みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術 (感想後編)【Bunkamura ザ・ミュージアム】
今日は前回に引き続き渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムの「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術」についてです。前半は3章の途中までについてでしたが、後編は3~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術
【公式サイト】
https://www.ntv.co.jp/mucha2019/
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha/
【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅
【会期】2019/7/13(土)~9/29(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半はミュシャ本人についてでしたが、後半(4~5章)は後世への影響に関するコーナーとなっていました。
<3章 ミュシャ様式の「言語」>
前編に引き続き、3章では撮影可能だった作品について写真を使ってご紹介していこうと思います。
アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』のためのデザイン」

こちらは図柄のサンプル集。読者はこれを2枚の鏡を使って無限に変化させて、新たなデザインの糧となるよう勧められているそうです。一部は具象ですが、音符を思わせる有機的な文様が面白い。
アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』 図6・図18・図42・図54」

こちらも同様の装飾モティーフ。シンプルながらもミュシャらしい優美さが感じられます。軽やかで流れるような曲線に特徴があるように思いました。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図47」

こちらはデザインの見本集。女性像に目が行きますが、花や周りの装飾などもミュシャ独特のものとなっています。これもQ字型の構図ですね。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図33」

こちらは裸婦像。面白いのが背景の文字で、DOCUMENTS DECORATIESと描いてあるのが分かります。タイポグラフィまで装飾的にあらわしていて、まさにミュシャ装飾の辞典のようです。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図13」

こちらは花の装飾。後ろにはミュシャがよく使った雪輪文様が表されています。上下・左右が繋がるように描けば無限に続いてテキスタイルに使えそうなのになあw
アルフォンス・ミュシャ 「三つの季節:春、夏、冬」

こちらは何故 秋がないのか分かりませんが、季節の擬人化かな。絵柄が変化してきているのを感じます。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾人物集』図26の最終習作」

こちらは人物集のための素描。ミュシャの作品の魅力の1つに女性のポーズが挙げられると思います。特に下の女性の誘うようなポーズと表情に色気を感じました。
アルフォンス・ミュシャ 「チェコの音楽界のパンテオン:ポスター/カレンダー」

これはチェコ時代の作品じゃないかな。絵柄はスラブ叙事詩のものに近く、写実性が増しているように思います。バイオリンを引いているのは音楽の擬人像でしょうか。神話的な雰囲気は健在です。
アルフォンス・ミュシャ 「闘志(ヤン・ジジュカ):市長ホールのペンデンティブ画のための大型習作」

これも恐らくチェコ時代と思われます。グアッシュで描かれた大型の習作で、等身大くらいありました。詳しくは解説がなかったので分かりませんが、モティーフもスラブの歴史と何か関係あるのかもしれませんね。
撮影可能なのはここまでです。4章以降は再び撮影不可となっていました。
<4章 よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンター・カルチャー>
4章はミュシャの再発見と影響に関するコーナーです。ミュシャの没後24年となる1963年に、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館と2つの画廊でミュシャ展が同時に開催されたそうで、その頃は冷戦だったこともあってミュシャは西側諸国の記憶から薄れていたようです。特にパリ以降の作品は鉄のカーテンの向こう側にあった訳ですが、これら回顧展によって忘れられたミュシャの業績が再評価されるようになったようです。批評家たちが注目したのは渦巻くミュシャの描線で、曲線表現の「システム」でした。このミュシャの曲線にロンドンやサンフランシスコの若者文化の担い手たちが即座に反応し、当時のベトナム戦争の反戦運動にミュシャの優美で平和的なモティーフの感性が共鳴したようです。そして1960年代以降はロックのポスターやジャケットに続々とミュシャ風の絵柄が現れ、1990年代にはアメリカンコミックなどにも波及し その影響は現在に至っています。ここにはそうしたミュシャに影響を受けた事例が並んでいました。
まずはミュシャの寓意画などがありました「椿姫」(★こちらで観られます)や「舞踏ー連作[四芸術より]」(★こちらで観られます)などお馴染み作品で、Q字型方式となっています。こうした作品が1970年代のレコードのジャケットに応用されていくことになります。
109 デヴィッド・エドワード・バード 「ニューヨーク、トリトン・ギャラリーでの個展-ダンディーとしてのセルフポートレート(個展のための宣伝用ポスター)」 ★こちらで観られます
こちらはミュシャのアール・ヌーヴォー様式を取り入れて描いた自画像で、作者はジミ・ヘンドリックスやローリング・ストーンズなどのロックバンドのアートワークを手掛けた人物です。この絵はミュシャの「椿姫」を元に反転させた構図となっているようで、星模様などを含めて雰囲気がよく似ています。意図的に絵柄を寄せている感じがするかな。ミュシャへのリスペクトも感じました。
この隣にはローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、ピンク・フロイドのコンサートのポスターなどもありました。私はピンク・フロイド好きですが、これは知らなかったw 曲線が装飾的な点にミュシャからの影響を感じさせます。
また、スタンレー・マウス&オールトン・ケリーの「ジム・クウェスキン・ジャグ・バンド コンサート」というポスター(★こちらで観られます)はミュシャの「ジョブ」そのものでしたw 色と周りの文字が違うけど、女性像はまんまですw
その先にLPジャケットが壁にづらりと並んでいます。やはりミュシャそのものの絵もあって、ジプシーの「ジプシー」なんかはそのままですw しかし独自解釈している絵もあって、キング・クリムゾンの「リザード」なんかはサイケな感じです(今まで私はインド風のジャケットだと思ってましたw) 他にもローリング・ストーンズの「フラワーズ」(★こちらで観られます)などはミュシャ要素低めかな。むしろLSDやってそうな…w
その後は1990~2000年代頃のアメコミのコーナーです。マーベルコミックの「ノヴァ」はアイアンマンが表紙になっているのですが、Q字型の中にアイアンマンが入っていて、ミュシャの「舞踏」等からの引用と思われます。まさかアイアンマンとミュシャが繋がるとは意外ですねw コミックもミュシャをまんま使っているものと、アレンジしているものがありました。Q字型の構図はよく使われているようでした。
<5章 マンガの新たな流れと美の研究>
最後は日本のマンガとミュシャの関係性のコーナーです。ミュシャ作品はパリの美術学校に通っていた日本人学生によって日本に紹介され、1900年代初頭の僅かな期間に文芸誌の表紙がミュシャ風に染まったようです。『明星』の表紙や与謝野晶子の『みだれ髪』などで描かれた女性はやがて少女画の起源になっていったようですが、大正・昭和と時間が経るに連れて忘れられていきました。しかし1960年代末にトキワ荘の一員で女性漫画家の水野英子は北米の音楽シーン経由でミュシャと「再会」してミュシャの様式を取り入れたようです。水野英子以降の少女漫画家たちもミュシャやヨーロッパ世紀末芸術に自ら追い求めていたものを見出したようで、その影響が観られます。また、1980年代以降はゲームやファンタジー小説にも影響を与えているようで、ここにはそうした日本のサブカルチャーの品々が並んでいました。
まずはミュシャの「メディア」や「モナコ・モンテカルロ」(★こちらで観られます)、「ヒヤシンス姫」(★こちらで観られます)などの代表作が並んでいました。「メディア」はちょっと怖い題材ですが、「ヒヤシンス姫」なんかは特に少女漫画との親和性は高そうに思います。可憐で優美なお姫様といった感じです。
147 藤島武二 「みだれ髪 表紙」 ★こちらで観られます
こちらは有名な与謝野晶子の著作で、縦長の本の表紙が展示されていました。ハート型の枠にアール・ヌーヴォー風の女性の横顔が表され、その下の白地には文様化された赤文字で「みだれ髪」と描かれています。ミュシャに影響を受けているのは確かでしょうが、一般的なアール・ヌーヴォーのイメージに近いようにも思えます。特に花をイメージさせるタイトル部の文字が面白く思えました。
この近くには『明星』の表紙などもありました。ミュシャから色濃く影響を受けているのが分かります。他にもミュシャの「ジョブ」そのもののデザインの雑誌の表紙なんかもあって、「ジョブ」は本当に人気作なのが伺えますw
その後は水野英子 氏の『ファイヤー!』などの漫画のイラスト(複製)などが並んでいました。瞳の中に星を描く流れを作ったのはこの方らしいですが、この作品ではミュシャそのものという訳でもなくエッセンスを取り入れているように思えました。『トリスタンとイゾルデ』という作品はかなりミュシャに寄せてるかな。
その先には山岸凉子 氏や花郁悠紀子 氏、松苗あけみ氏、波津彬子 氏などの女性向け漫画の原画などが並んでいました。人物画の髪の流れや衣の表現にミュシャからの影響を感じるものがあります。たまに意図的にミュシャ風にしているものもありました。
その後にゲームの「ファイナルファンタジー」でお馴染みの天野喜孝 氏の原画がありました。天野喜孝 氏は20代半ばでミュシャ展を観て魅力を感じたそうですが、絵柄自体はミュシャにそれほど似ていません。影響されたもののファンタジーの違うものを描こうとしたようで、線が細く幻想的な作風となっていました。
最後に出渕裕 氏による『ロードス島戦記』のイラストなどもありました。この辺も中学くらいの時に観た覚えがあったのでちょっと懐かしいw
ということで、後半はミュシャが与えたサブカルチャーへの影響が中心となっていました。私は音楽好きでもあるので、特にジャケットやポスターのコーナーはそうだったのか!?という驚きもあって面白かったです。今までのミュシャ展とはちょっと違っていて、一層身近な存在に感じる内容でした。
→ 前編はこちら


【展覧名】
みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ-線の魔術
【公式サイト】
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https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha/
【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅
【会期】2019/7/13(土)~9/29(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_②_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
前半はミュシャ本人についてでしたが、後半(4~5章)は後世への影響に関するコーナーとなっていました。
<3章 ミュシャ様式の「言語」>
前編に引き続き、3章では撮影可能だった作品について写真を使ってご紹介していこうと思います。
アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』のためのデザイン」

こちらは図柄のサンプル集。読者はこれを2枚の鏡を使って無限に変化させて、新たなデザインの糧となるよう勧められているそうです。一部は具象ですが、音符を思わせる有機的な文様が面白い。
アルフォンス・ミュシャ 「『鏡によって無限に変化する装飾モティーフ』 図6・図18・図42・図54」

こちらも同様の装飾モティーフ。シンプルながらもミュシャらしい優美さが感じられます。軽やかで流れるような曲線に特徴があるように思いました。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図47」

こちらはデザインの見本集。女性像に目が行きますが、花や周りの装飾などもミュシャ独特のものとなっています。これもQ字型の構図ですね。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図33」

こちらは裸婦像。面白いのが背景の文字で、DOCUMENTS DECORATIESと描いてあるのが分かります。タイポグラフィまで装飾的にあらわしていて、まさにミュシャ装飾の辞典のようです。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾資料集』図13」

こちらは花の装飾。後ろにはミュシャがよく使った雪輪文様が表されています。上下・左右が繋がるように描けば無限に続いてテキスタイルに使えそうなのになあw
アルフォンス・ミュシャ 「三つの季節:春、夏、冬」

こちらは何故 秋がないのか分かりませんが、季節の擬人化かな。絵柄が変化してきているのを感じます。
アルフォンス・ミュシャ 「『装飾人物集』図26の最終習作」

こちらは人物集のための素描。ミュシャの作品の魅力の1つに女性のポーズが挙げられると思います。特に下の女性の誘うようなポーズと表情に色気を感じました。
アルフォンス・ミュシャ 「チェコの音楽界のパンテオン:ポスター/カレンダー」

これはチェコ時代の作品じゃないかな。絵柄はスラブ叙事詩のものに近く、写実性が増しているように思います。バイオリンを引いているのは音楽の擬人像でしょうか。神話的な雰囲気は健在です。
アルフォンス・ミュシャ 「闘志(ヤン・ジジュカ):市長ホールのペンデンティブ画のための大型習作」

これも恐らくチェコ時代と思われます。グアッシュで描かれた大型の習作で、等身大くらいありました。詳しくは解説がなかったので分かりませんが、モティーフもスラブの歴史と何か関係あるのかもしれませんね。
撮影可能なのはここまでです。4章以降は再び撮影不可となっていました。
<4章 よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンター・カルチャー>
4章はミュシャの再発見と影響に関するコーナーです。ミュシャの没後24年となる1963年に、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館と2つの画廊でミュシャ展が同時に開催されたそうで、その頃は冷戦だったこともあってミュシャは西側諸国の記憶から薄れていたようです。特にパリ以降の作品は鉄のカーテンの向こう側にあった訳ですが、これら回顧展によって忘れられたミュシャの業績が再評価されるようになったようです。批評家たちが注目したのは渦巻くミュシャの描線で、曲線表現の「システム」でした。このミュシャの曲線にロンドンやサンフランシスコの若者文化の担い手たちが即座に反応し、当時のベトナム戦争の反戦運動にミュシャの優美で平和的なモティーフの感性が共鳴したようです。そして1960年代以降はロックのポスターやジャケットに続々とミュシャ風の絵柄が現れ、1990年代にはアメリカンコミックなどにも波及し その影響は現在に至っています。ここにはそうしたミュシャに影響を受けた事例が並んでいました。
まずはミュシャの寓意画などがありました「椿姫」(★こちらで観られます)や「舞踏ー連作[四芸術より]」(★こちらで観られます)などお馴染み作品で、Q字型方式となっています。こうした作品が1970年代のレコードのジャケットに応用されていくことになります。
109 デヴィッド・エドワード・バード 「ニューヨーク、トリトン・ギャラリーでの個展-ダンディーとしてのセルフポートレート(個展のための宣伝用ポスター)」 ★こちらで観られます
こちらはミュシャのアール・ヌーヴォー様式を取り入れて描いた自画像で、作者はジミ・ヘンドリックスやローリング・ストーンズなどのロックバンドのアートワークを手掛けた人物です。この絵はミュシャの「椿姫」を元に反転させた構図となっているようで、星模様などを含めて雰囲気がよく似ています。意図的に絵柄を寄せている感じがするかな。ミュシャへのリスペクトも感じました。
この隣にはローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、ピンク・フロイドのコンサートのポスターなどもありました。私はピンク・フロイド好きですが、これは知らなかったw 曲線が装飾的な点にミュシャからの影響を感じさせます。
また、スタンレー・マウス&オールトン・ケリーの「ジム・クウェスキン・ジャグ・バンド コンサート」というポスター(★こちらで観られます)はミュシャの「ジョブ」そのものでしたw 色と周りの文字が違うけど、女性像はまんまですw
その先にLPジャケットが壁にづらりと並んでいます。やはりミュシャそのものの絵もあって、ジプシーの「ジプシー」なんかはそのままですw しかし独自解釈している絵もあって、キング・クリムゾンの「リザード」なんかはサイケな感じです(今まで私はインド風のジャケットだと思ってましたw) 他にもローリング・ストーンズの「フラワーズ」(★こちらで観られます)などはミュシャ要素低めかな。むしろLSDやってそうな…w
その後は1990~2000年代頃のアメコミのコーナーです。マーベルコミックの「ノヴァ」はアイアンマンが表紙になっているのですが、Q字型の中にアイアンマンが入っていて、ミュシャの「舞踏」等からの引用と思われます。まさかアイアンマンとミュシャが繋がるとは意外ですねw コミックもミュシャをまんま使っているものと、アレンジしているものがありました。Q字型の構図はよく使われているようでした。
<5章 マンガの新たな流れと美の研究>
最後は日本のマンガとミュシャの関係性のコーナーです。ミュシャ作品はパリの美術学校に通っていた日本人学生によって日本に紹介され、1900年代初頭の僅かな期間に文芸誌の表紙がミュシャ風に染まったようです。『明星』の表紙や与謝野晶子の『みだれ髪』などで描かれた女性はやがて少女画の起源になっていったようですが、大正・昭和と時間が経るに連れて忘れられていきました。しかし1960年代末にトキワ荘の一員で女性漫画家の水野英子は北米の音楽シーン経由でミュシャと「再会」してミュシャの様式を取り入れたようです。水野英子以降の少女漫画家たちもミュシャやヨーロッパ世紀末芸術に自ら追い求めていたものを見出したようで、その影響が観られます。また、1980年代以降はゲームやファンタジー小説にも影響を与えているようで、ここにはそうした日本のサブカルチャーの品々が並んでいました。
まずはミュシャの「メディア」や「モナコ・モンテカルロ」(★こちらで観られます)、「ヒヤシンス姫」(★こちらで観られます)などの代表作が並んでいました。「メディア」はちょっと怖い題材ですが、「ヒヤシンス姫」なんかは特に少女漫画との親和性は高そうに思います。可憐で優美なお姫様といった感じです。
147 藤島武二 「みだれ髪 表紙」 ★こちらで観られます
こちらは有名な与謝野晶子の著作で、縦長の本の表紙が展示されていました。ハート型の枠にアール・ヌーヴォー風の女性の横顔が表され、その下の白地には文様化された赤文字で「みだれ髪」と描かれています。ミュシャに影響を受けているのは確かでしょうが、一般的なアール・ヌーヴォーのイメージに近いようにも思えます。特に花をイメージさせるタイトル部の文字が面白く思えました。
この近くには『明星』の表紙などもありました。ミュシャから色濃く影響を受けているのが分かります。他にもミュシャの「ジョブ」そのもののデザインの雑誌の表紙なんかもあって、「ジョブ」は本当に人気作なのが伺えますw
その後は水野英子 氏の『ファイヤー!』などの漫画のイラスト(複製)などが並んでいました。瞳の中に星を描く流れを作ったのはこの方らしいですが、この作品ではミュシャそのものという訳でもなくエッセンスを取り入れているように思えました。『トリスタンとイゾルデ』という作品はかなりミュシャに寄せてるかな。
その先には山岸凉子 氏や花郁悠紀子 氏、松苗あけみ氏、波津彬子 氏などの女性向け漫画の原画などが並んでいました。人物画の髪の流れや衣の表現にミュシャからの影響を感じるものがあります。たまに意図的にミュシャ風にしているものもありました。
その後にゲームの「ファイナルファンタジー」でお馴染みの天野喜孝 氏の原画がありました。天野喜孝 氏は20代半ばでミュシャ展を観て魅力を感じたそうですが、絵柄自体はミュシャにそれほど似ていません。影響されたもののファンタジーの違うものを描こうとしたようで、線が細く幻想的な作風となっていました。
最後に出渕裕 氏による『ロードス島戦記』のイラストなどもありました。この辺も中学くらいの時に観た覚えがあったのでちょっと懐かしいw
ということで、後半はミュシャが与えたサブカルチャーへの影響が中心となっていました。私は音楽好きでもあるので、特にジャケットやポスターのコーナーはそうだったのか!?という驚きもあって面白かったです。今までのミュシャ展とはちょっと違っていて、一層身近な存在に感じる内容でした。
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