのは嬉しい限り。

ファンタン=ラトゥール 「子供の顔」
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ラトゥールもありました。子供にしては凛々しい雰囲気で、じっと何かを見つめる眼差しが印象的。

この辺りから印象派前後の近代絵画のコーナーとなっていきます。

ギュスターヴ・クールベ 「波、夕暮れにうねる海」
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クールベがよく描いた波をモチーフにした作品。力強く波濤の音まで聞こえそうなほどのリアリティです。

カミーユ・ピサロ 「ルーアンの波止場・夕陽」
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ピサロ晩年の新印象主義的な作風で描かれた作品。点描で表現している点に後輩からも学ぶピサロの温厚な人柄まで出ているように思えます。

アルフレッド・シスレー 「サン=マメのロワン運河」
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これぞ印象派という明るい色彩の作品。青が爽やかで当時の川の様子が生き生きと描かれています。

アルベール・マルケ 「ラ・ショームの家並み」
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フォーヴと交流していたけどフォーヴっぽくないのがマルケですが、これは結構フォーヴっぽい強めの色彩かも。ぺったりとした筆致はマルケらしさも感じるのが面白い。

マルケも何点かあって好みの絵ばかりでした。

エドゥアール・ヴュイヤール 「アネモネ」
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割とナビ派の揃えも良くて驚きました。こちらは背景が割とごちゃついているように思えるけど、花が浮かびあがるように感じられました。色彩や筆致もヴュイヤールらしくて好み。

モーリス・ドニ 「聖母月」
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様々な白が印象的な作品。特に衣の明暗が目を引きました。神話の中のような神秘的な雰囲気も良いし、傑作です。

アメディオ モディリアーニ 「ポール・アレクサンドル博士の肖像」
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こちらはモディリアーニの作品ですが、初期の作品らしく 顔が細長くもないしアーモンド型の目でもない珍しい作風となっていました。

モーリス・ユトリロ 「マルカデ通り」
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製作年は白の時代だけど、色彩のせいか ぱっと観た感じは後の時代のように思えたかな。パリの町並みが美しい作品です。

この辺はエコール・ド・パリの頃の作品が並び、パスキンなどもありました。

モイーズ・キスリング 「ミモザとヒヤシンス」
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濃厚な色彩で盛り上がるようなマチエールのキスリング。花の白がボリュームを感じるほど力強く表現されていました。

この辺は撮影不可の作品も結構ありました。良い作品が多いので実際に観ることができて良かった…

シャイム・スーティン 「緑の木々」
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うねるような筆致が特徴のスーティン。下の方に人間がいますが、人までうねるようなw 風が吹いているように見えました。

スーティンも数点ありました。中々幅広いコレクションです

ラウル・デュフィ 「グッドウッドの競馬場」
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こちらは大型の作品。競馬場はデュフィがよく描いたモチーフの1つで、パノラマのように広がる風景が見応えあります。色彩が軽やかで社交界の華やかさまで伝わってきます。

フェルナン・レジェ 「サンバ」
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この美術館のコレクションで一番年代が若いのは恐らくこのレジェの作品でした。印刷機を描いたものかな? かなりデフォルメされていて色彩も強く感じられました。

ということで、幅広くて見応え充分の内容となっていました。高速で観るには惜しいほどのコレクションだったのでいずれ再訪して落ち着いて観たいと思います。名古屋に行く際には是非立ち寄りたい美術館です。


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