正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美― (感想後編)【東京国立博物館 平成館】
今回は前回に引き続き東京国立博物館 平成館の御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」についてです。前編は第一会場についてでしたが、後編は第二会場についてご紹介して参ります。まずは概要のおさらいです。
→ 前編はこちら

【展覧名】
御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」
【公式サイト】
https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1968
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】
前期:2019年10月14日(月)~11月04日(月・休)
後期:2019年11月06日(水)~11月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
第二会場は第一会場に比べると若干空いていたように思います。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、この展示には前期・後期に会期が分かれていて私が観たのは前期の内容となります。
<第4章 正倉院の琵琶>
4章は琵琶のコーナーです。正倉院に伝わる「螺鈿紫檀五絃琵琶」は唯一実物が伝わる5弦の琵琶だそうで、インドに起源があり既に現地では失われているため世界の音楽史上でも貴重な品だそうです。この章では前期は「螺鈿紫檀五絃琵琶」後期は「紫檀木画槽琵琶」を中心に紹介されていました。
69 「螺鈿紫檀五絃琵琶」 中国 唐時代・8世紀 ★こちらで観られます
こちらは聖武天皇 遺愛の琵琶で、世界唯一現存の五絃琵琶です。紫檀に螺鈿と玳瑁(タイマイ)で装飾していて、表面にはラクダに乗って琵琶を弾く人、背面には宝相華文様が表されています。360度ぐるりと観られるようになっていて、表面は規則正しく 背面は華やかに装飾されているように思えます。
こちらは6章の最後にあった明治32年の模造の写真(6章は撮影可能)

紫檀の色などがちょっと違う以外は本物とほぼ同じで、デザイン性においても非常に優美な形をしています。
表面のアップ。

ラクダに乗っている人が表され、異国情緒が感じられます。
側面と背面

側面と背面は宝相華文様がびっしりと表されていて華やかです。本物は背面もこれより観やすい展示方法だったので、全体を詳しく観ることができました。
70 [模造:木地]坂本曲齋(三代)[模造:象嵌]新田紀雲[模造:加飾]北村昭斎・松浦直子[模造:絃]丸三ハシモト株式会社 「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」 平成31年(2019)
こちらは今年完成したばかりの「螺鈿紫檀五絃琵琶」の模造です。明治の模造に増して正確に作られているようで、全体的に新しさを感じる色合いになっている以外は本物そっくりです。オリジナルと同じ素材・技法で忠実に再現しているようで、紫檀や鼈甲など今では入手困難な素材も使われています。8年かけて作成したとのことで、600ものパーツから成るようです。また、近くではこちらを奏でて当時の音楽を再現しようと試みた曲が流れていました。ギターや琴とはまた違った響きで、ちょっと哀しげで雅な雰囲気でした。
この近くではこの模造のメイキング映像もありました。多くの人達がかなり苦労して制作しているのが分かります。
<第5章 工芸美の共演>
続いては様々な工芸品のコーナーです。ここには法隆寺献納宝物と正倉院宝物が並び、飛鳥時代から奈良時代にかけての美意識の変化とともに紹介されていました。
77 「伎楽面 酔胡王」 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 ★こちらで観られます
こちらは法隆寺献納宝物で、ペルシア系民族「胡人」の王が酔った姿を表した伎楽に使われる面です。天狗のように高い鼻が特徴で、目の部分には穴が開いていてこれを被って踊ります。やや緊張感ある面持ちですが微笑んでいるようにも見えるかな。 顎にヒゲを貼った跡があるようで、当時は長いヒゲが生えていたようです。 隣にはこの面を制作当時の姿で再現した作品があり、全体的に真っ赤に塗られて長く立派な黒ひげが貼られていました。どうやら時代の変化で色が褪せてしまったようですが、それでも見事な造形の面でした。
近くには正倉院に伝わる同名の作品もありました。(★こちらで観られます) お互いよく似た特徴ですが、正倉院のほうは赤っぽい色が残っていて、一層に笑っているような表情に思えました。
91 「鵲尾形柄香炉」 朝鮮 三国時代または飛鳥時代・6~7世紀
こちらは香炉に柄を付けた真鍮製の柄香炉です。三国時代の朝鮮または飛鳥時代の日本で作られたと考えられるそうで、柄の端が裾広がりで三叉になっているのがカササギの尻尾のように見えるのでこの名前になったようです。この柄香炉は国宝で学生の頃に教科書でも観たような気がします。聖徳太子の師匠の慧慈法師が使ったとも伝えられる貴重な品です。
87 「黄銅合子」 中国 唐または奈良時代・8世紀 ★こちらで観られます
こちらは壺を逆さにしたような胴部の上に、五重塔のような装飾がついた香を入れる容器です。塔の側面にはミリ以下の細かいギザギザが付いていていたり文字のような文様もあり、ガラスを象嵌していたりするようです。と、言っても細かすぎて肉眼で観るのが大変なくらいですw 形自体が優美で、その超絶技巧と共に驚かされる逸品でした。
この近くにはこの作品の模造もありました。顔料の劣化やガラス玉が取れる前の姿で、一層にツヤツヤした雰囲気です。
96 「ガラス皿」 西アジア・5世紀以前
こちらは深い藍色のガラスの皿で、表面に白いシミのようなものがあります。実はこれはシミではなく絵の痕跡で、ササン朝ペルシアに由来する馬や人物が描かれていて、光の具合によっては見づらいものの かなり精緻な図像となっています。当時は今以上に美しかったのではないかと想像しながら観てきました。
この隣には「瑠璃壺」というガラス壺がありました。何とツバを入れる壺とのことですが、そうとは思えないくらい綺麗なガラスですw
<第6章 宝物をまもる>
最後は宝物を守り伝える事に関するコーナーです。正倉院の宝物は江戸時代から調査・修復・模造が行われていたようで、明治以降に本格化したそうです。この章にはそうした事業に関連する品が並んでいました。
100 「東大寺正蔵院天平御道具図」 江戸時代・元禄8年(1695)
こちらは1693年の正倉院開封で修理が行われた際に作られた絵図です。碁盤が描かれた箇所が展示されていて、正面・斜め・裏といった感じで3つの面をそれぞれ描いて、サイズや素材についても併記されています。江戸時代の頃から既に文化財を大切にしていた様子が伺え、一層に正倉院の歴史の重みが感じられました。
101 「正倉院天保四年御開封図」 明治時代・19世紀
こちらは140年ぶりに開封された1833年の正倉院開封の様子を描いた絵図です。上空から見渡す地図のような感じで、儀式や点検している様子が描かれていて その時の事柄をきっちりと記録しているようです。これも正倉院の歴史を知る上で貴重な資料のようでした。
107 「鴨毛屏風(模造 鳥毛篆書屏風)」 明治11年(1878)
こちらは前編でご紹介した「鳥毛帖成文書屏風」によく似た作品で、後期展示される「鳥毛篆書屏風」を模造したものです。明治11年(1878年)のパリ万国博覧会に出品する為に作られたそうで、文字には羽毛が貼り付けられています。明治以降の模造品の最初期のものとのことですが、かなり完成度が高いように思えました。
108 「甘竹簫」「楸木帯」 奈良時代・8世紀
こちらは竹で作られた笛で、管と帯から成っています。明治時代に修復が行われた際、12本の管で出来ていたと考えられてそれに合わせて修復したようですが、その後に帯が発見されて18本の管だったことが判明しました。その為、明治時代の間違った修復を一旦取り除いて再修復する必要があるそうで、中には虫食いなども見つかっているようです。薄い色の竹の管が混じっていて一目で明治の修復の様子が分かるw 修復にも誤りがあるというのが興味深い品でした。ちなみにこの笛の中には墨を浸した紙が入っているそうで、それで音を調整するとのことです。どんな音色か聞いてみたいですね。
114 「塵芥(塵芥、麻布描絵片、描絵類、刺繍類、平織雑色裂・緯浮文錦類、平織雑色横縞裂、経絣類、綴錦類、経錦類、金銀糸類、糸類、組紐類、金具類、御冠残欠類)」 飛鳥~奈良時代・7~8世紀
こちらは塵芥(じんかい)というその名のとおりのチリやホコリのような小さな残骸の集まりです。もはや何に使われたかも分からないようなものですが、それでも一切捨てることなく木の箱などに入れて保存しているようです。ピンセットで摘んで分類する作業は今も地道に続いているらしく、映像でその様子を流していました。一見するとゴミですが、ここから宝物の破片が出てくるみたいなので侮れないのかも。
最後は撮影可能エリアとなっていました。
こちらは正倉院南倉の再現

高床になっていて中には東大寺の儀式用品などが入っている倉です。
こちらは正倉院中倉の再現。

前編でご紹介した「正倉海老錠」がかけられています。
この近くで2018年の開封の儀の映像を流していました。今でも勅使が正倉院にやってきて勅封が解かれていないことを確認し、奈良国立博物館の館長や東大寺別当と共に各宝物を詳しく点検しているようでした。
最後に明治時代に模造された「模造 螺鈿紫檀阮咸」 先程の明治時代の「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」と共に並んでいます。

オウムのような鳥や花文様が非常に鮮やかで、これもかなりハイレベルな模造です。
ということで後半も見どころが多く、特に琵琶が目を引きました。細かい装飾も多いのでミュージアムスコープを持っていった方が良いかもw 最後の章では守り伝えることの難しさを知ることもできて、参考になる内容でした。 会期が短い上に2期に分かれているので、お目当ての品がある場合は事前に公式サイトで出品リストを確認することをオススメします。
→ 前編はこちら

【展覧名】
御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」
【公式サイト】
https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1968
【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅
【会期】
前期:2019年10月14日(月)~11月04日(月・休)
後期:2019年11月06日(水)~11月24日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
2時間30分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_①_2_3_4_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_4_⑤_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_③_4_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
第二会場は第一会場に比べると若干空いていたように思います。後編も引き続き各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、この展示には前期・後期に会期が分かれていて私が観たのは前期の内容となります。
<第4章 正倉院の琵琶>
4章は琵琶のコーナーです。正倉院に伝わる「螺鈿紫檀五絃琵琶」は唯一実物が伝わる5弦の琵琶だそうで、インドに起源があり既に現地では失われているため世界の音楽史上でも貴重な品だそうです。この章では前期は「螺鈿紫檀五絃琵琶」後期は「紫檀木画槽琵琶」を中心に紹介されていました。
69 「螺鈿紫檀五絃琵琶」 中国 唐時代・8世紀 ★こちらで観られます
こちらは聖武天皇 遺愛の琵琶で、世界唯一現存の五絃琵琶です。紫檀に螺鈿と玳瑁(タイマイ)で装飾していて、表面にはラクダに乗って琵琶を弾く人、背面には宝相華文様が表されています。360度ぐるりと観られるようになっていて、表面は規則正しく 背面は華やかに装飾されているように思えます。
こちらは6章の最後にあった明治32年の模造の写真(6章は撮影可能)

紫檀の色などがちょっと違う以外は本物とほぼ同じで、デザイン性においても非常に優美な形をしています。
表面のアップ。

ラクダに乗っている人が表され、異国情緒が感じられます。
側面と背面


側面と背面は宝相華文様がびっしりと表されていて華やかです。本物は背面もこれより観やすい展示方法だったので、全体を詳しく観ることができました。
70 [模造:木地]坂本曲齋(三代)[模造:象嵌]新田紀雲[模造:加飾]北村昭斎・松浦直子[模造:絃]丸三ハシモト株式会社 「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」 平成31年(2019)
こちらは今年完成したばかりの「螺鈿紫檀五絃琵琶」の模造です。明治の模造に増して正確に作られているようで、全体的に新しさを感じる色合いになっている以外は本物そっくりです。オリジナルと同じ素材・技法で忠実に再現しているようで、紫檀や鼈甲など今では入手困難な素材も使われています。8年かけて作成したとのことで、600ものパーツから成るようです。また、近くではこちらを奏でて当時の音楽を再現しようと試みた曲が流れていました。ギターや琴とはまた違った響きで、ちょっと哀しげで雅な雰囲気でした。
この近くではこの模造のメイキング映像もありました。多くの人達がかなり苦労して制作しているのが分かります。
<第5章 工芸美の共演>
続いては様々な工芸品のコーナーです。ここには法隆寺献納宝物と正倉院宝物が並び、飛鳥時代から奈良時代にかけての美意識の変化とともに紹介されていました。
77 「伎楽面 酔胡王」 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 ★こちらで観られます
こちらは法隆寺献納宝物で、ペルシア系民族「胡人」の王が酔った姿を表した伎楽に使われる面です。天狗のように高い鼻が特徴で、目の部分には穴が開いていてこれを被って踊ります。やや緊張感ある面持ちですが微笑んでいるようにも見えるかな。 顎にヒゲを貼った跡があるようで、当時は長いヒゲが生えていたようです。 隣にはこの面を制作当時の姿で再現した作品があり、全体的に真っ赤に塗られて長く立派な黒ひげが貼られていました。どうやら時代の変化で色が褪せてしまったようですが、それでも見事な造形の面でした。
近くには正倉院に伝わる同名の作品もありました。(★こちらで観られます) お互いよく似た特徴ですが、正倉院のほうは赤っぽい色が残っていて、一層に笑っているような表情に思えました。
91 「鵲尾形柄香炉」 朝鮮 三国時代または飛鳥時代・6~7世紀
こちらは香炉に柄を付けた真鍮製の柄香炉です。三国時代の朝鮮または飛鳥時代の日本で作られたと考えられるそうで、柄の端が裾広がりで三叉になっているのがカササギの尻尾のように見えるのでこの名前になったようです。この柄香炉は国宝で学生の頃に教科書でも観たような気がします。聖徳太子の師匠の慧慈法師が使ったとも伝えられる貴重な品です。
87 「黄銅合子」 中国 唐または奈良時代・8世紀 ★こちらで観られます
こちらは壺を逆さにしたような胴部の上に、五重塔のような装飾がついた香を入れる容器です。塔の側面にはミリ以下の細かいギザギザが付いていていたり文字のような文様もあり、ガラスを象嵌していたりするようです。と、言っても細かすぎて肉眼で観るのが大変なくらいですw 形自体が優美で、その超絶技巧と共に驚かされる逸品でした。
この近くにはこの作品の模造もありました。顔料の劣化やガラス玉が取れる前の姿で、一層にツヤツヤした雰囲気です。
96 「ガラス皿」 西アジア・5世紀以前
こちらは深い藍色のガラスの皿で、表面に白いシミのようなものがあります。実はこれはシミではなく絵の痕跡で、ササン朝ペルシアに由来する馬や人物が描かれていて、光の具合によっては見づらいものの かなり精緻な図像となっています。当時は今以上に美しかったのではないかと想像しながら観てきました。
この隣には「瑠璃壺」というガラス壺がありました。何とツバを入れる壺とのことですが、そうとは思えないくらい綺麗なガラスですw
<第6章 宝物をまもる>
最後は宝物を守り伝える事に関するコーナーです。正倉院の宝物は江戸時代から調査・修復・模造が行われていたようで、明治以降に本格化したそうです。この章にはそうした事業に関連する品が並んでいました。
100 「東大寺正蔵院天平御道具図」 江戸時代・元禄8年(1695)
こちらは1693年の正倉院開封で修理が行われた際に作られた絵図です。碁盤が描かれた箇所が展示されていて、正面・斜め・裏といった感じで3つの面をそれぞれ描いて、サイズや素材についても併記されています。江戸時代の頃から既に文化財を大切にしていた様子が伺え、一層に正倉院の歴史の重みが感じられました。
101 「正倉院天保四年御開封図」 明治時代・19世紀
こちらは140年ぶりに開封された1833年の正倉院開封の様子を描いた絵図です。上空から見渡す地図のような感じで、儀式や点検している様子が描かれていて その時の事柄をきっちりと記録しているようです。これも正倉院の歴史を知る上で貴重な資料のようでした。
107 「鴨毛屏風(模造 鳥毛篆書屏風)」 明治11年(1878)
こちらは前編でご紹介した「鳥毛帖成文書屏風」によく似た作品で、後期展示される「鳥毛篆書屏風」を模造したものです。明治11年(1878年)のパリ万国博覧会に出品する為に作られたそうで、文字には羽毛が貼り付けられています。明治以降の模造品の最初期のものとのことですが、かなり完成度が高いように思えました。
108 「甘竹簫」「楸木帯」 奈良時代・8世紀
こちらは竹で作られた笛で、管と帯から成っています。明治時代に修復が行われた際、12本の管で出来ていたと考えられてそれに合わせて修復したようですが、その後に帯が発見されて18本の管だったことが判明しました。その為、明治時代の間違った修復を一旦取り除いて再修復する必要があるそうで、中には虫食いなども見つかっているようです。薄い色の竹の管が混じっていて一目で明治の修復の様子が分かるw 修復にも誤りがあるというのが興味深い品でした。ちなみにこの笛の中には墨を浸した紙が入っているそうで、それで音を調整するとのことです。どんな音色か聞いてみたいですね。
114 「塵芥(塵芥、麻布描絵片、描絵類、刺繍類、平織雑色裂・緯浮文錦類、平織雑色横縞裂、経絣類、綴錦類、経錦類、金銀糸類、糸類、組紐類、金具類、御冠残欠類)」 飛鳥~奈良時代・7~8世紀
こちらは塵芥(じんかい)というその名のとおりのチリやホコリのような小さな残骸の集まりです。もはや何に使われたかも分からないようなものですが、それでも一切捨てることなく木の箱などに入れて保存しているようです。ピンセットで摘んで分類する作業は今も地道に続いているらしく、映像でその様子を流していました。一見するとゴミですが、ここから宝物の破片が出てくるみたいなので侮れないのかも。
最後は撮影可能エリアとなっていました。
こちらは正倉院南倉の再現

高床になっていて中には東大寺の儀式用品などが入っている倉です。
こちらは正倉院中倉の再現。

前編でご紹介した「正倉海老錠」がかけられています。
この近くで2018年の開封の儀の映像を流していました。今でも勅使が正倉院にやってきて勅封が解かれていないことを確認し、奈良国立博物館の館長や東大寺別当と共に各宝物を詳しく点検しているようでした。
最後に明治時代に模造された「模造 螺鈿紫檀阮咸」 先程の明治時代の「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」と共に並んでいます。

オウムのような鳥や花文様が非常に鮮やかで、これもかなりハイレベルな模造です。
ということで後半も見どころが多く、特に琵琶が目を引きました。細かい装飾も多いのでミュージアムスコープを持っていった方が良いかもw 最後の章では守り伝えることの難しさを知ることもできて、参考になる内容でした。 会期が短い上に2期に分かれているので、お目当ての品がある場合は事前に公式サイトで出品リストを確認することをオススメします。
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