美のスターたち (感想前編)【岡田美術館】 箱根編2019
今日も箱根編です。今回の箱根旅行では美術館にはほとんど行けなかったけど岡田美術館だけはダッシュで観てきました。その際「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」という展示が行われていて見どころが多かったので前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示はちょうど会期末だったため既に終了しています。

【展覧名】
開館5周年記念展 美のスターたち
―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―
【公式サイト】
https://www.okada-museum.com/exhibition/archives/2018_2.html
【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅
【会期】2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。それでもペース配分を間違って2時間くらいで閉館となってしまい、4階5階はかなりのハイペースで見る羽目になりました。3時間くらい無いと私には厳しかったw
さて、この展示は岡田美術館の開館5周年を記念するもので、日本・中国・朝鮮の美術品を中心に岡田美術館の名品がずらりと並ぶ内容となっていました。常設と特別展の区切りが特に無いので、1階から順に気に入った作品を挙げていこうと思います。
<1階 中国陶磁・青銅器、韓国陶磁>
まず1階は磁器を紹介するコーナーです。節ごとに産地や時代の異なる陶磁器が並んでいました。
[1-1 日本・中国・韓国 工芸の名品]
この節は3国の名品を紹介するコーナーで、特に日本の品が目を引きました。
13 「色絵宝尽文八角皿」 鍋島藩窯 江戸時代
こちらは中央に寿の字が書かれた八角形の皿で、ほら貝や宝珠、笙、団扇、宝船、打ち出の小槌などの宝物が周りに描かれています。色彩が鮮やかかつ気品があり、おめでたいもの尽くしとなっていました。鍋島は後のコーナーでも多く観られますが、これは確かにその中でも名品と言えそうです。
8 「深鉢形土器(火焔式土器)」 縄文時代中期前半
こちらは縄目の文様がついた火焔式土器で、どっしりとした風格があります。これぞ縄文時代と言った感じの力強く燃えるような造形が見事で、古代の美的センスに驚かされる土器でした。
この辺には埴輪や銅鐸などもありました。
[1-2 古代の明器]
この節は中国の明器のコーナーです。明器とは墳墓に副葬する為の器物(俑とか)で、殷時代から始まった風習のようです。
24 「三彩鷹形水注」 唐時代
こちらは鷹の形をした水注で、くちばし部分から水を注ぐようになっています。立ち姿で表され三彩の色を活かした模様になっているのが面白い。鷹をモデルにした明器を観るのは初めてでしたが、希少な作例のようでした。
34 「緑釉楼閣」 後漢時代
こちらは高さ1.5mくらいある楼閣型の焼き物で、3層を4つのパーツを組み上げて作っているようです。上層部分には人の姿があり、窓から顔を出しているのがちょっと微笑ましいw 頂上には鳳凰らしき姿もあり、非常に凝った作品となっていました。
[1-3 宋磁]
続いては中国の宋時代前後の頃の磁器のコーナーです。
53 「澱青釉紅斑文瓶」 釣窯 金~元時代
こちらは胴部分が下に行くほど細くなっていく形の瓶で、丸みのある造形となっています。口の部分は百合の花のように5つの突起に分かれていて、可憐な印象を受けます。天青と呼ばれる淡い青色も鮮やかで、紫色の文様が有機的な不定形に施されていました。まるで近代の抽象絵画を思わせるようなモダンさの模様がある陶器です。
ここには天目茶碗もいくつかありました。
[1-4 宋・元・明の景徳鎮官窯]
続いては官窯である景徳鎮の品々が並ぶコーナーです。
58 「白磁暗花束蓮文盤」 明時代 永楽年間
一見すると真っ白な円形のお皿です。しかしよ~く観ると蓮の花の文様が薄っすらと浮かんでいるのが分かります。これは白磁に暗花という淡い線彫りの技法で表しているようで、この文様は子孫繁栄の意味があるようです。透けるような白さも美しい器でした。
78 「五彩百蝠文壺」 明時代 万暦年間
こちらは大きめの壺の側面が無数の雲のような枠で区切られていて、その中に赤・緑・黄・青などの蝙蝠が無数に描かれています。蝙蝠は中国語では福に発音が似ているのでおめでたいモチーフなのですが、これは名前の通り百匹くらいはいるのではないか?というくらいの蝙蝠がカラフルに舞っていて目に鮮やかです。また、肩のしましま模様は八卦の文様になっているそうで、ここも豊かな色彩となっていました。
88 「青花アラベスク文双耳扁壺」 明時代 永楽年間
こちらは円形の扁壺で、両脇に耳がついています。中央にはアラベスク模様があり、イスラム圏のコバルトを使った鮮やかな青で表現されていました。白磁に異国情緒溢れる文様が浮かぶのが何とも美しく、この階の多くの陶器の中でも特に好みの作品でした。
[1-5 青磁の美]
続いては青磁のコーナーで、20点ほど並んでいました。
101 「青磁神亭壺」 越州窯 三国(呉)~西晋時代
こちらは神亭壺という穀倉や死者の住処を意味する明器です。壺の上に座禅した無数の小さな僧らしき姿があり、さらにその上には屋敷のようなものや楼閣まで表されています。明器ということで死生観も伺えるような面白さがありました。
95 「青磁柑子口瓶」 景徳鎮窯 清時代
こちらは一際滑らかで淡い緑色が美しい青磁です。側面に獣が円環を咥えたような耳が付いていて、シンプルながらも優美な雰囲気を湛えていました。
[1-6 清の景徳鎮官窯]
続いては清時代の景徳鎮官窯に関するコーナーです。
150 「粉彩団蝶文椀」 景徳鎮窯 清時代
こちらはお椀の側面に円形の枠が描かれ、そこに蝶が描かれてものが規則正しく5つ並んでいます。かなり細かく写実的で、触覚や鱗粉などまで描かれています。清時代の絵付けが非常に高度であったことが伺える作品でした。
この辺はカラフルなお椀が多かったかな。ピンクなど珍しい色のものもありました。
[1-7 玉器の美]
続いては中華圏の人が身につける「玉(主に翡翠)」を使って作られた作品のコーナーです。
160 「白玉蓮華文香炉」 清時代 乾隆年間
こちらは玉を使って青銅器の鼎を模した香炉です。取っ手には環も付いていて、饕餮紋を浮き彫りにするなどかなり手が込んでいます。小さいのに精巧で尋常ならざる技術が伺えました。玉はむちゃくちゃ硬いのに根気がヤバイw
<2階 日本陶磁・ガラス>
続いて2階は日本の代表的な産地の陶磁器が並び、和ガラス製品も少しあります。
[2-1 縄文の美]
再び縄文時代の品のコーナー。ここは点数少なめです。
163 「土偶」 縄文時代晩期
こちらは笑っているような土偶で、抽象化されて渦巻き文様のようなものが表されています。全体的には遮光器土偶にも似た形となっていて、その流れを汲んでいるとのことでした。
[2-2 肥前磁器と古九谷様式]
続いては有田焼や古九谷が並ぶコーナーです。
175 「色絵花鳥文瓶」
こちらは白濁色の胴に梅の木にとまる3羽の鵲とバラを描いた作品です。木はエメラルドグリーン、花は赤で 自由闊達な筆で描かれています。完成度が高過ぎないところが丁度良くて心地よく感じられるかな。味わいのある絵柄の作品でした。
この辺には古九谷も多数並んでいました。黄色と緑がどぎつい色彩で、私が苦手とする磁器ですw
[2-3 柿右衛門様式]
続いては有田の中でも白地を基調とした柿右衛門様式の作品のコーナーです。
194 「色絵波涛花散文美人像」
こちらは胸に手を当てて笑って話しているような着物姿の女性の陶器人形です。等身が長くすらっとしていて、切れ長の目が艶やかな雰囲気です。また、赤や緑で花や流水を表した着物も雅で、気品ある美人像となっていました。
[2-4 肥前磁器の名品]
続いては肥前の名品のコーナーです。
199 「色絵椿繋文皿」
こちらは円形の皿のフチを沿うように白・赤・青・黄などの椿が描かれています。その色の配置が流れを感じさせ、優美な雰囲気です。上の方には輪が欠けている部分があって、それが何とも洒脱な仕掛けに思えました。
このコーナーにある名品は本当に素晴らしい品ばかりでした。流石に全部はメモしきれませんがw
[2-5 鍋島焼]
続いては私の大好きな鍋島のコーナー。幾何学的な模様や花鳥を描いた品まで幅広い題材となっていました。
213 「色絵野菜文皿」
こちらは夏野菜が描かれた皿で、なた豆・唐辛子・瓜・ナスなどが並んでいる様子となっています。その単純化が面白くリズミカルな配置となっている上、色も唐辛子の赤や葉っぱの緑、ナスの紫と言った感じでカラフルで軽やかな印象を受けました。非常に洒落た作品です。
ここも紹介しきれないくらい素晴らしい作品がいくつも並んでいました。
[2-6 古伊万里さまざま126件]
ここは揃い物の古伊万里など様々な品が展示ケースに並んでいました。小さくて可愛い器なんかもあってバリエーションに富んでいます。
[2-7 仁清と乾山]
続いては野々村仁清と尾形乾山による焼き物のコーナーです。
352 尾形乾山 「銹絵白梅図角皿」
こちらは兄の尾形光琳による白梅と、乾山による賛が描かれている四角い皿です。白梅はかなり単純化されて勢いを感じるかな。背面には兄の尾形光琳が絵付けをしたのは間違いない旨が記されているようで、皿全体に大きな文字で書かれていました。
この辺には以前ご紹介した「色絵輪宝羯磨文香炉」や「色絵竜田川文透彫反鉢」(★こちらで観られます)なんかもありました。ここもかなり華やかです。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― 【岡田美術館】(箱根編2018)
[2-8 びいどろ-和ガラスの美]
2階の最後は和ガラスのコーナーです。
367 「藍色ちろり」 江戸時代
こちらは深いコバルトブルーのちろりで、胴は丸々していて口は細く長く伸びています。その繊細で洗練されたフォルムが色と共に涼しげで、現代でも通じそうな流麗な姿となっていました。
このコーナーには少数ながらも貴重な薩摩切子などもありました。力強い色彩が魅力です。
ということで、長くなってきたので今日はここまでにしておこうと思います。1~2階でかなり時間を使ったことで後半は途中でタイムアップになった訳ですが、とにかく見どころが多くて特に鍋島や京焼は見逃せないと思います。後半は今回の目当てである伊藤若冲や琳派の作品なども展示されていましたので、次回はそれらについてご紹介していこうと思います。
→ 後編はこちら


【展覧名】
開館5周年記念展 美のスターたち
―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―
【公式サイト】
https://www.okada-museum.com/exhibition/archives/2018_2.html
【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅
【会期】2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
3時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。それでもペース配分を間違って2時間くらいで閉館となってしまい、4階5階はかなりのハイペースで見る羽目になりました。3時間くらい無いと私には厳しかったw
さて、この展示は岡田美術館の開館5周年を記念するもので、日本・中国・朝鮮の美術品を中心に岡田美術館の名品がずらりと並ぶ内容となっていました。常設と特別展の区切りが特に無いので、1階から順に気に入った作品を挙げていこうと思います。
<1階 中国陶磁・青銅器、韓国陶磁>
まず1階は磁器を紹介するコーナーです。節ごとに産地や時代の異なる陶磁器が並んでいました。
[1-1 日本・中国・韓国 工芸の名品]
この節は3国の名品を紹介するコーナーで、特に日本の品が目を引きました。
13 「色絵宝尽文八角皿」 鍋島藩窯 江戸時代
こちらは中央に寿の字が書かれた八角形の皿で、ほら貝や宝珠、笙、団扇、宝船、打ち出の小槌などの宝物が周りに描かれています。色彩が鮮やかかつ気品があり、おめでたいもの尽くしとなっていました。鍋島は後のコーナーでも多く観られますが、これは確かにその中でも名品と言えそうです。
8 「深鉢形土器(火焔式土器)」 縄文時代中期前半
こちらは縄目の文様がついた火焔式土器で、どっしりとした風格があります。これぞ縄文時代と言った感じの力強く燃えるような造形が見事で、古代の美的センスに驚かされる土器でした。
この辺には埴輪や銅鐸などもありました。
[1-2 古代の明器]
この節は中国の明器のコーナーです。明器とは墳墓に副葬する為の器物(俑とか)で、殷時代から始まった風習のようです。
24 「三彩鷹形水注」 唐時代
こちらは鷹の形をした水注で、くちばし部分から水を注ぐようになっています。立ち姿で表され三彩の色を活かした模様になっているのが面白い。鷹をモデルにした明器を観るのは初めてでしたが、希少な作例のようでした。
34 「緑釉楼閣」 後漢時代
こちらは高さ1.5mくらいある楼閣型の焼き物で、3層を4つのパーツを組み上げて作っているようです。上層部分には人の姿があり、窓から顔を出しているのがちょっと微笑ましいw 頂上には鳳凰らしき姿もあり、非常に凝った作品となっていました。
[1-3 宋磁]
続いては中国の宋時代前後の頃の磁器のコーナーです。
53 「澱青釉紅斑文瓶」 釣窯 金~元時代
こちらは胴部分が下に行くほど細くなっていく形の瓶で、丸みのある造形となっています。口の部分は百合の花のように5つの突起に分かれていて、可憐な印象を受けます。天青と呼ばれる淡い青色も鮮やかで、紫色の文様が有機的な不定形に施されていました。まるで近代の抽象絵画を思わせるようなモダンさの模様がある陶器です。
ここには天目茶碗もいくつかありました。
[1-4 宋・元・明の景徳鎮官窯]
続いては官窯である景徳鎮の品々が並ぶコーナーです。
58 「白磁暗花束蓮文盤」 明時代 永楽年間
一見すると真っ白な円形のお皿です。しかしよ~く観ると蓮の花の文様が薄っすらと浮かんでいるのが分かります。これは白磁に暗花という淡い線彫りの技法で表しているようで、この文様は子孫繁栄の意味があるようです。透けるような白さも美しい器でした。
78 「五彩百蝠文壺」 明時代 万暦年間
こちらは大きめの壺の側面が無数の雲のような枠で区切られていて、その中に赤・緑・黄・青などの蝙蝠が無数に描かれています。蝙蝠は中国語では福に発音が似ているのでおめでたいモチーフなのですが、これは名前の通り百匹くらいはいるのではないか?というくらいの蝙蝠がカラフルに舞っていて目に鮮やかです。また、肩のしましま模様は八卦の文様になっているそうで、ここも豊かな色彩となっていました。
88 「青花アラベスク文双耳扁壺」 明時代 永楽年間
こちらは円形の扁壺で、両脇に耳がついています。中央にはアラベスク模様があり、イスラム圏のコバルトを使った鮮やかな青で表現されていました。白磁に異国情緒溢れる文様が浮かぶのが何とも美しく、この階の多くの陶器の中でも特に好みの作品でした。
[1-5 青磁の美]
続いては青磁のコーナーで、20点ほど並んでいました。
101 「青磁神亭壺」 越州窯 三国(呉)~西晋時代
こちらは神亭壺という穀倉や死者の住処を意味する明器です。壺の上に座禅した無数の小さな僧らしき姿があり、さらにその上には屋敷のようなものや楼閣まで表されています。明器ということで死生観も伺えるような面白さがありました。
95 「青磁柑子口瓶」 景徳鎮窯 清時代
こちらは一際滑らかで淡い緑色が美しい青磁です。側面に獣が円環を咥えたような耳が付いていて、シンプルながらも優美な雰囲気を湛えていました。
[1-6 清の景徳鎮官窯]
続いては清時代の景徳鎮官窯に関するコーナーです。
150 「粉彩団蝶文椀」 景徳鎮窯 清時代
こちらはお椀の側面に円形の枠が描かれ、そこに蝶が描かれてものが規則正しく5つ並んでいます。かなり細かく写実的で、触覚や鱗粉などまで描かれています。清時代の絵付けが非常に高度であったことが伺える作品でした。
この辺はカラフルなお椀が多かったかな。ピンクなど珍しい色のものもありました。
[1-7 玉器の美]
続いては中華圏の人が身につける「玉(主に翡翠)」を使って作られた作品のコーナーです。
160 「白玉蓮華文香炉」 清時代 乾隆年間
こちらは玉を使って青銅器の鼎を模した香炉です。取っ手には環も付いていて、饕餮紋を浮き彫りにするなどかなり手が込んでいます。小さいのに精巧で尋常ならざる技術が伺えました。玉はむちゃくちゃ硬いのに根気がヤバイw
<2階 日本陶磁・ガラス>
続いて2階は日本の代表的な産地の陶磁器が並び、和ガラス製品も少しあります。
[2-1 縄文の美]
再び縄文時代の品のコーナー。ここは点数少なめです。
163 「土偶」 縄文時代晩期
こちらは笑っているような土偶で、抽象化されて渦巻き文様のようなものが表されています。全体的には遮光器土偶にも似た形となっていて、その流れを汲んでいるとのことでした。
[2-2 肥前磁器と古九谷様式]
続いては有田焼や古九谷が並ぶコーナーです。
175 「色絵花鳥文瓶」
こちらは白濁色の胴に梅の木にとまる3羽の鵲とバラを描いた作品です。木はエメラルドグリーン、花は赤で 自由闊達な筆で描かれています。完成度が高過ぎないところが丁度良くて心地よく感じられるかな。味わいのある絵柄の作品でした。
この辺には古九谷も多数並んでいました。黄色と緑がどぎつい色彩で、私が苦手とする磁器ですw
[2-3 柿右衛門様式]
続いては有田の中でも白地を基調とした柿右衛門様式の作品のコーナーです。
194 「色絵波涛花散文美人像」
こちらは胸に手を当てて笑って話しているような着物姿の女性の陶器人形です。等身が長くすらっとしていて、切れ長の目が艶やかな雰囲気です。また、赤や緑で花や流水を表した着物も雅で、気品ある美人像となっていました。
[2-4 肥前磁器の名品]
続いては肥前の名品のコーナーです。
199 「色絵椿繋文皿」
こちらは円形の皿のフチを沿うように白・赤・青・黄などの椿が描かれています。その色の配置が流れを感じさせ、優美な雰囲気です。上の方には輪が欠けている部分があって、それが何とも洒脱な仕掛けに思えました。
このコーナーにある名品は本当に素晴らしい品ばかりでした。流石に全部はメモしきれませんがw
[2-5 鍋島焼]
続いては私の大好きな鍋島のコーナー。幾何学的な模様や花鳥を描いた品まで幅広い題材となっていました。
213 「色絵野菜文皿」
こちらは夏野菜が描かれた皿で、なた豆・唐辛子・瓜・ナスなどが並んでいる様子となっています。その単純化が面白くリズミカルな配置となっている上、色も唐辛子の赤や葉っぱの緑、ナスの紫と言った感じでカラフルで軽やかな印象を受けました。非常に洒落た作品です。
ここも紹介しきれないくらい素晴らしい作品がいくつも並んでいました。
[2-6 古伊万里さまざま126件]
ここは揃い物の古伊万里など様々な品が展示ケースに並んでいました。小さくて可愛い器なんかもあってバリエーションに富んでいます。
[2-7 仁清と乾山]
続いては野々村仁清と尾形乾山による焼き物のコーナーです。
352 尾形乾山 「銹絵白梅図角皿」
こちらは兄の尾形光琳による白梅と、乾山による賛が描かれている四角い皿です。白梅はかなり単純化されて勢いを感じるかな。背面には兄の尾形光琳が絵付けをしたのは間違いない旨が記されているようで、皿全体に大きな文字で書かれていました。
この辺には以前ご紹介した「色絵輪宝羯磨文香炉」や「色絵竜田川文透彫反鉢」(★こちらで観られます)なんかもありました。ここもかなり華やかです。
参考記事:仁清と乾山 ―京のやきものと絵画― 【岡田美術館】(箱根編2018)
[2-8 びいどろ-和ガラスの美]
2階の最後は和ガラスのコーナーです。
367 「藍色ちろり」 江戸時代
こちらは深いコバルトブルーのちろりで、胴は丸々していて口は細く長く伸びています。その繊細で洗練されたフォルムが色と共に涼しげで、現代でも通じそうな流麗な姿となっていました。
このコーナーには少数ながらも貴重な薩摩切子などもありました。力強い色彩が魅力です。
ということで、長くなってきたので今日はここまでにしておこうと思います。1~2階でかなり時間を使ったことで後半は途中でタイムアップになった訳ですが、とにかく見どころが多くて特に鍋島や京焼は見逃せないと思います。後半は今回の目当てである伊藤若冲や琳派の作品なども展示されていましたので、次回はそれらについてご紹介していこうと思います。
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多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。
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今後の更新について (01/14)
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【山崎美術館】の案内 (2021年11月) (01/11)
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保岡勝也 「旧山崎家別邸」 (01/09)
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映画「劇場版 呪術廻戦 0」(ややネタバレあり) (01/07)
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TERUHISA KITAHARA 鉄道コレクション展 【京橋エドグランタウンミュージアム】 (01/05)
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展覧会年間スケジュール (1都3県) 【2022年01月号】 (01/01)
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2021年の振り返り (12/31)
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ヘラルボニー/ゼロからはじまる 【BAG-Brillia Art Gallery】 (12/29)
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映画「キングスマン:ファースト・エージェント」(ややネタバレあり) (12/27)
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横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】 (12/26)
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第15回 shiseido art egg 【資生堂ギャラリー】 (12/23)
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映画「マトリックス レザレクションズ」(ややネタバレあり) (12/21)
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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 【パナソニック汐留美術館】 (12/19)
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鈴木其一・夏秋渓流図屏風 【根津美術館】 (12/16)
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【根津美術館】の紅葉 2021年11月 (12/14)
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カフェラヴォワ 【新宿界隈のお店】 (12/12)
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川瀬巴水 旅と郷愁の風景 【SOMPO美術館】 (12/10)
最新コメント
- 21世紀のxxx者:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- ゆーき:イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン (感想後編)【三菱一号館美術館】 (12/09)
- 21世紀のxxx者:奇蹟の芸術都市バルセロナ (感想前編)【東京ステーションギャラリー】 (01/03)
- うさぴょん:キヨノサチコ絵本原画の世界 みんな大好き!ノンタン展 【松屋銀座】 (03/21)
- 21世紀のxxx者:川豊 【成田界隈のお店】 (03/04)
- 21世紀のxxx者:劇団四季 「MAMMA MIA!(マンマ・ミーア!)」 (03/04)
- 萌音:川豊 【成田界隈のお店】 (03/03)
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