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MOMASコレクション3 【埼玉県立近代美術館】

前回ご紹介した「ロシアの夢 1917-1937 革命から生活へ-ロシア・アヴァンギャルドのデザイン」を観た後、埼玉県立近代美術館の常設も軽く観てきました。ここは常設展を「MOMASコレクション」と名づけて期間があるようです。良いコレクションを持っています。

P1080998.jpg P1080994.jpg


【展覧名】
  MOMASコレクションⅢ
  「西洋の美術 - 印象派からピカソまで」
  「日常に潜むもの - 室内の小宇宙」
  「ミューズ・フォーラム:芸術と素朴 - <プリミティブ>なるものと現代」

【公式サイト】
 http://www.momas.jp/4.htm

 参考リンク(埼玉県内の絵画):http://www.museum.spec.ed.jp/monoshiri/part/art200.html
 参考リンク(埼玉県内の彫刻):http://www.museum.spec.ed.jp/monoshiri/part/art500.html

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅
【会期】2009年10月24日(土) ~ 2010年1月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
 ※写真はコンパクトデジカメで撮影しました。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日13時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
館内は広くて常設も色々あるのですが、今回はMOMASコレクションⅢの中から「西洋の美術 - 印象派からピカソまで」を中心にご紹介しようと思います(というか待ち合わせがあってそれ以外は今回は観ませんでしたw)
館内で白黒の絵葉書のような解説をもらえて、それには詳細な説明が書いてあるのが非常に親切です。並んでいる順番を忘れたので、ご紹介する順序ができとうですみません。


ウジェーヌ・ドラクロワ 「聖ステパノの遺骸を抱え起こす弟子たち」 ★こちらで観られます
聖ステパノといえば石打によって殉教した聖人です。殉教した後に弟子達が抱え起こすシーンを描いています。中央に光が当たったような表現でドラマ性を高めているようでした。ドラクロワらロマン主義はこうした色彩表現の重視で、その後の印象派に繋がる流れがつくられたと説明されていました。

カミーユ・ピサロ 「エラニーの牛を追う娘」 ★こちらで観られます
今年初夏の頃に東京都美術館の日本の美術館名品展にも出品された作品です。 印象派のリーダー的存在だったピサロの人格がしのばれるような、のんびりと優しい光につつまれた絵です。何度観ても癒されます。

クロード・モネ 「ルエルの眺め」 ★こちらで観られます
貴重な作品で、大きなモネ展があると貸し出されます。まだ印象派の絵を描く前の17歳の頃の作品で、非常に写実的に川とほとりの木々や草原を描いています。精密でモネのイメージと違うと直感的に思いますが、よく観ると空気を感じる光の表現などからその後の彼の作風の前兆が感じられます。

クロード・モネ 「ジヴェルニーの積みわら、夕日」 ★こちらで観られます
これも確か日本の美術館名品展に出てたと思います。モネといえばこの積み藁を思い浮かべる人も多いのでは? 少しずつ違う空の色の表現や、牧歌的ながらも存在感のある積み藁の構図が、非常に馴染むというか安らぎを感じます。この空気の流れまで感じそうな表現は、色んな画家の作品を観てもモネが一番ですね。

オーギュスト・ルノワール 「三人の浴女」 ★こちらで観られます
ルノワールの最晩年の作品。豊満な裸婦が三人、沐浴しているのでしょうか。背景と肌の色が似ていて、溶け込んでいます。色はオレンジや赤を主体としていて生命感と柔らかさを感じます。ルノワールの女性美の典型が観られる作品です。

モーリス・ユトリロ 「旗で飾られたモンマルトルのサクレ=クール寺院」 ★参考リンク
ユトリロの評価の高い白の時代から、カラフルな色彩に変わっていった時代の作品です。屋上からみる聖堂を描いていて、人の姿はありませんが、はためく旗がのんびりと平和な雰囲気でした。

モイーズ・キスリング 「リタ・ヴァン・リアの肖像」 ★参考リンク
こちらを向いて座る女性の肖像です。膝の上に手を組み、若干緊張した面持ちでこちらを見ています。キスリング独特の眼をしていて神秘的な感じでした。

パブロ・ピカソ 「静物」 ★参考リンク
キュビスムの時代の作品で、比較的具象的な感じがします。 蝋燭が輝き、水差や絵など、太い輪郭線で幾何学的に単純化されています。むしろ相棒のブラックみたいな雰囲気かも。ピカソのキュビスム時代の中ではかなり好きな作品です。

モーリス・ドニ 「シャグマユリの聖母子」 ★こちらで観られます
ドニの後期の作品です。ゴーギャンから影響を受けたナビ派らしい、平面的で鮮やかな雰囲気で、子供を抱く女性を描いています。周りに草花を配置しているのもあり、生き生きとしていました。

ジョルジュ・ルオー 「横向きのピエロ」 ★参考リンク
横を向いたピエロです。絵の具を厚塗りして描く上、輪郭がかなり太いので重厚感を感じますが、色合いなどから哀愁が漂っていました。

アンドレ・ドラン 「浴女」 ★こちらで観られます
すこし褐色の裸婦が、背中をむけて片足をベッドか何かに置いて屈んでいるポーズをしています。ちょっとたくましいくらい力強かったです。

ジュール・パスキン 「眠る裸女」 ★こちらで観られます
薄く輪郭線があいまいな感じのぼんやりした色彩で、眠る裸婦を描いています。その優しい色彩が、まどろむ様子を画面全体から感じます。私はパスキン好きなんです(><)

ポール・デルヴォー 「森」 ★参考リンク
神秘的な裸婦が身をくねらせたポーズをとり、植物に座って足を伸ばしています。周りは森で、そこだけベッドルームみたいになっていてシュールな雰囲気が漂います。また、左側には線路と汽車が描かれ、ますます謎です。幻想的で深層心理を描いたかのような作品で面白いです。

ということで、「西洋の美術 - 印象派からピカソまで」だけご紹介しましたが、そのほかにも 「日常に潜むもの - 室内の小宇宙」や「ミューズ・フォーラム:芸術と素朴 - <プリミティブ>なるものと現代」のコーナーも面白そうでした。


ついでに帰りに撮った美術館周辺に彫刻作品などをご紹介。

作品名はわかりませんが、階段を登る姿が面白い作品
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ロッカーにも謎の作品があります。
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フェルナンド・ボテロ 「横たわる人物」
以前もご紹介した作品。美術館の入口にあります。
P1080975.jpg

西野康造 「風の中で」
これは美術館の外の噴水のところにあります。
P1090014.jpg P1090022.jpg

左:エミリオ・グレコ 「ゆあみ(大)」
公園の入口付近にある作品。先日ご紹介した松岡美術館のエミリオ・グレコ 「水浴の女」とよく似ています。
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という感じで、むしろ私は特別展より常設のほうが楽しめたかもw この美術館は良い作品が多いので、機会があったら行ってみると面白いと思います。
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Comment
No title
鑑賞時間30分って作品数と混み具合によるけど
さくさくっと鑑賞出来るのはいいですよね


ランキング1位おめでとうございます!
今日もポチッと応援♪

No title
面白いブログですね また来ますね

Re: No title
>アスカリーナさん
いつも応援ありがとうございます! 今観たら2位でしたがおかげさまで一瞬だけでも1位になることができて嬉しいです。
これからも役立つ記事を目指しますので応援よろしくです!

この美術館は何度も行ってるので私は周るのが早いのかもw でもそんなに点数もないし貸しきり状態だったのでさくさくっと鑑賞できました。
Re: No title
>akiaki さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
akiaki さんも美術に興味があるんですね。
何か美術好きの人に役立つ情報を発信できればと思っております。
また覗いてみてください^^
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