モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち (感想前編)【国立西洋美術館】
今日は写真多めです。前々回・前回とご紹介した国立西洋美術館の特別展を観た後、新館と素描室で開催されている「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」も観てきました。こちらは撮影可能となっていて、面白い作品が多かったので前編・後編に分けて写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
【公式サイト】
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
【会場】国立西洋美術館 新館・版画室
【最寄】上野駅
【会期】2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
いつもより人が多かったようにも思いますが、概ね自分のペースで観られるような感じでした。特別展で松方コレクションを出品しまくってて常設はどうなってるんだ?と思ったら、この展示で代替してたんですねw
さて、この展示は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した展示で、1917年のロシアからの独立を果たした頃から第二次世界大戦後までにフィンランドで活躍した7人の女性芸術家を取り上げています。新しく形成された国家であるフィンランドでは社会における女性の立場や役割に大きな変革が起き、美術界においてもその流れがあったようで、フィンランド最初の美術学校では当時のヨーロッパでは珍しく男女平等の美術教育が推奨されていたようです。そして女性たちも奨学金や留学のチャンスを掴み、芸術家としてキャリアを切り開くことができたそうで、この展示ではその成果を観ることが出来ます。構成は作家ごとに並んでいましたので、それに沿って写真を使ってご紹介していこうと思います。
<マリア・ヴィーク>
まずはフランスとフィンランドで活躍した画家マリア・ヴィークのコーナー。当初は自然主義を代表するフランス画家ジュール・バスティアン=ルパージュに影響を受けて戸外での絵画制作などを取り入れていたようで、後にイギリスのコーンウォールを旅行して以降は内面性を強調した象徴主義的な作風になっていったようです。
マリア・ヴィーク 「芸術家の姉ヒルダ・ヴィークの肖像」

こちらはお姉さんの肖像のようです。面長でちょっとジト目で神経質そうに見えるかな。抑えめな色調なのも落ち着いた雰囲気に思えました。
マリア・ヴィーク 「教会にて」

こちらはフランスにブルターニュ地方のポン=タヴェンにヘレン・シャルフベック(後で出てくる女性画家)と共に旅行した際に描いた作品。ブルターニュ地方の伝統衣装を着て熱心に祈っている姿となっています。正面から観た真っ直ぐな眼差しが印象的でした。
マリア・ヴィーク 「アトリエにて」

これはヘレン・シャルフベックと共にしたアトリエではないか?と考えられるようです。明るく瑞々しい色調で、印象派を描き方を取り入れているものと思われます。穏やかで静かな雰囲気となっていました。
マリア・ヴィーク 「ボートをこぐ女性、スケッチ」

こちらは先程の画家のお姉さんがボートを漕いでいる様子を描いた作品。めっちゃ笑顔で別人みたいw 筆致は素早く 色鮮やかで、楽しげな雰囲気がストレートに伝わってきました。
<シーグリッド・アフ・フォルセルス>
<ヒルダ・フルディーン>
この2人は彫刻家で、いずれもパリでロダンに学んで女性彫刻家の道を切り開いた先駆者だそうです。シーグリッド・アフ・フォルセルスはロダンの「カレーの市民」を補佐するなど3年ほどロダンの下で研鑽をつみ、その後はフランスとイタリアを拠点に活躍してフィンランドの女性芸術家として初めてフランス芸術家協会の入会も認められたそうです。一方、ヒルダ・フルディーンはフィンランドやパリのアカデミーで学んでいたようで、パリ万博ではフィンランド館の装飾にも関わっています。そしてその年のロダンの大回顧展で衝撃を受け、姉の夫の紹介を経て1903年にロダンの弟子になりました。3年ほどでフィンランドに帰国し、彫刻家としてのキャリアは短かったようですが、版画家・画家として晩年まで活動したそうです。
シーグリッド・アフ・フォルセルス 「青春」

このモデルもロダンの助手だそうで、シーグリッド・アフ・フォルセルスがパリのサロンでデビューした年の作品と考えられるそうです。タイトル通り、若々しくて、目は強い志を感じさせるかな。細部まで人格を伺わせるような表現力でした。
ヒルダ・フルディーン 「考える老人」

めっちゃロダンっぽいw この作品はロダン展で衝撃を受けてから弟子入りまでの間に作ったそうですが、このゴツゴツした感じとか特徴をよく捉えていると思います。
<ヘレン・シャルフベック>
こちらはフィンランドを代表する最も著名な画家の1人だそうで、パリを中心にヨーロッパ各地を旅してレアリスム、自然主義、象徴主義などの同時代の美術や、過去の巨匠に多くを学んだそうです。10年ほど素描学校の教師をしたものの、健康問題で美術界から距離を置いたそうで、その頃に大きく作風が変わり余分なものを削ぎ落として携帯を単純化する独自の様式を確立したとのことです。
ヘレン・シャルフベック 「少女の頭部」

可愛らしい少女像。この画家は人物像が得意だったようで、この絵では写実的に細かく丁寧に描かれていました。
ヘレン・シャルフベック 「母と子」

こちらも写実的に母子の愛情深いシーンを描いています。穏やかな幸せが感じられました。
ヘレン・シャルフベック 「ロヴィーサからきた少女」

急に画風が変わって驚きましたw 平面的で単純化された画風になっていて、モダンな雰囲気となっています。
ヘレン・シャルフベック 「占い師(黄色いドレスの女性)」

今回のポスターの作品。ファッションに強い関心がありパリの最新の流行にも精通していたそうで、この絵でも「新しい女性」のイメージを打ち出しているようです。それにしても初期作品に比べて大胆です。
ヘレン・シャルフベック 「シュンドビューの館」

こちらは風景画。風景画も単純化されて色面を組み合わせたような感じになっています。水面の反射なんかかなり簡略化されてるし、建物の形態などはややキュビスム的な要素もあるように思えました。
<エレン・テスレフ>
続いてはフィンランド美術に色彩の革新をもたらしたとされる画家のコーナーです。パリ留学時には象徴主義に傾倒していたようですが、カンディンスキーの芸術に出会ったことで純粋で明るい色彩とパレットナイフで大胆な筆致で描く画風へと変化したようです。
エレン・テスレフ 「春の夜」

色数が少なく、寒々しさまで伝わってくるような感じです。フィンランドの光景なのかな? 枯れ木が多いし寂しい風景でした。
エレン・テスレフ 「帽子をかぶった自画像」

風化したような色調で老婆のようにも見える自画像。これも色のせいかちょっと哀しい感じが漂っているように思えました。ちなみに、これはカンディンスキーから影響を受けた時代よりずっと後の頃の作品です。画風が元に戻っていったのかな…
エレン・テスレフ 「トスカーナの風景」

こちらはカンディンスキーから影響を受けた時代の作品。正方形のキャンバスもカンディンスキーの芸術理論に傾倒していたためだそうで、先程観た作品とは大きく画風が変わっています。荒々しく強い色彩で別人みたいなw こちらのほうが躍動感があるように思えました。
エレン・テスレフ 「ボール遊び(フォルテ・デイ・マルミ) 」

こちらも画風はカンディンスキーの影響を受けた時代のもののようですが、不思議な光景で象徴主義的な雰囲気もあるように思えます。色も哀愁を感じさせるような落ち着いた感じに見えたかな。
エレン・テスレフ 「イタリアの風景」

かなり行き着くとこまで行った感じのある画風になりましたw 色の対比が強く、単純化も進んでいます。前衛的な雰囲気となっていました。
<シーグリッド・ショーマン>
続いてはウクライナ生まれでフィンランドで学び・活躍した画家。単純化された形態と茶色がかった色調が特徴で、主に風景や肖像を描いたそうです。先程のエレン・テスレフと密接な共同制作を行っていたようで、パレットナイフを使って形態はさらに簡略化され色彩は明るくなっていったようです。やがて美術批評家としても活躍し、重要な役割を果たしたのだとか。
イタリアのトスカーナなどを描いた風景画が数点並んでいました。

割と平凡な風景画のようにも思えますが、確かにパレットナイフを使って単純化されているかな。やや濃い目の色調となっていました。
シーグリッド・ショーマン 「自画像」

何か怖いw 先程の風景の画風とも異なっていて、いつ頃の作品か明記されていないようです。だいぶ画風が違うので時代が違いそう。
<エルガ・セーセマン>
最後は第二次世界大戦後に活躍した画家のコーナー。特定のグループや流派に属することはなかったそうですが、シュルレアリスム、形而上絵画、ドイツ表現主義、ムンクなどから影響を受けて独自に進化していったようです。何処と無く虚無感が漂うのは戦時下の苦痛と恐怖から来るトラウマや疎外感を反映させているためなのだとか。
エルガ・セーセマン 「自画像」

確かにこれはムンクっぽいw 目がなく虚ろで何か絶望のようなものを感じさせます。色は強いのに不穏な雰囲気。
エルガ・セーセマン 「花売り」

こちらは形而上絵画っぽさを感じるかな。厚塗りでモコモコした表現も面白い。色も暗くないのにどこか寂しい感じ。
エルガ・セーセマン 「通り」

こちらは終戦の年に描かれた作品。これも寂しげですが、人物が光の方に歩いているのは荒廃の中で前に進もうとする意志の現れなのだとか。
ということで、全く知らなかったフィンランド黎明期の女性芸術家たちの作品を楽しむことができました。これを特別展でなく常設の会場で観られるのは非常に得した気分です。版画室にも各作家の教育過程などを示す品が並んでいましたので、次回はそれらについてご紹介の予定です

【展覧名】
日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
【公式サイト】
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
【会場】国立西洋美術館 新館・版画室
【最寄】上野駅
【会期】2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
いつもより人が多かったようにも思いますが、概ね自分のペースで観られるような感じでした。特別展で松方コレクションを出品しまくってて常設はどうなってるんだ?と思ったら、この展示で代替してたんですねw
さて、この展示は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した展示で、1917年のロシアからの独立を果たした頃から第二次世界大戦後までにフィンランドで活躍した7人の女性芸術家を取り上げています。新しく形成された国家であるフィンランドでは社会における女性の立場や役割に大きな変革が起き、美術界においてもその流れがあったようで、フィンランド最初の美術学校では当時のヨーロッパでは珍しく男女平等の美術教育が推奨されていたようです。そして女性たちも奨学金や留学のチャンスを掴み、芸術家としてキャリアを切り開くことができたそうで、この展示ではその成果を観ることが出来ます。構成は作家ごとに並んでいましたので、それに沿って写真を使ってご紹介していこうと思います。
<マリア・ヴィーク>
まずはフランスとフィンランドで活躍した画家マリア・ヴィークのコーナー。当初は自然主義を代表するフランス画家ジュール・バスティアン=ルパージュに影響を受けて戸外での絵画制作などを取り入れていたようで、後にイギリスのコーンウォールを旅行して以降は内面性を強調した象徴主義的な作風になっていったようです。
マリア・ヴィーク 「芸術家の姉ヒルダ・ヴィークの肖像」

こちらはお姉さんの肖像のようです。面長でちょっとジト目で神経質そうに見えるかな。抑えめな色調なのも落ち着いた雰囲気に思えました。
マリア・ヴィーク 「教会にて」

こちらはフランスにブルターニュ地方のポン=タヴェンにヘレン・シャルフベック(後で出てくる女性画家)と共に旅行した際に描いた作品。ブルターニュ地方の伝統衣装を着て熱心に祈っている姿となっています。正面から観た真っ直ぐな眼差しが印象的でした。
マリア・ヴィーク 「アトリエにて」

これはヘレン・シャルフベックと共にしたアトリエではないか?と考えられるようです。明るく瑞々しい色調で、印象派を描き方を取り入れているものと思われます。穏やかで静かな雰囲気となっていました。
マリア・ヴィーク 「ボートをこぐ女性、スケッチ」

こちらは先程の画家のお姉さんがボートを漕いでいる様子を描いた作品。めっちゃ笑顔で別人みたいw 筆致は素早く 色鮮やかで、楽しげな雰囲気がストレートに伝わってきました。
<シーグリッド・アフ・フォルセルス>
<ヒルダ・フルディーン>
この2人は彫刻家で、いずれもパリでロダンに学んで女性彫刻家の道を切り開いた先駆者だそうです。シーグリッド・アフ・フォルセルスはロダンの「カレーの市民」を補佐するなど3年ほどロダンの下で研鑽をつみ、その後はフランスとイタリアを拠点に活躍してフィンランドの女性芸術家として初めてフランス芸術家協会の入会も認められたそうです。一方、ヒルダ・フルディーンはフィンランドやパリのアカデミーで学んでいたようで、パリ万博ではフィンランド館の装飾にも関わっています。そしてその年のロダンの大回顧展で衝撃を受け、姉の夫の紹介を経て1903年にロダンの弟子になりました。3年ほどでフィンランドに帰国し、彫刻家としてのキャリアは短かったようですが、版画家・画家として晩年まで活動したそうです。
シーグリッド・アフ・フォルセルス 「青春」

このモデルもロダンの助手だそうで、シーグリッド・アフ・フォルセルスがパリのサロンでデビューした年の作品と考えられるそうです。タイトル通り、若々しくて、目は強い志を感じさせるかな。細部まで人格を伺わせるような表現力でした。
ヒルダ・フルディーン 「考える老人」

めっちゃロダンっぽいw この作品はロダン展で衝撃を受けてから弟子入りまでの間に作ったそうですが、このゴツゴツした感じとか特徴をよく捉えていると思います。
<ヘレン・シャルフベック>
こちらはフィンランドを代表する最も著名な画家の1人だそうで、パリを中心にヨーロッパ各地を旅してレアリスム、自然主義、象徴主義などの同時代の美術や、過去の巨匠に多くを学んだそうです。10年ほど素描学校の教師をしたものの、健康問題で美術界から距離を置いたそうで、その頃に大きく作風が変わり余分なものを削ぎ落として携帯を単純化する独自の様式を確立したとのことです。
ヘレン・シャルフベック 「少女の頭部」

可愛らしい少女像。この画家は人物像が得意だったようで、この絵では写実的に細かく丁寧に描かれていました。
ヘレン・シャルフベック 「母と子」

こちらも写実的に母子の愛情深いシーンを描いています。穏やかな幸せが感じられました。
ヘレン・シャルフベック 「ロヴィーサからきた少女」

急に画風が変わって驚きましたw 平面的で単純化された画風になっていて、モダンな雰囲気となっています。
ヘレン・シャルフベック 「占い師(黄色いドレスの女性)」

今回のポスターの作品。ファッションに強い関心がありパリの最新の流行にも精通していたそうで、この絵でも「新しい女性」のイメージを打ち出しているようです。それにしても初期作品に比べて大胆です。
ヘレン・シャルフベック 「シュンドビューの館」

こちらは風景画。風景画も単純化されて色面を組み合わせたような感じになっています。水面の反射なんかかなり簡略化されてるし、建物の形態などはややキュビスム的な要素もあるように思えました。
<エレン・テスレフ>
続いてはフィンランド美術に色彩の革新をもたらしたとされる画家のコーナーです。パリ留学時には象徴主義に傾倒していたようですが、カンディンスキーの芸術に出会ったことで純粋で明るい色彩とパレットナイフで大胆な筆致で描く画風へと変化したようです。
エレン・テスレフ 「春の夜」

色数が少なく、寒々しさまで伝わってくるような感じです。フィンランドの光景なのかな? 枯れ木が多いし寂しい風景でした。
エレン・テスレフ 「帽子をかぶった自画像」

風化したような色調で老婆のようにも見える自画像。これも色のせいかちょっと哀しい感じが漂っているように思えました。ちなみに、これはカンディンスキーから影響を受けた時代よりずっと後の頃の作品です。画風が元に戻っていったのかな…
エレン・テスレフ 「トスカーナの風景」

こちらはカンディンスキーから影響を受けた時代の作品。正方形のキャンバスもカンディンスキーの芸術理論に傾倒していたためだそうで、先程観た作品とは大きく画風が変わっています。荒々しく強い色彩で別人みたいなw こちらのほうが躍動感があるように思えました。
エレン・テスレフ 「ボール遊び(フォルテ・デイ・マルミ) 」

こちらも画風はカンディンスキーの影響を受けた時代のもののようですが、不思議な光景で象徴主義的な雰囲気もあるように思えます。色も哀愁を感じさせるような落ち着いた感じに見えたかな。
エレン・テスレフ 「イタリアの風景」

かなり行き着くとこまで行った感じのある画風になりましたw 色の対比が強く、単純化も進んでいます。前衛的な雰囲気となっていました。
<シーグリッド・ショーマン>
続いてはウクライナ生まれでフィンランドで学び・活躍した画家。単純化された形態と茶色がかった色調が特徴で、主に風景や肖像を描いたそうです。先程のエレン・テスレフと密接な共同制作を行っていたようで、パレットナイフを使って形態はさらに簡略化され色彩は明るくなっていったようです。やがて美術批評家としても活躍し、重要な役割を果たしたのだとか。
イタリアのトスカーナなどを描いた風景画が数点並んでいました。

割と平凡な風景画のようにも思えますが、確かにパレットナイフを使って単純化されているかな。やや濃い目の色調となっていました。
シーグリッド・ショーマン 「自画像」

何か怖いw 先程の風景の画風とも異なっていて、いつ頃の作品か明記されていないようです。だいぶ画風が違うので時代が違いそう。
<エルガ・セーセマン>
最後は第二次世界大戦後に活躍した画家のコーナー。特定のグループや流派に属することはなかったそうですが、シュルレアリスム、形而上絵画、ドイツ表現主義、ムンクなどから影響を受けて独自に進化していったようです。何処と無く虚無感が漂うのは戦時下の苦痛と恐怖から来るトラウマや疎外感を反映させているためなのだとか。
エルガ・セーセマン 「自画像」

確かにこれはムンクっぽいw 目がなく虚ろで何か絶望のようなものを感じさせます。色は強いのに不穏な雰囲気。
エルガ・セーセマン 「花売り」

こちらは形而上絵画っぽさを感じるかな。厚塗りでモコモコした表現も面白い。色も暗くないのにどこか寂しい感じ。
エルガ・セーセマン 「通り」

こちらは終戦の年に描かれた作品。これも寂しげですが、人物が光の方に歩いているのは荒廃の中で前に進もうとする意志の現れなのだとか。
ということで、全く知らなかったフィンランド黎明期の女性芸術家たちの作品を楽しむことができました。これを特別展でなく常設の会場で観られるのは非常に得した気分です。版画室にも各作家の教育過程などを示す品が並んでいましたので、次回はそれらについてご紹介の予定です
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