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【徳川美術館】の案内 (名古屋編)

今日も引き続き名古屋編です。名古屋旅行2日目に、ナゴヤドームの近くにある徳川美術館にも足を運んでみました。

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【公式サイト】
 https://www.tokugawa-art-museum.jp/

【会場】徳川美術館
【最寄】大曽根駅

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【感想】
結構混んでいましたが、概ね自分のペースで観ることができました。しかし予想以上に見どころが多くて広いので、1時間半というのは結構早いペースです。スケジュール上 仕方なかったのですが、もうちょっとゆっくり観るべきでした…。(本来なら2時間半くらいはかかると思います。)

さて、この美術館は尾張徳川家に伝わった品々が並ぶ私立美術館で、尾張徳川家の子孫である徳川義親によって1931年に会館しました。さらに徳川宗家や紀伊徳川家などの品も購入するなどコレクションの拡充を行い、現在では1万件余りの所蔵品があり その中には国宝9件・重文59件も含むという充実した内容となっています。展示は部屋ごとにテーマが分かれていましたので、簡単に部屋ごとにご紹介していこうと思います。なお、いずれの部屋も展示期間が設けられていて常設でも入れ替えがあるようです。私が観たのは2019年1月中旬の内容となります。


<第1展示室 武家のシンボル -武具・刀剣-> ★こちらで観られます
まずは武家らしく刀剣や武具のコーナーとなります。私が行った時には国宝「太刀 銘 光忠」を始め、「太刀(菊紋) 菊一文字」など名刀がずらりと並んでいました。特に光忠は雲が沸き立つような刃紋となっていて見た目も美しい刀です。この美術館の国宝のうち7点は刀のようなので、ある意味このコーナーがこの美術館のシンボルとも言えるかもしれません。
他にも鎧や火縄銃などもあり、葵の御紋もしっかり入っていて見た目も凝った造りのものが多かったように思います。


<第2展示室 大名の数寄 -茶の湯->
続いては茶の湯のコーナーです。茶の湯は公式行事でもあったため、大名は屋敷に茶室を設けて茶道具を集めていました。ここにはそうした茶器や茶道具があるのですが、なんと展示室の中に茶室までありますw これは名古屋城の二之丸御殿にあった「猿面茶室」を復元したもので、国宝指定されていたものの戦災で焼失したようです。 その茶室と共に茶道具が並ぶというロケーションぴったりの展示方法となっていて、中々驚きです。
ここで気に入ったのは「梅花天目」という茶碗で、天目茶碗の中に黒い梅の花の模様が浮かび上がるように表されていました。形も良いし洒脱な雰囲気です。 ちなみにこの美術館は大名物の曜変天目(油滴天目)なども所蔵しているので、運が良ければ観られるかもしれません。


<第3展示室 大名の室礼 -書院飾り->
続いては書院飾りのコーナーです。ここも実際の書院があって、掛け軸、盆、香炉、釜、碗、水指、水滴、文鎮、硯など様々な書院の品が並びます。特に名古屋城二之丸御殿 広間の「上段の間」の復元は豪華で、中国の故事に倣った名君たちを描いた作品などもありました。それにしても、まさか書院の再現まであるとは…w この時点でこの美術館の凝りっぷりはヤバいということに気づきましたw


<第4展示室 武家の式楽 -能->
続いては慶事や公式行事で必ず演じられた武家の式楽である能をテーマにした部屋です。ここまで来ると予想できると思いますが、この部屋には能舞台がありますw その能舞台の上に能衣裳が展示されていて、色鮮やかで豪華な装束となっています。また、ここで面白いのが能面で表情豊かな面が並んでいます。尾張徳川家は時代によって金春流、宝生流、金剛流、観世流といった流派を重用してきたそうでそれぞれの流派の特徴の違いなども楽しめました。


<第5展示室 大名の雅び -奥道具->
続いては大名が使う小物や道具類を集めたコーナーです。ここには大名行列の際に運んだ箱や、弁当箱、籠などがあり、すべてに葵の御紋が入っています。特に籠は中まで豪華な装飾が施されていて、大名の威容を感じさせます。また、他にも印籠や根付などの小物があり、こちらも金をふんだんに使って意匠に富んだ品々となっていました。

さらにここにもド派手な品があって、国宝の「初音の調度」(★こちらで観られます)が置かれています。これは三代将軍家光の娘が尾張徳川家に嫁いできた際の調度で、染織・金工品など70件が国宝に指定されている至宝とも言える品です。これは以前観た覚えがあったのですが、キンキラキンの連打ぶりに将軍家の威信が感じられました。
 参考記事:尾張徳川家の至宝 (江戸東京博物館)

他にも京狩野の濃厚な色彩で描かれた屏風などもあり、尾張の趣味が反映されているように思えました。やはり尾張は派手好きな印象がありますねw


<逢左文庫>
続いては逢左文庫という文庫を紹介する部屋となっていました。逢左文庫は尾張初代藩主 徳川義直(家康の9男)が家康から譲り受けた3000冊の本を中心に作った「御文庫」が始まりのようで、歴代藩主も書物を蒐集して拡充を図ったようです。ここはその歴史を紹介する感じだったので、軽く流し見した程度でした。


<企画展>
続いては企画展の部屋で、こちらは今回「書は語る-30センチのエスプリ-」という展示を行っていました。
DSC_0233_enc.jpg
 会期:2019年1月4日(金)~2月3日(日)
この展示はその名の通り書を集めたもので、短冊に書かれた和歌が中心となっていました。短冊自体も砂子がまかれたりして凝っていて美しいのですが、それ以上に流麗な字を書く人が多くて、雅な雰囲気が漂います。書いている人も歴代の天皇や親王、武家や文化人など歴史上誰でも知っているような人物ばかりが並びます。もちろん徳川家康のもあって、ややぎこちなさも感じるものの達筆です。一方で豊臣秀吉は代筆させていたりしますw 他に面白いところでは大塩平八郎で、こちらは太くて力強い字となっていました。何だかイメージ通り。文化人も近松門左衛門や良寛など有名所が揃っていて、良寛は繊細でさらっとした筆使いが絶妙でした。
幕末維新の政治家のコーナーでは西園寺公望をはじめみんな達筆なのですが、特に三条実美は緩急がついて見事でした。この辺は流石って感じですね

最後の方には近現代の作家や画家の書もあって、棟方志功は下手にも見えるけどパワフルな字でこれもイメージ通りw 「フクちゃん」を描いた漫画家の横山隆一は漫画の男の子が描いてあったりして、ユーモラスな感じでした。


<本館>
本館では東海毎日新春書展という書の展示をやっていました。ここはさらっと観た程度ですが、本館自体が歴史的建造物で見どころの1つとなっています。
外観だけは撮影可能となっていたので、こんな感じ。
DSC_0245_enc.jpg
戦前の雰囲気が漂う建物となっています。


ということで、思った以上に盛りだくさんで豪華絢爛な美術館となっていました。とにかく、やることのスケールがでかい!w 徳川の名に恥じぬ恐るべき美術館です。そしてこの美術館には庭園があり、そちらも見どころの1つとなっていますので次回はそちらについてご紹介しようと思います。


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