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アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ 【資生堂ギャラリー】

前回ご紹介した展示を観た後、近くの資生堂ギャラリーで「アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ」という展示を観てきました。この展示は以前ご紹介した展示の第2期ですが、大半は全く異なる内容となっていましたので改めてご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ

【公式サイト】
 https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

【会場】資生堂ギャラリー
【最寄】銀座駅 新橋駅など

【会期】
  1st:2018年10月19日(金)~12月26日(水)
  2nd:2019年01月16日(水)~03月17日(日)
   ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は資生堂ギャラリーの開廊100周年を記念した第2弾となっています。第1弾では資生堂創業者の福原信三の美学を取り上げていましたが、第2弾では日常の中にある美や創造性を追求した福原信三の美学に共感したイギリスの建築家集団、ASSEMBLE(アッセンブル)による陶芸のワークショップとなっています。…と言っても、既にワークショップの開催時期は終了していて私が観たのはそのアーカイブ的なものとなっていました。この展示では撮影可能となっていましたので、その様子を写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio (資生堂ギャラリー)

こちらが展示風景。壁際に陶器が展示され、部屋のあちこちにワークショップで使ったと思われる品が並びます。
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今回のワークショップはイギリスのリバプールで「グランビー・ワークショップ」というセラミックメーカーでの制作の再現となっているようです。元々は放置状態にあったグランビー地区の立て直しを目指すコミュニティ手動の取り組みの一貫だったそうで、初期の制作物は改装された家々のためのデザインだったようです。

こちらは陶器作成に使う道具類
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今回のワークショップを行ったアッセンブルは日本の陶芸についてリサーチをしたそうで、益子の土について研究しスリップキャスティング(鋳込鋳造)という方法で作ることにしたそうです。確かに鋳型のようなものと、型取りされたものが並んでいて轆轤とかはありませんでした。なお、アッセンブルが益子を選んだのは、民藝運動の中で英国人のバーナード・リーチと益子で作陶した濱田庄司の繋がりにも着想を得ているようです。

まるで工房の中のような景色となっています。
DSC02639.jpg
実際にここで作っていたようですが、行くのが遅すぎましたw アッセンブルはイギリスではターナー賞を受賞しているほどのアーティストで、ワークショップを通じて地域住民の創造や雇用といった問題にも取り組んでいるようです。アートで社会を変えようという大胆な試みは素晴らしいですね。

こちらは土をかき混ぜていました。
DSC02664.jpg
これを鋳型に流し込んで成型します。益子の土に古いガラスや陶磁器を細かく粉砕した再生骨材を混ぜて、この場で一から作っていたのだとか。

近くに陶片もありました。
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こういうのを材料にしたのかな? 特にキャプションがあったわけではないので定かではありませんが…。

机の上には様々な円筒形の器が並んでいました。
DSC02641.jpg
スリップキャスティングによって決まった形を大量生産できるようですが、交換可能なパーツの組み合わせ次第で無限に近いバリエーションを生むことも可能なようです。

映像で制作の様子も流していました。
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型も置いてあって、制作過程を伺うことができました。

そしてこちらが完成品。即興的な模様が何とも軽やかな品々となっています。
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グランビー・ワークショップには5つの制作のルールがあるそうで、
 ・偶然と即興を進んで受け入れることで、2つとないプロダクトを作る
 ・実験的プロセスを取り入れる。しかし、その形はシンプルでなければならない
 ・楽しむ心を忘れず、挑戦を恐れない
 ・独創性を豊かに発揮し、ありふれた事物に新たな視線を注ぐ
 ・リバプールのグランビー・フォー・ストリーツ地区の、雇用と創作活動の促進をサポートする
となります。最後のは方針ですが、4つのルールが見事に体現されているのが分かります。

こちらも色彩のリズムが面白い品々が並んでいます。
DSC02646.jpg
モダンでマティスのダンスやジョアン・ミロの作品なんかを彷彿とするような軽快さがありました。

こちらはマーブル模様の品々。
DSC02648.jpg
これも偶然できるような模様が面白く、唯一無二の品々となっています。

色だけでなく形も様々です。
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確かにシンプルかつ同じパーツを持っているけど、それぞれに個性があります。それにしても優美な印象を受けるシンプルさですね。


ということで、実際のワークショップを観ることが出来ないのは残念でしたが、素晴らしいアイディアの一端を観ることができました。アートとワークショップで雇用まで創出するという取り組みは日本でも展開して欲しいですね…。ここは無料で観ることができるので、気軽に立ち寄ってみるとよろしいかと思います。

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