太田喜二郎と藤井厚二 (感想前編)【目黒区美術館】
前々回・前回とご紹介した目黒雅叙園に行く前に、目黒区美術館で「太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家」という展示を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

【展覧名】
太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家
【公式サイト】
https://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190713-64.html
【会場】目黒区美術館
【最寄】目黒駅
【会期】2019年7月13日(土)~2019年9月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはそこそこいましたが、自分のペースで快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はベルギーに渡ってリュミニスム(光輝主義)を学んだ近代画家 太田喜二郎と建築家の藤井厚二の2人展で、それぞれの作品と2人の関係について取り上げています。2人は同時期に京都帝国大学で教鞭を取ったことで知り合い、茶の湯など共通の趣味で親交を深めていき、やがて藤井厚二は太田喜二郎の邸宅も手がけています。3章構成でその辺の事情も紹介されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品等と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 太田喜二郎>
まずは太田喜二郎に関するコーナーです。私はこの章を目当てにこの展示を観に行きましたw 太田喜二郎は1883年に京都で生まれ、東京美術学校に入学して黒田清輝や藤島武二に学びました。黒田清輝の勧めで1908年に芸術の中心地であるフランスではなくベルギーの留学することとなり、そこでベルギー印象派の画家エミール・クラウスに師事しました。そして、逆光に向かって光そのものを描こうとするクラウスの光の表現に衝撃を受け、太田喜二郎も多様な光の表現を求めるようになります。1915年頃に帰国すると、ベルギー印象派仕込みの点描で日本の農村で働く人を描いて、文展や帝展に出品を重ねていき、やがて帝展の審査員に就任するなど要職の地位を得ていきました。しかし1917年頃に点描の限界を感じたのか、この技法を放棄し 平滑で平面的な画風へと変化します。それでもこの方法でも光の表現を模索し続けたようです。この章ではそうした光の多様な表現を観ることができました。
参考記事:
エミール・クラウスとベルギーの印象派 (東京ステーションギャラリー)
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
1-20 太田喜二郎 「雪の朝」

1階のこの作品だけ撮影可能となっていました。雪の日の聖堂を光り輝く雰囲気で描いています。この全体的に白っぽい表現はエミール・クラウスの光輝主義に非常に似ているように思えました。印象派よりもさらに光を重視した作風です。後ほどこれと同じ構図の「サン・ピエール寺」の連作のコーナーもあります。
[留学前-東京に学ぶ]
この節はベルギー留学前のコーナーです。太田喜二郎は小学校の頃に巌本冬嶺に日本画家を習い、中学の頃に図画の教員の影響で西洋画に関心を持ちました。そして美術批評家の弟(岩村)と出会い、フランス留学するか東京美術学校に行くか彼らと相談した結果、東京美術学校を卒業してから留学したほうがアドバイスされたそうです。ここにはそうして進学した学生時代の作品などが並んでいました。
1-7 太田喜二郎 「黒田清輝筆<裸体・女>模写」
こちらは膝を両手で持って座る日本人の裸婦を描いた作品です。輪郭線が強いせいか若干だけど硬い感じも受けるかな。肩の辺りにも違和感あるし…。まだこれからといった印象を受けました。
1-2 太田喜二郎 「目黒」
こちらは目黒不動尊を描いた水彩画です。かなり精緻に描かれていて、朱色に塗られた梁や柱が目を引きます。裏にもスケッチがあり、木々の立ち並ぶ様子などが描かれていました。熱心にスケッチをしていたのが伺える品です。
この辺は水彩のスケッチが並んでいました。やはり精緻な描写で、当時の風情を感じさせる風景が多めです。
[ベルギー留学]
ベルギーに留学した太田喜二郎は、ゲント近郊にあるエミール・クラウスの自宅兼アトリエで直接教えを受けました。最初はクラウスのように描けないことに悩み、目に先天的な問題があるからではないか?と考えていたことが日記に残っているようです。しかし次第に腕を上げていき、やがてクラウスにも認められるようになっていきました。ここにはそうした留学時代の作品が並んでいました。
1-9 太田喜二郎 「木陰の少女」
こちらは緑生い茂る中で立つ女性を描いた作品で、白い服に白い帽子の姿でこちらをチラッと見ています。緑の濃淡や青を使って陰影を表現する様子や、大胆な筆致は印象派風に思えます。帽子の部分などは盛り上がっていて割と厚塗りになっているようです。近寄ると大胆に観えても 離れて観るとリアルな表現に思えるのも面白い作品でした。
1-10 太田喜二郎 「窓辺読書」
こちらは窓辺で本を読んでいる女性を描いた作品です。窓の向こうに植木鉢に入ったゼラニウムもあって、穏やかな光景です。比較的落ち着いた色彩となっていますが、筆致は大胆なのはこの時期の特徴かな。解説によると、この女性は下宿先の娘だそうで、静かで知的な雰囲気です。また、読んでいるのはエミール・ゾラの『制作』だそうで、ゾラとセザンヌの仲違いの原因になった本です。
参考記事:映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)
[サン・ピエール寺の連作]
続いてはサン・ピエール寺という聖堂を描いた同じ構図の連作(先程の1階の絵もその1つ)を中心としたコーナーです。
1-25 太田喜二郎 「赤い日傘」 ★こちらで観られます
こちらは赤い日傘を差して 木になる赤い実を摘んでいる女性を描いた作品です。大型の斑点を使った点描で、印象派というよりは新印象主義のような描法となっています。緑地に赤い傘が特に目を引く色の対比となっていて、光が透過して女性の方まで赤くなっている様子もリアリティを感じます。かなり大胆なのに、やはり離れて観ると凄く自然に観えるのが面白い。解説によると、この女性は新しい下宿先の娘のマデレンという子らしく、近くに同じモデルの作品が3点くらいありました。
1-16 太田喜二郎 「サン・ピエール寺(夏の朝)」「サン・ピエール寺(夕陽)」「サン・ピエール寺(冬の朝)」など ★こちらで観られます
こちらがサン・ピエール寺の連作で、同じ場所から時間を変えて描いています。夕景で赤く染まったり、寒色系中心で寒々しい感じだったりと同じ構図でも色と印象がだいぶ違って観えます。こうした「連作」の制作はモネをはじめとした印象派が行った手法でもあるので、印象派からの影響も強く感じられました。
[帰国後-点描で描く日本の光]
太田喜二郎は帰国すると京都の農村に居を定め、文展などで受賞を重ねていきますが、日本での作品の評価は芳しくなかったようです。(適切に評価されるまで時を待たねばならなかったのかもしれないようです) その後、京都の丹波や京都市内に転居したそうで、ここにはそうした帰国後の作品が並んでいました。
1-28 太田喜二郎 「帰り路(樵婦帰路)」
こちらは頭の上に木の束を載せて運ぶ2人の大原女を描いた作品です。こちらも点描で大胆に描かれていて、顔は暗く 周りは明るいという逆光の構図となっています。その対比が強めで、その分 日差しの強さが感じられました。
この辺の作品は農婦を描いた作品が並んでいて、風土が変わってもベルギー時代と共通するものが多いように思います。
1-34 太田喜二郎 「田植」
こちらは田植えをしている笠を被った女性たちを描いた作品です。手に苗を持って立っていて、顔は影になって 田んぼや体が光に照らされています。全体的に光り輝くような明るさとなっていて、4~5月頃の強い日差しまで感じられました。
[新たな日本の光を追い求めて]
太田喜二郎は1917年に個展を開き、美術講師や帝展審査員に任命され、1920年には京都帝国大学工学部の講師の嘱託になるなど画家としての地位を築いていきました。しかしこの頃から平滑・平坦な画風となっていったようです。ここにはそうした晩年の作品が並んでいました。
1-35 太田喜二郎 「夏の昼」 ★こちらで観られます
こちらはかなり平面的な表現となった作品で、夏の茶屋の中らしき様子が描かれています。店の中には休んでいる人や 赤ちゃんにお乳を与えている女性などがいて、店の外では牛が荷物を引っ張り、農婦らしき荷物を運ぶ女性の姿もあります。中と外の光の強さがかなり違っていて、この辺りの表現は以前と変わっていないようにも思えます。何故 点描から平面になったのかは特に解説されていませんでしたが、点描に比べると強烈さが和らぎ モダンな雰囲気が増したように思えました。
1-39 太田喜二郎 「雪晴れの港」
こちらは絶筆と同じ構図の作品で、彦根の風景を描いています。手前に横に広がる湖面があり、その奥に家々が立ち並び雪が積もっています。空は薄暗くどんよりしていて、水面の反射や雪の様子などから寒々した空気感が伝わってきました。雪の日の光景そのものと言った感じで、これも表現は滑らかな印象を受けます。こうした繊細な光の表現も追い求めていたのが伝わってきました。
ということで、長くなってきたので今日はこの辺までにしておこうと思います。目当ての太田喜二郎の作品が多く観られただけでも満足な内容で、画風の変遷も実感することができました。後半はもう1人の主役である藤井厚二との関係や藤井厚二の作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。
→ 後編はこちら

【展覧名】
太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家
【公式サイト】
https://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190713-64.html
【会場】目黒区美術館
【最寄】目黒駅
【会期】2019年7月13日(土)~2019年9月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_4_⑤_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
お客さんはそこそこいましたが、自分のペースで快適に鑑賞することができました。
さて、この展示はベルギーに渡ってリュミニスム(光輝主義)を学んだ近代画家 太田喜二郎と建築家の藤井厚二の2人展で、それぞれの作品と2人の関係について取り上げています。2人は同時期に京都帝国大学で教鞭を取ったことで知り合い、茶の湯など共通の趣味で親交を深めていき、やがて藤井厚二は太田喜二郎の邸宅も手がけています。3章構成でその辺の事情も紹介されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品等と共にご紹介していこうと思います。
<第1章 太田喜二郎>
まずは太田喜二郎に関するコーナーです。私はこの章を目当てにこの展示を観に行きましたw 太田喜二郎は1883年に京都で生まれ、東京美術学校に入学して黒田清輝や藤島武二に学びました。黒田清輝の勧めで1908年に芸術の中心地であるフランスではなくベルギーの留学することとなり、そこでベルギー印象派の画家エミール・クラウスに師事しました。そして、逆光に向かって光そのものを描こうとするクラウスの光の表現に衝撃を受け、太田喜二郎も多様な光の表現を求めるようになります。1915年頃に帰国すると、ベルギー印象派仕込みの点描で日本の農村で働く人を描いて、文展や帝展に出品を重ねていき、やがて帝展の審査員に就任するなど要職の地位を得ていきました。しかし1917年頃に点描の限界を感じたのか、この技法を放棄し 平滑で平面的な画風へと変化します。それでもこの方法でも光の表現を模索し続けたようです。この章ではそうした光の多様な表現を観ることができました。
参考記事:
エミール・クラウスとベルギーの印象派 (東京ステーションギャラリー)
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて (Bunkamuraザ・ミュージアム)
ベルギー王立美術館コレクション『ベルギー近代絵画のあゆみ』 (損保ジャパン東郷青児美術館)
1-20 太田喜二郎 「雪の朝」

1階のこの作品だけ撮影可能となっていました。雪の日の聖堂を光り輝く雰囲気で描いています。この全体的に白っぽい表現はエミール・クラウスの光輝主義に非常に似ているように思えました。印象派よりもさらに光を重視した作風です。後ほどこれと同じ構図の「サン・ピエール寺」の連作のコーナーもあります。
[留学前-東京に学ぶ]
この節はベルギー留学前のコーナーです。太田喜二郎は小学校の頃に巌本冬嶺に日本画家を習い、中学の頃に図画の教員の影響で西洋画に関心を持ちました。そして美術批評家の弟(岩村)と出会い、フランス留学するか東京美術学校に行くか彼らと相談した結果、東京美術学校を卒業してから留学したほうがアドバイスされたそうです。ここにはそうして進学した学生時代の作品などが並んでいました。
1-7 太田喜二郎 「黒田清輝筆<裸体・女>模写」
こちらは膝を両手で持って座る日本人の裸婦を描いた作品です。輪郭線が強いせいか若干だけど硬い感じも受けるかな。肩の辺りにも違和感あるし…。まだこれからといった印象を受けました。
1-2 太田喜二郎 「目黒」
こちらは目黒不動尊を描いた水彩画です。かなり精緻に描かれていて、朱色に塗られた梁や柱が目を引きます。裏にもスケッチがあり、木々の立ち並ぶ様子などが描かれていました。熱心にスケッチをしていたのが伺える品です。
この辺は水彩のスケッチが並んでいました。やはり精緻な描写で、当時の風情を感じさせる風景が多めです。
[ベルギー留学]
ベルギーに留学した太田喜二郎は、ゲント近郊にあるエミール・クラウスの自宅兼アトリエで直接教えを受けました。最初はクラウスのように描けないことに悩み、目に先天的な問題があるからではないか?と考えていたことが日記に残っているようです。しかし次第に腕を上げていき、やがてクラウスにも認められるようになっていきました。ここにはそうした留学時代の作品が並んでいました。
1-9 太田喜二郎 「木陰の少女」
こちらは緑生い茂る中で立つ女性を描いた作品で、白い服に白い帽子の姿でこちらをチラッと見ています。緑の濃淡や青を使って陰影を表現する様子や、大胆な筆致は印象派風に思えます。帽子の部分などは盛り上がっていて割と厚塗りになっているようです。近寄ると大胆に観えても 離れて観るとリアルな表現に思えるのも面白い作品でした。
1-10 太田喜二郎 「窓辺読書」
こちらは窓辺で本を読んでいる女性を描いた作品です。窓の向こうに植木鉢に入ったゼラニウムもあって、穏やかな光景です。比較的落ち着いた色彩となっていますが、筆致は大胆なのはこの時期の特徴かな。解説によると、この女性は下宿先の娘だそうで、静かで知的な雰囲気です。また、読んでいるのはエミール・ゾラの『制作』だそうで、ゾラとセザンヌの仲違いの原因になった本です。
参考記事:映画「セザンヌと過ごした時間」 (軽いネタバレあり)
[サン・ピエール寺の連作]
続いてはサン・ピエール寺という聖堂を描いた同じ構図の連作(先程の1階の絵もその1つ)を中心としたコーナーです。
1-25 太田喜二郎 「赤い日傘」 ★こちらで観られます
こちらは赤い日傘を差して 木になる赤い実を摘んでいる女性を描いた作品です。大型の斑点を使った点描で、印象派というよりは新印象主義のような描法となっています。緑地に赤い傘が特に目を引く色の対比となっていて、光が透過して女性の方まで赤くなっている様子もリアリティを感じます。かなり大胆なのに、やはり離れて観ると凄く自然に観えるのが面白い。解説によると、この女性は新しい下宿先の娘のマデレンという子らしく、近くに同じモデルの作品が3点くらいありました。
1-16 太田喜二郎 「サン・ピエール寺(夏の朝)」「サン・ピエール寺(夕陽)」「サン・ピエール寺(冬の朝)」など ★こちらで観られます
こちらがサン・ピエール寺の連作で、同じ場所から時間を変えて描いています。夕景で赤く染まったり、寒色系中心で寒々しい感じだったりと同じ構図でも色と印象がだいぶ違って観えます。こうした「連作」の制作はモネをはじめとした印象派が行った手法でもあるので、印象派からの影響も強く感じられました。
[帰国後-点描で描く日本の光]
太田喜二郎は帰国すると京都の農村に居を定め、文展などで受賞を重ねていきますが、日本での作品の評価は芳しくなかったようです。(適切に評価されるまで時を待たねばならなかったのかもしれないようです) その後、京都の丹波や京都市内に転居したそうで、ここにはそうした帰国後の作品が並んでいました。
1-28 太田喜二郎 「帰り路(樵婦帰路)」
こちらは頭の上に木の束を載せて運ぶ2人の大原女を描いた作品です。こちらも点描で大胆に描かれていて、顔は暗く 周りは明るいという逆光の構図となっています。その対比が強めで、その分 日差しの強さが感じられました。
この辺の作品は農婦を描いた作品が並んでいて、風土が変わってもベルギー時代と共通するものが多いように思います。
1-34 太田喜二郎 「田植」
こちらは田植えをしている笠を被った女性たちを描いた作品です。手に苗を持って立っていて、顔は影になって 田んぼや体が光に照らされています。全体的に光り輝くような明るさとなっていて、4~5月頃の強い日差しまで感じられました。
[新たな日本の光を追い求めて]
太田喜二郎は1917年に個展を開き、美術講師や帝展審査員に任命され、1920年には京都帝国大学工学部の講師の嘱託になるなど画家としての地位を築いていきました。しかしこの頃から平滑・平坦な画風となっていったようです。ここにはそうした晩年の作品が並んでいました。
1-35 太田喜二郎 「夏の昼」 ★こちらで観られます
こちらはかなり平面的な表現となった作品で、夏の茶屋の中らしき様子が描かれています。店の中には休んでいる人や 赤ちゃんにお乳を与えている女性などがいて、店の外では牛が荷物を引っ張り、農婦らしき荷物を運ぶ女性の姿もあります。中と外の光の強さがかなり違っていて、この辺りの表現は以前と変わっていないようにも思えます。何故 点描から平面になったのかは特に解説されていませんでしたが、点描に比べると強烈さが和らぎ モダンな雰囲気が増したように思えました。
1-39 太田喜二郎 「雪晴れの港」
こちらは絶筆と同じ構図の作品で、彦根の風景を描いています。手前に横に広がる湖面があり、その奥に家々が立ち並び雪が積もっています。空は薄暗くどんよりしていて、水面の反射や雪の様子などから寒々した空気感が伝わってきました。雪の日の光景そのものと言った感じで、これも表現は滑らかな印象を受けます。こうした繊細な光の表現も追い求めていたのが伝わってきました。
ということで、長くなってきたので今日はこの辺までにしておこうと思います。目当ての太田喜二郎の作品が多く観られただけでも満足な内容で、画風の変遷も実感することができました。後半はもう1人の主役である藤井厚二との関係や藤井厚二の作品が並んでいましたので、次回はそれについてご紹介の予定です。
→ 後編はこちら
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