関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

美のスターたち (感想後編)【岡田美術館】 箱根編2019

前回に引き続き箱根小涌谷の岡田美術館の「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」についてです。前編は2階まででしたが、今日は残りの3~5階についてご紹介していこうと思います。まずは概要のおさらいです。(この記事を書いている時点で既に終了しています)

 前編はこちら

DSC03978.jpg

【展覧名】
 開館5周年記念展 美のスターたち 
 ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―

【公式サイト】
 https://www.okada-museum.com/exhibition/archives/2018_2.html

【会場】岡田美術館
【最寄】小涌谷駅

【会期】2018年9月30日(日)~2019年3月30日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 3時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半も空いていて独占状態で観ることができたのですが、閉館時間が迫ってきて4階・5階はメモを取ることができませんでした。思い出せる限り書き残しておこうと思います。


<3階 日本絵画 金屏風・水墨画・春画など>
3章は日本画各種が並ぶコーナーです。

[3-1 金屏風]
3階に入ってまず驚くのがこのコーナーです。部屋一面に金屏風が並び壮観な眺めとなっています。

371 「紅白梅図屏風」
こちらは六曲一双の金屏風で、恐らく狩野派によるものと思われます。紅白の梅の花が入り乱れるように咲いていて、かなり花の数が多くて豪華な印象をうけます。また、木の周りには竹の柵がジグザグに並んでいて、縦の直線が多い構図となっています。それが幾何学的で奥行きとリズムを生んでいて面白い効果となっていました。

373 長谷川派 「浮舟図屏風」
こちらは六曲一双の金屏風で、源氏物語の51帖「浮舟」を題材にした作品です。薫の大将の恋人の浮舟を匂宮が連れ出し宇治川を渡るシーンとなっていて、小さい舟で身を寄せ合って心もとない雰囲気です。また、川は波の紋様のようになっていて、手前にある笹などと共に風を感じさせるかな。全体的に茶色がかって寒々した印象を受けるのも2人の行く末を暗示しているようでした。

[3-2 水墨画]
こちらは4点だけですが狩野元信や雪村周継などビッグネームの作品が展示されていました。

378 雪村周継 「瀟湘八景図」
こちらは瀟湘八景を1枚の小さな水墨にまとめた作品です。月の浮かぶ洞庭秋月や、漁村の様子を描いた漁村夕照、遠くの舟を描いた遠浦帰帆などお馴染みのテーマを簡潔かつ叙情的に表現しています。すらっと描いているようで情景が浮かぶのが驚きでした。

[3-3 春画]
こちらは部屋が仕切られていて春画が展示されています。

384 葛飾北斎 「波千鳥」
こちらは5点セットの作品で、墨の線だけを版木で刷って1図ずつ筆で彩色するという手の込んだ手法が使われています。春画なので男女の行為を描いているのですが、めちゃくちゃ細い線を駆使して細密に描いていたり 微妙な色彩で表現するなど気合の入り方が普通の版画よりも凄いかもw 葛飾北斎の知られざる画業を観ることができます。

他にも鳥文斎栄之や渓斎英泉の作品などもありました。

[3-4 後水尾院]
こちらは後水尾院の二条城行幸など、後水尾院に関する品が3点ほど並んでいました。

386 「後水尾天皇宸翰和歌書」
こちらは後水尾院の直筆の和歌書で、「故郷に 帰ればかはる色 もなし 山も見しやま 花を見し はな」と書いてあります。流れるように軽やかで、書においても卓越した才能を持っていたのが伺えます。近くには二条城行幸の大画面の作品もあって、少数ながらも秀でた天皇であったことを伝える品々となっていました。

[3-5 花鳥走獣]
こちらは鳥や獣を題材にした作品が並ぶコーナーで、今回の見どころとなる伊藤若冲の作品も展示されていました。

390 円山応挙 「子犬に綿図」
こちらは小さい綿の木が描かれ、その周りに白い子犬と茶色い子犬の姿も描かれています。2匹ともコロコロしていて、応挙がよく描いた狗子図の典型といった感じです。茶色の犬は毛をふわふわに、白い犬は太めの輪郭線で表現するなど2匹で表現方法が異なるのも面白く、どちらも ゆるキャラのような可愛さがありました。

391 伊藤若冲 「月に叭々鳥」
こちらは急降下してくる叭々鳥を描いた作品で、口を大きく開けて真っ黒な逆三角形の姿にデフォルメされています。上部には薄っすらと月も浮かんでいて、簡潔なようで勢いや技巧を感じさせる表現となっていました。

392 伊藤若冲 「孔雀鳳凰図」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている2幅対の掛け軸です。2015年に再発見された140.8cm×82.6cmの大型作品で、右幅は白い孔雀が松を背景に立ち、周りには富貴の象徴である牡丹が咲いています。一方、左幅は松の上に立つ極彩色の鳳凰で、上を見上げるような姿勢で尾をなびかせているのが圧巻です。孔雀の体は透けるように描かれていて、かなり細かく毛並みが描き込まれているのが分かります。鳳凰もミリ以下の単位の細かさで丹念に描いていて、現実を超えた鮮やかさとなっていました。以前聞いた話だと、これは動植綵絵に先立って描いた作品じゃなかったかな。伊藤若冲の特徴が凝縮されているような作品です。

[3-6 日本の風景画]
続いては風景画のコーナーで、箱根に因んだ作品が展示されていました。

401 歌川広重 「箱根温泉場ノ図・箱根湖上ノ不二」
こちらは2幅対の肉筆画で、右幅は場所は特定できないようですが塔ノ沢温泉付近の光景らしく、川に橋が架かって2人の人が渡っている様子が描かれています。一方の左幅は芦ノ湖のカーブしている部分で、背景に白い富士山が見えています。いずれも淡く緻密な筆致で、版画の浮世絵とは異なる魅力を感じます。解説によるとこれは天童にいた頃に依頼されたそうで、「天童広重」と呼ばれる肉筆画の1つのようです。色を抑えているのは武家好みの表現とのことでした。

ここには他に東海道五十三次(3図のみ)や葛飾北斎の富嶽三十六景から特に有名な「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」などもありました。

[3-7 御舟・古径・大観の水墨画]
続いては速水御舟、小林古径、横山大観のコーナーです。各画家1点ずつ合計3点のみとなっていました。

403 速水御舟 「木蓮(春園麗華)」
こちらは縦長の掛け軸で、木蓮の花が水墨で描かれています。写実的でありながら情感たっぷりで、墨の濃淡だけで木蓮の色を感じるような繊細さが見事です。葉っぱの葉脈まで分かったり、滲みを活かした花の色など表現に富んでいて見ごたえがあります。 解説によると、俵屋宗達を学んだ成果がこの絵に現れているとのことでした。

ここには巨大な富士山を描いた横山大観の絵もあって、少数でも驚きの多いコーナーでした。


<4階 日本・中国・韓国の絵画と工芸>
4階に到達した頃には蛍の光が流れてきて、猛スピードで観る羽目になりましたw ちょっと1~2階で時間を使いすぎた…。4階は細かく節が分かれていて様々な作品が紹介されています。

[4-1 歌麿「深川の雪」と美人画の逸品]
こちらは美人画のコーナー。歌麿の「深川の雪」だけ後の方に展示されていました。

411 伊東深水 「三千歳」
こちらは化粧している女性を描いた作品で、ふと何かに気がついたような表情をしています。解説によると、この女性は歌舞伎の演目のヒロインらしく、罪人の恋人を想い待ちわびているようです。白い肌に真っ赤な口紅が艶やかで、伊東深水ならではのミステリアスな雰囲気もありました。

この近くにあった円山応挙も見事です。

415 上村松園 「汐くみ」
こちらは振り返る着物の女性を描いた作品で、手に紐を持っています。紐の先には海水を汲み入れた容器を乗せた小さな台車があって、引っ張って運んでいるらしく、これは能の「松風」の因んでいるそうです。女性は上村松園が得意とした清らかで雅な雰囲気の女性となっていて、気品漂う佇まいとなっていました。

この階の出口に向かうあたりに歌麿「深川の雪」もありましたが、今回も複製でした。本物はまだ観たことがないですw

[4-2 調度品]
こちらは蒔絵の棚などが展示されていました。柴田是真の作品もあったのですが、あまりじっくり観ていられなかったのが残念。

[4-3 朝鮮時代の美術]
こちらは朝鮮の絵画や壺などが並んでいました。特に目を引いたのは正祖の「葡萄図」という掛け軸で、画面の縁を這うように伸びる葡萄の蔦がリズミカルかつ自由闊達な雰囲気に思えました。

[4-4 日本の文人画(南画)]
こちらは4点のみで池大雅、与謝蕪村、渡辺崋山、谷文晁という日本の文人画を代表する4人の作品が並んでいました。まあ南画は大して好きでもないので ここはささっとw

[4-5 琳派]
ここは大好きな琳派のコーナーなのでもっと時間を取って観るべきでした…。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一という琳派を代表する絵師たちの作品がならび、特に俵屋宗達が絵を描き本阿弥光悦が書を書いた作品が目を弾きました。絵も字も風流で、時間ぎりぎりまで観てきましたw 

他にも以前ご紹介した尾形光琳の「雪松郡禽図屏風」などもあって、これも再会できて嬉しい作品でした。
 参考記事:岡田美術館の常設 2018年1月 箱根編

[4-6 風俗画]
ここは3点のみで、菱川師宣、葛飾北斎、英一蝶の肉筆画がありました。

[4-7 漆芸]
ここも3点のみです。中国2点、日本1点と少ないですが貴重な堆朱の作品もありました。

[4-8 近代日本画]
466 川合玉堂 「富嶽」
こちらは六曲一双の金屏風で、大きな富士山と松が描かれています。色が非常に鮮やかで、その大きさと共に富士山の堂々たる雰囲気がよく表れていました。

<5階 仏教美術>
最後、5階は仏教美術のコーナーで、仏画や仏像などが並んでいます。

[5 仏像・仏画・写経]
ここは時間切れで一瞬でしたが、金剛力士像が特に目を引きます。筋肉隆々で迫力があり、慶派のような作風に思えました。


ということで、せっかく行ったのに時間切れという事態になってしまいました。それというのも非常に濃密なコレクションが怒涛の如く並んでいるせいだったりしますw ここは携帯電話を持ち込めないとか、やたら入館料が高いといったマイナス面もありますが それを差っ引いても凄い美術館なので、箱根に行く際には是非立ち寄りたいアートスポットだと思います。

おまけ:美術館入り口にあった「深川の雪」のパネル
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