関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより 【原美術館】

この間の土曜日に御殿山の原美術館で「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより を観てきました。

DSC02443_20190218021209913.jpg

【展覧名】
 「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより

【公式サイト】
 https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/382/

【会場】原美術館
【最寄】品川駅

【会期】2019年1月5日(土)~3月28日(木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
予想以上に混んでいて、場所によっては人でぎっしりというくらいの盛況ぶりとなっていました。先日、2020年末に閉館のアナウンスが出たことも影響しているんじゃないかな…。

さて、この展示はソフィ・カルというフランスの女性アーティストの「限局性激痛」という一連の作品を2部構成で紹介する内容となっています。ソフィ・カルはパリ生まれで、知らない人を自宅に泊めてその様子を撮ってインタビューを集めた作品や、落とし物のアドレス帳に載っている人達に落とした人についてのインタビューをした作品、ホテルのメイドとして働いて客の様子を撮影した作品など、それはヤバいだろ…と思うような刺激的かつ体験をまとめたような作風の現代アーティストです。テートやポンピドゥー・センターなど名だたる美術館で個展を開くなど世界的に注目されているようで、日本でもこの原美術館で1999年に日本初の個展が行われたようです。私はその展示は観ていないですが、今回は1999年の展示の再現展ということで、展示後に原美術館のコレクションとなった品々が展示されていました。(すべてコレクションにしたようです) 簡単にその様子を振り返ってみようと思います。


<1階>
まずは1階の展示です。ソフィ・カルは1984年に日本に3ヶ月滞在する奨学金を得て、1984年10月25日に出発し、旧ソ連のシベリア鉄道に乗って中国経由で日本へとやってきます。ここにはその時の写真や恋人との手紙が並んでいて、すべての写真に「○DAYS TO UNHAPPINESS」(○の部分には92~1までの数字のカウントダウンが入る)という赤い判が入っています。直訳すると「不幸まで○日」で、これは日本を去った後に起きる不幸までのカウントダウンのようです。写真には中国の街の様子や、日本の京都や東京の街が写されていて日本は神社仏閣が多いかな。千本鳥居やおみくじが結ばれている様子、札や地蔵など宗教的な神秘性のあるものに興味があるように思えます。電卓とソロバンが一体化したもの(ソロカル?)や街角の占い師なんかも撮っているので日本的な部分が奇異に思えたのかもしれません。
と、ここまではただの短期留学中に観た日本の写真みたいな感じで、恋人としょっちゅう手紙のやりとししてるなー くらいに思っていたのですが、これからが本番です。実はソフィ・カルは日本に行く前に恋人に「そんなに待てない」と言われていたそうで、それが原因で日本行きを疎ましく部分があります。そして日本から出たらインドのニューデリーで会おうと約束し、ソフィ・カルはそれを心待ちにしていました…。「○DAYS TO UNHAPPINESS」でピンと来るかもしれませんが、詳しくは2階へと続きます。


<2階>
2階の最初の部屋には、2人で落ち合うはずだったインドのインペリアルホテル261号室の再現があります。ベッドの上に赤い電話が置かれていて、この部屋の様子をよく覚えておくと次の部屋の作品に臨場感が出てきます。そして次の部屋にはずらりと布地に日本語で刺繍された作品が並んでいます。

先述の通り、恋人には待てないと言われていたけど、インドでの再会を楽しみにしていたソフィ・カルですが、恋人はインドにやってきませんでした。怪我を理由に来なかったので、事故か?と思ったら 肉に爪が刺さったとかそういうレベルの怪我で、要するに新しい恋人が2ヶ月前に出来たので面と向かって話すのを避けたようです。それを告げられたソフィ・カルは非常にショックを受けて、この不幸のストレスをどう処理するか考え 語り尽くしたと感じるまで 見ず知らずの他人にまで話しまくることにし、合わせて話を聞いてくれた人の人生で最も不幸な話を訊くことで不幸を相対化しようと思いついたようです。

2部屋に渡ってその不幸の話が交互に並んでいて、ソフィ・カルは同じ話を何度も何度も話します。○日前に男に捨てられた~ という感じで日数が変わるだけで内容はほぼ一緒です。一方で聞いてくれた人の不幸話は内容が多彩で、フランス各地で年齢も様々な人達の話となっています。それがいくつも並んでいるのですが、徐々にソフィ・カルの方にも変化が出てきます。最初は振られた経緯やインペリアルホテル261号室で電話を待っていたことを克明に語っているのですが、日数が経つにつれて細部が省略されてきます。びっしりと書かれていた文字が明らかに減ってきて、2ヶ月くらい経つと半分くらい余白になっています。さらに90日くらい経つと文字の色が背景と同色系になって読みづらくなっていて、記憶が薄らいでいく様子を表現しているように思えました。最後の方は語りがかなりテキトーになってて、3ヶ月後には見事に苦痛を感じなくなっていたようですw 


ということで、振られる前と振られた後の経験をそのまま作品にするというユニークな内容となっていました。相手の話もちょっと怖いくらいだったし、生々しいリアリティを感じる作品です。最初はよく分からなかったけど、全部観るとなるほどと思えるのも面白かったです。現代アートがお好きな方向けの展示でした。


おまけ:
先述の通り、この原美術館は2020年末に閉館を予定しています。建物の老朽化が要因で、建て替えも難しいそうで非常に残念です。建物や庭も魅力なので、今のうちに存分に思い出に残しておきたい美術館です。
DSC02441.jpg
中庭に面したカフェも大好きなんですが、めっちゃ混んでいて閉館時間までに入れそうもなかったので諦めました。美術館がなくなるまでに再訪したいなあ
 参考記事:原美術館とカフェ ダール
関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

ピックアップ
オランジュリー美術館展
 前編 後編

コートールド美術館展
 前編 後編

バスキア展
 前編 後編

ゴッホ展
 前編 後編

ハプスブルク展
 前編 後編
展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト

全記事の一覧リンク

カテゴリ
リンク
このブログをリンクに追加する

日ごろ参考にしているブログです。こちらにも訪れてみてください。

<美術系サイト>
弐代目・青い日記帳
いづつやの文化記号
あるYoginiの日常
影とシルエットのアート
建築学科生のブログ
彫刻パラダイス
ギャラリークニャ
「 10秒美術館 」 ~元画商がほんのり捧げる3行コメント~ 
だまけん文化センター
横浜を好きになる100の方法
美術品オークション

<読者サイト>
アスカリーナのいちご日記
Gogorit Mogorit Diary
青い海(沖縄ブログ)
なつの天然生活
月の囁き
桜から四季の花まで、江戸東京散歩日記
うさみさんのお出かけメモ (u_u)
森の家ーイラストのある生活
Croquis
ラクダにひかれてダマスカス

<友人のサイト>
男性に着て欲しいメンズファッション集
Androidタブレット比較
キャンペーン情報をまとめるブログ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
22位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
3位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。