関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

2019 MOMASコレクション 第2期 【埼玉県立近代美術館】

前回ご紹介した埼玉県立近代美術館の特別展を観た後、常設展も観てきました。今回は「2019 MOMASコレクション 第2期」というタイトルとなっていました。

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【展覧名】
 2019 MOMASコレクション 第2期

【公式サイト】
 http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=420

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅

【会期】2019年7月27日(土)~10月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
意外と人が多かったですが、快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は常設展で、埼玉県立近代美術館では年4回テーマを決めて入れ替えていて、今回は2019年度の2期となってきました。大きく分けて3つの章から構成されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
 参考記事:2019 MOMASコレクション 第1期 (埼玉県立近代美術館)


<セレクション:モネとかピカソとか>
まずは洋画中心のコレクションのコーナーです。

マルク・シャガール 「二つの花束」
手前に黄色いバラと赤いバラが置かれ、奥に町並みが広がる様子が描かれた作品です。空には三日月が浮かび、街はシャガールの故郷のヴィテブスクではないかと思います。鶏や牛などお馴染みのモチーフが並んでいるものの、全体的に色は抑えめで静かで神秘的な印象を受けました。

他にもピサロ、モネ、ルノワール、シニャック、ピカソ、キスリングなどこの美術館が誇る洋画コレクションが並んでいました(各画家1点づつ)

斎藤豊作 「装飾画(蓮と鯉I)」
こちらは色鮮やかで単純化された池の光景を描いた作品です。沢山の鯉たちが時計回りに連なって泳ぎ、動きとうねりのようなものを感じます。水色の地に赤や黄色が目に鮮やかです。また、睡蓮の花も可憐で、全体的には涼しげな雰囲気となっていました。

この辺には同じく斎藤豊作の装飾画が2点ほどありました。これは初めて観たかも。


<うつしと重なり―版画の諸相>
続いては版画のコーナーです。今回は「うつし」をテーマにしていて、「移し」「写し」「映し」「現し」「虚し」の5つの意味での「うつし」について節分けされていました。

[移し]
まずは動きなどを感じる「移し」のコーナーです。

靉嘔 「Love letter」
こちらは「I love you」を筆記体でひたすら書いたラブレターと、花束を持った男性が描かれた作品です。赤・緑・黄色の版が微妙にズレていて、ダブって観えるような感じとなっていて、揺らぐような面白い効果となっていました。近くには縦や横にズラしたバリエーション作品などもありました。

宮脇愛子 「UTSUROHI k」
こちらは真っ青な地に筆記体のように黄色い線がスラリと描かれたシリーズの1つです。不定形な形で抽象画のように思えますが、何処と無く有機的で軽やかな動きを感じられました。かなりシンプルだけどリズミカルで好みです。

立石大河亞 「Milano-Torino Superway」 ★こちらで観られます
こちらは今回のポスターにもなっている作品。極端な一点透視図法で描かれた高速道路らしき真っ直ぐな道路ですが、消失点が絵の一番下の方にあるので下に吸い込まれて落ち込んでいくような不安感があります。また、上の方は坂になっているような表現だったり、平面的だったりと奇妙な世界となっていて面白い作品でした。

[写し]
続いてはコピーなど「写し」をテーマにしたコーナーです。

小山愛人 「Prism and hand」
こちらは手を写した写真で、手の上に他の指の写真を重ねているようです。その合成ぶりがキュビスム的なコラージュとなっていて、違和感とシュールさを感じました。

この近くには磯崎新による建築物の写真と設計図などもありました。

[映し]
続いては記録などをテーマにした作品が並ぶコーナー。

郭徳俊 「レーガンIIと郭」
こちらは当時のレーガン大統領の顔が写った『TIME』誌を上下で切り、その上半分を手に持って自分の下半分の顔と合わせてモンタージュ写真のように合成するという作品です。このシリーズは長年続けているようで、最近だとオバマ大統領のバージョンなんかもあります。作者がちょっとずつ老いてるのも含めて面白い発想の作品でした。

野田哲也 「日記:1980年7月11日、成田へ」
こちらはバスの中から観た高速道路を走る様子です。もはや白黒写真か絵なのか分からないくらいぼんやりしていて、全体的に物哀しく観える一方でどこか懐かしいような光景に思えました。

[現し]
続いては現実に向き合う人間の生など、確固たる存在感のある作品が並ぶコーナーです。

ヘンリー・ムーア 「作家の手IV」
こちらは線で描かれた素描で、彫刻家として有名な作者自身の手のようです。無数の線で影を表現していて、シワも多い手に思えます。ムーアの彫刻は滑らかな印象なのに、この作品だと生の痛みのようなものを感じるのも面白かったです。

[虚し]
5つめのうつしは存在するはずのないものを描いた作品が並ぶコーナーです。

長谷川潔 「二つのアネモネ」
こちらはガラスの花瓶に入った2輪のアネモネの花を描いた静物です。1つはこちら向きで花盛り、もう1つは萎れて項垂れるような感じに観えます。写実的なのにどこか不気味さが漂い、死を連想させるかな。背景の花柄のレースもうねるような感じに見えて、不思議な作品でした。

ルフィーノ・タマヨ 「窓辺の男」
こちらはタイトル通り窓に立っている白い服の男性を描いています。棒立ちしていて顔は単純化されていて、全体的にはくすんだマチエールになっていることもあって、亡霊のようにも観えます。静かで奇妙でやや怖さを感じる作品でした。


<小特集:バウハウス100年>
最後は小部屋の小特集で、今年で創立100年となるバウハウスについて取り上げていました。わずか14年しか運営されなかった芸術の総合的な学校ですが、美術史に大きく名を残す存在となっています。
 参考記事:バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展 (パナソニック電工 汐留ミュージアム)

ルートヴィヒ・ミース・ファンデル・ローエ 「MRチェア」
こちらは「 ⊃ 」の形の足を持つ椅子です。滑らかでシンプルな形状が非常に優美で、皮とスチールで機能的にも優れたデザインとなっています。この椅子があるだけでモダンな空間になりそうなw
近くにはマルセル・ブロイヤーの「ヴァシリー」などもありました。

アルマ・ブッシャー 「バウハウス積み木」
こちらは赤・青・黄色・緑・白など色鮮やかなパーツの積み木のセットです。パーツそのものは三角や視覚などシンプルな形状となっていて、船の形に組み合わせて展示していました。このシンプルさと色彩感覚はバウハウスらしさを感じるかな。カンディンスキーの抽象画にも通じるように思います。モダンな雰囲気の積み木でした。


ということで、今回の常設も楽しむことができました。特に今回は版画の章が凝っていて まとめかたが面白かったと思います。ここで紹介しなかった作品も素晴らしいものが多いので、もし埼玉県立近代美術館に行く機会があったら、常設も合わせて観ることをおすすめします。

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