メスキータ (感想後編)【東京ステーションギャラリー】
今日は前回に引き続き東京ステーションギャラリーの「メスキータ」についてです。前半は上階の1~2章についてでしたが、後編は下階の3章~5章についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
メスキータ
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html
【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅
【会期】2019年6月29日(土)~8月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
下階も上階と同じくらいの混み具合でした。下階は4章と5章の順が入れ替わっていたようでしたが、観た順に気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第3章:自然>
3章は植物や動物を描いた作品のコーナーです。メスキータは動物や植物のモチーフの多くをアムステルダムのアルティス動物園に取材したそうで、オランダでは普通は目にすることがないモチーフが選ばれているようです。特に木版の作品ではデッサンをもとに細部を捨象してモチーフを単純化し、デザイン的に研ぎ澄ますことで装飾性や幾何学性の強い作品を生み出したのだとか。ここにはそうした自然を題材にした作品が並んでいました。
3-33 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「鹿」 ★こちらで観られます
こちらは鹿の横顔を描いた版画で、鹿の形を含めて三角や四角、直線の組み合わせで構成されています。特に2本の角が折れ曲がって三角形を成すような構図が独特で、平面的かつ幾何学的な作風です。細長い線で陰影をつけていたりして、素朴さと斬新さの両面が感じられました。
3-74 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アーティチョーク」
こちらはアンティークの花を描いたもので、輪郭線がなく細い線を並べることで花びらなどを表しています。線の太さを変えることで明暗(太いほど白い部分が多くなり明るく感じる)をつけていて、渦巻くような規則的な彫りとなっています。こちらも素朴さと緻密さが同居していて、力強い印象を受けました。
この辺は植物の静物画多かったように思います。
3-36 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「二頭のガゼル(習作)」「二頭のガゼル」
こちらはスケッチと木版が並んで展示されていました。いずれもガゼルが草地で足を畳んで伏せている様子で、習作スケッチでは1頭なのが木版では向き合うようにもう1頭加えられています。また、2つを比べるとスケッチから木版にする際の単純化の様子が伺え、特に毛並みの表現が色面だったのが線刻による針のような表現に変わっているのが伺えました。同じモチーフでも受ける印象はかなり異なるのが面白かったです。
この近くには「バッファロー」という作品もありました。ステート違いで印象が変わってくるのを観ることができます。
3-73 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「パイナップル」 ★こちらで観られます

写真は撮影可能エリアで撮った複製です。こちらは逆さ吊りにされたパイナップルを描いた木版で、表面と葉っぱは文様のように単純化されて細い線刻で表されています。パイナップルの周りだけ切り取られたように白い地になっていて、コントラストによってパイナップルの存在感が強まっているように思えました。
3-35 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ホウカンチョウ」
こちらは木の上にとまるホウカンチョウを描いた作品で、かなり単純化されて丸々した体躯となっています。黒々とした毛を細かい線で文様のようにリズミカルに描いていて、装飾性が感じられます。また、木の枝も直角に曲がっているなど幾何学的な要素も感じられました。
3-09 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「死せる鳩(無事の死)」
こちらは十字架に磔になってぶら下げられているような白い鳩を描いた版画です。まるでキリストの磔刑を思わせる構図ですが、反転したステート違いでは十字架の部分が改変されて十字架っぽさが減っているように思えます。解説によると、メスキータはユダヤ人であったものの熱心なユダヤ教信者ではなかったようです。それでもこの絵に宗教的な含意があるかは分からないとのことですが、鳩はキリスト教では精霊の象徴でもあるので、見る側からすればすぐに連想するような構成となっていました。
この辺には鳥をモチーフにした作品がありました。今回のポスターにんっている「ワシミミズク」(★こちらで観られます)もこの章にありました。
3-30 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「シマウマ」 ★こちらで観られます
こちらは小屋の中で草を食むシマウマを描いた版画です。元から白黒のモチーフだけにモノクロの版画でも違和感がないかなw 縞々も写実的に表現されているように思えます。解説によると、メスキータは鮮やかに黒と白に色分けされている自然界のモチーフを白黒が明確な木版画の題材にすることに反対していたそうです。エッシャーはその言葉を覚えていたので、この作品を後で知って驚いたのだとかw 近くには白黒の牛を描いたものもあって、これだけが例外という訳でも無さそうな…。中々面白いエピソードでした。
3-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アヤメ 第9ステート」

写真は撮影可能エリアで撮った複製です。花は写実的な単純化に思えますが、葉っぱの部分が謎の横線でボヤけて見えます。第3ステートあたりまでは普通の表現なので、装飾性を高めるためにこうした表現を用いているようでした。
<第5章:ウェンディンゲン>
続いては雑誌『ウェンディンゲン』に関するコーナーです。この雑誌はオランダの建築家H. Th. ワイデフェルトを中心に1918年に創刊されたもので、1933年の廃刊まで116号に渡って建築・絵画、彫刻、家具、工芸、東洋美術、演劇などを紹介していたようです。この雑誌の表紙は1920年代のさまざまなスタイルの作家がデザインしたそうで、メスキータは9回ほどデザインしました。また、第7巻1号(1925年5月)と第12巻1号(1932年1月)ではメスキータの特集もあったようで、ここではそうした部分が紹介されていました。
『ウェンディンゲン』
こちらは正方形の雑誌の表紙で、平面的でロシア・アヴァンギャルドのような表紙もあります。開いた時に長辺が短辺の2倍になる形状はワイデフェルトが日本の畳に着想を得たと考えられるそうで、本としてはちょっと変わってるかも。中には今回の展示でも観られるメスキータの「象」などもありました。メスキータが当時から前衛芸術家として認識されていたことが伺える作品です。
5-08 『ウェンディンゲン』第12巻1号 [特集:S.イェスルン・デ・メスキータ]
こちらは2回目のメスキータ特集号で、青色を背景に白いフクロウが単純化されて表されています。一見すると可愛らしいようで 白目の部分が黄色く目やくちばしが鋭くて緊張感があります。シンプルながらもフクロウの特徴を捉えていて、白黒版画とは違った魅力もありました。
<第4章:空想>
最後は幻想・空想を描いた作品のコーナーです。メスキータは版画作品を制作する傍ら、生涯を通じて膨大な数のドローイングを描いていたそうです。これらは「全く意図していない無意識の現れ」と語っていたらしく、思いつくままに描いていたと考えられるようです。シュルレアリスムのオートマティスムの先駆的な試みと見なすこともできるようで、ここにはそうして作られた空想的な作品が並んでいました。
4-01 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:エジプト風の像を見る男」
こちらは横向きで獣のような謎の仮面をかぶった人物像と、それを観ている男(中国人みたいな)を描いたペン画です。確かにエジプトの壁画を思わせる平面性と仮面ですが、架空のものに思えます。ここまで観てきた画風とガラリと変わっていたのでその点についても驚きでした。
この辺は割と人物画が多いかな。意味ありげな表情や構図で、たまにシュールな雰囲気があります。
4-26 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「幻想的なイマジネーション:さまざまな人々」
こちらは中央で向き合う男女を中心に、無数の人物が描かれた作品です。背景なのか手前なのか分からない平面的な構成で、前後で組み合うような表現はエッシャーに通じるものを感じます。もはや人間なのかも怪しいくらい戯画っぽく表現されているのもここまでと違った作風に思えました。
4-42 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:少女と死との会話」
こちらは油彩とテンペラによる作品で、左上に目の黒いドクロのような顔があり、やや笑ったような表情をしています。その右下に赤い髪(赤いフード?)の少女の顔があり、目は描かれていません。また、右上・左下にも顔らしきものがあるけどこちらも目は無く何かを話しかけるように観えるかな。くすんだ色彩で版画の作風のような明確さはなく、少々不気味で幻想的な雰囲気でした。これもメメント・モリがテーマなのかも
4-43-52 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「10点のリトグラフ」
こちらは10点のリトグラフで、戯画的な表現で人物(特に横顔)が描かれた作品が中心となっています。1つ1つの意味は分かりませんが、天体と交信しているような作品など、現実ではない空想世界を思いつくままに描いているような感じです。これも今までの作風とは異なる絵柄に思えました。
4-55-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「グロテスクなイマジネーション」
こちらは全18点から成るエッチング作品で、一層に戯画的に誇張された人物が多く描かれています。もはや妖怪みたいな絵もあって、意図不明の不気味さもあります。 解説によると 10部という少部数での出版だったそうで、個々の作品の意味は曖昧で 見る人間によっていかようにでも解釈しうる多義性を備えているとのことでした。
ということで、後編もメスキータの作品を楽しむことができました。こうして観ると作風も色々と変わっているようにも思えますが、単純化されたコントラストの強い版画が特に面白い画風ではないかと思います。非常に気に入ったので図録も購入しました(注文生産で届くのが3週間くらいかかりましたw) もうすぐ終わってしまいますが、美術ファン注目の展示だと思います。
→ 前編はこちら

【展覧名】
メスキータ
【公式サイト】
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html
【会場】東京ステーションギャラリー
【最寄】東京駅
【会期】2019年6月29日(土)~8月18日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間00分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_③_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_4_⑤_満足
【感想】
下階も上階と同じくらいの混み具合でした。下階は4章と5章の順が入れ替わっていたようでしたが、観た順に気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。
<第3章:自然>
3章は植物や動物を描いた作品のコーナーです。メスキータは動物や植物のモチーフの多くをアムステルダムのアルティス動物園に取材したそうで、オランダでは普通は目にすることがないモチーフが選ばれているようです。特に木版の作品ではデッサンをもとに細部を捨象してモチーフを単純化し、デザイン的に研ぎ澄ますことで装飾性や幾何学性の強い作品を生み出したのだとか。ここにはそうした自然を題材にした作品が並んでいました。
3-33 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「鹿」 ★こちらで観られます
こちらは鹿の横顔を描いた版画で、鹿の形を含めて三角や四角、直線の組み合わせで構成されています。特に2本の角が折れ曲がって三角形を成すような構図が独特で、平面的かつ幾何学的な作風です。細長い線で陰影をつけていたりして、素朴さと斬新さの両面が感じられました。
3-74 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アーティチョーク」
こちらはアンティークの花を描いたもので、輪郭線がなく細い線を並べることで花びらなどを表しています。線の太さを変えることで明暗(太いほど白い部分が多くなり明るく感じる)をつけていて、渦巻くような規則的な彫りとなっています。こちらも素朴さと緻密さが同居していて、力強い印象を受けました。
この辺は植物の静物画多かったように思います。
3-36 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「二頭のガゼル(習作)」「二頭のガゼル」
こちらはスケッチと木版が並んで展示されていました。いずれもガゼルが草地で足を畳んで伏せている様子で、習作スケッチでは1頭なのが木版では向き合うようにもう1頭加えられています。また、2つを比べるとスケッチから木版にする際の単純化の様子が伺え、特に毛並みの表現が色面だったのが線刻による針のような表現に変わっているのが伺えました。同じモチーフでも受ける印象はかなり異なるのが面白かったです。
この近くには「バッファロー」という作品もありました。ステート違いで印象が変わってくるのを観ることができます。
3-73 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「パイナップル」 ★こちらで観られます

写真は撮影可能エリアで撮った複製です。こちらは逆さ吊りにされたパイナップルを描いた木版で、表面と葉っぱは文様のように単純化されて細い線刻で表されています。パイナップルの周りだけ切り取られたように白い地になっていて、コントラストによってパイナップルの存在感が強まっているように思えました。
3-35 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ホウカンチョウ」
こちらは木の上にとまるホウカンチョウを描いた作品で、かなり単純化されて丸々した体躯となっています。黒々とした毛を細かい線で文様のようにリズミカルに描いていて、装飾性が感じられます。また、木の枝も直角に曲がっているなど幾何学的な要素も感じられました。
3-09 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「死せる鳩(無事の死)」
こちらは十字架に磔になってぶら下げられているような白い鳩を描いた版画です。まるでキリストの磔刑を思わせる構図ですが、反転したステート違いでは十字架の部分が改変されて十字架っぽさが減っているように思えます。解説によると、メスキータはユダヤ人であったものの熱心なユダヤ教信者ではなかったようです。それでもこの絵に宗教的な含意があるかは分からないとのことですが、鳩はキリスト教では精霊の象徴でもあるので、見る側からすればすぐに連想するような構成となっていました。
この辺には鳥をモチーフにした作品がありました。今回のポスターにんっている「ワシミミズク」(★こちらで観られます)もこの章にありました。
3-30 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「シマウマ」 ★こちらで観られます
こちらは小屋の中で草を食むシマウマを描いた版画です。元から白黒のモチーフだけにモノクロの版画でも違和感がないかなw 縞々も写実的に表現されているように思えます。解説によると、メスキータは鮮やかに黒と白に色分けされている自然界のモチーフを白黒が明確な木版画の題材にすることに反対していたそうです。エッシャーはその言葉を覚えていたので、この作品を後で知って驚いたのだとかw 近くには白黒の牛を描いたものもあって、これだけが例外という訳でも無さそうな…。中々面白いエピソードでした。
3-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「アヤメ 第9ステート」

写真は撮影可能エリアで撮った複製です。花は写実的な単純化に思えますが、葉っぱの部分が謎の横線でボヤけて見えます。第3ステートあたりまでは普通の表現なので、装飾性を高めるためにこうした表現を用いているようでした。
<第5章:ウェンディンゲン>
続いては雑誌『ウェンディンゲン』に関するコーナーです。この雑誌はオランダの建築家H. Th. ワイデフェルトを中心に1918年に創刊されたもので、1933年の廃刊まで116号に渡って建築・絵画、彫刻、家具、工芸、東洋美術、演劇などを紹介していたようです。この雑誌の表紙は1920年代のさまざまなスタイルの作家がデザインしたそうで、メスキータは9回ほどデザインしました。また、第7巻1号(1925年5月)と第12巻1号(1932年1月)ではメスキータの特集もあったようで、ここではそうした部分が紹介されていました。
『ウェンディンゲン』
こちらは正方形の雑誌の表紙で、平面的でロシア・アヴァンギャルドのような表紙もあります。開いた時に長辺が短辺の2倍になる形状はワイデフェルトが日本の畳に着想を得たと考えられるそうで、本としてはちょっと変わってるかも。中には今回の展示でも観られるメスキータの「象」などもありました。メスキータが当時から前衛芸術家として認識されていたことが伺える作品です。
5-08 『ウェンディンゲン』第12巻1号 [特集:S.イェスルン・デ・メスキータ]
こちらは2回目のメスキータ特集号で、青色を背景に白いフクロウが単純化されて表されています。一見すると可愛らしいようで 白目の部分が黄色く目やくちばしが鋭くて緊張感があります。シンプルながらもフクロウの特徴を捉えていて、白黒版画とは違った魅力もありました。
<第4章:空想>
最後は幻想・空想を描いた作品のコーナーです。メスキータは版画作品を制作する傍ら、生涯を通じて膨大な数のドローイングを描いていたそうです。これらは「全く意図していない無意識の現れ」と語っていたらしく、思いつくままに描いていたと考えられるようです。シュルレアリスムのオートマティスムの先駆的な試みと見なすこともできるようで、ここにはそうして作られた空想的な作品が並んでいました。
4-01 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:エジプト風の像を見る男」
こちらは横向きで獣のような謎の仮面をかぶった人物像と、それを観ている男(中国人みたいな)を描いたペン画です。確かにエジプトの壁画を思わせる平面性と仮面ですが、架空のものに思えます。ここまで観てきた画風とガラリと変わっていたのでその点についても驚きでした。
この辺は割と人物画が多いかな。意味ありげな表情や構図で、たまにシュールな雰囲気があります。
4-26 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「幻想的なイマジネーション:さまざまな人々」
こちらは中央で向き合う男女を中心に、無数の人物が描かれた作品です。背景なのか手前なのか分からない平面的な構成で、前後で組み合うような表現はエッシャーに通じるものを感じます。もはや人間なのかも怪しいくらい戯画っぽく表現されているのもここまでと違った作風に思えました。
4-42 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「ファンタジー:少女と死との会話」
こちらは油彩とテンペラによる作品で、左上に目の黒いドクロのような顔があり、やや笑ったような表情をしています。その右下に赤い髪(赤いフード?)の少女の顔があり、目は描かれていません。また、右上・左下にも顔らしきものがあるけどこちらも目は無く何かを話しかけるように観えるかな。くすんだ色彩で版画の作風のような明確さはなく、少々不気味で幻想的な雰囲気でした。これもメメント・モリがテーマなのかも
4-43-52 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「10点のリトグラフ」
こちらは10点のリトグラフで、戯画的な表現で人物(特に横顔)が描かれた作品が中心となっています。1つ1つの意味は分かりませんが、天体と交信しているような作品など、現実ではない空想世界を思いつくままに描いているような感じです。これも今までの作風とは異なる絵柄に思えました。
4-55-70 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ 「グロテスクなイマジネーション」
こちらは全18点から成るエッチング作品で、一層に戯画的に誇張された人物が多く描かれています。もはや妖怪みたいな絵もあって、意図不明の不気味さもあります。 解説によると 10部という少部数での出版だったそうで、個々の作品の意味は曖昧で 見る人間によっていかようにでも解釈しうる多義性を備えているとのことでした。
ということで、後編もメスキータの作品を楽しむことができました。こうして観ると作風も色々と変わっているようにも思えますが、単純化されたコントラストの強い版画が特に面白い画風ではないかと思います。非常に気に入ったので図録も購入しました(注文生産で届くのが3週間くらいかかりましたw) もうすぐ終わってしまいますが、美術ファン注目の展示だと思います。
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