国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅 (感想後編)【東京国立博物館 平成館】
今日は平成最後の更新です。前回に引き続き東京国立博物館 平成館の特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」についてで、後編は3~4章についてご紹介して参ります。
前編はこちら

【展覧名】
特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」
【公式サイト】
https://toji2019.jp/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1938
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】2019年3月26日(火) ~ 2019年6月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は結構な混雑ぶりでしたが、後半は会場が広いこともあって若干快適に鑑賞できたと思います。
後半も各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:
空海と密教美術 感想前編(東京国立博物館 平成館)
空海と密教美術 感想後編(東京国立博物館 平成館)
番外編 教王護国寺 (東寺)の写真 【京都】
<第3章 東寺の信仰と歴史>
3章は篤い信仰を物語る宝物のコーナーです。法要で使う品や神像まで様々な品が並んでいました。
60 「八部衆面[迦楼羅、摩虎羅、夜叉、緊那羅、阿修羅]」「八部衆面 [天、乾闥婆]」 ★こちらで観られます
こちらは八部衆の面がずらりと並んでいました。舎利会の行列で僧侶が乗る輿を担ぐ人たちが付けた面だそうで、目が飛び出していたりして伎楽面のような造形です。凹凸が深くボリューム感があるかな。特に阿修羅は牙が生えた真っ赤な顔で、目が鋭く威嚇するような表情が目を引きました。また、乾闥婆もちょっと困ったような顔をしているのが面白く、豊かな造形の面ばかりでした。
69 「女神坐像」
こちらは八幡三神像のうちの1体で、どっしりした体躯であぐらをかいた姿で表されています。蓮の蕾のようなものを手に持ち、印を組んでいるので密教の仏像のような様式となっているように思えます。解説によると、この女神は国を守る神様として仏教とも結びつきが強いらしく、東寺境内にある鎮守八幡宮に伝わったそうです。目も見通すような眼差しで仏像との共通点を多く感じました。(この像も2011年に出品されていたと思います)
この辺には文書などが並んでいました。また、「十二天面[梵天、帝釈天、日天、毘沙門天、自在天、風天、火天]」という面が八部衆の裏側のケースに並んでいましたが、こちらは穏やかな表情の面が多かったように思います。そして第一会場の最後辺りに後宇多天皇による直筆の「後宇多天皇宸翰東寺興隆条々事書」があり、天皇からの篤い信仰を伺わせました。
続いて第二会場です。
84 「兜跋毘沙門天立像」 ★こちらで観られます
こちらは羅城門にあった唐から伝わった毘沙門天像です。三叉になった槍と宝塔を持つのは毘沙門天らしい感じですが、見慣れた毘沙門天の様式とは違って足元には地天女がいて両手で支え、さらにその脇に十羅刹女の尼藍婆(にらんば)と毘藍婆(びらんば)の姿がある珍しい作例です。頭の冠には鳥が表され、鎖を編んだ裾の長い鎧や、エビの尻尾のように連なる小手を付けているなど、日本でよく観る像とは違いが多くて驚かされます。やや腰を捻って立って玉眼のような目で睨みを効かせていて迫力がありました。実際に人より大きいのも威厳を感じさせます。 (これも2011年に観た記憶がありました)
この近くには西寺にあった「地蔵菩薩立像」という一木造の仏像もありました。羅城門や西寺から伝わった品もいくつかあるようで、見るからに密教とは異なる様式となっています。
<第4章 曼荼羅の世界>
最後の4章は曼荼羅をテーマにした章で、今回の目玉となる仏像がずらりと並んでいました。曼荼羅とは仏の世界を分かりやすく図示したもので、インドで成立しアジアに普及しました。日本に初めて伝えたのは空海で、有名な両界曼荼羅の他に下記のような種類があるようです。
別尊曼荼羅:個別の仏を取り上げた曼荼羅
種子曼荼羅:仏の代わりに種子というインドの古代文字(しゅじ。梵字)を描く曼荼羅
三昧耶曼荼羅(さんまやまんだら):仏の手の形や持ち物(どの仏か判別するもの)を描く曼荼羅
敷曼荼羅:灌頂で使う台の上に敷く曼荼羅
立体曼荼羅(羯磨曼荼羅):仏像を配した曼荼羅
となっています。この章では様々な曼荼羅を紹介していました。
95 「五大虚空蔵菩薩坐像」 ★こちらで観られます
こちらは中国で作られた立体曼荼羅で、中央で馬に乗った法界虚空蔵、東方で獅子に乗った金剛虚空蔵 南方で象に乗った宝光虚空蔵、西方で孔雀に乗った蓮華虚空蔵、北方で迦楼羅(見た目は鳳凰みたいな)に乗った業用虚空蔵が並んでいます。5つの知恵を象徴し五方を司る菩薩だそうで、空海の孫弟子の惠雲が中国から持ち帰ってきたそうです。それぞれの乗り物の上で杖を持って印を組み、割とほっそりした体躯で硬い姿勢に思えるかな。木造とのことでしたが、金属製のように思え、日本の仏像とはちょっと違った雰囲気がありました。
この他にも敷いて使う敷曼荼羅の「両界曼荼羅図 (敷曼荼羅)」や、梵字で仏を表す両界曼荼羅図 (種子曼荼羅)などもありました。
そしていよいよ仏像がずらりと並ぶ大部屋となります。東寺の講堂には21体の仏像が立体曼荼羅として配されていますが、今回はそのうち15体も展示されています。21体の内訳は。大日如来を中心とした如来が5体、その右に金剛波羅蜜菩薩を中心とした菩薩5体、如来達の左に不動明王を中心とした明王5体、部屋の四方に東西南北を司る四天王が4体、さらに帝釈天と梵天を加えて合計で21体となります。流石に各センターを務める巨大な大日如来や不動明王、金剛波羅蜜菩薩は来ていません(他に来ていないのは四天王のうち広目天と多聞天、それと梵天)が、それでも国宝と重要文化財ばかりの豪華な顔ぶれで、しかも普段は前からしか観られない仏像を360度から観ることができます。中には後ろにも顔がある仏像もいるので、それも見どころと言えそうです。(ここも2011年に来た仏像がありますが、今回は史上最多の展示となります)
110 「帝釈天騎象像」 ★こちらで観られます
帝釈天だけは撮影可能となっていました。やや斜めから観るとこんな感じ。

象とあまり大きさが変わらない大きさですw
正面と側面も取ってみました。額にあるのは第三の目です。

横から観る機会なんて中々無いのでじっくり堪能しました。帝釈天は元々はバラモン教(ヒンドゥー教の源流)のインドラ神で、仏教に取り入れられました。象に乗っていたりインド風なのは空海が持ち帰った密教に基づいているようです。静かだけど中々険しい表情に見えます。ヒンドゥー教だと結構やんちゃな神様なんですよね…。
104 「降三世明王立像」 ★こちらで観られます
こちらは胸の前で手をクロスする印を結び、8本の腕と前後左右の4つの顔を持つ姿で表された明王です。手には槍・剣・弓などを持ち、足元にはヒンドゥー教のシヴァ神とその妻パールヴァティを踏みつけています。これはヒンドゥー教に対する優位性を示す為のようですが、踏み出すような動きのある姿勢も生んでいて、牙のある恐ろしい形相と共に迫力を感じます。それにしても複雑な造形をしていて、絵や文章では伝わりづらい仏の姿を見事に立体表現していました。
この他に5つの目を持つ金剛夜叉明王や、牛に乗った大威徳明王、沢山の武器を持つ軍荼利明王なども近くにあります。明王たちは他の宗教の神の姿も取り込んでいて、密教ならではの面白さがあります。
108 「持国天立像」 ★こちらで観られます
こちらは邪鬼を踏みつけ、両手に刀と槍を持って構える四天王です。口を開けて目をひん剥くような怒りの形相で、仏達を護っています。若干、前かがみになっているようで、正面に立つと迫りくるような迫力がありました。複雑な造形で大きめですが、一木造となっているのだとか。
102 「金剛業菩薩坐像」 ★こちらで観られます
こちらは冠をかぶって装身具を身に着けた姿で表された菩薩です。菩薩はまだ悟りを開く前で、釈迦が王族だったことからこうした姿で表されるようです。悟りを開いた如来たちに比べて細身で優美な姿となっていて、座禅の時に左足が上に来るのはインドの習慣から来る密教ならではの表現だそうです。また、この像は一材で彫り出した上に木屎漆をかけた奈良時代の技法も使われているとのことでした。穏やかで静かな雰囲気があり、雅な仏像となっていました。
99 「阿閦如来坐像」(あしゅく) ★こちらで観られます
こちらの如来(5如来すべて)はかつての像が土一揆で燃えて、江戸時代末頃に造り直された仏像です。全体的に金色で、頭は螺髪で薄布を纏う姿は一般的な如来(大仏など)のイメージだと思います。右手を地面の方に伏せていて、これは瞑想中の釈迦が悪魔の誘惑から逃れる為にとった手の形だそうで、何者にも屈しない不動の決意を示しているそうです。また「阿閦」とは不動のことを指すそうで、他の如来に比べて心なしか意志の硬そうな顔に思えました。
この近くにあった「阿弥陀如来坐像」の頭は他の像の頭を付けたことなども紹介されていました。
ということで、やはり立体曼荼羅のコーナーが特に面白い展示となっていました。2011年の展示で観た仏像も結構ありましたが、間近で360度ぐるりと観ることが出来るのは貴重な機会だと思います。会期末には更なる混雑が予想されますので、気になる方はお早めにどうぞ。仏像好きにおすすめの展示です。
前編はこちら


【展覧名】
特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」
【公式サイト】
https://toji2019.jp/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1938
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】2019年3月26日(火) ~ 2019年6月2日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半は結構な混雑ぶりでしたが、後半は会場が広いこともあって若干快適に鑑賞できたと思います。
後半も各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
参考記事:
空海と密教美術 感想前編(東京国立博物館 平成館)
空海と密教美術 感想後編(東京国立博物館 平成館)
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<第3章 東寺の信仰と歴史>
3章は篤い信仰を物語る宝物のコーナーです。法要で使う品や神像まで様々な品が並んでいました。
60 「八部衆面[迦楼羅、摩虎羅、夜叉、緊那羅、阿修羅]」「八部衆面 [天、乾闥婆]」 ★こちらで観られます
こちらは八部衆の面がずらりと並んでいました。舎利会の行列で僧侶が乗る輿を担ぐ人たちが付けた面だそうで、目が飛び出していたりして伎楽面のような造形です。凹凸が深くボリューム感があるかな。特に阿修羅は牙が生えた真っ赤な顔で、目が鋭く威嚇するような表情が目を引きました。また、乾闥婆もちょっと困ったような顔をしているのが面白く、豊かな造形の面ばかりでした。
69 「女神坐像」
こちらは八幡三神像のうちの1体で、どっしりした体躯であぐらをかいた姿で表されています。蓮の蕾のようなものを手に持ち、印を組んでいるので密教の仏像のような様式となっているように思えます。解説によると、この女神は国を守る神様として仏教とも結びつきが強いらしく、東寺境内にある鎮守八幡宮に伝わったそうです。目も見通すような眼差しで仏像との共通点を多く感じました。(この像も2011年に出品されていたと思います)
この辺には文書などが並んでいました。また、「十二天面[梵天、帝釈天、日天、毘沙門天、自在天、風天、火天]」という面が八部衆の裏側のケースに並んでいましたが、こちらは穏やかな表情の面が多かったように思います。そして第一会場の最後辺りに後宇多天皇による直筆の「後宇多天皇宸翰東寺興隆条々事書」があり、天皇からの篤い信仰を伺わせました。
続いて第二会場です。
84 「兜跋毘沙門天立像」 ★こちらで観られます
こちらは羅城門にあった唐から伝わった毘沙門天像です。三叉になった槍と宝塔を持つのは毘沙門天らしい感じですが、見慣れた毘沙門天の様式とは違って足元には地天女がいて両手で支え、さらにその脇に十羅刹女の尼藍婆(にらんば)と毘藍婆(びらんば)の姿がある珍しい作例です。頭の冠には鳥が表され、鎖を編んだ裾の長い鎧や、エビの尻尾のように連なる小手を付けているなど、日本でよく観る像とは違いが多くて驚かされます。やや腰を捻って立って玉眼のような目で睨みを効かせていて迫力がありました。実際に人より大きいのも威厳を感じさせます。 (これも2011年に観た記憶がありました)
この近くには西寺にあった「地蔵菩薩立像」という一木造の仏像もありました。羅城門や西寺から伝わった品もいくつかあるようで、見るからに密教とは異なる様式となっています。
<第4章 曼荼羅の世界>
最後の4章は曼荼羅をテーマにした章で、今回の目玉となる仏像がずらりと並んでいました。曼荼羅とは仏の世界を分かりやすく図示したもので、インドで成立しアジアに普及しました。日本に初めて伝えたのは空海で、有名な両界曼荼羅の他に下記のような種類があるようです。
別尊曼荼羅:個別の仏を取り上げた曼荼羅
種子曼荼羅:仏の代わりに種子というインドの古代文字(しゅじ。梵字)を描く曼荼羅
三昧耶曼荼羅(さんまやまんだら):仏の手の形や持ち物(どの仏か判別するもの)を描く曼荼羅
敷曼荼羅:灌頂で使う台の上に敷く曼荼羅
立体曼荼羅(羯磨曼荼羅):仏像を配した曼荼羅
となっています。この章では様々な曼荼羅を紹介していました。
95 「五大虚空蔵菩薩坐像」 ★こちらで観られます
こちらは中国で作られた立体曼荼羅で、中央で馬に乗った法界虚空蔵、東方で獅子に乗った金剛虚空蔵 南方で象に乗った宝光虚空蔵、西方で孔雀に乗った蓮華虚空蔵、北方で迦楼羅(見た目は鳳凰みたいな)に乗った業用虚空蔵が並んでいます。5つの知恵を象徴し五方を司る菩薩だそうで、空海の孫弟子の惠雲が中国から持ち帰ってきたそうです。それぞれの乗り物の上で杖を持って印を組み、割とほっそりした体躯で硬い姿勢に思えるかな。木造とのことでしたが、金属製のように思え、日本の仏像とはちょっと違った雰囲気がありました。
この他にも敷いて使う敷曼荼羅の「両界曼荼羅図 (敷曼荼羅)」や、梵字で仏を表す両界曼荼羅図 (種子曼荼羅)などもありました。
そしていよいよ仏像がずらりと並ぶ大部屋となります。東寺の講堂には21体の仏像が立体曼荼羅として配されていますが、今回はそのうち15体も展示されています。21体の内訳は。大日如来を中心とした如来が5体、その右に金剛波羅蜜菩薩を中心とした菩薩5体、如来達の左に不動明王を中心とした明王5体、部屋の四方に東西南北を司る四天王が4体、さらに帝釈天と梵天を加えて合計で21体となります。流石に各センターを務める巨大な大日如来や不動明王、金剛波羅蜜菩薩は来ていません(他に来ていないのは四天王のうち広目天と多聞天、それと梵天)が、それでも国宝と重要文化財ばかりの豪華な顔ぶれで、しかも普段は前からしか観られない仏像を360度から観ることができます。中には後ろにも顔がある仏像もいるので、それも見どころと言えそうです。(ここも2011年に来た仏像がありますが、今回は史上最多の展示となります)
110 「帝釈天騎象像」 ★こちらで観られます
帝釈天だけは撮影可能となっていました。やや斜めから観るとこんな感じ。

象とあまり大きさが変わらない大きさですw
正面と側面も取ってみました。額にあるのは第三の目です。


横から観る機会なんて中々無いのでじっくり堪能しました。帝釈天は元々はバラモン教(ヒンドゥー教の源流)のインドラ神で、仏教に取り入れられました。象に乗っていたりインド風なのは空海が持ち帰った密教に基づいているようです。静かだけど中々険しい表情に見えます。ヒンドゥー教だと結構やんちゃな神様なんですよね…。
104 「降三世明王立像」 ★こちらで観られます
こちらは胸の前で手をクロスする印を結び、8本の腕と前後左右の4つの顔を持つ姿で表された明王です。手には槍・剣・弓などを持ち、足元にはヒンドゥー教のシヴァ神とその妻パールヴァティを踏みつけています。これはヒンドゥー教に対する優位性を示す為のようですが、踏み出すような動きのある姿勢も生んでいて、牙のある恐ろしい形相と共に迫力を感じます。それにしても複雑な造形をしていて、絵や文章では伝わりづらい仏の姿を見事に立体表現していました。
この他に5つの目を持つ金剛夜叉明王や、牛に乗った大威徳明王、沢山の武器を持つ軍荼利明王なども近くにあります。明王たちは他の宗教の神の姿も取り込んでいて、密教ならではの面白さがあります。
108 「持国天立像」 ★こちらで観られます
こちらは邪鬼を踏みつけ、両手に刀と槍を持って構える四天王です。口を開けて目をひん剥くような怒りの形相で、仏達を護っています。若干、前かがみになっているようで、正面に立つと迫りくるような迫力がありました。複雑な造形で大きめですが、一木造となっているのだとか。
102 「金剛業菩薩坐像」 ★こちらで観られます
こちらは冠をかぶって装身具を身に着けた姿で表された菩薩です。菩薩はまだ悟りを開く前で、釈迦が王族だったことからこうした姿で表されるようです。悟りを開いた如来たちに比べて細身で優美な姿となっていて、座禅の時に左足が上に来るのはインドの習慣から来る密教ならではの表現だそうです。また、この像は一材で彫り出した上に木屎漆をかけた奈良時代の技法も使われているとのことでした。穏やかで静かな雰囲気があり、雅な仏像となっていました。
99 「阿閦如来坐像」(あしゅく) ★こちらで観られます
こちらの如来(5如来すべて)はかつての像が土一揆で燃えて、江戸時代末頃に造り直された仏像です。全体的に金色で、頭は螺髪で薄布を纏う姿は一般的な如来(大仏など)のイメージだと思います。右手を地面の方に伏せていて、これは瞑想中の釈迦が悪魔の誘惑から逃れる為にとった手の形だそうで、何者にも屈しない不動の決意を示しているそうです。また「阿閦」とは不動のことを指すそうで、他の如来に比べて心なしか意志の硬そうな顔に思えました。
この近くにあった「阿弥陀如来坐像」の頭は他の像の頭を付けたことなども紹介されていました。
ということで、やはり立体曼荼羅のコーナーが特に面白い展示となっていました。2011年の展示で観た仏像も結構ありましたが、間近で360度ぐるりと観ることが出来るのは貴重な機会だと思います。会期末には更なる混雑が予想されますので、気になる方はお早めにどうぞ。仏像好きにおすすめの展示です。
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