HOME   »  映画  »  映画「バイス」 (ネタバレあり)

映画「バイス」 (ネタバレあり)

先日の会社帰りにレイトショーで映画『バイス』を観てきました。この記事にはネタバレが含まれていますので、ネタバレなしで観たい方はご注意ください。

DSC04308_201904180134444c5.jpg

【作品名】
 バイス

【公式サイト】
 https://longride.jp/vice/

【時間】
 2時間10分程度

【ストーリー】
 退屈_1_2_③_4_5_面白

【映像・役者】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【総合満足度】
 駄作_1_2_③_4_5_名作

【感想】
空いていてほぼ貸し切り状態だったような… ちょっと日本では苦戦してそうです。

さて、この映画は史実と検証(一部憶測含む)を元に作られた政治もので、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ(子ブッシュ)の時代に副大統領を努めたディック・チェイニーの半生を描いた物語となっていて、今年のアカデミー賞では作品賞にノミネート、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞という評価を受けています。タイトルの「バイス」は英語で悪徳を意味する「vice」と、副大統領を意味する「vice president」を掛けたものですが、チェイニーはその両方が当てはまる史上最強&最悪の副大統領として描かれています。実際のチェイニーは911の時にアルカイダ殲滅の流れをイラク戦争まで持って行ったのですが、それもこの映画で描かれています。私はラムズフェルドの方が記憶に残っていたわけですが、その理由も影のように静かに事を進めるチェイニーらしい特徴だったのかもしれません。

ここからネタバレがあるのでご注意ください。

映画の序盤は平凡(と言ってもイェール大学の中ではという話)で喧嘩と酒に明け暮れた駄目なやつだったのが、奥さんに諭されて更生して政治の道に進み、やがて出世していく… と、立身出世の話のようになっています。この辺は家族思いの描写もあって憎めないやつに思えますが、やがてウォーターゲート事件に巻き込まれなかったことでチャンスを得て、ラムズフェルドの元で虎視眈々と権力を狙って行く様子などは野心が強く伺えます。その後も何度か挫折を味わいながらも奥さんのサポートで盛り返していきますが、自身の大統領選の出馬を考えた時に、中傷合戦や娘の事情などを考慮して一度は政界から引退もしています。その辺りで偽のエンドロールが流れてちょっと驚きw 副大統領になっていない内に終わる訳がないので席を立つ人はいませんでしたが、一応これに騙されないようご注意w

そして子ブッシュの誘いで副大統領になると、表向きはブッシュを立てつつ裏では自分の陣営で周りを固め、通信を傍受し情報を操作するなど、影の大統領としての活動が描かれます。この映画を観る限りだと、無知なブッシュを老練なチェイニーと取り巻き達が上手く誘導しているような印象を受けるかな。弁護士やシンクタンクを上手く使いながら法的解釈を広げて世論操作していく様子などは ちょっとした悪のカタルシスのようなものさえ感じますw そして911が起きると、それを好機と捉えてイラク侵攻まで進んでいく流れは 映画の作り手の解釈も加味されている気がするものの、概ね史実に思えました。結局イラクから大量破壊兵器は出てこず、何のための戦いだったのか?というのは今でも中東情勢に影を落としているので、チェイニーの影響力は計り知れないものがあります。

と、1990年代くらいからは当時の新聞やニュースをよく観ていたので私は理解できましたが、アメリカの政治の制度や政治家同士の対立構造については無知なので、その辺の事情があまり飲み込めないままに進んでいってしまいました。一々説明しないでテンポも早いので、予備知識がないとあっという間に置いていかれる可能性があります。特に911以降の流れについては知識が必須だと思います。 また、エンドロールの途中に「この映画、臭いと思ったらリベラル臭い。偏っている」という自虐ネタみたいなセリフがあって、それは随所で感じますw それに対して「事実を言ったらリベラルか?」と反論しているセリフもあって、その程度の批判は折込済と言ったところでしょうか。私はアメリカ人ではないのでどっちでも無いですが、アカデミー賞にノミネートされたってのはこの辺にあるのかなと邪推してみたり。陰謀論的な話があったのでオカルト好きとしてはそこをもうちょっと掘り下げて欲しかったかなw 


ということで、総合的に面白かったか?というと何とも言えませんw 公平かつ忠実に作ってるようでチェイニーの悪行を皮肉交じりに煽りながら糾弾しているのは確かです。そのテイストを下品に感じるか、痛快と感じるかは人によると思います。私はマイケル・ムーアなんかも楽しめますが、これは作り手の小粋な正義マンぶりがちょっと苦手でしたw もっとドキュメンタリー的に作ってくれたら面白く思えたのかも。アメリカの政治や歴史に興味がある人向けの映画だと思います。

関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
64位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
10位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。