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館蔵 日本画 伝統芸能と音色の響き 【松岡美術館】

今日も写真多めです。前回ご紹介した展示を観た後、タクシーで松岡美術館に移動して2つのミニ展示を観てきました。まずは「館蔵 日本画 伝統芸能と音色の響き」をご紹介していこうと思います。なお、この展示は撮影可能となっていましたので写真を使って参ります。

DSC06141.jpg

【展覧名】
 館蔵 日本画 伝統芸能と音色の響き

【公式サイト】
 http://www.matsuoka-museum.jp/exhibition/exhibition.html

【会場】松岡美術館
【最寄】白金台駅

【会期】2019年2月20日(水)~6月1日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は松岡美術館の所蔵品の中から伝統芸能をテーマにした日本画が並ぶ内容となっています。主に近現代の絵画が中心で、再興院展関連の画家のコレクションが多かったかな。特に章分けなども無かったので、簡単に気に入った作品をいくつかご紹介していこうと思います。

「大原御幸図」
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こちらは作者未詳の作品で、琵琶を伴奏に語る『平家物語』の『灌頂巻』からの画題だそうです。建礼門院の晩年を題材としていて平曲200余曲の中でも特に秘曲とされるのだとか。金屏風に色鮮やかで雅な雰囲気がありました。

池田蕉園 「桜舟」
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旧姓表記だと榊原蕉園。水野年方の弟子で、同門には夫の池田輝方や鏑木清方がいる女流画家です。この作品は六曲一双のうちの右隻で、左隻は夫が秋を題材に描いたものとなっています。女性が琵琶を奏でている様子が描かれ、これも平曲を弾いているものと考えられるようです。全体的に鏑木清方に通じるような清廉で風流な雰囲気があり、かなり見ごたえがありました。31歳の若さで亡くなってしまいましたが、長生きしていればもっと多くの傑作が観られたかもしれませんね…。

上村松園 「藤娘之図」
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こちらは大津絵(江戸時代のお土産物のゆるい感じの絵)をルーツにした作品で、歌舞伎にも大津絵の中から藤娘が抜け出して踊るという舞踊があるそうです。このポーズも大津絵に倣っているようで軽やかで爽やかな雰囲気となっていました。

宮前秀樹 「姫(初菊)」
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こちらは『絵本太巧記』という羽柴秀吉が明智光秀を討つまでの13日間を1日1段で構成する歌舞伎を描いたものだそうです。ここでは10段目の「尼崎」で初菊が光秀の息子 十太郎と祝言をあげるシーンとなっているようで、真っ赤な衣装が目を引きます。ちょっと平面的で顔つきは男っぽい感じがするかもw 三角となる構図が存在感を出していました。

宮前秀樹 「怨映」
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こちらは安珍・清姫伝説を元にした『道成寺』を題材にした作品。安珍を想い追う清姫が日高川で蛇体に変化する直前の様子らしく、水面には既に異形が写っています。清姫の周りもオーラのようなものがあって髪が逆立ち異様なムードが漂っていました。

宮前秀樹 「置かれた人形」
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こちらは文楽の人形を描いたものらしく、一番上と一番下は既婚女性の「老女形」、残り3体は「娘」だそうです。目を見開いてだらりと寝ている様子が人形っぽさを感じさせます。人物像のようでもあって不思議な光景でした。

伊東深水 「仕舞熊野」
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こちらは平宗盛の愛妾 熊野が病気の母を見舞う為に東国への帰郷を請うが許されず、舞の中でその心情を詠んで帰国が許されたという平家物語を題材にした世阿弥の謡曲を舞っている様子です。平面的で現代的な雰囲気があり、特に顔に伊東深水の個性が感じられました。

鎌倉秀雄 「奏」
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こちらは日本画にしては珍しいエジプト風の作品。異国情緒がありつつ不思議と日本画の表現との調和を感じました。

松室加世子 「竪琴」
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こちらは桃山時代のキリシタンがハープを弾く様子で、空想で描いた場面のようです。背景も西洋っぽいし、取り合わせが面白く思えます。キリシタンのその後を考えると、静かな中に哀しさもあるように思えました。

大森運夫 「伝承・浄夜 毛越寺」
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こちらは平泉の毛越寺で毎年1月20日に行われる二十日夜祭の「延年の舞」を描いたもの。大画面に大胆な構図で描かれていて、動きのある力強い雰囲気となっていました。

最後に、松岡美術館はこの展示が終わった次の日の2019年6月2日から2021年10月4日まで休館となるようです。
DSC06142.jpg
設備点検と所蔵品の修復調査の為のようです。しばしのお別れですね。


ということで、このテーマでこれだけコレクションがあるのかとちょっと驚きました。今まで観たことが無い作品も多く、松岡美術館のコレクションの豊富さに感心させられます。この展示の後に約2年半という長い休館となるので、今のうちに「猫の給仕頭」やエジプトの棺に挨拶しておくのも良いかもしれません。

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