関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 【埼玉県立近代美術館】

2週間ほど前に北浦和の埼玉県立近代美術館で「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」を観てきました。

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【展覧名】
 DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術

【公式サイト】
 http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=414

【会場】埼玉県立近代美術館
【最寄】北浦和駅

【会期】2019年9月14日(土)~11月4日(月・振休)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_②_3_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は1960年代末から70年代にかけての日本の「もの派」と呼ばれるアートをテーマに、当時の映像や資料と共にその活動状況を振り返るという内容となっています。タイトルに「ポスト工業化社会の美術」とあるように、工業製品を用いたり素材感を前面に出した作品が多く、まさに「もの」が主体となっているような感じです。章分けは特に無く解説も少なめなので理解するのが難しかったですが、簡単にその様子を振り返ってみたいと思います。


まずは金村修の大きなモノクロ写真が並んでいて、いずれも都市のゴチャゴチャした光景を写した作品となっていました。路地の看板やアパート、電信柱などが写っていて無機質で工業的な雰囲気です。また、街中の様子を撮った映像もあり、こちらは場面がよく切り替わって目がチカチカするw 人はあまり映らず、写真と同様に廃墟のような印象を受け、意図は分からないものの不安を覚えるような作風でした。

続いては関根伸夫のコーナーで、「位相-大地」という作品の写真を中心に紹介していました。この作品は巨大な円筒の土の塊(直径220cm×高さ270cm)と、それと同じサイズの穴が地面に空いているという作品で、まるで地面から円筒をくり抜いて脇に置いたような感じです。近くでその当時の制作の様子を映像を流していて、ツルハシとシャベルを使って掘って 隣に置いた木組みの円筒形の型に入れていくような工程となっていました。流石に土を入れるのはクレーンを使っていましたが、かなりの労力がかかっています。完成すると側面んは地層のような模様が出来ているのがちょっと不思議でした。
 参考記事:日本の70年代 1968-1982 感想後編(埼玉県立近代美術館)
その先には関根伸夫の?型の椅子やモアイのような彫刻、様々なアイディアノートなどがありました。万里の長城に「位相-大地」を作る構想などがあって、これは実現したら面白かったかもw
さらに「位相 No.9」というメビウスの輪のような立体作品があり、壁から飛び出すような感じで赤・黄色・オレンジのグラデーションが付けられていました。土塊の位相とはだいぶ違って未来的な印象を受けました。
その後は再び関根伸夫の作家活動に関する資料が並び、「位相」以前の作品や展覧会の設置の様子、環境美術研究所に関する資料、会社の資料や計画書、都庁広場の「水の神殿」というオブジェの設計図、見積書、志木駅東口立体遊歩道のモニュメントの写真や設計図、関根伸夫の刊行物(自伝、関根伸夫が選ぶ庭10選)、個人的な資料(年賀状、手帳、子供の頃の記念写真)などなど、割とカオスな内容ですw この辺は関根伸夫に詳しい人でないとあまり有難味が実感できないような…

その次は小清水漸のテーブルや楕円を半分にしたような「鉄 I」という立体作品や、吉田克朗の「赤・カンヴァス・糸など」という抽象画の垂れ幕のような大型作品がありました。いずれも素材感を押し出したような作品で、モノ派という言葉が感覚で理解できたように思います。近くには他にも数人の立体作品やメイキングの写真などもありました。

その先の通路では4つの映像があり、高松次郎や野村仁の作品を紹介していました。やはり質感・素材感がテーマになっている作品が多いようで、野村仁などはこの後にも作品が出てきます。また、通路は小松浩子の「内方浸透現象」という白黒写真が壁中に貼られているだけでなく床にまで敷き詰めてあって、その上を歩いて鑑賞するようになっていました。工業製品や工場を写したと思われる機械的な写真が多く、無機質で雑多な廃墟に迷い込んだかのような感覚になります。垂れ幕や床には映像も写っていて、異様な展示風景となっていまいた。

次の部屋には野村仁の「Tardiology」という京都市美術館の前に置かれたダンボール4階建ての建造物の写真が並んでいました。最初はしっかりとそびえ立っているのですが、徐々にへたってきて横の壁が壊れて行き、自重を支えきれず潰れてしまいます。最後はただのゴミの山のようになっていて、時間の流れと形態の移ろいを感じさせました。近くにはスライドでこの作品をクレーンなどを使って建てている様子もありました。

その先には関根伸夫の「空相ー石を切る」という石を水平に切って表面を鏡張りした作品がいくつか並んでいました。見た目は椅子っぽいw 自然物を使いながらスパッと切れた断面が人工的な印象を受けました。

最後の部屋は様々な作家の作品が並んでいました。柏原えつとむの「これは本である」という本は、本文中に「THIS IS A BOOK」とか「コレハ本デアル」といったトポロジー的な言葉が延々と書いてありますw 本だと主張しているのに、本とは思えない内容の無さという矛盾が面白いw また、 飯田昭二の「Paper」は「Paper」と印字された紙がぐちゃぐちゃになって山になっています。これもPaperと主張しているけどゴミにしか見えないのが皮肉に思えました。 最後に野村仁の「Dryice」という記録映像があり、正六面体のドライアイスを並べて、それが小さくなっていく様子を映し出していました。野村仁の作品は時間の経過を見て取れる作品が多いので一種の実験を観ているような面白さがあります。
 参考記事:
  これは本ではない―ブック・アートの広がり (うらわ美術館)
  野村仁 変化する相―時・場・身体 (国立新美術館)


ということで、しっかり理解したかは怪しいですが既存のアートの範疇を越えるようなスケールの大きな作品を観ることができました。7年前に同じ埼玉県立近代美術館で観た展示と似た部分もあったかな。現代アートに興味がある方向けの展示だと思います。

おまけ:
今回の常設は以前見た内容と同じようだったので今回は見ませんでした。ぐるっとパスだと常設展は別料金になるので…w
 参考記事:2019 MOMASコレクション 第2期 (埼玉県立近代美術館)

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