関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

【東京国立近代美術館】の案内 (2019年07月前編)

今日は写真多めです。前回ご紹介した展示を観た際、東京国立近代美術館本館の常設展も観てきました。こちらは撮影可能で 目新しい作品が多かったので、前編・後編に分けて写真を使ってご紹介していこうと思います。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20190129/

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅

【会期】2019年6月4日(火)~ 10月20日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【感想】
この日は結構お客さんが多かったですが、概ね自分のペースで鑑賞することができました。今回も気に入った作品の中から今までご紹介していないものを写真で並べていこうと思います。
 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れますが、撮影禁止の作品もあります。
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

菊池契月 「供燈」
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左にいるのは平重盛で、邸宅に48の灯籠を連ねていたことで知られています。雅な雰囲気で、女性たちは楽しそう。この作品が描かれた頃は過去の武士政権は逆臣と思われていて 描くのがはばかられていたようですが、この平重盛は尊皇派で父の平清盛を諌めることもあったので、主題にしやすかったのだとか。

尾竹国観 「油断」
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これは特定の歴史的な戦を描いた訳ではないようですが、宴会をして油断していたところに敵襲の報を受けたシーンとなっています。急いで弓を取り出したり甲冑をつけたり リアルな慌てぶりです。

長谷川利行 「岸田国士像」
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こちらは演劇界の岸田國士の40歳の頃の肖像です。黄色と白を背景に黒いスーツと白いチーフが目を引きます。タッチも大胆で、長谷川利行独特の画風の特徴がよく出ているように思えました。
 参考記事:長谷川利行展 七色の東京 (府中市美術館)

狩野芳崖 「桜下勇駒図」
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この作品はフェノロサの指導を受けはじめた頃の作品だそうで、それまでの狩野派の形式的な表現からリアルな馬の表現となっているそうです。陰影もついて西洋風なところもありました。

橋本雅邦 「蓬莱山」
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こちらも近代化した日本画。繊細な濃淡で霧がかった山を表現しています。遠近感も感じられて見事です。

寺崎広業 「溪四題(雲の峰・夏の月・秋霧・雨後)」
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こちらは長野の天竜峡や上林温泉に滞在した際の写生を元にした作品。それぞれの季節や溪谷の空気まで感じられるような情感がありました。特に霧の表現が好み。

吉田博 「パリ風景」
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恐らくこれは妹と外遊に出た頃の作品。パリの公園で休む人々が穏やかな雰囲気です。吉田博は日本では冷遇されたこともあってそれほど有名ではないですが、最近 再評価の流れが来ている気がします。
 参考記事:生誕140年 吉田博展 山と水の風景 (東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

久米桂一郎 「ブレア島」
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こちらはフランスのブルターニュ地方の北にある島を描いた作品。赤みがかった岩が特に目を引き、質感を複雑な色で表現しています。全体的には明るめの色彩感覚で、現地の様子が伝わってくるようでした。

原田直次郎 「ガブリエル・マックス像」
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この人は原田直次郎が師事した画家で、博学多識の人だったそうです。ちょっと頑固そうな表情が印象的。それにしても原田直次郎が描くオッサンは名品揃いですねw

中沢弘光 「非水像」
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モデルは光風会の盟友で日本のグラフィックデザインの先駆者である杉浦非水。じっとマッチを見つめているので、そこに自然と目が向きます。さらにそこから背景に抱き合う像があるのも目を引いて、面白い構成となっていました。

正宗得三郎 「モレーの冬」
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フランスのモレーを描いた風景画。手前に枯れ木が立ち並んで風景を遮っているのが面白い。人はほとんど見当たらず、馬車が橋の上にポツンと描かれているのが寂しげな感じに見えました。

川上涼花 「植物園風景」
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厚塗りで大胆な筆致で描かれた風景画。萬鉄五郎らと仲間だったらしいのでフォーヴ的な要素もあるように思えますが、色彩は爽やかで方向性が違うようにも思えます。結構好みの画風でした。

萬鉄五郎 「手袋のある静物」
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こちらは郷里の岩手県の土沢に戻っていた頃の作品。この頃の特徴としてはこの土気色です。キュビスム風に単純化された形態もこの頃の画風の典型に思えました。
 参考記事:【番外編】没後90年 萬鐵五郎展 (岩手県立美術館)

梅原龍三郎 「静物」
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大胆な色使いが目を引く静物。緑と赤が引き立てあって一層に鮮やかに感じます。形態の単純化も面白くて、見ごたえのある静物でした。

この辺は白樺派関連の画家が並んでいました。

中川一政 「柚子たん図」
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こちらも『白樺』に触発された画家です。色は強めだけど、くすんでいるせいか落ち着いた印象を受けました。単純化されている一方で微妙な光の反射なども表現されていて良いバランスでした。

木村荘八 「永井荷風著『墨東綺譚』挿絵 挿絵1」
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こちらは永井荷風の小説に木村荘八が挿絵を入れたもの。墨田区辺りらしく戦中に戦火で失われた光景のようです。素描を重視した画家だけに、当時の町の様子がありありと浮かんでくるようでした。
 参考記事:素描礼讃 ―岸田劉生と木村荘八― (うらわ美術館)

木村荘八 「永井荷風著『墨東綺譚』挿絵 挿絵14」
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こちらも挿絵。この辺は飲み屋の看板を掲げながら売春もしていた店があったそうで、当時の猥雑な賑わいが表現されているように思えました。

織田一磨 「画集東京近郊八景より 玉の井雪景」
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こちらも先程の墨東綺譚の舞台となった玉ノ井辺りを描いたもの。しんしんと降り積もる雪と家の明かりが何ともロマンチック。って、飲み屋街なんですけどねw

川口軌外 「静物(マンドリン)」
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言われてみるとマンドリンっぽいかなw キュビスム的な表現とくすんだ色彩が斬新な印象の作品でした。

山口長男 「二人像」
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こちらもピカソっぽい作品。2人は何処にいるのか中々分かりづらいですが、紙の長い女性でしょうか? 色と形態のリズムがありつつ落ち着いた色調なのが心地よく感じられて好みでした。

神原泰 「スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す」
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こちらはロシアの神秘主義の作曲家アレクサンドル・スクリアビンの「法悦の詩」を聴いた時の精神昂揚を絵にしたもの。完全に抽象画ですが、燃え立つような色と形態になっているように思えます。ネットで調べて聴いてみたのですが、中々幻想的な雰囲気なのでこの絵の印象とよく合っているように思えます。

村井正誠 「URBAIN」
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こちらはモンドリアンの「幾何学的抽象」を作者が自由に解釈したもので、タイトルはフランス語で「都市の」を意味するそうです。言われてみると右半分は都市や街を思わせるかな。左半分は郊外なのか人なのか…。 色々と想像が膨らんでくる作品でした。

佐分真 「午後」
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パリのカフェでくつろぐ人々を描いた作品。深い青を基調とするのがこの画家の特徴らしく、落ち着いた雰囲気です。でもちょっと虚ろな感じもするかな。退屈そうというか。これも人々の心情を考えさせる作品でした。

前田寛治 「労働者」
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何とも読み取りづらい独特の表情を浮かべた労働者。静かに目で何かを訴えているようにも思えました。

野田英夫 「都会」
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こちらは複数の断片をあわせて画面を構成するモンタージュの手法で描かれた作品。アメリカのワシントンD.C.やニューヨークあたりを描いているようです。割と生活感があって人々の力強さも感じられました。


ということで、今回は久々に観る作品や記憶に無い作品が多くていつも以上に楽しめました。後半も見所が多かったので、次回も同様に写真を使ってご紹介の予定です。

 → 後編はこちら

参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年07月後編)
 東京国立近代美術館の案内 (2019年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年11月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2018年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月前編)
 東京国立近代美術館の案内 (2017年12月後編)
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 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)
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