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六本木クロッシング2019展:つないでみる 【森美術館】

今日は写真多めです。3週間ほど前の金曜日の夜に森美術館で「森美術館15周年記念展 六本木クロッシング2019展:つないでみる 日本の現代アートの今を見せたい!」を観てきました。この展示は撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 森美術館15周年記念展
 六本木クロッシング2019展:つないでみる
 日本の現代アートの今を見せたい! 

【公式サイト】
 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2019/index.html

【会場】森美術館
【最寄】六本木駅

【会期】2019年2月9日(土)~ 5月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日の夜ということもあって快適に鑑賞することができました。この時間って外国人の方が多いくらいかも

さて、この展示は2004年から3年毎に行われている「六本木クロッシング」の第6回目で、今回は1970~80年代生まれを中心とした日本のアーティスト25組を紹介する内容となっていました。先述の通り撮影可能となっていましたので、詳しくは写真を使ってご紹介していこうと思います。

飯川雄大 「デコレータークラブ―ピンクの猫の小林さん―」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
入口にいた大きなピンクの猫!w この作品を写真に撮ろうとするとどうやっても全体像が撮れないようになっているようで、真実や全体を俯瞰することの難しさや、写真で本当の状況や感動を伝える無意味さを提示しているとのことです。入口でぬっと顔を出しているのが可愛くて、みんな記念撮影に夢中でしたが割とシリアスなテーマですw

土井樹+小川浩平+池上高志+石黒浩×ジュスティーヌ・エマール 「ソウル・シフト」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは池上高志 氏や石黒浩 氏といったロボット・人工生命の研究者との「生命とは何か」をテーマとした作品。オルタ1とオルタ2という2体のロボットが会話するような映像で、SFの世界が現実になったような面白さがありました。そのうち、人権はどこまで認めるかとか哲学の話になるかもしれませんね。

青野文昭 「なおす・復元-沖縄の村はずれで破棄された車の復元-『GUN』2018」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
破棄された自動車を使った作品。途中で薄く消えかかって見えているのは途中から絵になっているためです。どこまでが実体か近寄っても中々判別が難しいのが面白い。

青野文昭 「なおす・代用・合体・連置-ベンツの復元から-東京/宮城(奥松島・里浜貝塚の傍らに埋まる車より)2018」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは貝塚に埋まっていたという車。歴史に埋もれる点では貝塚と似たようなものかも。こちらも家具と一体化するような修復となっていて、何度観ても不思議でした。

裏側はこんな感じ
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
ご丁寧にハンドルを持ったドライバーまでいますw 他にも2人ほど埋まっているように描かれていて、こちらもシュールな感じでした。

山内祥太 「ロキ、黄昏」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは北欧神話のロキの「城壁作り」の物語をクレイアニメーションで作ったという作品。この半球のスクリーンが世界全体を象徴しているのだとか。手間のかかるクレイアニメーションが15分近くも続くのにも驚き。2ヶ月半かけて制作されているとのことでした。

林千歩 「人工的な恋人と本当の愛 -Artificial Lover & True Love-」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは部屋全体が作品のようになっていました。ロボットが切ない歌を歌って愛を語らう2人が映されています。近い将来にこういうことも本当に起こり得るのではないか?と思いながら観ていました。最近は人間との境目がどんどん無くなってきてる感じ。

目 「景体」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
目というのは荒神明香 氏・南川憲二 氏・増井宏文 氏を中心とするチームらしく、部屋に巨大な海のような作品を展示していました。写真だけみるとうねる海が目の間に迫ってる感じw スケールと発想に驚く作品でした。

磯谷博史 「母親の子、祖母の孫」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは美術館の柱に2600mもの真鍮製のチェーンを巻き付けた作品。右の写真はそのアップです。チェーンの一部は作者の祖母と母親のネックレスによって繋がれているようですが、この中から探すのはかなり至難で諦めましたw 繋がりや時間の流れなどを表現しているようでした。

花岡伸宏 「手」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは彫刻作品で、右は一部をアップにしたものです。手が柱から生えているようなちょっと不気味な感じだけど、妙な艶めかしさも感じられました。意図はちょっと分かりませんでしたが、近くには同様に謎の人体像などが並んでいました。

毒山凡太朗 「君之代-斉唱-」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらはドキュメンタリーのような映像作品で、台湾の老人たちに日本統治時代の様子を語ってもらうというものです。会場にちょっとたどたどしい日本語で蛍の光が流れていると思ったら、このような映像となっていました。統治時代の悪い部分もある一方、割と懐かしんでいる様子なんかも観られて、貴重なインタビューに思えました。彼らも終戦によって良くも悪くも一気に状況が変わったようです。

アンリアレイジ 「A LIVE UN LIVE」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらはフラッシュ撮影可能な作品。光が当たると色鮮やかになる仕掛けで、パウチモーターと分光素材で出来ているそうです。まずこれは通常時。マネキンが4つあるのは四季を表しているとのことですが、この状態だと全部同じに見えます。

アンリアレイジ 「A LIVE UN LIVE」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
フラッシュを当てるとこんな感じ。それぞれ異なる色合いとなっていて、近未来的な斬新さとなっていました。中々カッコいいのでイベントとかで流行るかも。

竹川宣彰 「猫オリンピック:開会式」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
今回特に面白かったのがこちら。猫のオリンピックをテーマにした作品群で、スタジアムにはぎっしり猫が集まっています。

竹川宣彰 「猫オリンピック:開会式」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
アップにするとこんな感じ。陶器の猫が1300弾き以上も並んでいます。みんな反時計回りに並んでいて渦巻くような圧巻の光景です。可愛らしいですが、この作品は愛猫のトラジロウが交通事故で亡くなったのがきっかけで作られたそうで、この中にはトラジロウも含まれているのだとか。

竹川宣彰 「猫オリンピックのポスター」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
ポスターだってあります。 ちょっと落書きみたいに描かれているのがユルくて可愛いです。 猫の新体操はじゃれているようにしか見えないw

この近くにはマイケル・ジャクソンが赤羽の児童施設を訪れたエピソードをテーマにした作品なんかもありました。そこは撮影禁止なのが残念。

津田道子 「王様は他人を記録するが」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは『鏡の国のアリス』をモチーフにした作品で、市松模様の床はチェス盤に見立てています。カメラがキング、モニタがクイーン、フレームがナイト、壁がルーク、鏡がポーン(アリス)だそうで、実際にここを歩くこともできて鏡やモニタに自分の姿が映されます。上にあるのは小説に出てくる詩を逆さまにくり抜いたものでそれも壁に逆さに写っているようでした。鏡が無いものもあったりして、デジタル技術を使ったミラーハウス的な面白さがありました。

ヒスロム 「いってかえって-浮力4」
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この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。
こちらは加藤至 氏、星野文紀 氏、吉田祐 氏の三人のグループの作品。これは建築物の巨大な貯水池にゴムボートで侵入したという体験を題材としているそうで、その場に木材や建築資材を放置したようです。映像もあってその時の記録のようでした。あまり褒められた行動じゃないけど異世界的な面白さがあって見入ってしまいましたw


ということで、今回も個性的な発想の作品が並んでいました。いずれもまだまだ活躍が予想されるアーティストたちなので、まさに現在進行系のアートを体験できる展示だと思います。現代アートがお好きな方にオススメの展示です。




おまけ:
今回のMOMコレクションは1点のみでしたが、非常に面白かったので合わせてご紹介。

【展覧名】
 MAMコレクション009 米谷 健+ジュリア

【公式サイト】
 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection009/index.html

【会期】2019年2月9日(土)~ 5月26日(日)


米谷 健+ジュリア 「生きものの記録」
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こちらは暗闇の部屋の中で光る巨大なアリ型のインスタレーションです。これは大地掘り起こすと緑のアリが現れて世界を踏み潰し破壊するというアボリジニの神話「緑アリの教え」をテーマにしているそうですが、1970年代にアボリジニの反対を押し切ってウラン鉱山を開発したそうで、この作品には反核の意味も込められているのだとか。そう言われるとチェレンコフ光を表しているように思えてきますね…
この展示は六本木クロッシングとセットで観られるので、こちらも合わせて楽しめると思います。

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