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平成30年度新収品展 【東京国立博物館 平成館】

今日も写真多めです。前々回・前回とご紹介した東京国立博物館 平成館の特別展を観た後、同じ平成館の1階で「平成30年度新収品展」を観てきました。この記事を書いている時点で既に終了していますが、撮影可能となっていましたので写真を使ってご紹介しておこうと思います。

DSC01989.jpg

【展覧名】
 平成30年度新収品展 

【公式サイト】
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1970

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2019年6月4日(火) ~ 7月15日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
閉館間近だったこともあって空いていましたが、早足での鑑賞となりましたw

この展示は昨年度に新収蔵されたコレクションのお披露目展で、34点ほどの小さな展示となっていました。こちらも撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介して参ります。

伝・伊藤若冲 「鶴図」
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こちらは伊藤若冲の作と伝わる鶴図。

1枚にすると反射が写ってしまうので縦撮りで2枚に分割してみました。
DSC01996_2019072700593241c.jpg DSC01994.jpg
透けるような羽根の表現やポーズなどに伊藤若冲の特徴が出ているように思います。素人目には本人の作品にしか思えませんが、模倣者だとしたら相当の腕でしょうね。

野呂介石 「山水図」
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こちらは江戸時代の和歌山の画家が描いた山水図。同じ和歌山の桑山玉洲からの影響が顕著とのことですが、素朴さのある文人画風なのが分かるかな。穏やかな光景となっていました。

加藤千蔭 「桜図画賛」
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こちらは与力を務めた歌人で、書家でもあるという多才な人物によるもの。絵も写実性と風情があって絵画センスも感じられました。

春深房道朝 「詩歌屏風」
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こちらは狩野探幽に大師流の書法を教授した高野山西方院の僧侶による書。『三十六人大歌合』から和歌と作者名を書写しているようです。流れるような文字と、力強い文字があってリズム感のある書体となっているように思いました。

王建章 「蘭亭春禊図扇面」
DSC02014.jpg
こちらは王羲之の蘭亭の宴をモチーフにした扇面。作者は中国福建の文人画家で、特に江戸時代の日本で高く評価されたそうです。かなり繊細な線で人々が小さく描かれています。描法自体は文人画っぽさもあって面白い作品でした。

趙之謙 「行書七言律詩扇面」
DSC02020.jpg
こちらは篆刻家でもあった書家による作品。顔真卿や北魏の古碑から学んで野趣あふれる書風(行楷書)を創出しました。太く動きを感じる書体が独特の迫力となっていました。
 参考記事:
  書聖 王羲之 感想後編(東京国立博物館 平成館)
  顔真卿 王羲之を超えた名筆 感想後編(東京国立博物館 平成館)

呉昌碩 「臨石鼓文扇面」
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こちら「石鼓文」という古代の石碑を臨書したもので、冒頭に書いてある田車という部分の一節が書かれているようです。この展示ではオリジナルがどのような字体か分かりませんでしたが、原本にとらわれることなく動きのある字体で独自性を確立しているのが分かるとのことでした。

「花簪・びらびら簪」
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こちらは江戸時代の簪で、赤い玉は珊瑚を模したガラス製だそうです。色も形も花のように可憐で、非常に繊細な印象を受けました。

「ガルダ形飾り金具」 カンボジア周辺 アンコール時代・12~13世紀
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こちらはカンボジアの飾り金具。猛禽のガルーダが蛇のナーガの口から吐き出された様子を表されているそうです。どちらも複雑な造形で日本の仏像と大きく違っている様子が伺えました。

「阿弥陀如来立像」
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こちらは江戸時代初期の阿弥陀如来。よく浄土真宗のご本尊とされることが多い仏様ですが、柔和な印象を受けるかな。穏やかな雰囲気があるように思いました。

「舞楽面 陵王」
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こちらは明治時代の舞楽面。岡倉天心とも交流のあった加納鉄哉の作であるとも考えられているようです。蘭陵王は美貌を隠すためにこうした恐ろしげな面をつけて戦った伝説があります。目が飛び出ていているし、凹凸が深くて迫力がありますね。

初代宮川香山 「染付龍濤文有蓋壺」
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こちらは明治時代にヨーロッパに輸出する為に作られた作品。中国風でもありながらかなり細かい表現が見事です。帝室技芸員になった人は尋常じゃない技術を持っていますw

「雛人形および雛道具」
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人形は京都、雛道具は江戸で作られた一式。源氏物語をモチーフにした雛道具などもあって優美な雰囲気です。よほどの名家の雛人形でしょうね。

「雲龍端渓石硯」
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装飾が見事な中国 明~清時代頃の硯。2頭の龍が向き合っている様子となっています。背面には左に写っているような亀が彫られ、「宮中之宝」と書いてあるようです。硯にまで装飾を施すとは驚きでした。


ということで、小展ながらも様々なジャンルの作品があって見応えがありました。この展示は終わってしまいましたが、今後も常設展示で観る機会もあると思います。再会が楽しみな作品ばかりの展示でした。

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