TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語 【東京都写真美術館】
この間の土曜日に恵比寿の東京都写真美術館で「TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語」を観てきました。

【展覧名】
TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語
【公式サイト】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3410.html
【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2019年5月14日(火)~8月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は東京都写真美術館のコレクション展で、今年は「イメージを読む」をテーマに視覚的なイメージとその読み解き方を考えるという趣旨となっています。今回はその1期で、「場所をめぐる4つの物語」というタイトルで4人の写真家を取り上げていて、「場所」と密接に関わる作品を紹介していました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<W.ユージン・スミス〈カントリー・ドクター〉 1948年>
まずはユージン・スミスの「カントリー・ドクター」シリーズのコーナーです。「カントリー・ドクター」は田舎町でたった1人の開業医であるアーネスト・セリアーニの多忙な生活と仕事をテーマにした作品で、写真雑誌『LIFE』の1948年9月20日号に掲載されました。28点の写真とテキストのフォトエッセイとなっていて、ユージン・スミスの代表作といえる名作らしくこの美術館では32カット34枚を所蔵しているそうです。いずれも本人が所蔵していたプリントということで貴重な品々が並んでいました。
1 W.ユージン・スミス 「遠くの村へ往診に向かうセリアーニ医師、コロラド州クレムリング、1948年」
こちらは帽子をかぶり往診鞄を持っている背広の男性を撮った写真で、アーネスト・セリアーニ医師の姿のようです。やつれた感じの顔と、背景に立ち込める黒雲が相まって、何だか人生の どん底みたいな雰囲気があります。この後に出てくる話を観ると、この医師の境遇を端的に表している写真に思えました。
この近くには「セリアーニ医師はクレムリングの町とその周囲400マイルの全住人の医療を担っている」という作品がありました。タイトルでヤバさが伝わるw 周囲400マイルって東京~大阪くらいあるんですけど…。
[彼は沢山の医療分野の専門家でなくてはならない]
この節には、子供を看たり、目を診察したり、出産を手伝ったり、予防接種をしたり…と様々な分野の診察をしている様子の写真が並んでいました。
12 W.ユージン・スミス 「無題」
こちらは白衣とマスク、帽子をかぶり 手術を行っている様子を撮った写真です。下から表情を仰ぎ見る感じの構図で、真剣な目つきをしていて緊張感漂っています。近くにも同様に手術の写真があり、結構な頻度で手術していたのかも? 手術台の上でぐったりとうつ伏せで仮眠している様子の写真もあり、かなりお疲れな感じも出ていました。 1人で手術ってだけでも相当大変でしょうね。
[一つの事故が彼の休暇を妨げる]
こちらは3時間の休暇ができてマス釣りを始めたら、30分で呼び出されたという時の写真。女の子が馬に蹴られて目を治療する写真が並んでいました。
16 W.ユージン・スミス 「セリアーニ医師が娘を治療するのを見守る両親、コロラド州クレムリング、1948年」
カウボーイ風の帽子を被った男性が奥さんを抱きしめながら、子供の治療を見守る様子が撮られた写真です。家族の不安感や緊張がよく伝わり、奥さんはちょっと取り乱す感じにも見えました。これは観ていて辛くなるくらいの臨場感です。まさにセリアーニ医師が頼みの綱なんでしょうね。
この辺は生々しい治療の様子となっていました。
[彼はひどい肘の脱臼を固定し …壊疽の足を切断する]
こちらは老人の手術の様子を撮った写真が7枚ありました。目を見開いた老人の顔が印象的です。
[夜に老人が亡くなる]
こちらは心臓発作で亡くなった男性に聴診器を当てたり、目の瞳孔を検査している写真が並んでいました。死んだ時も呼ばれるから昼も夜もあったもんじゃないようです。
[町の人々が彼の時間のほとんどを奪う]
セリアーニ医師にも妻と3歳と11ヶ月の子供がいるそうですが、家族と一緒に過ごす時間は少なそうです。
32 W.ユージン・スミス 「夜通しで手術を行った後、台所で休むセリアーニ医師、コロラド州クレムリング 1948年」 ★こちらで観られます
こちらは白衣のまま台所の調理台に立って寄りかかってコーヒーを飲んでいるアーネスト医師の像です。ぼーっとして遠くを観るような顔つきで疲れきった顔をしています。深刻な医師不足を感じさせる1枚でした。
この近くには当時の『LIFE』誌もありました。スライドで今回の展示では並んでいない写真も流していました。
<奈良原一高〈人間の土地 緑なき島ー軍艦島〉 1954-57年>
続いては奈良原一高 氏の代表作で出世作である『人間の土地』のコーナーです。この作品について奈良原一高 氏は「閉ざされた世界に隔絶されたその場から逃げることなく限界状況を生き続ける人間の生を観た」と言っていたそうで、今回はその中から「緑なき島ー軍艦島」のパートの44点が並んでいました。
34 奈良原一高 「軍艦島全景」
こちらは見事に軍艦っぽい形をした軍艦島の全景です。中央上に太陽があり、島はシルエットとなっているのが一層に軍艦のように見えます。隣には影になっていない写真もあり、それと比べるとだいぶ印象が違いました。
45 奈良原一高 「立坑のリフトに乗る坑夫達」
こちらはライト付きヘルメットを被った坑夫達を撮った写真です。真っ黒な顔に汚れた作業着となっていて、目の白さが目立ちます。労働環境の過酷さを感じさせる1枚でした。
48 奈良原一高 「浴場」
こちらは真っ黒な顔でヘルメットを被った男たちが脱衣場らしき所で服を脱いでいる様子です。顔だけ黒いようで、体は汚れておらず がっしりした肉付きとなっていました。こんな環境でも逞しく生きていて、一種の生命力を感じました。
近くには風呂に入っている様子もありました。混雑していて芋洗状態ですw
54 奈良原一高 「アパート俯瞰、夜景」
こちらはお互い向き合う感じで建てられた集合住宅の様子で、階段で繋がっています。かなりゴチャゴチャした雰囲気で、九龍城にも似た 密集感があります。軍艦島の立地の狭さを伺わせる写真でした。
この辺はアパートの暮らしの様子の写真が並んでいました子供や老人もいて、意外とのんびりした光景もあります
74 奈良原一高 「葬式船を見送る人々」
こちらは桟橋を撮った写真で、船は見えませんが喪服の女性たちが葬式の船を見送った後のようです。うなだれていて、1人はハンカチで涙を抑えているように見えます。近くには2人の女の子が柵にもたれ掛かっていて、大人と違ってピンと来てない感じかな。
軍艦島にはお墓が無いらしく、亡くなると船で沖合の無人島の中ノ島に運んで焼かれたそうです。厳しい生活環境を改めて認識するような写真でした。
70 奈良原一高 「端島神社」
こちらは切り立った崖のてっぺんにある神社を撮った写真です。土台の部分も急斜面で、よくこんな所に建てたな…という感想が真っ先に出てきましたw 狭い島でも神社は大事だったんでしょうね。
<内藤正敏〈出羽三山〉 1980年>
続いては内藤正敏 氏の出羽三山に関するコーナーです。内藤正敏 氏は28歳の時に東北の民俗世界に深く入り込むきっかけとなった即身仏を発表し、その直後の頃に山伏の修行を行ったそうです。そしてその体験を写真にするために10年以上かけて制作したそうで、ここにはそうした作品が並んでいました。(ここは主にカラー写真です)
参考記事:内藤正敏 異界出現 (東京都写真美術館)
79 内藤正敏 「秋の峰 紫燈護摩」 ★こちらで観られます
こちらは山伏の格好をした男性が藁で出来た棒状の物を振り回している様子が撮られた写真です。火がついていたようで、炎の軌跡が「の」の字のように残り、勢いを感じさせます。神秘的な光景でもあり、祭事の一場面のようでした。
この近くにはウサギの格好をした神事など、独特の祭礼の写真もありました。
85 内藤正敏 「湯殿山 御瀧の行者」
こちらは滝に打たれている男性を撮った写真で、滝はかなりの水の勢いです。つらそうな顔で叫ぶような表情なので、修行の厳しさは推して知るべしかな。荒々しい水の流れもダイナミックでした。
87 内藤正敏 「羽黒山」
こちらは霧の漂う森の中を撮った写真です。暗く静かな雰囲気で、神秘的な光景となっていました。
90 内藤正敏 「心浄坊勝尊像 正善院」
こちらは真っ赤な顔の仏像らしきものを撮った写真で、目と鼻だけアップにしていて非常に迫力があります。特に◎状になった見開いた目は圧倒的な眼力となっていました。
この辺は各お寺の仏像のアップの写真が並んでいました。結構インパクトがあるので、見覚えがあるのもチラホラありました。
103 内藤正敏 「鉄龍海上人 南岳寺」
こちらは即身仏を撮った写真です。袈裟を着て帽子を被り、祈るポーズでミイラ化しています。意外と表情が分かるような気がするかな。静かで存在感のある即身仏となっていました。
この辺も以前の展示で見覚えある仏像の写真が多かったかな。炎と仏像を組み合わせた写真などがありました。
<山崎博〈10 POINTS HELIOGRAPHY〉 1982年>
最後は山崎博 氏のコーナーで、ここは撮影可能でした。
こんな感じで調布で太陽と風景を撮った写真が並びます。

「太陽が描く画」というコンセプトで、長時間露光で撮った写真のようです。20カットのうち前半が1982年9月13日、後半がその翌日に撮ったようです。
山崎博 「13/9/82」

光が線上になっていて普段観ているけど観られない光景です。何だか神々しい雰囲気があります。
山崎博 「14/9/82」

こちらは沢山の電柱を配した構図も面白く感じました。いくつも並んで一種の圧迫感があります。
ということで、いずれも場所に関わる面白い作品となっていました。時代も作風も異なりますが4人とも個性的な写真家です。こちらはぐるっとパスの提示で観ることが出来るので、お得な展示です。

【展覧名】
TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語
【公式サイト】
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3410.html
【会場】東京都写真美術館
【最寄】恵比寿駅
【会期】2019年5月14日(火)~8月4日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
0時間45分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は東京都写真美術館のコレクション展で、今年は「イメージを読む」をテーマに視覚的なイメージとその読み解き方を考えるという趣旨となっています。今回はその1期で、「場所をめぐる4つの物語」というタイトルで4人の写真家を取り上げていて、「場所」と密接に関わる作品を紹介していました。詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<W.ユージン・スミス〈カントリー・ドクター〉 1948年>
まずはユージン・スミスの「カントリー・ドクター」シリーズのコーナーです。「カントリー・ドクター」は田舎町でたった1人の開業医であるアーネスト・セリアーニの多忙な生活と仕事をテーマにした作品で、写真雑誌『LIFE』の1948年9月20日号に掲載されました。28点の写真とテキストのフォトエッセイとなっていて、ユージン・スミスの代表作といえる名作らしくこの美術館では32カット34枚を所蔵しているそうです。いずれも本人が所蔵していたプリントということで貴重な品々が並んでいました。
1 W.ユージン・スミス 「遠くの村へ往診に向かうセリアーニ医師、コロラド州クレムリング、1948年」
こちらは帽子をかぶり往診鞄を持っている背広の男性を撮った写真で、アーネスト・セリアーニ医師の姿のようです。やつれた感じの顔と、背景に立ち込める黒雲が相まって、何だか人生の どん底みたいな雰囲気があります。この後に出てくる話を観ると、この医師の境遇を端的に表している写真に思えました。
この近くには「セリアーニ医師はクレムリングの町とその周囲400マイルの全住人の医療を担っている」という作品がありました。タイトルでヤバさが伝わるw 周囲400マイルって東京~大阪くらいあるんですけど…。
[彼は沢山の医療分野の専門家でなくてはならない]
この節には、子供を看たり、目を診察したり、出産を手伝ったり、予防接種をしたり…と様々な分野の診察をしている様子の写真が並んでいました。
12 W.ユージン・スミス 「無題」
こちらは白衣とマスク、帽子をかぶり 手術を行っている様子を撮った写真です。下から表情を仰ぎ見る感じの構図で、真剣な目つきをしていて緊張感漂っています。近くにも同様に手術の写真があり、結構な頻度で手術していたのかも? 手術台の上でぐったりとうつ伏せで仮眠している様子の写真もあり、かなりお疲れな感じも出ていました。 1人で手術ってだけでも相当大変でしょうね。
[一つの事故が彼の休暇を妨げる]
こちらは3時間の休暇ができてマス釣りを始めたら、30分で呼び出されたという時の写真。女の子が馬に蹴られて目を治療する写真が並んでいました。
16 W.ユージン・スミス 「セリアーニ医師が娘を治療するのを見守る両親、コロラド州クレムリング、1948年」
カウボーイ風の帽子を被った男性が奥さんを抱きしめながら、子供の治療を見守る様子が撮られた写真です。家族の不安感や緊張がよく伝わり、奥さんはちょっと取り乱す感じにも見えました。これは観ていて辛くなるくらいの臨場感です。まさにセリアーニ医師が頼みの綱なんでしょうね。
この辺は生々しい治療の様子となっていました。
[彼はひどい肘の脱臼を固定し …壊疽の足を切断する]
こちらは老人の手術の様子を撮った写真が7枚ありました。目を見開いた老人の顔が印象的です。
[夜に老人が亡くなる]
こちらは心臓発作で亡くなった男性に聴診器を当てたり、目の瞳孔を検査している写真が並んでいました。死んだ時も呼ばれるから昼も夜もあったもんじゃないようです。
[町の人々が彼の時間のほとんどを奪う]
セリアーニ医師にも妻と3歳と11ヶ月の子供がいるそうですが、家族と一緒に過ごす時間は少なそうです。
32 W.ユージン・スミス 「夜通しで手術を行った後、台所で休むセリアーニ医師、コロラド州クレムリング 1948年」 ★こちらで観られます
こちらは白衣のまま台所の調理台に立って寄りかかってコーヒーを飲んでいるアーネスト医師の像です。ぼーっとして遠くを観るような顔つきで疲れきった顔をしています。深刻な医師不足を感じさせる1枚でした。
この近くには当時の『LIFE』誌もありました。スライドで今回の展示では並んでいない写真も流していました。
<奈良原一高〈人間の土地 緑なき島ー軍艦島〉 1954-57年>
続いては奈良原一高 氏の代表作で出世作である『人間の土地』のコーナーです。この作品について奈良原一高 氏は「閉ざされた世界に隔絶されたその場から逃げることなく限界状況を生き続ける人間の生を観た」と言っていたそうで、今回はその中から「緑なき島ー軍艦島」のパートの44点が並んでいました。
34 奈良原一高 「軍艦島全景」
こちらは見事に軍艦っぽい形をした軍艦島の全景です。中央上に太陽があり、島はシルエットとなっているのが一層に軍艦のように見えます。隣には影になっていない写真もあり、それと比べるとだいぶ印象が違いました。
45 奈良原一高 「立坑のリフトに乗る坑夫達」
こちらはライト付きヘルメットを被った坑夫達を撮った写真です。真っ黒な顔に汚れた作業着となっていて、目の白さが目立ちます。労働環境の過酷さを感じさせる1枚でした。
48 奈良原一高 「浴場」
こちらは真っ黒な顔でヘルメットを被った男たちが脱衣場らしき所で服を脱いでいる様子です。顔だけ黒いようで、体は汚れておらず がっしりした肉付きとなっていました。こんな環境でも逞しく生きていて、一種の生命力を感じました。
近くには風呂に入っている様子もありました。混雑していて芋洗状態ですw
54 奈良原一高 「アパート俯瞰、夜景」
こちらはお互い向き合う感じで建てられた集合住宅の様子で、階段で繋がっています。かなりゴチャゴチャした雰囲気で、九龍城にも似た 密集感があります。軍艦島の立地の狭さを伺わせる写真でした。
この辺はアパートの暮らしの様子の写真が並んでいました子供や老人もいて、意外とのんびりした光景もあります
74 奈良原一高 「葬式船を見送る人々」
こちらは桟橋を撮った写真で、船は見えませんが喪服の女性たちが葬式の船を見送った後のようです。うなだれていて、1人はハンカチで涙を抑えているように見えます。近くには2人の女の子が柵にもたれ掛かっていて、大人と違ってピンと来てない感じかな。
軍艦島にはお墓が無いらしく、亡くなると船で沖合の無人島の中ノ島に運んで焼かれたそうです。厳しい生活環境を改めて認識するような写真でした。
70 奈良原一高 「端島神社」
こちらは切り立った崖のてっぺんにある神社を撮った写真です。土台の部分も急斜面で、よくこんな所に建てたな…という感想が真っ先に出てきましたw 狭い島でも神社は大事だったんでしょうね。
<内藤正敏〈出羽三山〉 1980年>
続いては内藤正敏 氏の出羽三山に関するコーナーです。内藤正敏 氏は28歳の時に東北の民俗世界に深く入り込むきっかけとなった即身仏を発表し、その直後の頃に山伏の修行を行ったそうです。そしてその体験を写真にするために10年以上かけて制作したそうで、ここにはそうした作品が並んでいました。(ここは主にカラー写真です)
参考記事:内藤正敏 異界出現 (東京都写真美術館)
79 内藤正敏 「秋の峰 紫燈護摩」 ★こちらで観られます
こちらは山伏の格好をした男性が藁で出来た棒状の物を振り回している様子が撮られた写真です。火がついていたようで、炎の軌跡が「の」の字のように残り、勢いを感じさせます。神秘的な光景でもあり、祭事の一場面のようでした。
この近くにはウサギの格好をした神事など、独特の祭礼の写真もありました。
85 内藤正敏 「湯殿山 御瀧の行者」
こちらは滝に打たれている男性を撮った写真で、滝はかなりの水の勢いです。つらそうな顔で叫ぶような表情なので、修行の厳しさは推して知るべしかな。荒々しい水の流れもダイナミックでした。
87 内藤正敏 「羽黒山」
こちらは霧の漂う森の中を撮った写真です。暗く静かな雰囲気で、神秘的な光景となっていました。
90 内藤正敏 「心浄坊勝尊像 正善院」
こちらは真っ赤な顔の仏像らしきものを撮った写真で、目と鼻だけアップにしていて非常に迫力があります。特に◎状になった見開いた目は圧倒的な眼力となっていました。
この辺は各お寺の仏像のアップの写真が並んでいました。結構インパクトがあるので、見覚えがあるのもチラホラありました。
103 内藤正敏 「鉄龍海上人 南岳寺」
こちらは即身仏を撮った写真です。袈裟を着て帽子を被り、祈るポーズでミイラ化しています。意外と表情が分かるような気がするかな。静かで存在感のある即身仏となっていました。
この辺も以前の展示で見覚えある仏像の写真が多かったかな。炎と仏像を組み合わせた写真などがありました。
<山崎博〈10 POINTS HELIOGRAPHY〉 1982年>
最後は山崎博 氏のコーナーで、ここは撮影可能でした。
こんな感じで調布で太陽と風景を撮った写真が並びます。

「太陽が描く画」というコンセプトで、長時間露光で撮った写真のようです。20カットのうち前半が1982年9月13日、後半がその翌日に撮ったようです。
山崎博 「13/9/82」

光が線上になっていて普段観ているけど観られない光景です。何だか神々しい雰囲気があります。
山崎博 「14/9/82」

こちらは沢山の電柱を配した構図も面白く感じました。いくつも並んで一種の圧迫感があります。
ということで、いずれも場所に関わる面白い作品となっていました。時代も作風も異なりますが4人とも個性的な写真家です。こちらはぐるっとパスの提示で観ることが出来るので、お得な展示です。
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