美意識のトランジション -十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸- 【五島美術館】
前回ご紹介した五島美術館の庭園を見て回った後、特別展「美意識のトランジション -十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸-」を観てきました。

【展覧名】
特別展 美意識のトランジション -十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸-
【公式サイト】
https://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html
【会場】五島美術館
【最寄】上野毛駅
【会期】2019年10月26日(土)~12月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんは多かったですが快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「トランジション」(過渡期)をテーマに16~17世紀の東アジアの書画や工芸を集めたもので、五島美術館だけでなく名だたる美術館の名品が並んでいました。一応、ジャンルごとに6部構成となっているのですが、割と入り混じって並んでいるところもあり順番もマチマチといった感じです。その為 今回は構成はあまり気にせずに観た順に目を引いた作品をご紹介していこうと思います。
<展示室1>
まずは展示室1です。各部のタイトルは下記のとおりで、様々なジャンルの品が並んでいました。
第一部:書跡のトランジション-紙絹をとりまく理想と相克
第二部:漆芸のトランジション-深まるワザと行き交うデザイン
第四部:陶磁のトランジション-万暦からトランジショナル様式へ
第六部:屏風絵-過渡期の眺め
まずは書跡から観ていきました。
3 詹景鳳 「草書皇甫冉七言律詩軸」
こちらは唐代の詩人の皇甫冉(こうほぜん)の七言律詩を書いた墨跡です。王羲之・王献之の親子の筆を学んだそうで、勢いを感じる筆使いとなっています。結構グニャグニャしているようにも思えますが、流れが感じられました。
参考記事:
書聖 王羲之 感想前編(東京国立博物館 平成館)
書聖 王羲之 感想後編(東京国立博物館 平成館)
5 趙宦光 「草篆書七言絶句軸」 ★こちらで観られます
こちらは古代の書体である小篆を草書のように書いた「草篆」という書体の創始者である趙宦光による書です。字自体は篆書に似ていますが、確かに草書のように崩した自由さが感じられます。やや素朴な印象も受けて面白い書体でした。
この辺は七言律詩や七言絶句を書いた墨跡が並び、いずれも書体が違っていて見比べることができました。
15 倪元璐 「行書七言絶句軸」
こちらは自詠の詩を書いた書で、かなり荒々しい筆跡に見えます。若い頃は顔真卿や蘇軾を学んでいたようですが、40代半ばから独自の書風となっていったそうです。かなり太めの線で、素人目にはややぎこちなく見えるような…w 独特の字体で感情を表しているようにも思えました。
参考記事:
顔真卿 王羲之を超えた名筆 感想前編(東京国立博物館 平成館)
顔真卿 王羲之を超えた名筆 感想前編(東京国立博物館 平成館)
この辺は上手いのか下手なのか素人には判別が難しい早書きのような書が並んでいましたw
29 本阿弥光悦(筆)・伝 俵屋宗達(下絵) 「鹿下絵和歌巻断簡」 ★こちらで観られます
こちらは1935年に分断されて断簡となってしまった巻物の一部です、金泥・銀泥で描かれた鹿が2頭、向き合うように描かれていて、ステップを踏むような軽やかな足取りを見事に表しています。そこに本阿弥光悦の書が舞うように書かれていて、一層に流麗な印象を受けます。元は22mにも及ぶ大作だっただけに、分断されてしまったのは残念な話です。
参考記事:美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 (サントリー美術館)
この辺りから日本の書が並んでいました。
33 良純入道親王 「消息」
こちらは手紙で、文字の太さが細かったり太かったりと、巧みに使い分けつつ早書きしたように見えます。非常にリズミカルで、文字が踊るような美しさとなっていました。
30 本阿弥光悦(筆)・俵屋宗達(下絵) 「色紙帖(新古今和歌集)」
こちらは新古今和歌集の36首を書写した色紙帖で、金地に月や草などを思わせるモチーフが描かれ、そこに太めの文字で詩が詠まれています。2場面展示されていましたが、いずれも優美で風情ある書画となっていました。
この隣にあった後陽成天皇らが書いた「一座之詩歌」も見応えがありました。背景に細い金の線で植物などが描かれているのが豪華で雅です。
31 土佐光吉 「源氏物語画帖」
こちらは源氏物語の各帖を描いた作品で、第39帖夕霧2の頁が展示されていました。金雲たなびく室内にいる平安貴族たちが描かれ、それとセットで金の料紙に和歌が書かれています。大和絵ならではの華やかさがあり、特に十二単の女性が御簾越しに見える辺りはその表現も見事でした。
続いては6部の内容で屏風が2点並んでいました。
90 狩野孝信 「唐船・南蛮船図屏風」
こちらは狩野永徳の次男の孝信による六曲一双の屏風です。右隻には日本人や南蛮人が行き交う港町が描かれ、活気にあふれています。一方、左隻には中国の貴人の館らしきものがある中国の港町の様子となっていて、こちらも賑わいを見せています。全体的には大和絵風ですが、山の描き方などは狩野派らしい漢画っぽさが感じられるかな。まさに過渡期だった時代の様子が伝わってきました。
40 「花唐草七曜卍花クルス文螺鈿箱」
こちらは卍の文様と十字(花クルス)が交互に並んだ螺鈿細工の箱で、仏教とキリスト教のシンボルが並んでるみたいでちょっと驚きました。表面にはチューリップのような文様もあり、異国情緒を感じさせます。何処で作られたのか分かりませんでしたが、解説によると中国や朝鮮、キリシタンなど様々な文化が入り混じっているとのことでした。これもトランジションそのものといった感じです。
この部屋の中央は2部の内容となっていました。
34 「屈輪文堆朱盤」
こちらは屈輪文と呼ばれる渦を巻くような文様の堆朱です。堆朱は赤い漆を塗り重ね、そこに深く文様を彫っていく技法で えらく手間がかかります。文様の幾何学性が面白いのですが、1つ1つは蛙の顔のように見えてきましたw それにしてもこれだけ大きいと見栄えがします。
43 「秋草蒔絵文箱」
こちらは細長い蒔絵の文箱で、菊・ススキ・萩・桔梗・撫子・蔦竜胆などの秋草を金でびっしりと表しています。かなり細かく装飾的で、植物の織りなす曲線が美しい文様となっていました。
続いては4部の陶器のコーナーです。
70 「鼠志野茶碗 銘 峯紅葉」 ★こちらで観られます
こちらは青みがかった鼠志野の椀で、桃山時代には珍しい品のようです。器の外側・内側に桧垣文と亀甲紋が掻き落とされていて、幾何学的な文様となっています。それが ざらついた表面の素朴さと対象的に斬新的に感じられて、この展示でも特に気に入りました。
73 「黒織部蕨文茶碗」
こちらは黒く歪んだ口を持つ沓茶碗で、内側は黒光りしています。側面にはrの字のような文様が6つ並んでいて、ワラビを表しているようです。また、高台の裏にはQと印がついているそうで、ちょっとミステリアスなものを感じます。素朴な絵柄ですが、どっしりとした風格のある茶碗でした。
この近くには黒織部が並んでいました。まるで抽象絵画のような文様の作品もあり何百年も先の美術を先取りしたかのような面白さがありました。
<展示室2>
続いての展示室2は下記の内容となっていました。
第三部:染織のトランジション-素材と意匠のトランジション
第五部:典籍のトランジション-過渡期の出版と文芸
82 「大坂物語」
こちらは大坂の陣を題材にした仮名混じりの文芸作品で、伊達政宗や古田織部の名前も出てくるそうです。書かれたのは大坂冬の陣の直後で、何と 大坂夏の陣が始まるよりも早くに刊行されたとのことです。そのため、物語というよりはジャーナリズム的な側面がある画期的な作品のようでした。
85 「仁勢物語」
こちらは伊勢物語のパロディ小説で、「むかし男ありけり」が「おかし男ありけり」に変わっているなど滑稽な内容のようです。挿絵もあって鬼の親子と人々が遊んでいるようなちょっと可笑しな雰囲気かな。しかしこの物語の面白さを理解するためには伊勢物語をよく知っている必要があり、かなり高尚な笑いと言えるようでした。
最後は織物についてのコーナーです。
51 「裂手鑑(伊達家伝来)」
こちらは様々な色や模様の裂を集めた百科事典のようなもので、仙台伊達家に伝わった品です。15~18世紀のペルシャ・明・インド・西洋などかなり幅広い布地が集められていて、こうした品は南蛮船によってもたらされたようです。実際に日本離れした極彩色の文様なども見受けられて異国情緒がある布が多めです。植物文様が多いのは各国共通かも?? 当時としてはかなり貴重な資料だったのではないかと思わせる充実ぶりでした。
46 「淡浅葱地葵紋付花重文辻ヶ花染小袖(徳川家康所用)」
こちらは徳川家康が所用した小袖で、白地に4~5個の葵の花がかたまって咲いている様子が所々に表されています。観た感じはかなり質素に思えますが、三つ葉葵の文が首の部分や袖にあって 徳川の威光もしっかりと表現されていました。
50 「猩々緋羅紗地違鎌文陣羽織(伝 小早川秀秋所用)」
こちらは関ヶ原の戦いでキャスティングボードを握った小早川秀秋の陣羽織と伝わる品です。背中に鎌が2つX状に重なって刺繍されているのが非常に目を引きます。さらに鎌の柄の部分にはハート型が表されていて、舶来の素材を使っているようでした。小早川秀秋は伊達男だったのかな?? その後の運命を考えるといたたまれないですが…
ということで、様々なジャンルの作品を楽しむことができました。会期末が迫っていますが、庭園と共に見応えがあるのではないかと思います。気になる方はすぐにでもどうぞ。


【展覧名】
特別展 美意識のトランジション -十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸-
【公式サイト】
https://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html
【会場】五島美術館
【最寄】上野毛駅
【会期】2019年10月26日(土)~12月8日(日)
※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。
【鑑賞所要時間(私のペースです)】
1時間20分程度
【混み具合・混雑状況】
混雑_1_2_3_④_5_快適
【作品充実度】
不足_1_2_3_④_5_充実
【理解しやすさ】
難解_1_2_3_④_5_明解
【総合満足度】
不満_1_2_3_④_5_満足
【感想】
結構お客さんは多かったですが快適に鑑賞することができました。
さて、この展示は「トランジション」(過渡期)をテーマに16~17世紀の東アジアの書画や工芸を集めたもので、五島美術館だけでなく名だたる美術館の名品が並んでいました。一応、ジャンルごとに6部構成となっているのですが、割と入り混じって並んでいるところもあり順番もマチマチといった感じです。その為 今回は構成はあまり気にせずに観た順に目を引いた作品をご紹介していこうと思います。
<展示室1>
まずは展示室1です。各部のタイトルは下記のとおりで、様々なジャンルの品が並んでいました。
第一部:書跡のトランジション-紙絹をとりまく理想と相克
第二部:漆芸のトランジション-深まるワザと行き交うデザイン
第四部:陶磁のトランジション-万暦からトランジショナル様式へ
第六部:屏風絵-過渡期の眺め
まずは書跡から観ていきました。
3 詹景鳳 「草書皇甫冉七言律詩軸」
こちらは唐代の詩人の皇甫冉(こうほぜん)の七言律詩を書いた墨跡です。王羲之・王献之の親子の筆を学んだそうで、勢いを感じる筆使いとなっています。結構グニャグニャしているようにも思えますが、流れが感じられました。
参考記事:
書聖 王羲之 感想前編(東京国立博物館 平成館)
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5 趙宦光 「草篆書七言絶句軸」 ★こちらで観られます
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この辺は七言律詩や七言絶句を書いた墨跡が並び、いずれも書体が違っていて見比べることができました。
15 倪元璐 「行書七言絶句軸」
こちらは自詠の詩を書いた書で、かなり荒々しい筆跡に見えます。若い頃は顔真卿や蘇軾を学んでいたようですが、40代半ばから独自の書風となっていったそうです。かなり太めの線で、素人目にはややぎこちなく見えるような…w 独特の字体で感情を表しているようにも思えました。
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参考記事:美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 (サントリー美術館)
この辺りから日本の書が並んでいました。
33 良純入道親王 「消息」
こちらは手紙で、文字の太さが細かったり太かったりと、巧みに使い分けつつ早書きしたように見えます。非常にリズミカルで、文字が踊るような美しさとなっていました。
30 本阿弥光悦(筆)・俵屋宗達(下絵) 「色紙帖(新古今和歌集)」
こちらは新古今和歌集の36首を書写した色紙帖で、金地に月や草などを思わせるモチーフが描かれ、そこに太めの文字で詩が詠まれています。2場面展示されていましたが、いずれも優美で風情ある書画となっていました。
この隣にあった後陽成天皇らが書いた「一座之詩歌」も見応えがありました。背景に細い金の線で植物などが描かれているのが豪華で雅です。
31 土佐光吉 「源氏物語画帖」
こちらは源氏物語の各帖を描いた作品で、第39帖夕霧2の頁が展示されていました。金雲たなびく室内にいる平安貴族たちが描かれ、それとセットで金の料紙に和歌が書かれています。大和絵ならではの華やかさがあり、特に十二単の女性が御簾越しに見える辺りはその表現も見事でした。
続いては6部の内容で屏風が2点並んでいました。
90 狩野孝信 「唐船・南蛮船図屏風」
こちらは狩野永徳の次男の孝信による六曲一双の屏風です。右隻には日本人や南蛮人が行き交う港町が描かれ、活気にあふれています。一方、左隻には中国の貴人の館らしきものがある中国の港町の様子となっていて、こちらも賑わいを見せています。全体的には大和絵風ですが、山の描き方などは狩野派らしい漢画っぽさが感じられるかな。まさに過渡期だった時代の様子が伝わってきました。
40 「花唐草七曜卍花クルス文螺鈿箱」
こちらは卍の文様と十字(花クルス)が交互に並んだ螺鈿細工の箱で、仏教とキリスト教のシンボルが並んでるみたいでちょっと驚きました。表面にはチューリップのような文様もあり、異国情緒を感じさせます。何処で作られたのか分かりませんでしたが、解説によると中国や朝鮮、キリシタンなど様々な文化が入り混じっているとのことでした。これもトランジションそのものといった感じです。
この部屋の中央は2部の内容となっていました。
34 「屈輪文堆朱盤」
こちらは屈輪文と呼ばれる渦を巻くような文様の堆朱です。堆朱は赤い漆を塗り重ね、そこに深く文様を彫っていく技法で えらく手間がかかります。文様の幾何学性が面白いのですが、1つ1つは蛙の顔のように見えてきましたw それにしてもこれだけ大きいと見栄えがします。
43 「秋草蒔絵文箱」
こちらは細長い蒔絵の文箱で、菊・ススキ・萩・桔梗・撫子・蔦竜胆などの秋草を金でびっしりと表しています。かなり細かく装飾的で、植物の織りなす曲線が美しい文様となっていました。
続いては4部の陶器のコーナーです。
70 「鼠志野茶碗 銘 峯紅葉」 ★こちらで観られます
こちらは青みがかった鼠志野の椀で、桃山時代には珍しい品のようです。器の外側・内側に桧垣文と亀甲紋が掻き落とされていて、幾何学的な文様となっています。それが ざらついた表面の素朴さと対象的に斬新的に感じられて、この展示でも特に気に入りました。
73 「黒織部蕨文茶碗」
こちらは黒く歪んだ口を持つ沓茶碗で、内側は黒光りしています。側面にはrの字のような文様が6つ並んでいて、ワラビを表しているようです。また、高台の裏にはQと印がついているそうで、ちょっとミステリアスなものを感じます。素朴な絵柄ですが、どっしりとした風格のある茶碗でした。
この近くには黒織部が並んでいました。まるで抽象絵画のような文様の作品もあり何百年も先の美術を先取りしたかのような面白さがありました。
<展示室2>
続いての展示室2は下記の内容となっていました。
第三部:染織のトランジション-素材と意匠のトランジション
第五部:典籍のトランジション-過渡期の出版と文芸
82 「大坂物語」
こちらは大坂の陣を題材にした仮名混じりの文芸作品で、伊達政宗や古田織部の名前も出てくるそうです。書かれたのは大坂冬の陣の直後で、何と 大坂夏の陣が始まるよりも早くに刊行されたとのことです。そのため、物語というよりはジャーナリズム的な側面がある画期的な作品のようでした。
85 「仁勢物語」
こちらは伊勢物語のパロディ小説で、「むかし男ありけり」が「おかし男ありけり」に変わっているなど滑稽な内容のようです。挿絵もあって鬼の親子と人々が遊んでいるようなちょっと可笑しな雰囲気かな。しかしこの物語の面白さを理解するためには伊勢物語をよく知っている必要があり、かなり高尚な笑いと言えるようでした。
最後は織物についてのコーナーです。
51 「裂手鑑(伊達家伝来)」
こちらは様々な色や模様の裂を集めた百科事典のようなもので、仙台伊達家に伝わった品です。15~18世紀のペルシャ・明・インド・西洋などかなり幅広い布地が集められていて、こうした品は南蛮船によってもたらされたようです。実際に日本離れした極彩色の文様なども見受けられて異国情緒がある布が多めです。植物文様が多いのは各国共通かも?? 当時としてはかなり貴重な資料だったのではないかと思わせる充実ぶりでした。
46 「淡浅葱地葵紋付花重文辻ヶ花染小袖(徳川家康所用)」
こちらは徳川家康が所用した小袖で、白地に4~5個の葵の花がかたまって咲いている様子が所々に表されています。観た感じはかなり質素に思えますが、三つ葉葵の文が首の部分や袖にあって 徳川の威光もしっかりと表現されていました。
50 「猩々緋羅紗地違鎌文陣羽織(伝 小早川秀秋所用)」
こちらは関ヶ原の戦いでキャスティングボードを握った小早川秀秋の陣羽織と伝わる品です。背中に鎌が2つX状に重なって刺繍されているのが非常に目を引きます。さらに鎌の柄の部分にはハート型が表されていて、舶来の素材を使っているようでした。小早川秀秋は伊達男だったのかな?? その後の運命を考えるといたたまれないですが…
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