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モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち (感想後編)【国立西洋美術館】

今日は前回に引き続き上野の国立西洋美術館の「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」についてです。今日は版画室での展示の様子をご紹介して参ります。

 → 前編はこちら

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【展覧名】
 日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち 

【公式サイト】
 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html

【会場】国立西洋美術館 新館・版画室
【最寄】上野駅

【会期】2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
後半はフィンランド人女性芸術家の美術教育や版画作品を紹介していました。引き続き、気に入った作品を写真とともにご紹介していこうと思います。


<フィンランド人女性芸術家の美術教育をめぐって>
前編でもご紹介しましたが、フィンランドは早くから女性の芸術教育に門戸を開いていたようで、フィンランド芸術協会付属の素描学校が1848年の開校以来女子の入学を認め、国外旅行や留学を積極的に援助していたそうです。ここにはそうした教育を受けた4人の女性芸術家の初期の素描やスケッチなどを展示していました。

ヘレン・シャルフベック 「コサック(美しきコサック)」
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ヘレン・シャルフベックは11歳にして無償で入学を許可されたそうで、イタリアの巨匠の複製がの模写や石膏像のデッサンで素描技術を磨いたそうです。さらにフィンランド人としてパリに初めて留学したアドルフ・フォン・ベッカーの画塾に学んで、この絵のように高い技術を得るまでに成長したようです。非常に精緻でアカデミックな感じで、ここから後に単純化するとは中々思えませんw しっかりとした素描に裏打ちされた実力の持ち主というのが改めて認識できました。

ヘレン・シャルフベック 「リュート弾き、トマ・クチュールに基づく」
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こちらは先生であるベッカーの師匠トマ・クチュールの模写です。手や表情に人物の性格が現れているような感じで、簡素なのが逆に見事に思えました。

ヘレン・シャルフベック 「スペイン人男性」
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こちらもアカデミックな感じで明暗や立体感がリアルに見えます。最初はこうした修行が重要なんでしょうね。


<パリの画塾で学んだ女性たち>
続いてはパリで教育を受けた女性芸術家のコーナーです。当時、フランスのエコール・デ・ボザール(国立美術学校)は女性への門戸を閉ざしていたようですが、アカデミー・ジュリアンとアカデミー・コラロッシは積極的に女性を受け入れていたようです。さらに男女別のアトリエで裸体モデルを描くこともできたそうで、そうした授業で描かれた作品も残っているようです。ここにはそうしたパリの画塾で描かれた作品が並んでいました。

ヒルダ・フルディーン 「画塾の室内」
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この人は後にロダンに弟子入りした人です。女性が裸婦を描くことは珍しいかも?? 周りで熱心に素描している男性画家たちも含めて当時の画塾の様子も伝わってきます。

マリア・ヴィーク 「裸体習作、立つ少年」
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こちらも裸体習作。妙なポーズを取っていて、横から描いているので授業で描いたのかな? 等身がしっかり取れているように思えました。

マリア・ヴィーク 「ポーランド人女性」
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やや簡素で細部まで描いてないようにも思えますが、黒い服に赤い髪が非常に目を引く取り合わせとなっていました。


<版画への情熱 テスレフの木版画とシャルフベックのリトグラフ>
続いては版画に関するコーナーです。主にテスレフの木版画とシャルフベックのリトグラフが並んでいました。

エレン・テスレフ 「マリオネット」
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油彩でもこういう作風の作品があったような。多色摺りですが、1枚の版木に複数の色をつけて一度に刷っているそうです。その為、色が混ざり合っているようで、独特に仕上がりになっています。

エレン・テスレフ 「フィレンツェ」
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やや単純化していますが、ひと目でフィレンツェとわかる光景。テスレフはフィレンツェで出会ったイギリスの演劇雑誌を刊行しているゴードン・クレイグという男性に『仮面』という雑誌の挿絵の木版を頼まれたことで版画の魅力に取りつかれるようになったのだとか。油彩と同じように大胆な感じでした。

エレン・テスレフ 「フィンランドの春」
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こちらはボッティチェリの作品に着想を得て、春を擬人化して描いた作品。微笑んだ女神のようで優しく希望を感じる作品ですが、これを描いた頃のフィンランドはソ連との戦争中だったそうです。そうは感じさせない楽しげな雰囲気がありました。

ヘレン・シャルフベック 「木こり、頭部習作」
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こちらは前半部に似た油彩があったように思います。解説によるとシャルフベックはキャリア終盤の75歳の頃に画商ヨースタ・ステンマンの提案で初めてリトグラフを手がけたそうで、モデル不足になると自身の初期作品の再解釈に取り組んで自身の作品の版画化したりしていたようです。これもそうした作品なのではないかと思いました。

ヘレン・シャルフベック 「絵本」
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2人の女性が安らかに寝ている様子。簡素ながら色気を感じる顔つきとなっています。何だか幸せそう。

ヘレン・シャルフベック 「快復期」
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こちらは同名の油彩作品の再解釈かな? 近くに油彩の写真があるのですが、そちらは濃い色彩で写実的に描かれているので印象がだいぶ違いますが、ポーズは似ています(左右反転した感じ) こちらは晩年の簡略化された画風が強く出ているように思いました。

ヘレン・シャルフベック 「シルクの靴」
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こちらも「ダンス・シューズ」という作品の再解釈と思われます。ポーズや服装はそっくりですが、やはり元は写実的で左右反転しています。デフォルメしている分、こちらの方が誇張されているように思えますが、モダンな感覚となっていました。


ということで、後半もフィンランド人女性たちの絵画を楽しむことができました。特に教育に関する部分は思った以上に先進的な取り組みをしていたようで、それが花開いた様子なども伺えました。この展示は常設扱いで観ることが出来ますので、松方コレクション展に行かれる際は合わせて観ることをオススメします。


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